剣と魔術とライフルと   作:あききし

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序章
プロローグ~目覚め~


プロローグ〜目覚め

 

 

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そこは揺りかごに揺られるかのような、絶対的な安心感のある所だった。

ふわふわと漂う意識の中で、気がついたらそこにいた。

 

 

――ここは…何処だ? 俺は確か……死んだ…筈だ…

暖かいな……なんだか…安心する…

分からない。思考が…定まらない……

寝よう…今は…この心地よさに…身を委ねて…

 

 

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――光が…見える……?

 

微睡みの中のような、漂う意識の中で突然世界が動き出したかのようで、抗うことも出来ず引き込まれた。

 

途端、体に意識が向いていく。今までの絶対の安心感から解き放たれて、この世界にただ一人だけになったかのように感じる。

 

 

――視界が……ボヤける…。耳は……ダメだ…よくわからない…。頭が……廻らない…。

人?……誰か…泣いて……いる?

 

 

薄ぼんやりとした視界に人影らしきもの、曖昧な聴覚に泣き声が聞こえた気がした。

 

 

――泣いてるのは……俺? わから…ない…。今は…寝よう……。

 

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――誰かが…話し掛けている。 何処の…言葉だ?

此処は…前とは違う…場所か?俺は…どうなっている?

わからない…。今は……寝よう…。

 

 

前よりははっきりと、しかし未だもやがかった思考で、

どこか安心できるそこ身を委ねて意識を手放した。

 

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あれから何度か薄い覚醒を繰り返し、その度に少しずつ意識がはっきりしてきて、漸く今置かれている状況が分かってきた。

 

俺は一度死んだ。

これは確かだ。 砂漠だらけの戦場で国の為に最善を尽くし、仲間と共に戦った。

そして、ちんけなIEDで搭乗していた軽装甲車ごと吹き飛んだ。

 

最初はテロから始まった戦争。いやその前から氷面下では始まっていたのだろう。

在るかも分からない大量破壊兵器や化学兵器を理由にこじつけ、関係は劣悪になり開戦。

当初は圧倒的な速度により一気に首都を制圧したが、その後の統治政策や電撃戦故の兵力不足で、治安は悪化の一途をたどり、略奪が横行し、加えてレジスタンスによるゲリラ活動が蔓延、と悪循環に陥った。

 

元々の民度が低いからだろうか、宗教にのめり込んだ、狂信者的な武装勢力が各地で自爆や周囲を巻き込んでの戦闘を繰り返し、我々は常に後手に回ってきた。

 

牧歌的な光景が、走っている道路が、人の集まる市場が、突如戦場に代わり仲間が次々と倒れていった。

対策を立てれば、連中もそれに対抗し鼬ごっこの繰り返しだ。

何時しか戦場は、ドローンやピンポイントなミサイル攻撃が多用され、犠牲は減った。

しかしそれでも、戦場から歩兵がいなくなることはない。0にはならなかった。

 

俺はそんな糞ったれの戦場で、糞みたいな連中が作った

そこらの糞を寄せ集めた糞爆弾で死んだ。

 

だがどういう訳か、俺は新たな生を受け此処にいる。

まさにマリア様の起こした奇跡ってやつだ。

糞ったれの狂信者どもに自慢したら、さぞ悔しがるだろう。

どうでもいいが。

 

そんなこんなでおれは生まれ代わった。

生まれてから大体三年ほどたつが、わかったことは、中々に信じ難いことばかりだ。

既にこの状況も信じ難いがな。

いやそもそもこんな状況だからか?理由は分からないが

此処は俺のいた世界では無いらしい。

 

まず月がデカイ。かなりだ。地上から肉眼でクレーターが見える位に。

重力に影響しないのが不思議なくらいだ。或いはそれで釣り合う位此方がでかいのか。

それともそれに生物が適応したのか。

それは分からない。

 

第2に電気や水道といった、科学文明が見受けられない。

最初は過去にでもタイムスリップかとも思ったが、そうでも無いみたいだ。

デロリアンに乗った覚えも当然ない。

 

第3に魔法がある。これが決定的な理由だ。

前にメイドが何も無い所から水を出したり、風をだして掃除したりしていたからな。

ホグワーツもビックリだ。

 

そうそう、俺の家族はかなりの裕福な家庭らしい。

大きな屋敷に幾人かの使用人がいることからの推測だが。

他にも騎士2人と、動きに隙の無いメイドが大体側にいる。

父親はまだ見たことがない。過去にはあったことがあるかも知れないが、俺の記憶にはない。

 

そして母親は、線が細く病弱なくらい色白で目まで銀色だ。所謂アルビノってやつだろう。

嘗ての世界でもそうだが、アルビノは迫害に合いやすいし変な迷信なんかも生まれやすい。

それが心配だ。

彼女は毎日毎日、俺を世話してくれる。心からの愛情を注いでくれる。普通は女中かなんかに、やらせるようなこともだ。自らの手で、汚れを厭わず、労力を惜しまずだ。

前世では父親は薬中、母親は蒸発。

だからか、初めての感覚に戸惑いを、だが心地よさを感じている。

いつか絶対に俺はこの温もりに、感謝と恩返しを心に誓っている。

 

ってか俺は誰に語ってんだ?

まぁいい今は眠るとしよう。

 

 

 

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