水面月ーみなもづきー   作:フィーリア

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待ってくださった人がいることに驚き、
ハイテンションになって勢いで書きましたw

文字数が少ないとは私も思ってたのですが……
今回は少し多めにしてみました!

まだ短いですが(^^;)

いろいろ水増ししたような気がしないでもないのですが……

目標は2500文字です!





第3話 「アイラン」

 

その人は、蒼く、透き通った長い髪で、まるでアメジストのような

不思議な紫の瞳を持っていて、海の中のような不思議な魅力をもっていた。 

しばらくその人を見つめ続けて、はっと気づく。

 

「あの……」

 

こえが出ないのかと思ったが、ちゃんと出たようだ。

自分のこえが自分の耳に届き、安心して言葉を続ける。

 

「……あなたは?」

 

聞きたいことはたくさんあったのだが、今それを言うのはいけない気がして、

一番無難な質問を投げかける。

 

「……今はそれよりも、これ、のんでくれる?」

 

その人は、何も変なものは入っていないからね?といいながら、

薄い灰色のカップを私の手に握らせた。

 

「……これは?」

 

何も入っていないとはいっても、中身は気になるもので、ついつい聞いて

しまった。

いってしまってから、なんだか聞いてはいけないことをきいてしまった

ようなきがして、うつむいていると、

 

「これはね、少しだけど魔法がかかってるの。元気でるよ。」

 

わたしの顔をのぞき込み、にっこりとほほえんだその人は、

それだけいって、私が寝ているベッドの脇にある椅子に腰掛けた。

 

「……」

 

しばらく桃色がかった半透明の液体を見つめてから、

一気に飲み干した。

その飲み物は、少し甘くて、しばらくすると、心がぽかぽかと暖まってきた。

 

「もう少し、休むといいよ。」

 

そう言ってそのひとは、部屋を出て行った。

 

 

***

 

 

翌日、その人は私のところにまたやってきた。

 

「昨日はいきなりごめんなさい。」

 

椅子に腰掛けるなりそういう彼女は、昨日の私の質問をスルー

したことに対して悪いと思っていてくれたようだ。

 

「いえ。私こそ……。それより、昨日は飲み物、ありがとうございました。」

 

そういって頭を下げる。

 

「もう平気なの?」

 

その声色から、本当に心配していてくれたのであろうことがわかる。

 

「はい。心配をかけてしまい。すいませんでした。」

 

もういちど、頭を下げる。そして、昨日もいった質問をもう一度する。

すると、彼女は、今度はにっこりと笑った。

 

「わたしはね、アイランっていうの。」

 

本名は、アイスランス・ブルー・コールドムーンというらしい。

アイスランス、を略して、アイランと呼ばれているそうだ。

 

「あなたは?」

 

そう聞かれて、わたしも名前を言おうとする。

 

が、

 

「……私は……ブ…ロウ。」

 

私はブロウ。……それで?

 

……なにも思い出せない。

 

「それで……それ…で……」

 

必死に頭の中の情報を探る。昨日のことはちゃんと覚えている。

一昨日は……そのまえは?

 

おもいだせない。

ちゃんと過去はあるはずなのに。記憶はあるはずなのに。

昨日と今日の記憶はあるのに。

その前の記憶が抜け落ちたように思い出せない。

いっそ、過去なんてなかったといった方がしっくりくるほどだ。

 

「……どうしたの?」

 

怪訝そうに聞いてくるアイランに、私は正直に話してしまおうと

思った。

 

「……思い出せないの。」

 

少しこえが震えてしまった。

か細い声だと自分で思ったが、どうやら聞こえていたようだ。

 

「……記憶喪失ってこと?」

 

いましゃべっても、声が震えて聞こえないと思うので、

一回だけ、深く、たしかに頷く。

 

「……無理しないほうがいいよ。」

 

きょうはここらへんで、また明日。

アイランはそう言って、部屋をでていった。

 

――そこで、疑問がわいた。

 

「ねえ!アイラン!」

 

ついアイランを呼び止めてしまった。

不思議そうな顔をしてまた部屋に入ってくるアイランに質問をする。

 

「……アイランはどこで寝ているの?」

 

そう。ここはアイランの家。

一人暮らしだとも言っていた。なら、ベッドはアイラン用のこのベッドだけなのではないか?

 

「……あぁ、わたしはね、もう一つベッドがあるから。大丈夫。」

 

心配してくれて、ありがとう。

そう言って、今度こそアイランは部屋をでていった。

 

一人残された私は、夜になっても、なかなか寝付けずにいた。

アイランの言ったことが本当なら、一人暮らしの彼女はなぜ二つベッドを持っているのだろうか。

私は。彼女のことを知らなさすぎる。

なぜ、彼女は見ず知らずの私を助けてくれたのだろうか。

なぜ、私のことを何も聞かないで、それでもここにおいていてくれるのだろうか。

考えはじめるときりがない。

でも、それ以上に、自分のことも、わたしはよくわかっていない。

私はいったいだれなのか。

どこから来たのか。

なぜ、記憶喪失なのか。

 

 

それすらも、わからない。

 

――私はいったい、誰なのだろう?

 

 

 

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