MUV-LUVALTERNATIVE外伝 黒き戦神 作:kaenn
楽しみにしていた方がいたらすいませんでした。
時間が取れたので続きを書いてみました。
では、本番をどうぞ。
1998年3月某日
斯衛軍衛士養成学校校長室
「………と言う訳で今日からよろしくお願いしますぞ………黒鉄教官。」
黒いスーツ姿の老人と黒い斯衛服の青年が向かい合って握手を交わす。
大和は少し緊張して固くなっていたが、
「ふぅ、堅っ苦しいのは苦手なんだ…良かったら楽にしてくれ。」と、言って今までの厳格な顔から一転させ、応接用のソファーにどかっと座ってお茶を飲み始めた校長の姿を見て唖然としていると、
「……?何じゃ?紅蓮の奴から聞いとらんのか?これがワシの素じゃ。」
いやいや、変わりすぎでしょ?と思っていると校長室のドアが開いて眼帯をした厳つい男性が入ってきた。
「校長!失礼します!今日から配属の新任教官を引き取りに……って校長、もう普段通りなんですか?……ゴホンッ…よろしく黒鉄教官、俺は真田晃蔵と言う、何か分からないことがあれば何でも聞いてくれ……それと………大陸の英雄に会えて嬉しいよ。」
真田さんは校長の様子を見ると呆れた様な顔で溜息を吐き、気を取り直して挨拶をしてきた。
挨拶が終わると、少し間をおいて手を差し出すと、握手してくれ、と言わんばかりに俺の顔を見ている。
「黒鉄大和と申します、以後よろしくお願い致します………それと、大陸の英雄って何のことですか?誰かと勘違いしていませんか?」
握手をして挨拶を返してから、何のことでしょう、と真田さんに質問すると豪快な笑い声が背後の校長から聞こえる。
「真田よ、其奴は何も知らんぞ。何せ、斯衛の9割が知っている自身の通り名を、今初めて聞いたばかりだからのう。」
「そんなばかな………本当に知らないのか?お前が大陸での撤退戦時、彩峰萩閣元中将が指揮する後退部隊をたった一機で護衛した偉業を讃えて”黒キ英雄”と呼ばれているのを?…………そうか、天の奴が言っていた”色々と鈍いがかなり使える奴”とはこの事か……。」
カッカッカ、と笑う校長を尻目に真田さんが驚いた様な顔をしながら説明してくれた。
その中に聞き覚えのある名前が聞こえた気がしたので篠原さんをご存知で?と、聞いてみると真田さんは「斯衛の士官学校の先輩後輩の間柄だ。」と教えてくれた。
それを聞いた俺は、
「鈍いとは心外ですね…周りがヤキモキしていたから月詠中尉との仲を取り持ってあげたのに…」
と、呟くと、真田さんも校長と同じ様に笑いながら「だが自分の事になると鈍いんだろう?」
と、言っていた。
何のことだろう?
衛士養成学校では主に瑞鶴や激震を使った模擬戦を担当する事になり、漸く初めての教導を行う事になった。
ざわざわざわざわ……
「えっ?6対1ですよ……ね?」
「模擬長刀って使い方次第で激震を壊せるんだ……。」
「ヒーーーーー!!予算が!!予算が〜〜〜〜!!」
「おいおい、いくらひよっこ共とはいえコレは流石に………」
衛士養成学校の実機演習場で騒ぎが起こっている………まぁ、当事者なんだが…。
今年卒業だという学生達が新任教官がどれほど強いのか見せてもらう!などと言いながら切りかかって来たのだ。
最初は勿論本気で相手にする筈もなく模擬74式近接戦闘長刀で打ち合っていたのだが、あろう事かそのうちの1人が操縦を誤り、模擬長刀を見学していた学生達の近くに落としてしまった。
幸い怪我人は居なかったが模擬長刀を落とした学生が、「ヤベッ!………あぶねーあぶねー……お前ら邪魔だ!もっと下がっとけ!。」と危機感の無い巫山戯た発言をした為、キレてしまったのだった。
仕掛けてきた学生6人に対して、少し離れた演習場で相手になろう、と声を掛けると誘いに乗ったので「6対1で構わないからかかって来い!!。」と、大声で言うとそれを聞いた学生達が、口々に舐めるなよ!と叫びながら一斉に斬りかかってきた。
結果は多くの学生の予想を裏切り一太刀も受けずに完勝した。
そして…………
「黒鉄教官?いくら斯衛の士官学校とは言え此方も予算という枠組みの中でやり繰りしているのですよ?
いくら学生達に危機感が無いからといってもですね?
訓練用の激震と言えどもですね?
同時に6機も破損させてしまうですね?
こうなるんですよ………。」
模擬戦も終わり、整備課程の学生と教官がハンガーに破損した激震6機を運び込んでいた。
その際、整備課教官に手招きされてハンガーに一緒に行くと、
上に下に大騒ぎになりながら激震を修理する光景を見せられてそう言われた。
「皆さん!今日は申し訳ありませんでした!今後はしっかりと気をつけます。」
謝ると、
「気にしないで下さい」
や
「あいつら威張ってたからいい気味だ!」
や
「良いもん見せてもらいました!激震の限界を見た気がします!!」
などと声を掛けられて送り出された。
教練のレポートをまとめ終わると、食堂へ行き料理長に厨房を貸してもらい整備課の為に差し入れを作る。
「………何がいいかな?………おにぎり……焼きおにぎり…よし!」
思いつくと鍋に研ぎ終わった米を入れ火にかける。
米が炊き上がるまでに醤油ベースのタレを作る。
醤油に少しの砂糖と八丁味噌を混ぜ合わせておく。
炊けた米を三角形になるように握り焼き網に並べていく。
炭火で焼きながらタレをハケで塗る。
少し焦げ目をつけて完成。
っと、皿に乗せてハンガーへ向かうと整備をしていた人間は皆こちらに群がって来た。
その光景を見て戦術機に群がる戦車級を思い出したのは多分気の所為だ……きっと……。
「黒鉄教官はいらっしゃいますでしょうか!」
後日、教官室で午後の教練の準備をしていると、先日ボロボロに伸してしまった学生達が並んでやって来た。
「……どうしたんだ、お前達の教練は明日だろう?」
と、話し掛けると
「いえ!本日は謝罪に参りました!先日は大変失礼致しました!!黒鉄教官のおかげで自分達が井の中の蛙だという事が良く分かりました!!」
と、全員が大声で言ってきた。
「此方も大人気なくて悪かったな、今後はキチンとやらせてもらうから今後とも宜しくな。」
と此方も謝罪すると、
「つきましては!我々一同は黒鉄教官に放課後お時間が空いている時が有りましたら、稽古をつけて頂けないかお願いにあがりました。」
コレが”黒鉄組”と言われる斯衛のエース集団の始まりであったと言われる。
第1回黒鉄教官特別教練
準備運動10分
素振り200本
ランニング校庭10周
実戦組手(校長参加)
「…………かかか!!まだまだ甘いのう……武羅数土炎!!!!」
「…………黒鉄教官?…竹刀って焔が出る機能ありましたっけ?」
「………いやないよ……多分…紅蓮様と同じ人種なんだろう………考えるだけ無駄だ…。」
次回から校長の参加は見送られました………永久に………。
白銀武の記憶と知識と経験を全て持っているので料理も出来るし剣で紅蓮翁ともガチでやり合えますが疲れるからやりたくないらしい
因みに校長の名前は真陣 牙絶斗。