大変読みにくくなってますが、たのしんでいってください!
ある日の夕暮、男子大学生の一色司は、一人の女の子を追っていた。
彼女は講義室の中に逃げ込んだ。中には誰もいない。息を荒くしながら、講義室を隅々まで見渡していると、ふとゴツっという鈍い音が耳に届いた。すぐにその音の発生源へと向かった。
すると、オレンジ色をした頭をさすっている女の子が、机の下で身を縮めていた。どうやら、机で頭を打ったようだ。
彼は「だ、大丈夫か?」と、慣れない様子で尋ねると、彼女は男の存在に気づき顔を上げ、化け物でも見たかのような表情をとり、顔を下げ、答えた。
「ご、ごめんね!凛が女の子みたいな格好して、気持ち悪いよね…」
同時に二つのヘアピンを慌てて取ろうとする彼女の手を、掴んで止めた。彼女は、少し驚いたような表情で、彼を見つめた。二人は初めてまともに顔を合わせた。
彼は、『凛』という名前と、ボーイッシュな印象の容姿を見て、何かに気がついた。
「お前、もしかしてーー」
彼が何かを言おうとするのをさえぎって、勢いよく立ち上がり、シャンプーの匂いを漂わせながら、彼の前から去っていった。
彼は「え?」と呟き、ただ一人、紅く染まった広い部屋に立ち尽くしていた。
いったい何故こんな事になったのだろうか。
俺はいつも通りの生活を送っていた。講義を終え、たまたま廊下の角で女の子とぶつかっただけである。二人同時に「わっ」という声がもれた。「ああ、ごめん」と言うと、
女の子は軽い笑顔をつくり「ごめんね」と言った。
ここだけ見れば、小さな恋が始まるところだ。
しかし女の子は、俺の顔を見ると笑顔が消え、俯いて足早にかけて行ってしまった
訳が分からない。俺の対応、そんなにまずかった?俺、まあまあコミュニケーションとれる方だと思うんだけど
そんな事を思いつつ、足元に目をやると、自転車の鍵らしき物が視界に入った。
可愛げな猫のストラップが付いている。すぐに、さっきの女の子の物だろうと気付いた。
鍵を持って、女の子に向かって走った。それに気付いた女の子は、留まるどころかスピードを上げて逃げていく。
いよいよ訳が分からない。
そして、話は冒頭部分へ繋がる。
講義室に取り残された俺は、結局、自転車の鍵を届けられなかった。
仕方がなく、手のひらの猫のストラップをボーッと眺めながら、とぼとぼ歩いた。
多分あの子、『星空』だよな
俺あの子に何か悪い事したっけ?
中学ぶりなら、「久しぶり」の一言くらいあってもいいんじゃないか?向こうも俺に気付いてたみたいだし
深いため息をつく。
「どうしようか、これ」
色々悩んでいる内に、辺りはだんだん暗くなっていた。