カルデア物語   作:黒白紅藍

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「君が彼女を殺したんだね?」
「恨むなよ、彼女のためだ。」


開演の刻は来たれり、此処に万雷の喝采を

 5・開演の刻は来たれり、此処に万雷の喝采を

 5-0

 男が歩いていた。

 赤い外套に黒のブーツを履いて、浅黒い肌とは対照的な白い髪を揺らしながら、とある施設の中を歩いていた。

 やがて、一つの部屋に辿り着く。

 第三書庫と書かれたその札を一瞥して、彼はその部屋の扉を開ける。

「居るか、花の魔術師。」

「居るよ、こっちだ。」

 そう呼びかける声を発すると、すぐに反応が返ってきた。

 本棚を三つほど挟んで、件の白い男はそこに居た。

「マスター君はどうだった?」

「酷い有様だったよ。精神の疲弊は特に。…自分が何を考えているのか、そんな判断すら出来なくなっている。多くを殺してしまった上に、自分が愛する人を傷つけたという責任からここを出て行ったはずなのに、彼女の命が救われると言っても、まだ悩むほどだった。あれじゃあ、もはやバーサーカーとも変わらない。」

「そりゃあそうだろう。衛宮士郎ならともかく、彼はただの子供だからね。歪な魔術師に魅せられたわけでも、赤い悪魔に唆されたわけでもない、ただの善良な少年だ。それに、どちらかと言えばきっと、彼はアヴェンジャーだろう。」

「……酷い言い様だな。」

「申し訳ないけど、オブラートに包むって役割なら、どこぞの演劇作家にでも任せるよ。……このままだと、色々面倒なんじゃないかな?」

「ああ、面倒と表現して良いものかは知れないがね。」

「でも、このままだとマシュちゃんの精神が崩壊するのも時間の問題だろう。彼女、今の状態じゃ何を言っても壊れそうだし。全く、君レベルの硝子のハートだ。」

「何時だって一言余計だな、君は。」

「一言余計じゃないと、会話は発展しないだろう?」

「………まあ、いい。この件は君の始めたことだろう、花の魔術師。私も一応付き合いはするが、最後のシナリオまではできているのだろうな。」

「ああ、出来ているとも。その筋の専門家が絡んでいるんだ。ハッピィエンドの大団円、楽しみにしていてくれ給えよ。」

 

 5-1

 目が覚めるとそこは、布団の中だった。

 いや、こうやって言葉にしてしまうとどこでも見ることが出来るような、平和で恵まれた家庭だったように感じるだろうけれど、僕本人の主観から感じ取る感情としては、少しばかりどころか、幽霊を始めて見たときの様に驚いていた。

 寝起きでいて夢現、半分寝ているような曖昧な意識が数分経って安定してきて、この場所が衛宮君の家にある一番端の部屋だったことを思い出した。

 どうも昨日、一日で多くの事があり過ぎて、現実味を帯びないまま寝てしまったために、脳が現実で起きたことを夢と判断してしまったようだった。

 迷惑なものだ。

 どれもこれも現実だというのに。

 時計を見ると、朝の五時。

 まだまだ外は暗い。

 もう少し寝てしまおうかとも考えたけれど、久し振りにぐっすり寝てしまって、二度寝など出来そうも無い。

 なので、少し考えなければいけなかった。

『二週間帰ってこなければ、藤丸リツカが生贄となる。』

 生贄というと響きが悪いかもしれないけれど、あんな苦しみを味わうなんて、生き地獄とそう変わらない。

 もう僕のような思いを他人がするのは、出来る限り避けるべきだった。

「…………そんなこと、分かってるんだけどね。」

 マシュに顔を合わせることが出来ない。

 彼女を傷つけた張本人が一旦出て行ったと思ったら帰ってきた、そんなことになったら彼女の気は休まらないだろうし、何より彼女をまた傷つけかねない。

 ここ最近は何度も何度も何度も、その考えに至ってはずっと悩んでいる。

 自分で自分が情けない。

 なんだかこう、スッキリと頭を入れ替えることが出来たら楽なんだろうと、そんな考えばかり浮かぶようになってしまった。

「………………出来るわけが無いよな。僕は、彼女を傷つけた。その事実だけはどうしたって変わらない。」

 自分自身の記憶や記録を変えることが出来たとしても、現実が覚えている。

 それはどうしようもない世界の理で、どうしたって変わらないシステムの一部だ。

「…彼女を傷つけた。」

 そう、それだけはどうしようもない事実で、だから僕は彼女が怖いのだろう。

 嫌われるんじゃないか。

 その一点に尽きる恐怖心が心を占めている。

 もし僕が彼女に怖がられたりなんかしたら、きっと再起不能になる。

 その時点で全力で鴨居かドアノブを探し始めるだろう。

「……なんて、事実から目を逸らしている。」

 逃げている。

 世界からと、彼女からと、自分から逃げている。

 そんな僕を殺したいと思った。

 

 5-2

 朝。

 日が昇って、光が窓から顔を照らした。

 体を起こして伸びをすると、血が体を巡るのが分かった。

「………おはようございます。」

 誰に言うでもないけれど、この言葉を久々口に出す。

 少し寒くて、だけれど心地いい空気が部屋を満たしていた。

 部屋と廊下を仕切る襖を開ける。

 ちょうど日が差して顔を照らして、新しい日の始まりを告げた。

 実際のところ、僕は朝が好きとかそういう事は一切無いし、どちらかと言えば、夜にゆったりとした時間を過ごすのが好きなタイプの人間だ。

 ただ朝には強いというだけで、朝は嫌いだ。

 だから、昔のように二度寝へと洒落込みたくなる前に着替えてしまおうと廊下に背を向けた辺りで、廊下の向こう、外の庭から気配がした。

 咄嗟に後ろを向くと、衛宮君が倉へと向かっているところだった。

 そう言えば、昨日も朝早くにあそこから出てくるところを見かけた。

 何かしら、隠し事でもあるのだろうかとも思ったけれど、別にそこまで興味も沸かなかった。

「………まあいいか。」

 そう呟いて、浴衣から着替える。

 そう言えば、昨日の夜は浴衣がとても楽だった。

 あんなに通気性の良いものはどうなのかとも思ったけれど、意外と暖かかったのも驚きだ。

 ここに来なければ出来なかった新発見である。

 なるほど、これならそんなに風邪も罹らないだろう。

 昔から思っていた過去の歴史に対する解決が得られたところで、普段着へと着替え終わった。

 そのまま廊下へ出て、居間へと向かう。

 襖を開けて中に入ると、もう衛宮君が起きて、何やら家事をやっていた。

「おはよう、衛宮君。」

「おお、おはよう、藤丸。よく寝れたか?」

「どうだろう。夢を覚えていないから。」

「そうか、そりゃあ結構。」

 どうやら今日の朝は目玉焼きらしく、卵を割る音とそれが焦げたような匂いがしてきた。

「ところで藤丸。昨日の夜、誰かと話してたのか?」

「聞いていたの?」

「あー……キッチンで何か弄る音と話し声が聞こえてな。なにかあったのかと心配になった。」

「……別に、なにも無かったよ。知り合いが会いに来ただけで。」

「そうか。……良い人じゃないか、その人。」

 そう言ってニコニコと笑っている。

 僕からしてみれば、彼の生贄宣告を聞いてからは、何だかひどく酷いことをされたような気になっていたけれど、でも確かに、僕に伝えずにそれを済ますことだってできたことを考えれば、優しい人物であるのは確かな様だった。

「……ねえ、衛宮君。僕はどうしたらいいんだろうね。」

「如何したらって、それを俺が決めたらだめだろう。藤丸が判断してこそじゃないのか?」

「分かってるさ。それについては百も承知ではあるんだけど、でも、今の僕だと正しい判断はできない……んじゃないかなって、そう思うんだ。」

「……まあ、そりゃそうだよな。そう言う時は誰にだってある。でも、だからこそ、悩んだ方が良いと思うぞ。第一、俺が答えを出したって納得できるとは思えないし。」

「……………。」

 それでは遅いのではないか。

 許されている時間はあと二週間を切っている。

 だから、その間に何をするべきか考えなければならない。

 逃げてきた身で言うのも馬鹿馬鹿しいけれど、彼女は何としてでも、僕と同じ道を歩ませてはならないのだ。

 彼女がマスター認定されかけている以上、新たに特異点が出る可能性でも出てきたのだろう。

 ならば、僕は戻るべきではないだろうか。

 だが、僕が戻れば、マシュやほかの皆を傷つけかねない。

 だからこちらに逃げてきたのに、また戻っては泡沫に帰してしまう。

 リツカちゃんを取るか、マシュを取るか。

 ほぼほぼ究極の選択と言えた。

「……衛宮君。」

「なんだ?」

「僕はどうしたらいいんだろう。」

「……お前の好きにしたら良い。悩むのだって人生だろう?」

「………やけに格好いいこと言うじゃないか。」

「いや、俺の義理の親父の受け売りだけどな。一生悩んで生きてきた人がそう言っているんだ。説得力って言うか、そういう感じの、一言では言えないものがあるだろ?」

「……うん、そうだねぇ。でも、その返答で悩みがさらに増えた気がする。」

「人間五十年としても、藤丸はまだあと三十年以上あるんだ。ゆっくり考えても、良いと思うけどな。」

「……ッ、そうだね……うん、考えることにする。」

 さすがに叫ぶことは無かったけれど、左手に被せた右手の爪が、左手の甲を切ってしまう。

「……ごめん、ちょっと外に歩いてくる。しばらくしたら戻るから。」

「え?…あー、分かった。」

 一瞬『やっちまった』みたいな顔をした衛宮君だったが、すぐにいつも通りの爽やかな顔に戻った。

 朝御飯が出来る直前にこんな行動をして悪いとは思ったが、少し一人で考えたかった。

 靴を履いて、玄関から外に出る。

 そのまま二十分ほど、住宅街を縦横無尽にぶらぶらと、行く当てもなく適当に道を歩いて、大きな赤い橋が見えてきた。

 河川敷に降りて、ベンチに座る。

 季節の関係もあってか、この時間帯はあまり人が居ない。

 少し肌寒いけれど、我慢できないほどではない。

 もともと寒さには強いのだ。

 だけれど、その隠れ特性を存分に発揮できる寒さ系の特異点がかなり少なかったとは思う。

 閑話休題。

 一旦気持ちの整理をしよう。

「………僕は戻るべきか否か。」

 こっち側に出てきた理由は『マシュを筆頭とした全員を傷つけないため』だ。

 そして戻る必要が出てきた理由が『僕が逃げたから』であって、つまりはここで僕の言動理由に矛盾が生じている。

「だから、どちらかを切り捨てる。」

 切り詰めて行けば、最終的にはそうなるのではないか?

 リツカちゃんを生贄にするか、とてつもなく高いリスクを負ってカルデアに戻るか。

 いや、そもそもカルデアに戻れるのか?

 エミヤがあんなことを言いに来てくれたってことは戻ってもいいと思われているかもしれないけれど、でももし、そんなことは全くないとしたら。

「僕はどうすればいいんだ……。」

 何をしたらいいんだ。

 そう、思わず声に出す。

 だがその言葉も空虚に響く。

 誰も居ない公園で、静かに反響するだけだった。

 

 5-3

 少女は一人蹲る。

 誰もいない部屋の誰も居ないベッドの上で、生気を失った目をしながら、たった一人でただ一人の敬愛する人の帰りを待っていた。

 どれくらいそうしていたか、少女自身も良く分かっていない。

 顔を膝にうずめて、小さく嗚咽を漏らすのみだった。

 と、そうして暫く経った辺りで、部屋の扉が音も無く横に開いて、廊下から光が差しこむ。

 顔を上げると、そこには白いローブの優男が立っていた。

「やぁ、マシュ嬢。大丈夫かい?」

「…マーリン…さん?」

「ああ、花の魔術師マーリンお兄さんさ。……それで、かなり酷い有様だけれど、ちゃんとご飯とか食べてる?」

「うるさい!…先輩を外に連れ出したのは、貴方でしょう。それなのに大丈夫か?そんな訳ないじゃないですか!」

「………」

「……なぜ、何故なんですか?私の最も大切な方を、なぜあなたは奪うんですか?嫌がらせですか?世界の意思とでも言うつもりですか?」

「違うね。彼の意思だ。」

「嘘を吐くな!あの人がこんなことを望むはずがない!……だって、彼は……英雄なんですよ?」

「………マシュ・キリエライト。君は、たった一つの大きな勘違いをしている。」

「………それは、」

「『何なんですか?』だろう?わかるとも!そのうえで質問だ。君は、その間違いを知りたいかい?」

「私は……」

「どうなんだい?知りたいかい?知りたいというなら吝かでは無いけれど、君の後悔の責任までは取れない。だからよく考えたまえ。」

 少女は思考する。

 間違い、それについて自分で思い当てることが出来れば、彼の答えを聞かなくとも良い。

 現在の彼女が心底苦手な彼の力を借りなくて済むのなら、それは僥倖と言えた。

 だが、そんな彼女の考えを余所に、優男は続ける。

「…………。」

「おや、もしや自分で間違いを見つけようとしているのかい?それでは駄目だよ、前提が間違っている。」

「……どういうことですか?」

「君の間違いはその固定観念だ。正解だと思い込んで、それを信じて疑わない。光束を超える物質は無いと、たった一つの理論だけで鵜呑みにしているようなものさ。だから、君のやろうとしていることは『イラストの種類が一枚だけの間違い探し』だ。答案も、正解側の絵画も無い。そんな状態では「貴方は!」……」

「……何が言いたいんですか、花の魔術師。」

「………はぁ、全く君は、弱いなぁ。それでも彼のサーヴァントかい?」

「………。」

「そんな君の弱さの中でも、彼を英雄だと思っているところが一番弱い。」

「………は?」

「…おいおい、そんな信じられないとでも言うような顔をしないでくれよ。君の崇拝対象を粉々にぶち壊したくらいで。純真無垢な可愛らしい顔が台無しだよ?」

「……彼は、英雄です。文字通り世界を救ったのですから、それこそ英霊に選ばれてもおかしくない位の事は成し遂げている。それならば、彼も等しく英霊であるはずではありませんか。」

「……理由を二つ教えよう。長くなるから眠らないようにね。まず一つ、彼の死生観だ。彼は、自分が犠牲になる事で、ほかの全てを救えると思い込んでいる。現に、彼の周りにいる人々は生きているのだから、それについては実行している。だが、彼には関係のない人間が数えきれないくらいに死んだ。そして、彼のスタンスは『自分の犠牲で誰かが助かる』だ。わかるかい?彼はね、自分の犠牲で自分以外の全員を救おうと考えている。というか考えていた。彼のそれは愚者そのものだ。そんなレベルの傲慢、『七つの獣』に選ばれていてもおかしくないレベルのものなんだよ。そんな彼が英雄たり得るものではなかろうというのが一つ目。

 そして二つ目だけれど、これは彼自身の自己評価として、彼は自身を一般人だと思い込んでいる。彼自身は、英雄などという大仰な物で無く、ただの一般人でありたい

 と願っている。……まあ二つ目については語りだすと止まらないからこのくらいで良いだろう。

 と、以上二つによって、彼は英雄で無く、一般人とも成り得ないという不安定な立ち位置で落ち着いてしまったから、英雄ではない。わかったかな?」

「………それについては分かりました。ですが、どうしたら良いかは分からなくなりました。」

「なんだ、そんなことか。簡単じゃないか。」

 そう言って、優男は微笑んだ。

「彼の所に行くというのはどうだろう。幸い、赤い外套のアーチャー君がマスターの居場所を突き止めてくれた。全く、彼の千里眼は目を見張るものがあるけれど……それはまぁ置いておいて。」

「……マーリンさん。貴方は一体何がしたいんですか?」

「私?私はただ、仲睦まじい君たちをもう一回見たいだけだよ。」

「…………。」

「さあ、彼を連れ戻したまえ。君の手で、君好みの英雄を作ると良い。」

 

 5-4

 長い間外に居て、体が冷えてしまった。

 あれから二時間三時間と時間は早く流れ、さながら博打で負けた貧夫の酒盛りの様に缶珈琲を飲んだのだが、思いのほか効果が薄く、あまり体が温まらなかった。

 温まったとしてもせいぜい指先くらい。心はまだ冷え切ったままだった。

 その三時間の間に考えたのは、悪魔の選択とも言うべき二択だったけれど、僕はそれを選ぶことが出来ず、またノコノコと衛宮邸に足を運んでいるところだった。

 相変わらず、僕はどうしようもないダメ人間だったと痛感しただけの四時間となった。

 なってしまった。

 長考というものは僕は割と苦手で、時間が経つごとに集中力が落ちてくるという事実の立証が出来たと無理やり納得させて、泣く心を抑え、住宅街を歩く。

 衛宮邸まで何とか行き着いて、門を潜って中に入る。

「考えていただけなのに」

 なんだかとても疲れた。

 体中が怠さで満ちている。

 これが力ならどんなに良かったか。

 家の中に入って居間に向かうが、衛宮君は見当たらない。

 一度人に話して、ストレス過多な心を落ち着かせようと思ったけれど、居ないのなら仕方がない。少し腹も減ったし、何か食べようとキッチンに入った。冷蔵庫を開ける。

「あ……」

 食材は無かった。

 どうやら、衛宮君は食材を買いに行ったらしい。

 商店街辺りに居るだろうか。

 だとしたらすれ違いになってしまった。

「………まあいいか。待っていれば帰ってくるだろう。」

 そんな希望的観測のような確信をもって机に頭を擡げる。

 今日は良い日だ。

 気温が比較的高く、日も差している。

 唯一、カレンダーの運勢が友引なのが不安要素だけれど、それも関係なくなるくらいには気候要素が安定している。

 こんな日はこれから生きていても稀なのだろうか、とそんなことを考えている時だった。

 ピンポンと、チャイムが鳴る。

 衛宮君が居れば僕が出なくてもいいのだろうが、今はそういう訳にもいかない。

 最初に会った時の桜ちゃんもこんな気持ちだったのだろうか。

「はい。今出ます。」

 玄関の横開きの扉の鍵を外して、手を掛けて。

 ぐいと横にスライドさせる。

 そこには、出来れば誰も居てほしくなかった。

 考えうる限りで最悪の事態が起きたからだ。

「………………マシュ?」

「………はい、お久しぶりです。マスター。」

 

 5-X

「なぁ、花の魔術師。結局今回の目的はなんだ?」

「何の話だい?」

「とぼけるなよ。マスターに関してのあれだ。」

「ああ、あれね……別に、マスターに戻ってきてほしいだけだよ。」

「それだけか?本当に?」

「ああ、それだけだとも。ただ、彼が戻ってくる確率が跳ね上がる条件の一つにマシュ嬢の存在があったからね。それを利用させてもらった。」

「……貴様は本当に……いや、何でも無い。だが、グランドオーダーは終結した。なぜ今更呼び戻す?」

「はぁ……星の守護者よ。君こそ、何も分かっていないのかい?」

「何が「例の。」…」

「七十二柱の魔人のうち、数体が行方不明となっているらしい。」

「なっ!?貴様、どこでそれを……。」

「そこはそれ。アヴァロンネットワークと言う奴だ。安心してくれ、相手は真っ当な人類だから。」

「そうか……。それで?彼の魔人柱たちが行方不明という事は、特異点が生まれると?」

「まあ、その可能性が高いだろうね。やれやれ、全く。あそこでシャーロック君が何を知ったのかはともかくとして、先が思いやられるよ。」

「別に彼が何を知ったって、こちらについては関係ないだろう。」

「……君も君だね。どうしてそうもフラグを張るようなことをペラペラと並べ奉るのか。」

「さてね。きっとそう言う性分なんだろうさ。……だが、それにしたってここまでやることも無かっただろうに。本当に目的はあれだけなのか?」

「ああ。もう一つあるけれど、そちらもサブのようだしね。」

「サブ?」

「そうだ。だけど、答えを教えるのは少し癪だし、ヒントでもあげようかな。」

「…………。」

「キィワードは『共依存』だ。」




マーリン「なんだか、私の扱い酷くないかい?ここまで非人道的では無いと思うのだけれど。」
立香「あれだと相当マシュに嫌われるでしょ。」
マー「そうだろうねぇ。きっとマスターには真似できない。」

すこし長くなりました。10月からはいろいろと忙しくなりますので、月一回投稿を目安に書かせていただきます。宜しくお願いします。
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