横須賀第一鎮守府
日本最大の鎮守府の港に、黒ずくめの屈強な男達が集まっていた。
その正面に、白い軍服を着た青年が立っている。
「特殊憲兵第三大隊の諸君、私は…本日、諸君とともに行動することとなった、徳田 真一少将だ!と言っても少将には今日任命されたばかりのだが…な、と、本題だ、既に知らされている通り、桂島第4鎮守府を強襲し、その後は、諸君は私とともに第4鎮守府へ駐留する事になる。
これとは別に、今回……クズどもへの制裁も仕事に含まれ、中でも逮捕命令がでている
さて諸君、そろそろ時間だ、仕事をしに行こうか…」
『応!』
そうして、殺気を漲らせた黒ずくめの屈強な男達が特殊輸送艦へ乗り組んでいく。
「徳ダッチ〜!こっちも準備できたよ〜」
「ああ、北上さん…なんて凛々しいの!」
「あー、まあ、大井ねーさん相変わらずだな…」
「クマァ!」
「いくにゃ?」
「俺様を忘れんなよ?教え子をやりやがって…」
「…ふふ」
約1名に冷や汗をかきながら、輸送艦に乗り込んだ徳田少将は号令を出す。
「総員出撃!」
「スーパー北上様、出撃だよー」
「大井、出撃します!」
「クマ、出撃するクマ‼︎」
「天龍、出撃するぜ!」
「…ふふ、消えたいゴミはどこかしら〜?」
ーー
「またか、また負けたのか」
執務室にて、下卑た笑みを浮かべた恰幅のいい男が、目の前に土下座するボロボロの布切れを纏い、傷だらけの少女の頭に足を乗せ、嫌味に言い放つ。
「…ごめんなさい、ごめんなさい、解体だけはお許し下さい」
少女は男に懇願する。
「ふん、まあ良い……もう一度行ってこい、罰として、魚雷と……主砲なしだ、補給も勿体無いから無し、それで出撃しろ」
「そんな、そんなの勝てる訳…」
少女の言葉に、男は更に笑みを深くし、言い放つ。
「貴様らみたいな消耗品の事など知ったことか、次負けて帰ってきたら、貴様の大切な妹を今夜のオモチャにするからな?なあ、暁よお!」
「…わかり、ました…」
暁と呼ばれた少女は、男の言葉に、歯を食いしばり、ふらつく足に喝を入れ立ち上がろうとした…しかし、それは、男の足が少女の腹部にめり込んだことで少女は吹き飛ばされ、叶わなかった。
「ぐ、がは…っ!」
「誰が立って良いなんて言った?四つん這いで行けや、くそオナ○が」
今、この鎮守府にいる艦娘で、戦艦や空母は出撃中、巡洋艦は今は…憲兵達の相手をしている。
そして、この提督は、健気にも駆逐艦達を守ろうとした彼女らとの約束を破り、駆逐艦に手を出していたのだ…それも、彼女らにバレぬように、
暁は、妹を守ろうと、ただ一人で男にの相手をするようになった。
いや、それが男の思うツボだった…男は暁に妹に手は出さないといいつつ、既に、響、雷に手を出し、二人に暁が二人を売ったと思いこませようとしていた。
そんな事は知らない暁は、たった一人で遠征に行かされたり、夜に集団で暴行される事を、妹を守るためと必死に耐えていた。
この鎮守府は桂島第4鎮守府……地獄と呼ばれる鎮守府である。
ーー
身体が痛い、お腹を蹴られたからか、空腹のせいか、目眩がする…。
でも大丈夫、耐えられる…暁はお姉ちゃんなんだから!
一人前のレディーは、妹を見捨てたり…なんかしない、電は暫く前に逃した…提督は電は沈んだと思っているはず……でも、響、雷…二人を逃がそうと計画していたら……二人とも艦隊から外されて…会うことすら出来なくなった…。
提督が約束を守っていてくれるか怪しい…でも、響と雷は大丈夫だと信じたかった…でなければ壊れそうだったから…。
提督に言われた通り、数十分以上かかり、なんとか四つん這いで出撃ドックに来た私は、不思議な光景を見た…。
黒ずくめの男の人達が海から出て来た…一体どういう事?
「…だ…れ?」
言葉がうまく出ない、目も霞んでる…倒れたらダメ、暁は…大丈…夫……。
"よく頑張った、もう大丈夫だ…安心して休んでくれ"
首に軽い衝撃を受けたと思ったら、気が遠くなった……けど、気を失う直前、白い服が見えた…そして、最後に聞こえた声は、とても暖かい声で、懐かしかった…。
ーー
桂島第4鎮守府に侵入した俺たちは、直後、目が虚ろで、見た目もボロボロの艦娘を保護した。
「暁…なぜ」
先に洋上で保護した戦艦長門、率いる艦隊と同様に、かなり消耗しているようだ…。
「長門、今はショックを受けている場合ではない、お前は他の艦娘とここで待機、第3中隊は艦娘達の護衛として此処に残れ」
「了解」
「大隊長…後は任せた、俺はやる事があるからな、四人ほど借りていく」
「はっ了解です
特殊憲兵四人を連れ、俺はある場所へと向かう……
「八つ裂きにシテヤル…」
「…ふふふふ、消えたいゴミはどこかしらね?」
訂正、プラス約二名とともに歩いていく。
すぐに執務室まで来たが、直後、
そして、俺は、少女を放り出すために開けられたドアを思い切り蹴り飛ばすと、執務室の中を確認する、五人ほどの男が居た。
その直後、鮮血が舞う。
執務室で、入り口にいた憲兵の一人が三等分にされたためだ。
執務室には、もう一人少女がいた、艦娘の雷だ、今まさに、爪を剥がされようとしていたが、爪を剥がそうとしていた憲兵は一瞬でバラバラになり、太った男…こいつが提督だろう…は未だ状況把握が出来ていない様子だった…、
そして、連れて来た艦娘が、その提督に槍を振り下ろそうとしたのを制すと、俺は、その提督に銃を突きつける。
「貴様が粕田か」
俺の問いに、提督、そして憲兵が我に帰り、俺に銃を突きつけ用としたが、憲兵は特殊憲兵に即座に脳天を撃ち抜かれ、射殺。
提督は、右手を手首から天龍に切り飛ばされ、豚のような悲鳴をあげ蹲る。
「…ぐ、貴様、大佐たる俺にこんなことをして、ただでは済まさんぞ!他の憲兵はどうした!?」
「少将、ここの憲兵は全て処理を完了しました」
特殊憲兵の一人が、無線で伝えられたことを知らせてくれた。
「そうか…。さて、粕田 葛尾、貴様を今を持って鎮守府提督を解任し、逮捕する…大本営からの命令だ、そして、今より俺がここの提督だ」
「ふざけるな!貴様なんぞに俺の楽しみを奪われてたま……がっ!」
銃声が執務室にこだまする
あまりに不快だったから豚が喋り終わる前にヤッチャッタ俺は悪くないよね?
あと、龍田が、豚の遺骸を切り刻んでいるのは見ないことにしよう…。
とそれどころではない。
「響!大丈夫か!?」
俺は、執務室の外に倒れて居た響を抱き起こすと、直ぐに呼吸を確認する…大丈夫のようだ。
「…う、く……だ…れ?」
「久しぶりだな、響……待たせて…すまない」
響の目から涙がこぼれた…
「…は、は……夢を見てるみたい…だね……あの人…が居るわけない」
「俺は本物だ、夢じゃない…」
「…そ……か………ーーーー」
響は、気を失ってしまったようだ……だが、最後の言葉は聞こえたよ、響
「ああ、約束は守るよ………治ったらな…」
響が意識をなくし、眠り始めたのを確認し、雷の状況を見るため、雷に近づくと、雷は、未だ放心していた…。
「しれ…いかん?」
「ただいまだ、雷……」
俺は咄嗟に、雷を抱きしめようとしたが、拒否される。
「だ、め……わた……汚され…っ」
俺は雷を抱きしめた……雷は暴れることもないく、抱き締めて分かった…彼女が、響よりも、暁よりも…痩せ細っていることに……。
「お前は…汚れていない………ちゃんと綺麗なままだ…雷……ただいま…雷」
「……おか…え…り、しれ…ーーー」
俺は…その言葉を貰う資格なんかないんだよ…雷……でも……こちらこそ……生きていてくれてありがとう…。
雷は、ゆっくりと目を閉じ…規則正しい寝息をたてながら、静かに眠り始めた……。
ーー
私は…怖かった、雷を守ろうとした、暁を守ろうとした
けれど、暁とは引き離され、雷も今まさに酷い目に遭わされようとして居る。
守れないことが、皆んなが居なくなるのが怖い、だから守ろうとした。
でも、艤装すら展開できない状況で立ち向かうのは無謀だった。
でも、私は…これでも元横須賀第8鎮守府の天龍隊の艦娘だったのだ、諦めるのは性に合わない…。
「や…やめ…おねが」
「フヒ、可愛い絶叫を上げてくれよ…雷ちゃ〜ん♪」
雷を守る…絶対に…
「ウラーーーー!!!」
私は、押さえつけて居る憲兵の腕を振り払い、雷を守ろうと突っ込もうとした…。
「ああん⁉︎ザケンなよクソ餓鬼!」
振り払われた憲兵に直ぐに捕まえられる
「離せ‼︎」
「るせえ!!!」
掴まれた腕から、異音が鳴るのが聴こえ、視線を向けると…私の腕は、変な方に曲げられていた……。
「あ……う…そ………がっ!」
私は引きずられ、部屋の外に放り出された…その後のことはよく覚えていない……ただ、しばらくして懐かしい声が聴こえて目を開けたら、懐かしい人がいて、自然と涙がこぼれたんだ…。
最初は夢かと思ったけど、夢じゃないと言われた…。
だから、夢じゃ無いならと……司令官とした約束を口に出した。
司令官は、約束を守ると言ってくれて、私は…安心して…急に眠くなって、眠気に身を任せた…。
ーー
私は、目の前の事が信じられなかった…。
今私の前にいるのは、紛れもなく、私達の司令官…もう、会えないと思ってた司令官や、天龍さん達、でも、今のこんな私なんか…見られたくなかった…響がやられるのを怯えながら見るしかなかった…。
暁が虐められるのを助けられなかった…そんな情けない私を見られたくなかった…。
それに何より、汚された私を見ないで欲しかった…。
でも、司令官は、私を汚れていないと言ってくれた。
綺麗なままだと言ってくれた。
"ただいま"と言ってくれた。
だから、私も…"おかえり"を返す。
約束だから……ありがとう…司令官…そう口に出したところで、眠くなって…私は寝てしまった…。
ーー
桂島泊地第四鎮守府…そこは、艦娘に地獄と呼ばれる鎮守府であった。
この日…一人の提督が、そこに着任した。
彼は…かつて、"英雄"と呼ばれた提督……
これは、地獄に落とされた艦娘と失意の提督が、傷を癒し、支え合いながら過ごしていく物語
特殊憲兵は、そんな彼や、彼女らを見て…提督をねた……日常を暖かく見守るのであった…。
締めが…難しい。
感想など、お待ちしてます。
北上様や大井達の出番は次回です。