ロクでなし魔術講師と白き大罪の魔術師   作:またたび猫

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皆さん。お久しぶりです‼︎
仕事などで忙しくて時間がなかったので本当に
すみませんでした。


後、前のお話は納得がいかなかったので新たに
作り直しました。すみません…読んでもらえたら
嬉しいです。


そして久しぶりの『ロクでなしシリーズ』なので
どうか是非、読んでいって下さい‼︎


『感想』や『評価』、『投票』そして『しおり』
などもよろしくお願いします‼︎

皆さんの応援メッセージもよろしくお願いします‼︎
豆腐のような脆い精神ですので応援メッセージなど
くれれば創作の意欲にも繋がりますのでよろしく
お願いします‼︎

  

【注意】



この話は『グロい出演や描写』がとても多いです。
それでも大丈夫と言う方だけ見ることをオススメ
します。


それでもし、何かあった場合は『自己責任』で
お願いします。


学院テロ事件編
日常の崩壊


「うぉおおおおおおお!? 

遅刻、遅刻ぅうううううううッ!?」

 

 

 

どこかで見たような光景が、学院へと続く道中で

展開されていた。叫び声の主は言わずもがな、

グレンである。しかも今回ばかりは時計のズレは

ない。正真正銘の寝坊による遅刻だった。

 

 

 

「くそう! 人型全自動目覚まし時計が昨夜から

帝都に出かけていたのを忘れてた!」

 

 

 

パンを口にくわえ、必死に足を動かし、

ひたすら駆ける。

 

 

 

「つーか、なんで休校日にわざわざ授業なぞ

やんなきゃならんのだ!?だから働きたく

なかったんだよっ! ええい、無職万歳!」

 

 

 

とにかく遅刻はまずい。遅刻したら小うるさい

のが一人いるのだ。今は一刻も早く学院に辿り着く

のが先決である。上手く行けば、なんとかぎりぎり

間に合うかもしれない。グレンは居候している

セリカの屋敷から学院までの道のりをひたすら

駆け抜けた。表通りを突っ切り、いくつかの路地裏

を通り抜け、再び表通りへ復帰する。そして学院

への目印となるいつもの十字路に辿り着いた時。

グレンは異変に気づき、ふと、脚を止めていた。

 

 

 

「……っ!?」

 

 

 

不自然なまでに誰もいない。朝とはいえこの時間帯

なら、この十字路には行き交う一般市民の姿が

少なからずあるはずなのだ。なのに、その日に

限っては辺りはしんと静まりかえり、人っ子一人

いない。周囲に人の気配すら感じられない。

明らかに異常だった。

 

 

 

「いや、そもそもこれは……」

 

 

 

間違いない。周囲の要所に微かな魔力痕跡を感じる。

これは人払いの結界だ。この構成ではわずかな時間

しか効力を発揮しないだろうが、結界の有効時間中

は精神防御力の低い一般市民は、この十字路を中心

とした一帯から無意識の内に排除されるだろう。

 

 

 

(……なぜ、こんなものが、ここに?)

 

 

 

危機感がちりちりとこめかみを 焦がすような感覚。

こんな感覚は一年振りになるか。グレンは感覚を

研ぎ澄ませ、周囲に油断なく意識を払う。

 

 

 そして。

 

 

 

「……なんの用だ?」

 

 

 

グレンは静かに威圧するように問う。

 

 

 

「出てきな。そこでこそこそしてんのはバレバレ

だぜ?」

 

 

 

グレンは十字路のある一角へ、突き刺すように

鋭い視線を向けた。

 

 

すると――

 

 

 

「ほう……わかりましたか? たかが第三階梯

(トレデ)の三流魔術師と聞いていましたが……

いやはや、なかなか鋭いじゃありませんか」

 

 

 

空間が蜃気楼のように揺らぎ、その揺らぎの

中から染み出るように男が現れた。

 

 

 

ブラウンの癖っ毛が特徴的な、年齢不詳の小男

だった。

 

 

 

「まずは見事、と褒めておきましょうか。

ですが……アナタ、どうしてそっちを向いている

のです?私はこっちですよ?」

 

 

 

「……………………別に」

 

 

 

 グレンは気まずそうに自分の背後に出現した

男へと改めて振り返る。

 

 

 

「ええーと。一体、どこのどちら様で

ございましょうかね?」

 

 

 

「いえいえ、名乗るほどの者ではございません」

 

 

「用がないなら、どいてくださいませんかね? 

俺、急いでいるんですけど?」

 

 

 

「ははは、大丈夫大丈夫。

急ぐ必要はありませんよ?アナタは焦らず、

ゆっくりと目的地へとお向かい下さい」

 

 

噛み合わない男の言葉に、グレンは露骨に眉を

ひそめた。

 

 

 

「あのな……時間がないっつってんだろ、

聞こえてんのか?」

 

 

 

「だから、大丈夫ですよ。 アナタの行先は

もう変更されたのですから」

 

 

「はぁ?」

 

 

「そう、アナタの新しい行先は……あの世です」

 

 

 

「――っ!?」

 

 

一瞬、グレンが虚を突かれた瞬間、小男の

呪文詠唱が始まった。

 

 

 

「《穢れよ・爛れよ・――」

 

 

 

(や、やべ――ッ!?)

 

 

場に高まっていく魔力を肌に感じ、グレンの

全身から冷や汗が一気に噴き出した。先手を

許してしまった。警戒を怠ったつもりはないが、

これほどまでに問答無用の相手とは予想外だった。

こうなればグレンの三節詠唱ではどんな対抗呪文

(カウンター・スペル)も間に合わない。

 

 

 

(しかも、あの呪文は――)

 

 

 

とある致命的な威力を持つ、二つの魔術の

複合呪文。しかも極限まで呪文が切り詰め

られている。呪文の複合や切り詰めができるのは

超一流の魔術師の証だ。

 

 

 

「――朽ち果てよ》」

 

 

 

小男の呪文が三節で完成する。

その術式に秘められた恐るべき力が今、ここに

解放される――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

樹木と鉄柵で囲まれる魔術学院敷地の正門前に今、

奇妙な二人組がいた。一人はいかにも都会の

チンピラ風な男。もう一人はダークコートに身を

包む紳士然とした男だ。手ぶらなチンピラ男と

異なり、ダークコートの男は巨大なアタッシュ

ケースを手にしている。

 

 

 

「キャレルの奴、上手く殺ったかな?」

 

 

 

「上手くやったに決まっている。

あの男が標的を討ち損じたことがあったか?」

 

 

 

「ケケケ、ねえな。ま、つーことは……」

 

 

 

「今、あの学院校舎内に講師格以上の魔術師は

一人として存在しない」

 

 

 

「ケハハハ! 例のクラスで可愛い可愛い

ヒヨコちゃん達だけがぴよぴよ言ってるワケか!

はーい、よちよち、お兄サン達が可愛がって

あげるよー?」

 

 

 

「キャレルのことは放って置けばいい。

我々は我々の仕事をするぞ」

 

 

 

その二人は言動も装いも、まるで印象正反対な者

同士の組み合わせであり、さぞかし好奇の視線を

集めそうだが、なぜかその日に限っては周囲に人

が誰一人いなかった。

 

 

 

「うーん、レイクの兄貴。やっぱ、オレ達じゃ中に

入れないみたいだぜ?」

 

 

 

チンピラ風の男が、一見、何も阻む物がない

アーチ型の正門に張られている、見えない壁の

ようなものを叩きながらぼやいた。これは学院側

から登録されていない者や、立ち入り許可を受けて

いない者の進入を阻む結界だった。

 

 

 

「遊ぶなジン。早くあの男から送られてきた

解錠呪文を試せ」

 

 

 

「へーいへい」

 

 

 

 と、その時だ。

 

 

 

「おい、アンタ達、何者だ!?」

 

 

正門のすぐ隣に据えられている守衛所から、

守衛が二人の姿を見とがめてやって来る。

 

 

 

「学院敷地内には特殊な結界が施されているぞ。

学院関係者以外は立ち入りが――」

 

 

 

その時、ジンと呼ばれたチンピラ風の男が、

守衛の左胸に指を当て、一言つぶやいた。

 

 

 

「《バチィ》」

 

 

 

その瞬間、守衛はびくんと大きく身を震わせ、

それが不運な彼がこの世界で耳にした最後の言葉

となった。

 

 

 

「えーと、よし、これだな」

 

 

 

打ち捨てられた人形のように倒れ伏した守衛になど

目もくれず、ジンは懐から一枚の符を取り出し、

そこに書かれているルーン語の呪文を読み上げる。

すると、ガラスか何かが砕けるような音が辺りに

響き渡った。

 

 

 

「おおー、事前調査通りじゃん! さっすが!」

 

 

 

門を覆っていた見えない壁がなくなったことを

確認し、ジンが子供のようにはしゃぐ。

 

 

 

「ふっ。あの男の仕事は完璧というわけだ」

 

 

 

「ま、時間かけただけあったもんね。

じゃ、報告と行きますかい」

 

 

 

二人は正門を潜って学院敷地内に侵入。

ジンは懐から半割りの宝石を取り出し、

耳にあてた。

 

 

 

「はいはい、こちらオーケイ、オーケイ。

もう〆ちゃっていいよーん」

 

 

 

数秒後。正門から金属音が響き渡る。

学院を取り囲む結界が再構築されたのだ。

 

 

 

「恐ろしいな、あの男は」

 

 

 

ダークコートの男――レイクが氷の笑みを

浮かべた。

 

 

 

「仮にも帝国公的機関の魔導セキュリティを

こうまで完璧に掌握するとはな」

 

 

 

「執念ってヤツかな? へへ、噂の魔術要塞も

こうなりゃカタナシだぜ」

 

 

 

「さて、行くぞ」

 

 

 

二人は正面を見上げる。左右に翼を広げる

ように別館が立ち並ぶ、魔術学院校舎本館が

そこにあった。

 

 

 

「標的は東館二階のニ‐二教室だ」

 

 

 

「へーいへいっと」

 

 

 

 

そう言いながら、黒いローブの男達は

アルザーノ魔術学院に侵入して行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……遅い!」

 

 

 

システィーナは懐中時計を握りしめる手をぷるぷる

震わせながら唸っていた。現在十時五十五分。

本日の授業開始予定時間は十時三十分。すでに

二十五分が経過している。

 

 

 

なのにグレンは教室に姿を見せない。つまりは、

遅刻だ。

 

 

 

 

「あいつったら……最近は物凄く良い授業を

してくれるから、少しは見直していたのに、

これだから、もう!」

 

 

 

「システィ、うるさい…グレン先生のサボり癖

なんて今に始まったことじゃないでしょ?」

 

 

「そうだけど…‼︎」

 

 

「別に良いじゃん、一日くらいむしろ今まで

よくサボりをしなかったと思うよ? それとも

一度の失敗も許さないの? それってハード過ぎ

でしょ、そんな無理難題を今迄の先生たちにも

押し付けていたんでしょ?」

 

 

 

「そ、それは…‼︎」

 

 

 

「ふ、二人共落ち着いて…」

 

 

 

ルミアはシスティとウィルの二人を必死に宥めた。

そのおかげか前みたいなビンタする程の喧嘩にまで

は発展しなかった。

 

 

 

 

「システィ…ごめん。また、言い過ぎた…」

 

 

 

「わ、私の方こそ、ごめん…少し言い過ぎた…

反省してる…そうね…グレン先生も何か問題が

起きて遅れているかもっていう可能性だって

あり得ない可能性だけど絶対にそうだとも

確実に言い切れないしれないわ…」

 

 

システィがそう言うとルミアは別の話にしようと

別の話を離しはじめた。

 

 

 

 

「で、でも、珍しいよね? 最近、グレン先生、

ずっと遅刻遅刻しないで頑張っていたのに」

 

 

 

ルミアがそう言うとシスティはダラダラと滝の

ように冷や汗を流していた。

 

 

 

「あいつ、まさか今日が休校日だと勘違いしてる

んじゃないでしょうね…?」

 

 

 

「だ、大丈夫だよシスティ‼︎今のグレン先生なら

きっと……「って、ルミアは言っているけど…

どうして目が泳いでいるの?」」

 

 

 

「そ、そんなことは…ナイヨ……」

 

 

「はあぁぁ〜…ルミア、本当にそう思っているなら

まずは今、泳いでいるその目をどうにかしなよ?

それに途中から言葉が片言になってたよ?」

 

 

「ーーッ‼︎」

 

 

ウィルに指摘されて気づいたのか顔の頰の色が

まるで真っ赤な林檎のようになっていき両手で

真っ赤になった顔を隠していた。

 

 

「ルミア? どうしたの…? 」

 

 

ウィルがルミアの顔を覗き込むがルミアは更に

顔を隠していた。

 

 

 

「う、ウィル君…だ、大丈夫だから…今は

こっちを見ないで……」

 

 

 

「え? でもルミア、いつもと様子が明らかに

違うし顔も真っ赤だよ? まさか…病気じゃ⁉︎」

 

 

 

「本当に大丈夫だって…システィ…助けて…」

 

 

 

ルミアはシスティに助けを求めるとシスティは

「はあぁぁ〜…」と溜息をしながら

 

 

「少しは落ち着きなさい‼︎」

 

 

 

「グエッ‼︎」

 

 

 

ウィルの制服の襟元を掴み引っ張りながら

そう言うと

 

 

「で、でも…実際、ルミアの様子がおかしいし…」

 

 

「大丈夫よ、それに貴方が気にしていたら

いつまでたってもルミアも安心出来ないわよ?」

 

 

 

システィがウィルにそう言うとウィルはシスティ

を少しの間、じぃーと見た後

 

 

 

「そこまで言うなら…分かった…」

 

 

ウィルはシスティにそう言った後、先程自分が

座っていた席に座り直した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいつ……ここ最近、ホント人気出てきたわね」

 

 

システィーナがグレンの人気にかなり不機嫌で不満

な顔と愚痴を言ってるとウィルはシスティーナに

呆れて溜息をついてルミアはクスクスと笑いながら

システィーナに聞いた。

 

 

 

「あれ?

先生が人気者になって寂しいのシスティ?」

 

 

 

「な…何言ってんのルミア‼︎」

 

 

「それとも…嫉妬?」

 

 

「もうウィルまで‼︎」

 

 

顔を真っ赤にして二人に対して否定と反論する

システィだったがルミアとウィルの質問攻めは

収まるところを知らず更に増していく

 

「だって、最初に先生の相手したのはシスティ

だったもんね?ケンカばっかりだったけど……」

 

 

 

「そ…そんなじゃないわよ‼︎ 私は…‼︎」

 

 

 

システィーナとルミアが会話していると扉が

勢いよく開く音がした。

 

 

 

『バァン‼︎』

 

 

クラスの全員がその音が鳴った方を見ると黒い

ダークコートを着た二人がいきなり教室に

入って来た。

 

 

 

「ちいーっす。邪魔するぜー」

 

 

「なんだ……」

 

 

「先生の代理か?」

 

 

「そんなん聞いてねーぞ」

 

 

「それに先生の代理にしては……」

 

 

 

 

(こいつらは…まさか‼︎)

 

 

 

生徒達が動揺しながら話しあっている中、ウィル

は何か察したのかダークコートを着た二人に

バレないように警戒しながらもダークコートを

着た二人のうち一人がヘラヘラと笑いながら

生徒達にペラペラと説明を始めた。

 

 

「まずは自己紹介した方がイイかな?

お兄サン達はねまぁ そうだ…簡単に言えば君ら

拘束しに来たテロリストってやつかな?」

 

 

男はヘラヘラと子供のように面白そうに喋って

いるクズたちを見ていたウィルは自分たち学院

の生徒を舐めているのが見ていて分かります。

 

 

 

「ふざけないで下さいこの学院では部外者は

立ち入り禁止ですあなたみたいなチンピラが

どうやって浸入できたかは知りませんがすぐ出て

いかないのなら無力化した後警備官に貴方達を

引き渡します」

 

 

「きゃははつかまっちゃうのボク達⁉︎

いやーん、こわーい‼︎」

 

 

チンピラみたいな男がゲラゲラとシスティーナを

馬鹿にするように笑っているとシスティーナには

どうやらカチンときて

 

 

「……警告しましたからね?」

 

 

 

システィーナはチンピラみたいな男に

【ショック・ボルト】唱えていた。

 

 

《雷精のーー》

 

 

 

「駄目だ‼︎ システィ‼︎」

 

 

 

《ズドン》

 

 

 

ウィルは何か気づいたのかチンピラみたいな男が

呪文を唱えた瞬間、ウィルは何のためらいもなく

全力で走ってシスティーナを庇った瞬間、右肩を

貫いて学院の壁に穴を開けた。

 

 

 

「うがっ‼︎」

 

 

「ウィル‼︎ 」

 

 

「ウィル君‼︎ 大丈夫‼︎」

 

 

ウィルはジンに貫ぬかれた右の肩を抑えて倒れて

いるとウィルの右肩からゆっくりとではあるが血

がじわりじわりと流れ出る痛々し過ぎてまさに見る

に耐えない目の前のあり得ない現実の姿を見て

システィは顔を真っ青にしてルミアはウィルに

近寄っていた。

 

 

「ほーう、学生ごときが俺の改変した第一詠唱の

『ライトニング・ピアス』を避けるとはなかなか

やるじゃねえか」

 

 

 

「『ラ…ライトニング・ピアス…⁉︎』」

 

 

 

「へへっ よく知ってんじゃーんお前ら坊ちゃん

嬢ちゃんは生で見た事ねーだろ?」

 

 

男は口元をニヤリとさせて自慢しながら

答えていく

 

 

「見ためは【ショック・ボルト】によく似てん

だがなこいつの前じゃ鎧も盾も意味を成さねぇ

『正真正銘の人殺しの術だ』」

 

 

チンピラみたいな男が学院の生徒達に満面の笑み

を浮かべていた。

 

 

「う……うわあああ」

 

 

「きゃああああっ‼︎」

 

 

「うるせーなァ おい静かにしろよガキ共」

 

 

チンピラの男は苛立ったのか、かなりの殺気を

出しながら

 

 

『殺すぞ』

 

 

 

男の言葉で学院の生徒は恐怖で支配させていた。

 

 

「そーそー子供は素直が一番だそんじゃ全員

ちょっと集まりな」

 

 

男はシスティーナ達、学院の生徒達を集めている

と男はヘラヘラと学院の生徒達に質問していた。

 

 

 

「さて、この中にさ……ルミアちゃんって

女の子いる?」

 

 

すると学院の生徒達は何故『ルミア』がここで

出てきたのか全く分からなかった。

 

 

「ルミア…?」

 

 

 

「何でルミアが?」

 

 

 

「んー……どれがルミアちゃんだ?」

 

 

 

チンピラみたいな男は面白そうに笑いながら

学院の生徒達を眺めていた。

 

 

「君かな?」

 

 

男が声を掛けた生徒は、眼鏡を掛けた少女、

リンだった。

 

 

「ち…違います…」

 

 

「あっそじゃどの子がルミアちゃんか知ってる?」

 

 

「…し…知りま…せん」

 

 

「ホント? 俺 ウソつき嫌いだよ?」

 

 

男はリンに顔を近づけながら威圧をかけていると

 

 

「貴方達…ルミアって子をどうするつもりなの?」

 

 

 

システィーナは男達に質問していた。

 

 

「おお さっきの何? お前ルミアちゃんを

知ってるの?」

 

 

 

「それとも「私の質問に答えなさい‼︎

貴方達の目的は一体」」

 

 

システィーナは男達の目的を聞き出そうとすると

チンピラみたいな男がそんなシスティーナに

苛立ったのかシスティーナに指差しながら

 

 

 

「ウゼェよ、お前」

 

 

(え…)

 

 

 

《ズドーー》

 

 

 

男が一節詠唱を唱えようとすると

 

 

 

「やめて下さい‼︎」

 

 

 

集められた生徒達の中から大きな声が聞こえた。

 

 

「私がルミアです他の生徒達に手を出すのは

やめて下さい」

 

 

 

「へえ……君がルミアちゃんなんだうん実は

知ってたよ最初から名乗り出るか我が身可愛さで

教える奴が出るまで関係ない奴を一人ずつ殺ってく

ゲームだったんだけどねいやぁークリアが早すぎ

だよつまんないなー」

 

 

ルミアは男の物言いに絶句する。この男は

狂っていた。

 

 

「ああ、安心しな。もうやる気はねーから。だって

ルミアちゃんが名乗り出ちゃた今となっちゃ、もう

ただの一方的な殺しになっちゃうじゃん?保身の

ためにお友達を裏切るか、それともお友達のため

に名乗り出るか……その狭間の顔を見るのが楽しい

んだもんな、コレ! だから、ナイスだったね、

ルミアちゃん。ファインプレー!」

 

 

「外道……ッ!」

 

 

ぱちぱちと拍手する男に、ルミアは普段見せない

ような怒りの灯った視線を向ける。

 

 

「遊びはその辺にしておけ ジン」

 

 

これまで黙っていたダークコートの男が突然口を

開いた。

 

 

「私はその娘をあの男の元へ送り届ける。

お前は第二段階へ移れ。この教室の連中のことは

任せたぞ」

 

 

「あーもう、面倒臭いなぁ。なぁ、レイクの

兄貴ぃ、やっぱこいつら全員に【スペル・シール】

をかけていくの? 別にいいでしょ、こんな雑魚共。

束になって暴れ出した所でオレの敵じゃねえし?

そもそも、もう牙抜かれちまってるじゃん?」

 

 

ジンと呼ばれたチンピラ風の男が教室を睥睨する。

誰もが目を合わせないように視線をそらした。

 

 

「それが当初の計画だ。手筈通りやれ」

 

 

「へーいへい」

 

 

面倒臭そうにチンピラ風の男は頭をかいた。

 

 

 

「ご足労、願えるかな? ルミア嬢」

 

 

 

 

ダークコートの男ーーレイクがルミアを尊大な

態度で見下ろした。

 

 

「拒否権はないんですよね?」

 

 

 

毅然とした態度を崩さず、ルミアが男を真っ直ぐ

にらみ返す。

 

 

「理解が早くて助かる」

 

 

「……少し、彼女と話をさせて下さいませんか?」

 

 

ルミアが床で震えながらへたりこむシスティーナに

眼を向ける。

 

 

「いいだろう。だが、妙な真似はするなよ」

 

 

レイクの一分の油断も隙もない、鋭い視線を全身に

感じながら、ルミアはシスティーナの眼前に膝を

ついてシスティーナに視線を合わせた。

 

 

「……行ってくるね、システィ」

 

 

ジンがルミアに行くように促すとシスティーナは

怯えた声で

 

 

 

「ダ……ダメよ…ルミア……行ったら

殺されるわ…!」

 

 

 

「大丈夫だよシスティ、グレン先生が助けに

来てくれるから…」

 

 

ルミアがシスティーナにそう言うとシスティーナの

頭の上には(?)が何個も浮かんでいた。何でここに

きてグレンの名前が出てくるのが分からなかった。

そんな中、ルミアがシスティーナに触れようとする

とレイクがルミアの首元に剣を突き立ていた。

 

 

 

『貴方が魔術師に触れる事は許さん』

 

 

 

「なぁ、レイクの兄貴。グレン先生って誰?」

 

 

レイクの言葉を受け、ジンが割って入った。

 

 

「このクラスを担当することになった非常勤講師

の名前だろう。それくらい覚えてたおけ」

 

 

「あー、グレンね? あの雑魚キャラのグレンね、

オーケイ、オーケイ思い出した。ケケケ、グレン

先生ツイてないねぇ」

 

 

ルミアがそう言えば、ジンが『先生は取り込んで

いる』と言っていたことを思い出した。

 

 

「あなた達……グレン先生に一体、

何をしたんですか?」

 

 

 

 

あー、そのグレン先生なら、 俺達の仲間が

ブッ殺したよ」

 

 

 

「なーー」

 

 

「⁉︎」【クラス全員】

 

 

 

「錬金改【酸毒刺雨】っつー魔術の使い当初から

手キャレルって男だ毒と酸を合わせた悪趣味な

術なんだがこいつでやられた獲物は本当にひでえ

になるから俺もドン引きでさー今ごろどっかで

身元不明のグロ死体があがってるころだろうぜ」

 

 

 

 

 

「せ…先生が…ウソ…そんな…」

 

 

 

システィーナはジンのそんな絶望的な事実を

告げられ絶望していた。

 

 

「無用な期待をせずにすんだなそれでは

来てもらおうか」

 

 

レイクはルミアにそう告げるとルミアは絶望

どころか目の光はまだ消えておらず、それどころか

希望を信じて続けてるようだった。

 

 

 

「私は彼女をあの男の所へ連れて行く

お前は生徒達に【スペル・シール】で封じておけ」

 

 

 

「了解」

 

 

ジンとレイクのやりとり終えた後、ルミアとレイク

が教室を出て階段を降って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルミアはレイクに警戒しながらも恐る恐ると

質問をする。

 

 

「あなた達の目的はなんですか?私のような者に

一体、何の用があるんですか?

 

 

 

「それはあなた自身がよくご存知だろう?

ルミア……いや、『エルミアナ王女』」

 

 

 

「ーーっ!」

 

 

エルミアナと呼ばれて息を飲むが、すぐに冷静さ

を取り戻して静かに言う。

 

 

 

「私の素性をあなた達がどこで知ったかは

知りません。ですが先に言っておきますけど

私にはもう王女としての価値はありませんよ?」

 

 

「それは知っているあなたは本来、生きていては

ならぬないはずの存在だ。だが現在女王の

アリシア七世の温情によって、貴女はここにいる」

 

 

 

レイクはそっけなく応じ、値踏みするような

冷たい目を肩越しにルミアへと向けた。

 

 

「いないはずなのに、いる。

そこに貴女を利用する価値がある」

 

 

「……っ⁉︎」

 

 

 

「貴女のような廃棄された忌むべき存在でも、

然るべき機会で使えば、現在の王家、帝国政府を

揺さぶることも不可能ではない。それに……貴女の

特性には我が組織の幹部達もおおいに興味を持って

おいでだ。安心しろ。貴女は珍しいからそう邪険

には扱われないだろう。最悪でも標本止まりだ。

これは幸運だと言ってもいい」

 

 

「そんなーー」

 

 

こらえ難い悪寒と共にルミアは肩を抱いた。

この人間を乖離した意識の差異に、生理的嫌悪感を

覚える。

 

 

「あなた達の目的が私だということは

わかりました。だったら皆は関係ないはず…

システィを…皆を解放してあげてください!」

 

 

 

 

「やはりたいした女だ、貴女は。こう聞かされて

まだ人を気遣うとは。やはり血筋か」

 

 

感心したようにレイクが応じる。

 

 

 

「だが、残念ながらそれはできない相談だ。」

 

 

「せっかく卵といえど活きの良い若い魔術師達が

大量に手に入ったのだ。彼らを実験材料にしたい

と申し出ている仲間がいる」

 

 

 

「そ……そんな……あなた達はそれでも人間

なんですか⁉︎」

 

 

 

 

「人間? 何を馬鹿な。 魔術師さ」

 

 

 

 

もう話しは終わりだと言わんばかりに、レイクが

これ以降口を開くことはなかった。

 

 

 

 

「先生……グレン先生……」

 

 

 

そう言ってレイクとルミアはそのまま廊下を

歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと俺もやることやっとかないと後で

レイクの兄貴にとやかく言われちまうからなぁ…」

 

 

ジンはそう言うとシスティなどの生徒達の殆どが

【スペル・シール】で封じられて残ったのはウィル

だけだったのか視線をウィルに向ける。

 

 

「まあ、俺の【ライトニング・ピアス】で右肩を

深々と貫かれたんだだから大丈夫だろうがな」

 

 

ジンはニヤリと悪魔のような狂気的な満面の笑み

を表情を浮かべた後、視線をシスティに向けて

いた。

 

 

「お? こいつはなかなかの上玉じゃあねえか‼︎

新鮮なうちに食っとかねーと勿体ねーよな?」

 

 

「い、嫌‼︎ は、離して‼︎」

 

 

ジンはそう言って【スペル・シール】を貼られて

嫌がるシスティを無理矢理引き寄せて別の場所に

連れて行こうとしていると

 

 

「ほーう、俺の【ライトニング・ピアス】を間近で

受けたのに立つとはなかなかやるじゃねえか?」

 

 

「………」

 

 

ジンは背後に気配に気付いて振り返ると血塗れの

ウィルの姿を見て一瞬だが少し驚いた表情をして

いたがその後、ジンは面白いといった表情を浮かべ

 

 

《ズドーー》

 

 

《霧散せよーー》

 

 

「ぐっ‼︎ こ、こいつ‼︎」

 

 

ジンがウィルに『ライトニング・ピアス』を放とう

とするとウィルはジンの『ライトニング・ピアス』

の一説詠唱を察したのか『ディスペル・フォース』

で霧散させてジンに勢いに身を任せて体当たりして

押し倒した後、ジンの身体に跨った。

 

 

 

「ドキやがれ‼︎ こんのクソ餓鬼がーーー‼︎」

 

 

ジンは喚き散らしジタバタと暴れるがウィルは必死

になりながらもジンを押さえ込んでいた。

 

 

(こんな餓鬼さっさと引っぺがして俺の一説詠唱の

『ライトニング・ピアス』で串刺しにしてやる‼︎)

 

 

ジンは憎たらしそうにウィルを睨みつけながら

必死に引き剥がそうとするが

 

 

「さっさとドキや…ぐっ‼︎ がはっ‼︎」

 

 

ジンが言おうとした瞬間ウィルはジンの顔面を

殴りつけた。

 

 

「う、ウィル……?」

 

 

 

システィは恐る恐ると顔色を真っ青ににしながら

ウィルの名前を呼ぶ。もちろん目の前にいる男も

怖くてしょうがなかったが目の前のウィルという

人物が本当に自分達と同じ人であり同じ人間なのか

と、彼に感情はあるのかとさえ疑ってしまう。

 

 

 

(ウィル…貴方、どうして…どうして……)

 

 

 

何故ならーーー

 

 

 

 

 

 

(今にも殺されるかもしれないのにどうして…

どうして…『当たり前のように冷静な表情』で

落ち着いていられるの……?)

 

 

 

システィは目の前で起きていることに怯え恐怖で

体が震えて動けなかった。それはシスティだけでは

なかった。カッシュやギイブル、そしてウェンディ

などの生徒たちが同じ考えだったようで目の前の男

も怖かったが同じ学院の生徒であるはずのウィル

にもとてつもなく恐怖の存在として見えていたの

だろう。

 

 

 

ウィルがジンを殴り続けているとジンの血がウィル

の白くて綺麗な頰にべちゃとついてしまいそれに

気付いたウィルは血がついた頰を触る。

 

 

いつも見慣れている外道魔術師の血だ。

何の問題もない。何も問題は……

 

 

そう考えていたウィルは何の迷いや躊躇いなく

ジンの顔を何度も何度も殴りつけたその拳を

振り上げた時、視界に怯えて顔色が真っ青してる

システィを見た瞬間、

 

 

 

「ーーッ‼︎」

 

 

 

問題はないはずなのに…何故、何故……

 

 

 

『震えているんだ…?』

 

 

 

今迄こんなこと一度も無かったのに…どうして?

 

 

 

ウィルが手や身体の震えを必死になって止めようと

するが混乱してるせいか鈍くなった思考を必死に

巡らせて考えていると

 

 

 

「う‼︎ うぐっ‼︎」

 

 

 

いきなり激しい頭痛がしてまるで重い鈍器のような

物で何度もおもいっきり叩きつけられたような

激しい痛みがして頭を抱えて蹲ってしまう。

 

 

 

「な、なん、なんだ……」

 

 

「…よ、◼️◼️◼️◼️……◼️◼️、◼️…が◼️◼️に

◼️◼️が◼️◼️◼️◼️◼️で………◼️◼️君…◼️◼️◼️

まで、◼️◼️て…」

 

 

 

(なんなんだ…この記憶は…それに、なんなんだ

この感覚は‼︎‼︎)

 

 

ウィルにとって未知で処理しきれない感覚(感情)

に更に恐怖していた。

 

 

 

何故だ…? 何故……あの時システィを見た瞬間、

頭の中は激しく打ち付けられたような痛みがきた。

ということは…僕は昔、どこかでシスティと会った

ことがあるのか……?

 

 

 

そんな中ジンは自分を抑えつけていたウィル力が

弱まったのに気付いたのかウィルを払い除ける。

 

 

「ふざけてんじゃねーぞ‼︎このクソ餓鬼がーー‼︎‼︎

テメェはさっさと死んでくたばりやがれ‼︎」

 

 

 

ジンは先程ウィルに殴られて苛ついていたのか感情

に身を任せて一節詠唱の『ライトニング・ピアス』

を詠唱して複数の『ライトニング・ピアス』が

ウィルの身体を刺し貫いていく

 

 

「オラ‼︎ オラ‼︎ 俺を殴りつけて余裕ぶっていた

あの威勢は一体どこにいきやがった‼︎ ああん?」

 

 

 

ジンは激昂して先程の『ライトニング・ピアス』

だけでは足りなかったのか更に先程詠唱した倍の

『ライトニング・ピアス』を詠唱してその複数の

『ライトニング・ピアス』が容赦なくウィルの身体

が貫かれて目の前で倒れている血塗れで更にかなり

の出血多量に近いぐらいのウィルに近づいて先程の

憂さを晴らす為か『ライトニング・ピアス』で

貫かれた腹部を何度も何度も踏み付けていく。

 

 

「おいおい‼︎ なんか言ったらどうだ‼︎ なあ‼︎」

 

 

「がはぁ‼︎」

 

 

 

ジンは更に追い討ちをかける様に最後に踏み付け

てボロ雑巾の様になってしまったウィルの身体を

おもいっきり蹴り上げる。

 

 

 

「や、やめ…やめなさい‼︎」

 

 

「……あ?」

 

 

システィは怯えながらもジンを止める。

 

 

「今、俺に言ったのか……?」

 

 

 

「そ、そうよ…‼︎ 弱って動けない傷だらけの人間

を踏み付けて何が楽しいのよ‼︎ 馬鹿じゃないの‼︎」

 

 

 

システィは怯えながらもジンに言うがシスティの

いまの気持ちは

 

 

 

『怖い』ただそれだけだった。

 

 

 

 

でも、それでも、私は魔術の名門フィーベル家の

次期当主として魔術をおとしめる輩を看過する

ことは決してできない。

 

 

 

「テメェ…やっぱり、ウゼェわ……」

 

 

「ーーッ‼︎」

 

 

 

システィがそう言うとジンは人差し指をらさ先程

とは非にならないぐらいの今にも殺さんとばかりの

凄い殺意をシスティに向けていた。

 

 

 

 

《ズドーー》

 

 

 

《霧散せよーー》

 

 

 

「ちぃ…‼︎ クソが‼︎ 」

 

 

その瞬間、ジンの背後から声が聞こえて振り返ると

ウィルがいて右手には羽ペンが握られていた。

 

 

 

「テメェまだ生きてやがったのかよ…いい加減に

さっさとーー「お前がくたばれ…」」

 

 

 

ジンが舌打ちしながらそう言おうとするとウィル

はジンが話を最後まで聞かずにジンの背後に回り

込んで容赦なく首を締め付けて更には肩の辺りに

羽ペンで何度も何度も刺し続ける。

 

 

「クソがぁ…クソがぁーー‼︎‼︎ 

ナメてんじゃねぇぞ‼︎ このクソガキがーー‼︎‼︎」

 

 

 

だが、ジンも負けずと肘でウィルの腹部を何度も

打ち付けてくる。

 

 

 

「ぐ、ぐふっ…あがっ‼︎」

 

 

 

 

肘で打ち付けられたせいかジンを締め付けていた

腕の力が弱いなってしまい、ましてや大人と学生の

体格などのせいで振り解かれてしまう。

 

 

 

「そんなに死にたいならお前から殺してやるよ‼︎」

 

 

 

ジンは「ハァ…ハァ…」と息を荒くしながらも

ニヤリと口角を上げて狂気的な笑顔をさせながら

そう言ってジンの得意であり十八番《ズドン》と

軍用魔術である『ライトニング・ピアス』を

一節詠唱してウィル身体に一発二発と容赦なく

打ち込んでいくる。

 

 

 

「テメェは何発打ち込めば死ぬんだろう、な‼︎」

 

 

 

「うがぁ‼︎」

 

 

 

ジンはそう言ってウィルに更に打ち込んでくる。

 

 

 

「お願い‼︎ もうやめて‼︎ ウィルが‼︎ ウィルが

死んじゃうわ‼︎」

 

 

 

システィが言う通りだった。ウィルの身体はすり傷

や擦り傷、更には致命傷に近い傷がいっぱいで

フラフラな千鳥足になりながらも窓にもたれるので

精一杯だった。もし、システィがその場で止めて

なければ間違いなくウィルは死んでいただろう。

 

 

 

「ふーん、そうなんだ。でも残念だけど俺には

関係ないし興味もないわ」

 

 

 

ジンがシスティに笑顔でそう言った後、《ズドン》

と『ライトニング・ピアス』の一説詠唱を唱えた

後、窓のガラスはパリーンと音を立てて破れた後、

ウィルの身体は破れた窓から落ちていった。

 

 

 

「ウィルーーー‼︎‼︎」

 

 

 

システィが泣きながらウィルの名前を呼んで必死に

手を伸ばすがギリギリで届かず助けられなかった。

 

 

 

 

(システィ…どうしてそんな悲しそうな顔をして

いるの…? それに…どうして泣いているの…?)

 

 

 

「システーー」

 

 

 

ぐちゃりーー

 

 

ウィルがそう呟いた瞬間、生々しい鈍い音がして

目の前の視界が真っ暗になって意識が途切れた。




読んで頂きありがとうございました‼︎
これからも『落第騎士と幻影の騎士』や
『◼️◼️◼️の精霊』や『隠密者が斬る!』
『ロクでなし魔術講師と死神魔術師』をこれからも
よろしくお願いします‼︎

本当に読んでいただきありがとうございました‼︎

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