義経たちが転入してきてから一週間程が経った、今もグラウンドでは義経と生徒たちの決闘が行われている。
「兄貴は挑まねーんですか?」
今行われているのは義経と一子の決闘だ、武器のリーチが長い分で上手く立ち回っているが元々義経の方が格上。最終的には義経が勝つだろう・・・・が何でだろう一子の動きに違和感を感じた・・・・何かが噛み合っていない気がしたのだ。
「止めておこう・・・・気が乗らん」
だが今は気にしても仕方無い、少なくとも川神鉄心とルー・イーというあの実力者二人が見落としているとも思わないからだ。
「ん?」
ポケットに入れていたケータイが震える。
「ああ、もしもし陣さんか・・・・分った。綴木と朴野を向かわせてくれ」
プツッと通話を切る。
「どうかしたんですかい?」
「他所から来たばかりの小僧っ子がいきがって暴れているそうなのでな、綴木と朴野を向かわせた」
「えげつねぇ人選だこって」
苦笑する衛二、のケータイが今度は震える。
「はいはい、どうしたのよ大和・・・・ふんふん、OKOK、任せなって兄貴にも手ぇ貸して貰うから」
電話を切った衛二がポン、と肩を叩く。
「軍師からの緊急要請だ」
「・・・・案件は」
「・・・・・・」
ニヤリと笑みを浮かべる衛二。
「義経の歓迎会だ、俺らは学内の先生方に許可を取り付ける事だ」
「分った、俺がそれはやる。大和と連絡を取り他へ向かえ」
「あいよ」
―三日後―多目的ホール
義経、弁慶、与一、義久の誕生日祝いも含めて開かれたこの歓迎会は、かなりの賑わいを見せている。
与一は弓道部主将の矢場先輩から必死に勧誘され、義経は一子、クリスと何やら盛り上がっている。
弁慶は大和に絡んでいるし義久は何故か不死川から話しかけられている。
「先ずは良し、か・・・・」
「少し話がある・・・・青二才」
いつの間にやらとなりに並んでいたヒュームに対して驚きはしない、この人はこういう人だとは良く分かっている。
「分かりました、外に出るとしましょう」
連れ立ってホールから出る二人。
「先ずは先日のドラッグの件だ」
「・・・・ご助力、感謝するばかりです」
「ふん、俺の手にかかればこんなものだ・・・・次にだがな」
それから幾つかの案件についての会話を交わす、今後の治安維持について、九鬼の取る体勢、それに際してこちらに頼みたい事などなど。
「了解しました、ならこちらは暫し現状維持に努めます」
「任せるぞ、青二才・・・・」
「?どうか・・・・しましたか?」
話を止めたヒュームが、こちらをジッと見ている。
「いや・・・・父親に似てきたぞ、お前は」
「・・・・そうですか、それはありがたい事だ」
フッ、と軽く笑みを浮かべたヒュームは再び会場内へと戻っていく、が晴明はそのまま外へと出て禁煙キセルを咥える。
「おー、はるるんがいたー」
階段で座っていたら背中に柔らかい感触と聞き覚えのある声。
「小雪か」
「小雪だけじゃないぜ!」
振り向けば翔一、大和、百代、一子、京、モロ、ガクト、忠勝、衛二、クリス、由紀江、冬馬、準が勢ぞろいしている。
「どうした揃いも揃って」
「いや、ただ晴明がヒュームさんと一緒にいなくなった後にヒュームさんだけ戻って来たから心配になってな」
「・・・・問題無い、あの人は『優しい』人だよ」
『!!!!!!!!!!?』
晴明の発言にひっついている小雪以外が驚愕の表情を浮かべる(冬馬はいつもどおりに見えるが冷や汗が流れている)。
「晴明、お前本当になんかされたんじゃねーのか?」
「何も」
「はるるんがそれで良いならそれでいーのだー」
笑い合う晴明と小雪と、顔を引きつらせる一同だった。
―数日後―
昼休み、いつも通りに衛二、冬馬、準、小雪と共に昼食を取っていると一人の女生徒が現れる。
「キミが白城君かな?」
ショートカットで一子とは別方面に活発そうな印象を受ける相手だ。
「相違無い」
「私はね、今週から転入してきた松永燕って言うんだ。宜しくね♪」
松永燕、修行時代に義爺から名を聞いた事がある、西の若手ではトップクラスであり滅多に実力を明かすことは無いが様々な武器を器用に扱えると言う。
「貴女が、ですか・・・・それで。俺に何の用ですか」
もくもくと弁当をつつきながら問いかける。
「一つだけ聞きたい事があってねん♪」
「・・・・?」
「『模擬戦』が復活するって噂があるらしいの、それで・・・・」
「俺が大将として出るか、ですか?」
「そういう事、話が早いね」
模擬戦、最大150対150の集団戦。個の武力だけでは無く将の統率力なども問われるまさしく戦。
「その時次第だ、誰に着くも己が起つも」
「そう、出来れば私も一つ軍を立ち上げたいからなーと思ってねん♪」
「それは今定めるべきでは無い、何より仮定の話だ」
「ふぅん・・・・キミって意外とリアリスト?」
「少なくとも夢想家であるつもりは無い」
一家を率いる者として、常に現実を見据えながら動き続けなければならないが故にの考えだ。
それから二言、三言会話してから松永が屋上から去っていく。
「それで、どうするんです?晴明君は」
「俺が進んで軍を立ち上げることは無い」
「では誰かが推せばやる、と?」
「そうなるな」
「では私が推しましょう」
「・・・・何だと?」
思わず、冬馬の方へと視線を向ける。
「私が仕入れた情報なんですけどね、既に模擬戦復活を見据えて五人の大将候補が動き出しているそうなんですよ」
「誰がいるんだ」
「先ずは英雄率いる九鬼軍、参謀として妹の紋白さんがついています」
九鬼とその妹、連携を組む相手としてはこれ以上ない程だろう、あの兄妹は仲が良いし。
「続いて義経さん率いる源氏軍、こちらには弁慶さんと与一君が参加を決定しています」
源氏トリオ・・・・あれ?
「鷲尾はどうした」
「ええ、むしろこちらがダークホース、一年の武蔵さんが率いる武蔵軍。こちらには三年で弓道部主将の矢場先輩と鷲尾義久さんが参加を決定しております」
「なぜ」
「『時には主君に試練を与えるのも臣下の努め』、と仰ってましたね」
そうなると少し事情が変わってくる、源氏トリオの動きを知っている鷲尾がいる分行く末が分からなくなってきた。
「次に先ほどの松永先輩率いる松永軍、こちらには風間さんが参加を決めています」
「翔一が?」
「はい」
自由奔放なあの男が誰かに与するのも珍しい、何か感じる事があったのだろうか。
「そして生徒会長率いる猛虎軍、こちらには既に空手部、柔道部の主将が参加を表明しています」
南條・M・虎子、ハーフなのかクォーターなのか、そもそも正式な出身すら分からない謎の生徒会長、意外と人気があるためここも怖い。
「それらの軍勢と張り合うために、晴明さんを大将にしたいのです」
「何故九鬼に手を貸さない?」
最大の疑問、葵冬馬は九鬼英雄の親友である。これは学内でも公然の事実である。
「義久君が言っていた事と同じ感じにはなりますが・・・・私は常に英雄の味方でありました、ですがたまには・・・・真っ向からぶつかり合って見たいのです」
静かに、冬馬の眼を見る。表情は何時ものようにヘラヘラしているのだが眼は違う、本気だ。
「・・・・仕方あるまい、ルー先生のところへと行こうか」
「・・・・え?」
「戦いたいのだろう?九鬼と、ならば手伝うぞ・・・・お前の眼は本気だからな」
「晴明君・・・・」
スっ、と手を差し出す晴明。
「ならばやって見せよう、直接対決も、総合成績も九鬼に勝つ・・・・」
「・・・・はい」
その手を握る冬馬・・・・更にそこに手が三つ。
「水臭いぜ若、俺もやるぜ」
「準」
「ま、兄貴がやる気なら俺もやってやんぜーってな」
「衛二君」
「はるるんとトーマがやるなら僕もやるよーん」
「ユキ・・・・」
一同を見回す晴明。
「ならば、目指すは模擬戦トップ!!各々全力を尽くし勝利をもぎ取るぞ!!!」
『おぉおおおお!!!』
夏本番、五名の熱き闘志が巻き起こる!!
マジ恋Aー2をやってピーンと来ましたね・・・・模擬戦、やるっきゃねーでしょうと。まぁそんな感じでブッこみました模擬戦を。上手く表現できるかが心配ではありますが精一杯書いてみたいなーと。