真剣で私に恋しなさい 白き侠、その路   作:カンベエ

4 / 7
第三話:英雄現る、変化の嵐

東西交流戦より日曜を挟んでの週明け、ニュースで発表された九鬼財閥の武士道プラン。そのニュースに川神全体が沸き上がっていた。

 

白城組の本拠、とも言える晴明の家では晴明含めた重鎮四名と滞在している組員が朝の食卓を囲んでいた。

 

「成程、先日の源義経を名乗る女子は・・・・こういう事か」

「なんだ?会ってきたのかい?若」

 

ぼそりと呟いた晴明、に話しかけてきた老人。

名を東堂義政、白城組の長老格でありかつては川神鉄心、ヒューム・ヘルシングといった世界TOPクラスの武術家たちと互角に戦った剣士であり晴明、衛二の師匠でもある。

 

「ああ・・・・機会があってな」

「どういう、嬢でした?」

 

里見陣丞、白城組の組頭。晴明や衛二にとっては兄代わりとも言える人。

 

「快活な娘、だったな・・・・だが奥に秘めた闘志も闘気も評価に値するものだった」

「ですよねぇ、義経ちゃんマジ天使でした」

 

と、何時ものように衛二が軽口を叩き始める。

 

『はるるーん、一緒に行こー?』

 

門口からは小雪の声が聞こえてくる、恐らく冬馬と準も一緒なのだろう。

 

「もう来たのか、行くぞ衛二」

「うーっす、んじゃまぁ行って来ますわ」

「行ってくる」

『行ってらっしゃいまし、若!』

 

壁際に置いていたカバンを手にとり玄関口へと赴く。

 

「おはよう、小雪、冬馬、準」

「うっす、ユキちゃん、冬馬、ハゲ」

「おはよーはるるん、さのりん」

「おはようございます、晴明君、衛二君」

「おいーっす、晴明、衛二」

 

何時ものように五人で挨拶を交わし、学園へと向かう。

 

「しかし源義経さん、でしたか・・・・タイプですねぇ」

「おめー大抵の男子と女子が守備範囲じゃねぇか」

「ええ、そうですよ?」

「平然と言いやがって・・・・爆発してしまえ!!」

 

既にマジギレ寸前で冬馬に衛二が掴みかかっている。

 

「小雪、体など怪我はなかったか?疲れは大丈夫か?」

「大丈夫だよーん」

「なんていうか・・・・晴明ってユキの父親かお兄さんって感じだよな」

「む?そうか?」

「いやさ、俺とか若だってユキのことは気にかけてるけどそれに輪をかけて気にしているって言うか」

 

ふむ、と考え込む晴明だったが答えは出ない、そのまま学園まで到達してしまう。

 

―川神学園校庭―

突発の全校集会、おそらくは武士道プランにより転入してくると噂の生徒たちの紹介なのだろう。

 

「武士道プラン、今朝のニュースを見たじゃろう・・・・まぁ細かいことは新聞でも見るんじゃ・・・・まぁその関係でこの川神学園に転入生が七人入る事になった」

 

学長の示した人数に皆がざわめく、ニュースで発表された武士道プランの申し子は源義経、武蔵坊弁慶、那須与一の三名だけだ。

 

「重要なのは学友が増えるという事、競う相手としても最高級じゃぞい・・・・何せ英雄」

 

過去の偉人のクローン、というだけでその実力は押して測れる、切磋琢磨する相手としては上物であり先人に学ぶの究極系とも言える。

 

「武士道プランの申し子たちは全部で五名、残りの二人は関係者じゃ。先ずは三年生に一人、3-Sに入るぞい・・・・では、葉桜清楚、出ませい」

 

学長の呼びかけに応じ、壇上に上がる女生徒。立ち居振る舞いに気品が滲み出ており正しく名の如く清楚。

 

「ふむ・・・・」

 

だが晴明は、少しばかり別の見方をしている。足運び、自然な物ではあるのだがムダが「無さすぎる」。

 

「こんにちは、はじめまして。葉桜清楚です・・・・皆さんとお会いするのを楽しみにしていました、これから宜しくお願いします」

 

ぺこり、と頭を下げながら挨拶をすると周囲の男子からざわめきが聞こえる。

 

「むぅー」

「?」

 

聞き覚えのある声に振り向けば、何時の間にかそこには小雪。

 

「どうした?」

「はるるんはああいうの好み?」

「ふむ、確かに綺麗な女性だとは思うが・・・・俺は小雪の方が良いな(友人的観点で)」

「///・・・・」

 

小雪が顔を真っ赤にして黙り込む。

 

「アレを無自覚で言えるから凄いよな」

「私にも言ってくれませんかねぇ・・・・」

 

「葉桜清楚、という英雄の名を皆聞いた事が無かろう」

「うん、そんな名前の偉人は聞いた事が無い」

「あ、いないのね。知らなくてビクビクしてたわ」

「一子・・・・お前は・・・・」

 

はぁ、とため息を一つ付きながら一子のポニーテールを掴んで。

 

「大和、京、忠勝、一子に世界の偉人の名を教え込んでやれ・・・・『スパルタ』で」

「分ったよ」

「ククク、ご指名入りましたー」

「仕方ねぇ、やってやる」

「んぎゃー!!!」

 

それから始まった葉桜先輩の説明によれば諸事情により先輩自体も正体を知らないらしい。25歳になったら教えてもらえるらしいが・・・・

 

「では二年に入る四人を紹介じゃ、全員が2-Sとなる」

「先ずは源義経、武蔵坊弁慶、共に女子じゃ」

 

その紹介に男子たちがざわめく、恐らく武蔵坊弁慶で女と聞きゴリラみたいなのを想像したんだろう。

 

壇上に上がる二人の女子、一人は先の東西交流戦で見た女子だ、もう一人は・・・・

 

「こんにちは。一応、弁慶らしいです、ヨロシク」

「結婚してくれーーーー!!!」

「死に様を知った時から愛してましたぁあああああ!!!」

 

明らかに聞き覚えのある声を中心に男子連中が求愛行動に走った。

 

そして義経、なんだが挨拶前に弁慶と葉桜先輩に励まされている。

 

「源義経だ、性別は気にしないでくれ・・・・義経は武士道プランに関わる人間として恥じない振る舞いをしていこうと思うが・・・・ヨロシク頼む!」

 

スパッとした挨拶をする義経に、皆が好感度を上げていく。

 

「女子諸君、男子二名じゃ。鷲尾義久、那須与一」

 

二人、呼ばれたはずなのだが一人しか出て来ない。

 

「失礼、鷲尾義久だ・・・・那須与一は少々照れ屋なきらいがある故に今この場にはいない・・・・が我ら両名、主君共々好意的に接して頂ければ幸いだ」

 

ペコリ、と一礼をする鷲尾の姿に女子たちが「ほぅ・・・・」と感嘆のため息を吐き男子たちは「チッ」と舌打ちしている。

 

それから色々と説明が入る、弁慶は自由気ままに川神水を飲める代わりに常時学年四位以内が条件だとか、何とか・・・・それは良い、だが次の転入生二人・・・・二人目が衝撃的だった。

 

「我、顕現である!」

 

明らかに見知った生徒と外見的特徴が一致する女生徒。

 

「フハハハハ!何を隠そう、我の妹である!!」

「わかっとるわー!!!」

 

九鬼英雄の妹、九鬼紋白である。マルギッテが「カオスだ」とか言っていたがそうでも無いと思っている。基本紋白は良い娘だと知っているからだ。

 

それよりも問題なのはもう一人・・・・

 

「新しく1-Sに入る事になりました」

 

金髪の老執事・・・・

 

「ヒューム・ヘルシングです、皆さん宜しく」

 

「そんな老けた学生はいない!!」

「・・・・頭が痛くなってきた」

 

百代と晴明の反応である。

 

ヒューム・ヘルシングは九鬼家従者部隊零番を拝命しており川神鉄心と並び義爺とライバルとまで言われた当代の英傑とでも言うべき人物だ。

 

ざわつく空気の中、終了する全校集会。

 

他にも様々な変化はある、全米格闘チャンプであるカラカル・ゲイルとその弟のカラカル・ゲイツが教師として赴任してきた。

 

変化に次ぐ変化、この変化の嵐は何を呼び込むのだろうか・・・・

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。