剣と魔術とライフルと   作:あききし

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幕間 深下する意識

 

第十五話 幕間:深下する意識

 

 

数日後、裏社会の支配を確立し、執務室で報告書をまとめていた俺は、静かに思考をAlphaとの対話モードに切り替えた。

 

「Alpha。今回の件で、いくつか確認したいことがある。お前が提供した情報と、俺の魔力感知による補完についてだ」

 

肯定(ポジティブ).ご要望の通り、詳細な分析結果をご提示します。今回の情報収集において、貴方の精密な魔力痕跡感知能力は、従来の生体情報解析と組み合わせることで、予測精度を飛躍的に向上させました。特に、対象の感情の高ぶりや、特定の行動に伴う微細な魔力放出パターンから、隠蔽された意図や過去の行動を、ほぼ完全に再構築することが可能でした』

 

「ああ、まるで彼らの記憶を直接読み取っているかのような感覚だった。特に、バルドやザラザの奴らの顔は傑作だったな。自分たちですら忘れていたような過去の悪事が、鮮明に脳裏に蘇ったような顔をしていた」

 

『それは貴方の魔力感知能力が、対象の意識下にある魔力的な痕跡をトリガーし、脳内の連想回路に干渉した結果と考えられます。彼らの記憶そのものを読み取ったわけではありませんが、関連する魔力パターンを刺激することで、記憶の想起を促したと言えるでしょう』

 

Got it.(なるほどな)……。それと、最近、体感時間と現実時間のズレを明確に認識するようになった。特に思考を高速化している時や、複数の情報を同時に処理している時に顕著だ。まるで、周囲の時間が緩やかに流れているように感じる」

 

『その現象は、貴方の脳神経系が、既存のヒュームのそれをはるかに凌駕するレベルで進化している証拠です。複数の要因が複合的に作用しています』

 

「hmm…それで?」

 

『まず、貴方の脳内シナプスの過剰発火が確認されています。これにより、思考速度が常人の数倍から数十倍に加速しています。次に、神経伝達物質の効率が劇的に向上しており、情報処理の帯域が拡張されています。さらに、貴方の肉体全体に遍在する魔力が、神経伝達を物理的・魔力的に強化し、一種の「生物的コンピューター」として機能し始めているため、時間認識の相対的な変化が生じています』

 

「まるでスーパーコンピューターの処理速度が、古い端末のそれとは比較にならない、といったところか」

 

『まさにその通りです。その結果、短時間で膨大な情報を処理し、状況を分析し、最適な判断を下すことが可能となっています。これは、貴方が意図的に意識を集中させた際に顕著に現れ、戦闘時や複雑な策略を巡らせる際に極めて有利に働きます』

 

「……はっ、つまり俺も、どこぞのアメコミに出てくるような超人にでもなれんのか? 時が止まって見えるとか、弾がスローモーションに見えるとか、そういう奴だ」

 

否定(ネガティブ)。そこまでの現象には至りません。あくまで思考速度と体感時間の圧縮、それに伴う反射神経の向上に留まります。現状の身体能力の数値的上昇は、ヒュームのトップアスリートレベルです。常人をはるかに凌駕しますが、物理法則を完全に無視するような超常的な力ではありません』

 

「チッ、がっかりだぜ。とはいえ、それでも充分すぎる能力だがな。まっ、アメコミヒーローは言い過ぎたか。せいぜい『ちょっと頭の良いガキ』ってところだな」

 

『その認識で間違いありません。この能力は、貴方の計画を大きく加速させるでしょう』

 

「了解した。今後もこの現象を注視し、報告しろ。この力は、俺の計画を大きく加速させるだろうからな」

 

 

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