第1幕 第2節 ~老木と若木~
博麗神社・・・・
「って・・・なんで家に戻ってくるのよ・・・・?」
「ここにいる方に用があるからですよ。こちらです」
そういいながら春夏は霊夢と魔理沙を連れ、茂みへ入っていく。
そこには、幹回りが他のより太く、しめ縄を巻いた老木が立っていた。
「こんなのが神社のそばにあったのね・・・・・」
「って・・・お前がここの管理人だろ?何で知らないんだよ・・・」
「うっさいわね・・・・。こんなところまで把握できるわけないでしょ・・・・」
「この老木は、私が知ってる中で一番幻想郷に詳しい方です。この方に聞けばある程度のことはわかるとはおもいます」
「詳しいって言われてもね・・・」
「木は喋んねぇぜぇ~」
「そうですね。でも私なら・・・」
春夏は老木に手を添え、目を閉じた・・・・。
しかし、突然地面より蔦が現れ、魔理沙と霊夢を拘束する。
「ちょっと!何なのよこれ!!」
「どうなってんだよ!」
すると春夏は刀を生成し、蔦を切り刻む。
「大した歓迎ですね・・・・・。安心してください、彼女たちは我々の味方です」
そういうと、木々が風もないのに葉を揺らす。
「ええ、安心してください。それで、今日来たのは、冬に咲くサクラに関してなのですが・・・、何かご存じありませんか?」
すると木々の揺れは止まった。
「そうですか。何かあなた方にも影響はありますか?」
すると木々は葉を静かに揺らす。
「そうですか・・・・。わかりました。ではあちらの方にも話を聞いてみます。もちろん、あなた方のことも救ってあげますので待っていてください。それでは・・・・」
春夏はそう言って霊夢と魔理沙の前に立つ。
「なんて言ってるの?」
「二人には申し訳ないと。それで、この異変に関しては咲良様がご存じみたいですので今から伺いに行きます。お二人も来ますか?」
「もちろんよ。で・・・・どこにその咲良ってのはいるの?」
「守矢神社ですよ」
「へぇ、あそこにいるんだな・・・・・」
「おや、二人はご存知ですか?」
「まあね・・・・。でもそんな人いたかしら?」
「さあ?諏訪子か早苗に聞けばわかるだろ」
「それもそうね・・・。行きましょう」
守矢神社・・・・
3人がたどり着くと、境内の雪を箒で掃いている巫女:東風谷早苗が居た。
「ああ、いたいた・・・・お~い早苗ぇ~」
魔理沙の声に早苗は振り向く。
「あら、魔理沙さんに霊夢さん。それに・・・・・?」
「ああ、彼は紫陽花 春夏。紅魔館の新しい執事よ」
「はじめまして」
「そうでしたか。で・・・・お揃いで何か御用でしょうか?」
「えっと・・・・」
霊夢が話始めようとしたとき春夏が御神木のほうへ歩く。
「霊夢さん、いましたよ」
「居ましたよって・・・・」
「え?あの人は何を言って・・・・」
「気にするな。あいつはそういうやつなんだ」
「そうですか・・・・、かわいそうな人なんですね・・・」
するとすっと早苗と魔理沙の間を刀が飛んでいく。
「「え?」」
その刀は、地面に深くめり込んでいた。
「?何かいいました?お二人とも・・・」
「い、いいいいえ!何でもありません!!」
早苗は怯える。
そんなのはお構いなしに霊夢が春夏の横に立つ。
「それで・・・・どう?」
「とっても厄介な状況ですね・・・・」
春夏はそういうと早苗をぎろっと睨む。
「ひっ!?な、なんですか?」
「このしめ縄・・・・・、なんで変えてないんですか?」
「え?そういえば・・・・そうですね・・・・。いつもなら勝手に新しいものに変わっているはずなんですが・・・」
「あちらは変っていたんですが・・・・」
「会話できないの?」
春夏はくるりと神木へ目を向ける。
「まあ呼び出してますか・・・」
春夏は手を広げ、そして手を合わせる。
「咲良様、咲良様、どうか私の前に降臨ください・・・」
そう春夏が唱えると、春夏と霊夢の前にうつ伏せで倒れた少女が現れた。
「・・・・死んでるけど・・・」
「そうですね・・・・」
「うぅ・・・・・助けろや・・・・」
春夏はゆっくり歩み寄り、足であおむけにする。
「神を~手荒に扱うでないぞ・・・・~」
「酒臭いんですよ・・・・・咲良様・・・」
春夏がそういうと、ゆっくりと上体を起こす。
「ん?なんでわしの名前を知ってる?貴様・・・」
「お忘れですか?あなたがこの姿にしてくださったんじゃないですか・・・」
「そういわれれば・・・・・、まさか、紫陽花か?おぉ~よくやっておるか?」
「その言葉をあなたにそのまま返しますよ。知ってますか?今幻想郷で起きてること・・・?」
「その件か・・・・。それは悪いと思って居る。だが、今は力が使えん・・・・」
「そうでしょうね・・・、このしめ縄では力が集められないでしょうね・・・」
「すいません、早苗さん。藁はありますか?」
「いえ、ここには置いてませんが・・・・」
「そうですか・・・・」
春夏は御神木のしめ縄に手を当てる。
「草木に眠る秘めたる力を解放したまえ・・・」
そう春夏が言うと、見る見るうちにしめ縄が新しくなる。
しかし、春夏は御神木にもたれ掛かる。
「大丈夫?」
「ええ・・・・、どうですか?咲良様」
すると咲良は立ち上がり、春夏に近づく。
「済まないな・・・・、春夏」
「いえ、私はすぐに回復しますのでしばらく肩をお貸しください」
「構わぬぞ、では、春夏のくれた力で一仕事でもするかのぉ~」
そういいながら、咲良は境内の中央に立ち、両手に神樂鈴を持ち、舞を踊り始める。
それを春夏と霊夢、魔理沙と早苗は見とれていた・・・・。
しばらくして、舞が終わる。
すると、近くにあった山茶花が見る見るうちに咲き誇る。
「今年は特別じゃ。春夏秋冬の息吹を堪能するがよい。紫陽花、お手柄じゃ」
「ありがとうございます・・・・・」
「異変・・・・解決ですね」
「そうね・・・・。な~んかしっくりこないけど・・・・、まあいいわ」
「春夏の手柄だな・・・・」
魔理沙がふと、春夏の方を見ると、目を閉じて眠っていた。
「おい・・・・霊夢・・・、まさか・・・・」
「違うわよ・・・・、安心しなさい・・・・。ねえ早苗、ちょっと中で休ませてあげられない?」
「わかりました。寝床を用意してきますね」
そういって、早苗は神社の中へ入っていった・・・。
「すぅ・・・・・すぅ・・・・」
「こうやって寝ていると、あの時のことを思い出しちゃうわ・・・」
「なんじゃ・・・・、春夏をよみがえらせたのはお前じゃったか・・・。感謝するぞ」
「まあ彼の生き様が、この幻想郷では必要なのよ・・・」
「そうだな・・・・」
そして幻想郷では、最初で最後の春夏秋冬の花々・草木が生い茂っていた・・・・・。