『おい、起きろこんなところで寝るなんて何を考えてる。…おい、いい加減に起きろ』
ベルは寝ぼけたように目をこすりながら
「んあ…おじいちゃんもう朝?」
『私はお前のおじいちゃんじゃないし、そもそも女だ』
「ん…え?」
ベルはその一言に気の抜けた返事をもらしながらも眠りに落ちる前のことを思い出し、頭の中が回転を始める。
『やっと起きたか。聞きたいことが山のようにあるんだがまず答えてもらおう。お前は闇霊か?』
闇霊?その言葉の意味が分からず声の主の方に顔を向けその顔を見る。
すると…
灰のような白くくすんだ白い長髪、目元は鋭いがかなり整った美しい顔、艶めかしく照った浅黒い肌
自分が住んでいた村の女性とは余りにも違った美人を見たベルは…
「ど、どわ――」
と叫びながら後ろに転がっていく
『バカ、そっちは…!』
女性は焦ったように手を伸ばすが当の本人たるベルはそれに気づかず…
『崖だぞ!』
「へっ?」
崖から落ちていった。
『あいつは本当に何だったんだ?戦闘中に落ちていくやつは見たことがあるし、自分も落ちたことはあるが会話を試みたら落ちるやつなんて初めて見たぞ』
女性は呆れたようにそう言いながらも少年の消失を確認するように崖下を覗き込み見えないことを確認すると篝火に手をかざし…
『既に火がともっている?』
そして既にともっていた篝火の火に疑問を抱いた瞬間、篝火の周辺に灰が集まる。
『なんだ?』
警戒するように後ろに下がると先ほど落ちていった少年が灰によって形成された。
「あれ?」
少年は周りを確認するようにキョロキョロと周りを見渡している。
『おいお前、お前はもしかして〝火の無い灰〟か?…あと逃げるなよ?』
その声に対して慌てるようにベルは返す
「す、すみません逃げるつもりじゃなっかったんです。あとその闇霊だったりその〝火の無い灰〟っていうのはいったい何でしょうか?僕、気が付いたらこんな所に居てそもそもここがどこなのかもわからないんです。」
『はぁ!?』
それに対し女性は理解できないとばかりに声をあげてしまう。
ベルはそういえば女性の名前を聞いていなかったと思い
「あと僕ベル・クラネルと言います。名前を聞かせてもらってもいいですか?」
『あっ、あぁ私は…私のことはキニスと呼べ。それとお前の現状については納得はできないが理解はした。とりあえずお前は敵ではないということだな?それが分かれば取り合えず問題はないが、なぜ私から逃げた?やましいことをしていないなら逃げる必要はないだろう?』
現状この少年に何かされるということはないと判断したキニスはいきなり崖から転げ落ちる奇行を行ったベルに対しその理由を聞いた。
「え、えっと…び、びっくりしちゃって」
美女に見つめられて恥ずかしかったからなどとは口が裂けても言いたくないベルはどもりながらもそれらしいことを言ってみる。
『まあ嘘だな』
そんな付け焼刃の嘘がキニスに通るはずもなく一言で両断されてしまう。
「笑いませんか?」
ベルは蚊の鳴くような声でそう聞く。
『仮にもそれがお前の死因になってるんだ笑わないさ』
キニスは何を言っているんだと言いたげな顔でそう言う。
その顔を見たベルは顔を真っ赤に染めながら言う
「キニスさんが美人だったからです///」
『は?私が美人だったから?』
確認するようにベルにキニスが聞き返す。
ベルは顔を真っ赤に染めながら頷く。
『ぶっっ。ははははは、それは気の、ひぃ、毒、だった、ぶは、なぁ。やばい…腹が、腹が…痛い////』
キニスは目から涙が出るほどの大爆笑をしていた。数瞬前に言ったことは何だったのかと言わんばかりの大爆笑だ。
『ひい…死ぬ、ふはっ、死んじゃう、ぶっっ///』
腹がよじれると言わんばかりに笑いながら地面を転がっている。
「笑わないって言ったじゃないですかーーーーーー!!というかやっぱり僕死んじゃってたんですか!」
ベルは真っ赤な顔を更に真っ赤にしながら大声で猛抗議をしている。
『死因が私が美女だったからって…ぶふ、だめだあんた敵だわ、はは、笑霊だわ、ぐふ、笑い死んじゃう///』
絶望と狂気が満ちたこの世界には似つかわしくない笑い声と迫力が全くない抗議の声が響いていた。
絶望に歪むベル君を書こうとしていたらこうなった。
どうしてこうなった
ダークソウルはギャグパートでも人は死ぬ(ベル君が死んだ!――この人でなし!)