桂島鎮守府物語〜かつて英雄と呼ばれた提督〜   作:名無之助

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二話目です。




プロローグ2

かつて、横須賀鎮守府にある提督がいた。

 

横須賀第8鎮守府、かつて深海棲艦の大攻勢に際し、最も外側に位置するこの鎮守府は、友軍が体制を整えるまでの間、約一週間もの時間を稼ぎ、友軍の反撃の契機を作った。

 

それだけでは無く、反撃に際しても、第8鎮守府の艦娘たちは先頭に立ち、提督の指揮のもと、深海棲艦を撃退、更には海域の解放まで行い、提督は英雄と呼ばれるようになる。

 

その後も提督はいくつもの勝利を飾るが、ある時、補給が途絶え始める。

 

最初は少しずつ、しかし、時が進むにつれ完全に補給が無くなり、食料はともかく、弾薬や燃料が無くなれば艦娘とて戦えない。

 

幾度も大本営や横須賀鎮守府艦隊司令部に問い合わせた。

 

しかし帰って来たのは、補給は所定の手続きを既に完了しており、燃料、弾薬の過剰な補給は行えない…と言う明らかに的外れな返答であり、提督は燃料、弾薬の欠乏を懸念し、出撃、遠征を極力控えるようになるが、事態を把握しない上層部は、彼に出撃を強要、既に、燃料、弾薬が欠乏に近かった彼の鎮守府は、この出撃で完全に燃料、弾薬が欠乏し、彼はついに、上層部へ抗議を入れた。

 

そして、結果彼は拘束された。

 

彼にかけられた容疑は、業務上横領罪、不正に弾薬や燃料を横流しした容疑である。

 

それが潔白だと分かった時には既に、彼の鎮守府は後任の提督が着任し、その指揮において深海棲艦と戦い、大損害を出してしまっていた。

 

それこそ、鎮守府が一度解体されてしまうほどの損害である。

 

彼は失意に沈み、軍を除隊しようとするが、英雄と呼ばれた彼を簡単に手放したくない上層部は、彼を説得、彼の意思は固かったが、病気の母親の医療費を軍が支払うことを条件に、彼を軍に残すことに成功する。

 

彼は自身が拘束された時、艦娘たちが自身に向けて言った言葉を思い出しながら、今の軍での自分の仕事である大本営内部調査局資料課で大本営憲兵隊総監部、特別憲兵大隊向けの機密資料を作成する事に没頭した。

 

 

『司令官、私たちみんな待ってるから!帰ってくるのを待ってるからね!』

 

『司令官!雷は大丈夫なんだから!寂しく…なんか…ないから……安心して無実証明して、帰って来てね!』

 

『クソ提督!さっさと無実証明して帰って来なさいよ!?』

 

守れなかった約束に、守れなかった大切な者たちの言葉に、知らず知らずのうちに、資料を作る彼の心は、事件から一年以上たった今も苦しんでいた…。

 

彼は陰鬱になった気分を少しでも変えようと気分転換に体を捻る。

 

すると、丁度、廃棄と書かれたカゴに入った、古い報告書が目にとまる、廃棄と書かれた判を押されたその報告書を、彼はなんとなしに開いた。

 

それを読んだ彼は目を見開き、そのファイルを持って資料課を飛び出し、上官へその報告書を見せるのだった。

 

彼の上官 内部調査局長である中将は、報告書を見るや否や、何処かへと電話し、厳しい口調で電話の向こうの相手に話をしている。

 

相手はどおやら内部調査局資料課の課長らしい、そして、電話を切った中将は、彼に向き直り、こう言った。

 

「よく、この報告書を持って来てくれた、感謝する。

これでやっと、行動を起こせる……君はやはり、英雄だな」

 

その後、資料課の課長は、報告書の隠蔽、虚偽報告の罪で軍法会議に送られ、有罪となる。

 

更にその数日後、彼にある命令が下る。

 

〈ーー大佐は特別憲兵第3大隊とともに桂島泊地第4鎮守府を強襲、そのまま第4鎮守府提督への着任を命ずる。

 

なお、特別憲兵第3大隊は、桂島泊地第4鎮守府にそのまま憲兵隊として駐屯、第4鎮守府は特別憲兵第3大隊の桂島泊地での調査活動への協力を行うべし。

発 日本海軍大本営 聯合艦隊総司令部

 

宛 特別憲兵第3大隊 及び 内部調査局 ◯◯◯大佐〉

 

地獄に落とされた艦娘と、失意の提督の物語が始まる…。

 

 

 

 

 




以降は超超不定期更新になります。

感想お待ちしてます。

今月中にもう一話くらい上げたいです。
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