こんなのですが、どうぞ、愛想をつかさないでよんでくださるとうれしいです。
。「う……ん」
意識が急浮上していくのを感じる。
薄く目を開くと、そこから入ってくる日光に、また目を閉じる。
思わず、手をかざそうとする。
「……っ!?」
動かそうとした右手に、鋭い痛みが走る。
それだけでは終わらず、その痛みに驚き、身を固くした瞬間。
「っあ!!?」
痛い、なんてものじゃない“激痛”が電流となって体中を駆け巡る。
とりあえず、頭を整理していくことにする。
――何で痛いの?
何か、があったから、それは……
分からない
――そんなはずはない。だって、私は昨日まで……
なにがあったの?
何をしてたの?
なにをされてたの?
なに……が……
分からない。
何をしてたのかも、なにがあったのかも、全然わからない。
訳の分からない恐怖心が胸の内で広がっていって、たまらずに頭を抱えてうずくまる。
そこで、私が毛布にくるまっていることに気づく。
昨日までは、こんな物は無かったはず。
記憶が無いはずなのに、それは分かる。
……じゃあ、これはダレの物?
「……起きた?」
誰もいないと思っていた後ろから急に声をかけられ、肩がピクン、と跳ねる。
そのまま肩がこわばって、涙が出てくる。
痛みの涙なのか、感涙の涙なのか、それとも恐怖の涙なのか、それさえもわからない。
当たり前のように出てくる涙に、訳も分からずうろたえる。
それを相手はどう見たのか、
「……だいじょうぶ?」
心配そうに言って、しぜんな動作で私の目元の涙をすくった。
固まってしまって動けないのに、
涙はあとからあとから伝い落ちる。
ーー……ロ……ロ…ウ………ブ…ロウ……
懐かしい、優しい声が聞こえた気がして、
そのまま、意識を夢へと、飛ばした。
夢も見ない深い眠りの中、私は、ただひたすらに誰かの名前を
読んでいた。
思い出すたび、悲しくなって、名前を呼ぶたび、心が締め付けられる。
ただ、誰なのかは、思い出せない。
そよ風のように、包みこんでくれるのに、時には、針のように私を突き放す。
でも、名前は思い出せない。
ーーだいじょうぶ。
そう言って、目元の涙をすくってくれたひと。
それだけで、大丈夫だとおもえた。
子供の頃の、懐かしい記憶ーー
次に目を覚ました時、黄昏色の光が、私を包んでいた。
あれからどれくらい眠っていたのだろう。
頬に違和感を感じ、手をそっと当てる。
鈍い痛みがまだ手に走るが、気にしない。
涙のあとだろうか。
手でごしごしとこすり、窓の外を見る。
夕日がゆっくりと沈んでいく。周りはだんだんと暗くなっていく。
夕日が完全に沈んだそのとき、
「…起きた?」
鈴をころがすようなこえが、また聞こえた。