剣と魔術とライフルと   作:あききし

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第五十二話

 

第五十二話:王都への潜行

 

 

王都へと続く街道は、見慣れたトレンス領のそれとは空気が異なっていた。行き交う人々は顔に張り付いた仮面のように硬質な笑みを浮かべ、馬車の窓から覗く街並みはけばけばしい装飾に彩られている。アレックスは、先行する部隊の隊列を見やりながら、自身の胸中に去来する複雑な感情を押し殺した。

 

 

彼、アレックス・フォン・プライムは、元傭兵である。かつては剣一本で日銭を稼ぎ、戦場の埃にまみれて生きてきた。幾多の領主の下を渡り歩き、その中でも比較的安定していたのがトレンス侯爵、キース・フォン・トレンスの元だった。キース侯爵は温厚な人物ではあったが、領地経営や軍事面においては、旧弊な貴族の枠から一歩も出ない、凡庸な統治者だった。魔獣による被害は後を絶たず、物資の流通も滞りがちで、傭兵として報酬を得るにも常に苦労が伴った。

 

「あの頃は、とにかく苦労したな……」

 

アレックスは小さく呟いた。キース侯爵は、傭兵の運用や報酬に関しては他領よりも寛大で、それが傭兵たちの間では評判だった。しかし、いざ作戦となると、彼の判断は常に遅く、非効率的だった。不要な犠牲が出たり、後手に回って被害が拡大したりする度に、アレックスは内心で「これではいずれ、この領も立ち行かなくなる」と、冷めた目で現実を見ていたものだ。傭兵稼業とは割り切りであり、食い扶持のためと己に言い聞かせていた。キース侯爵自身は真面目に内政に取り組んでいたが、それもまた、領主としての本来の責務、特に軍事や外交といった重圧から目を背けるための「逃避」に見えた。

 

だが、ルーカス様がトレンス領の実権を握ってからの変貌は、アレックスの知る傭兵の常識を根底から覆した。

 

 

 

アレックスの記憶に、トレンス領の都市ヴァルデシアを襲った大規模魔獣侵攻の悪夢が蘇る。あの時、ヴァルデシアは魔獣の大群に襲われ、壊滅寸前まで追い込まれた。トレンス領の都市が多大な被害を受け、キース侯爵は家臣や部下、領民を多数失い、自らの無力さを痛感していた。

 

 

ヴァルデシアの防衛線は、既に風前の灯火だった。アレックスは傭兵部隊の一員として、必死に押し寄せる魔獣の波を食い止めていたが、領主軍の指揮は混乱を極め、次々と仲間が倒れていく。

 

「東門が破られました!魔獣が市街地に!」

「救援部隊が全滅!もはや抗う術がありません!」

 

絶望的な報告が飛び交う中、アレックスは歯噛みした。この状況で、なぜ動かない。領都のブートキャンプには、ルーカス様が組織したという謎の精鋭部隊――海兵隊がいると噂されていた。その強さは、尋常ではないと。だが、彼らは一向に動く気配を見せない。

 

「くそっ、いつまで待つつもりだ!」

 

アレックスは焦燥に駆られた。しかし、彼らの隊長からは「待機命令だ」としか返ってこない。ただ、ヴァルデシアの主要な避難経路だけは、なぜか小規模な部隊によって最低限の防衛が施されており、住民が命からがら脱出していく姿が見えた。それは、嵐の中の細い蜘蛛の糸のようだった。

 

その間にも、キース侯爵の軍は壊滅寸前となり、司令部方面からは、侯爵が悲痛な叫びを上げている、という断片的な情報が、混乱の中を伝わってきた。やがて、侯爵が遂に何らかの「全権委任」を口にしたという、漠然とした噂が傭兵たちの間にも広まった。

 

そして、その直後だった。

まるで待機していたかのように、海兵隊は一斉に動き出した。轟音を上げて荒野を駆け抜け、ヴァルデシアの壊れかけた防壁を越えて突入してくるのは、見たこともない、鋼鉄の巨躯を持つ「箱」のような車両と、俊敏に動く小さな「魔獣」のような飛行物体。アレックスは、それが魔獣の一種なのか、あるいは何らかの魔導具なのか、瞬時には判別がつかなかった。

 

何処からともなく砲撃が聞こえ、正確無比な弾幕を形成し、魔獣の突進を鈍らせる。その合間を縫って、鋼鉄の車両が突撃し、上部の砲塔を旋回させ、激しく火を放つ。魔導銃を携えた戦闘部隊がその死角をカバーするように展開し、無駄な動き一つなく、組織的な動きで魔獣を次々と殲滅していく。彼らの射撃は正確無比で、まるで機械仕掛けのようだった。

 

「なんだ、あれは……!?」

 

アレックスは、その光景に息を呑んだ。彼らがそれまで戦ってきた、どの軍隊とも違う。まるで、人間ではないかのような、完璧な連携と、圧倒的な火力。彼らは、ヴァルデシアの地獄絵図を、まるで演習のように正確に、そして冷徹に掃討していった。

そして、アレックスは気づいた。この圧倒的な部隊を指揮しているはずのルーカス様が、この戦場のどこにもいない、ということに。それでも、海兵隊は完璧に機能していた。

 

「ルーカス様は……劇薬だ」

アレックスは確信していた。ヴァルデシアの惨劇と、そこからのギリギリの救出劇を目の当たりにしたアレックスは、ルーカスの中に「領民を救う救世主」と「己の目的のためなら非情な決断も厭わない悪魔」の両面を見出すようになった。その冷徹な合理性と、目的達成のためには一切の躊躇がない非情さ。時に背筋が凍るような危うさを感じさせるが、しかし、それが停滞したこの世界、特に腐敗した王都の膿を出すためには必要なものだと直感的に理解していた。ルーカス様がもたらす変化は、領地をかつてないほど盤石なものに変え、領民の生活を豊かにした。彼の指揮の下で訓練された兵士たちは、もはや「数合わせの傭兵崩れ」ではない。ルーカスの掲げる理念と、彼が示す明確な「結果」に裏打ちされた、強い結束と確固たる自信を持つ精鋭部隊へと変貌していた。

 

アレックスの元傭兵仲間たちもまた、その多くがルーカスの指揮下に入った。彼らはアレックスの副官や、中隊長、小隊長として部隊の中核を担っている。彼らのタフさと実戦経験は、ルーカスの合理的な訓練計画と融合し、部隊全体の練度を飛躍的に向上させていた。一部の仲間は、ルーカスの意向で公共サービスへと転身し、消防や救急隊員として、領民の生活を文字通り身体を張って守っていた。彼らが火事場を駆け、緊急患者を運ぶ姿は、傭兵時代には考えられなかった、新たな「生きる意味」を見出したかのように生き生きとしていた。アレックスは、そんな仲間たちの姿を見て、ルーカスが描く未来の可能性を肌で感じていた。

 

 

王都への道中、部隊が野営に入ったある夜。

アレックスは、その日の夜も眠れずにいた。ヴァルデシアの光景が瞼の裏に焼き付いて離れない。特に、あの鋼鉄の箱と、機械仕掛けのように正確に動く海兵隊の姿が。彼らによって救われた命があったことは事実だ。しかし、同時に、あの地獄のような時間が、侯爵の心を折り、権限を譲らせるための「必要なプロセス」であったことも、アレックスは理解し始めていた。

 

「大隊長、どうかしましたか?」

 

静かに声をかけてきたのは、彼の副官を務める古株の傭兵、ウォーレンだった。白髪交じりの頭に深い皺が刻まれた顔は、傭兵稼業の酸いも甘いも知る男の証だ。

 

「いや……少し、ヴァルデシアのことがな」

アレックスが正直に告げると、ウォーレンは静かに隣に座った。

 

「そうか。あの時は、俺も肝が冷えた。だが……結果を見ろ、大隊長。あの時、あの坊ちゃんが動いていなかったら、ヴァルデシアは文字通り灰になっていた。今、俺たちがこんな真新しい装備を手に、飯を食えているのも、彼の『非情な判断』のおかげだ」

 

ウォーレンの言葉は、アレックスの葛藤を代弁しているようだった。彼自身、ルーカス様の冷徹さに背筋が凍るような思いを何度も経験している。領民の命を最優先としながらも、感情を一切挟まない合理性。それは、時に「人間的」とはかけ離れたものに見えた。しかし、その「非人道的な効率」が、結果として最大多数の命を救い、領地を豊かにしている。

 

「…そうだな、ウォーレン。俺たちは、あの時、彼の『劇薬』を受け入れたんだ。この世界を変えるには、生ぬるい優しさだけではどうにもならないと、ヴァルデシアが教えてくれた」

 

アレックスは、深く息を吐き出した。完璧な正義など存在しない。時には、最小限の犠牲を「冷徹に決断する」ことが、最終的に多くの命を救う唯一の道であることを、彼はルーカス様から学んだ。そして、自身もその「劇薬」の一部となる覚悟を決めていた。彼の忠誠は、個人的な感情だけでなく、その「結果」に裏打ちされたプロフェッショナルなものへと昇華していた。

 

 

 

数日後、アレックス率いる部隊は、王都の城壁が見える地点まで到達した。彼らは目立たぬよう、荷を運ぶ行商人の隊列に紛れ、時には数班に分かれて距離を置き、慎重に街道を進んできた。王都の巨大な門をくぐる時、アレックスは人混みに紛れながらも、周囲の貴族や商人たちの淀んだ空気を敏感に察知した。派手な馬車や着飾った人々が往来する一方で、その陰には、生気のない目をした貧しい者たち、身売りの証である首輪をつけた奴隷の姿もあった。種族間の軋轢は強くはないが、ビーストやアールブといった異種族の姿は少なく、彼らの多くは王都の繁栄から取り残されているのが見て取れた。

 

「……随分と、格差があるものだな」

 

アレックスは、王都の華やかな表層と、その裏に潜む現実のコントラストに、故郷のトレンス領との違いを感じずにはいられなかった。トレンス領では、ルーカスが名代として、指揮をとって以来、人々の生活は目に見えて豊かになり、貧困は減少し、不当な奴隷の扱いは厳しく制限されていた。この王都の状況は、腐敗とまでは言えないものの、昔ながらの「普通の国家経営」の範疇であり、それが故に生まれる歪みがそこにはあった。

 

「ルーカス司令官が、なぜわざわざこの王都に目を向けられるのか、分かった気がする」

 

アレックスは、隣を歩くベリルに呟いた。

 

「はい。この地の淀んだ魔力と、人々の感情の澱みが、遠からず何らかの歪みを生むでしょう。司令官の言葉を借りれば、『非効率』の極みです」

 

ベリルは淡々と答えた。シャドウ・ランスの隊長として、彼は既に王都の裏側、貴族社会の閉塞感や、貧困層の鬱積した不満、そして密かに蠢く陰謀の片鱗を掴んでいた。

 

王都に入った後、アレックスはすぐにトレンス侯爵家の王都別邸へと向かった。別邸は王都の中心部から少し離れた、静かで広大な敷地を持つ場所だった。キース侯爵が以前、王都に召喚された際に利用していた場所であるため、最低限の清掃と管理は行き届いていた。そして、その際にキース侯爵の指示で、旧来の常識に基づく「ある程度の」防衛強化は施されていた。敷地の周囲には魔力感知の結界が張られ、主要な出入り口には衛兵が配置されている。

 

「だが、これでは足りん……」

 

別邸の裏門から侵入し、内部の警備状況を確認していたアレックスは、思わず呟いた。その結界は容易に攪乱できるものであり、衛兵の配置も死角が多く、侵入経路となり得る場所がいくつも見受けられた。キース侯爵が施したであろう「ある程度の強化」は、凡庸な貴族や盗賊相手には有効でも、ルーカスの基準、そして王都に潜む真の脅威からすれば、脆弱としか言いようがなかった。

 

ルーカスから与えられた指示が、脳裏にこだまする。「既存の警備では足りない、貴官の判断で完璧にしろ」物理的に王都にいないルーカスが、ここまで正確に王都別邸の警備の甘さを把握していることに、彼は改めて戦慄を覚えた。

 

合流地点で、先行して潜入していたシャドウ・ランスの隊長ベリルが、静かにアレックスを待っていた。ベリルはすでに、別邸内外の隠し通路、監視の死角、そして外部からの侵入経路の全てを洗い出し、緻密な報告書を作成していた。彼の報告は、アレックス自身の懸念を裏付けるものだった。

 

「プライム少佐。既存の警備は杜撰の一言です。キース侯爵の時代から多少は増強されてはおりますが、魔術的な防御も形ばかり。これでは、ルーカス様が狙われた場合、対応が遅れます」

 

ベリルは淡々とした口調で報告するが、その目には強い警戒心が宿っていた。

 

「ああ、分かっている。だからこそ俺たちが来たんだ。早速、部隊を再配備する。門衛は二重にしろ。壁の死角には狙撃手と魔力探知要員を配置。機関銃陣地もだな。庭の巡回ルートも変更し、地下への侵入経路も徹底的に塞ぐ」

 

アレックスはベリルから受け取った詳細な図面を瞬時に頭に入れ、部下たちに指示を飛ばし始めた。彼の元傭兵としての経験と、ルーカスによって培われた合理的な戦術眼が、効率的かつ強固な警備体制を構築していく。かつての傭兵仲間たちも、彼の一声で迷いなく動き出し、別邸は瞬く間に要塞へと変貌を遂げていく。

 

そして、同時に、王都での長期滞在に備え、ベリル率いるシャドウ・ランスの面々が活動拠点として利用できる複数のセーフハウスの確保も進められた。これは、万が一別邸が襲撃された際や、貴族社会の目から隠れて行動する必要がある場合に備えるもので、ルーカスからの指示に含まれていた周到な準備だった。

 

 

・・・・・

・・・

 

 

 

トレンス領の執務室は、夜が更けても静かな緊張感に包まれていた。窓の外では虫の音が響くばかりだが、エレノア・フォン・ハートンの耳には、遠く離れた王都の喧騒、そしてその裏に潜む不穏な気配が聞こえるかのようだった。彼女は、机の上に広げられた王都の詳細な地図と、そこかしこに貼られた報告書、そして通信魔導具に囲まれて座っていた。

 

エレノアは、元トレンス侯爵家魔法師団の副団長を務めたヒュームの女性だ。優秀な魔法使いである一方、婚約者を魔獣によって失って以来、特定の魔獣に対して感情的な攻撃性を見せることがあり、事務方へと回されていた。しかし、ルーカスは彼女の優れた分析力と魔術知識を高く評価し、彼の側近として王都に関する情報収集と、それに伴う防衛計画の立案、そして魔術的対策の指揮を任せていた。

 

彼女の執務机には、遠征中のアレックスやベリル率いるシャドウ・ランスの部隊から送られてくる、王都の貴族社会の人間関係、経済の動向、主要技術に関する報告書、そして別邸の警備状況を示す図面や魔力場のデータが山と積まれていた。彼女はそれらを瞬時に解析し、ルーカスからの簡潔な指示に基づき、その裏にある真意を読み取り、最適な防衛計画や監視網の設置案を練り上げていた。

 

「グラント隊長、別邸の裏手の魔力流は、既存の結界では完全にカバーしきれていません。特に、南西の貯水槽付近から微弱ながら不自然な波動が感じられます。そこを重点的に、魔力探知式の自動防壁を起動できるよう、マーカーの設置を急いでください。プライム少佐の物理的な防衛線と連携できるよう、座標も共有しておきます」

 

エレノアは、通信魔導具の水晶に視線を向け、淡々と指示を出した。彼女の声には感情の起伏が少ないが、その分析の鋭さはベリルでさえも唸らせるほどだった。

 

《了解しました、エレノア秘書官。南西貯水槽付近、ただちにマーカーを設置し、報告します》

 

ベリルの返答は、正確かつ迅速だった。エレノアは、報告書から目を離さずに次の指示を出す。

 

「プライム少佐、王都でのセーフハウスは、既に三箇所確保済みですね。いずれも魔力的な干渉が少なく、逃走経路も複数確認されていますが、念のため、各所の地下室に簡易的な魔力遮断結界を展開してください。万が一の際は、それがシャドウ・ランスの最終防衛線となります」

 

《了解です、エレノア殿。物理的な強度は私が保証します。魔術的な部分は、そちらからの指示通りに》

 

アレックスからの通信も、順調に届く。エレノアは、彼らが王都で集めた生の情報を、遠く離れた領地で統合し、ルーカスの指示の下、王都での作戦基盤を盤石に固めていた。

 

王都の貴族社会の構造も、彼女の頭の中には完全に叩き込まれていた。主要な貴族派閥の均衡、台頭する新興貴族の動き、そして経済基盤や技術発展の現状。それら全てが、彼女にとってはルーカスが示す「非効率」な世界の現状であり、変革すべき対象だった。

 

エレノアは、ふと視線を夜空に向けた。ルーカスが「新大陸の脅威」について語り、この世界を護るためには、王都すらも「外道」の道で支配せざるを得ないかもしれないと、葛藤と怒りをないまぜにした感情を露わにした、あの夜を思い出す。彼は子供のように未熟な部分と、老齢の賢者のような冷徹な決断力を併せ持っていた。

 

(あの時の、ルーカス様の瞳の奥にあった苦悩……)

 

彼女は知っていた。ルーカスがその非情な決断を下す度に、どれほどの痛みを伴うかを。彼が時折口にする「コラテラル・ダメージ」という言葉が持つ重みを、エレノアは完全に理解しているわけではなかったが、彼の深い葛藤と、それでもなお前へ進もうとする覚悟だけは、痛いほど伝わってきた。

 

その時、エレノアは決意したのだ。彼の苦悩を全て理解できなくとも、彼の掲げる理想と、そのために必要な「劇薬」となる決断を、自分だけは誰よりも理解し、支えようと。彼が孤独な道を選ばざるを得ないのなら、せめて自分がその傍らに立ち、その背中を護ろうと。

 

彼女は、ルーカスに対して弟のような親愛の情を抱いていた。その幼いながらも重責を背負い、誰にも言えない苦悩を抱える彼の姿を見ると、まるで昔の自分を見ているようで、深く心を揺さぶられるのだ。しかし、その親愛は、決して恋情に変わることはない。ルーカスもまた、彼女に対して同様の信頼と敬意を抱いており、性的な感情は存在しない。彼らの間に存在する絆は、血縁や恋愛といった単純なものではなく、「使命」によって結びついた、より純粋で強固なものだった。

 

エレノアにとって、ルーカスは、婚約者を失った悲劇を乗り越え、自身の存在意義を再確認させてくれた、唯一無二の主だった。彼の隣に立ち、その偉大な計画の一端を担うことこそが、彼女にとっての使命だった。

 

全ての準備が整い、ルーカスとエレノアが王都へ向かうのは、まだ2ヶ月弱先の予定だ。しかし、彼女の心の中では、既に王都への長い旅は始まっていた。彼女は静かに、来るべき日への覚悟を胸に秘めていた。

 

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