ロクでなし魔術講師と白き大罪の魔術師   作:灰ノ愚者

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皆さまどうもお久しぶりです‼︎


書き上げる事が出来たので是非とも見ていただけたら
ありがたいです‼︎



【評価】や【感想】更に【意見】など
ありましたらよろしくお願いします‼︎


アルザーノ学院編
回り出す世界の歯車


 

それは、とある早朝の一風景。

 

 

「なんつーかさ。俺、つくづく思うんだよ。

働いたら負けだなって」

 

 

長き修行の果てに悟りを開いた聖者のような

表情で男——グレンは言った。気だるげに頬杖を

つきながら、テーブルを挟んで正面に腰かける

妙齢の女に穏やかな視線を送る。

 

 

「お前のおかげで俺は生きている。

お前がいてくれて本当によかった」

 

 

グレンの視線を受け、女は優雅な振る舞いで

組んでいた足を組み変えると、ティーカップを

傾けながらこう返した。

 

 

「ふ、そうか。死ねよ、穀潰し」

 

 

さらりと毒を吐く女の細面には、可憐な微笑が

花咲いていた。

 

 

「あっはっは! セリカは厳しいなぁ!

……あ、おかわり」

 

 

グレンはあっけらかんと笑い飛ばしながら、

空になったスープの皿をずいっと目の前の女——

セリカの鼻先に突きつける。

 

 

「清々しいな、お前は」

 

 

セリカは遠い何かに憧れるような表情で、

やはり微笑んでいる。

 

 

「普通、働きもしない居候って、もうちょっと

謙虚になるもんな」

 

 

「あー、今日のメシはちょっと塩味が

きつかったぞ? 俺はもっと薄味の方がいいね」

 

 

「その上、ダメ出しとは恐れ入る」

 

 

 セリカはしばらくの間、にこにこと笑って——

 

 

「《まぁ・とにかく・爆ぜろ》」

 

 

不意にルーン語で三節の奇妙な呪文を唱えた。

その刹那、耳をつんざく爆音が轟き、視界を紅蓮の

衝撃が埋め尽くす。セリカが唱えた呪文によって

起動した魔術の爆風が、グレンを容赦なく

吹き飛ばしたのだ。その余波で高価な調度品が

並ぶ豪華な食堂は一瞬にして無惨に半壊した。

 

 

「ば、馬鹿野郎! お前、俺を殺す気か⁉︎」

 

 

真っ黒焦げになったグレンが床で、ごほごほと

咳き込みながら、わめき散らす。

 

 

「殺す? 違うな。ゴミをかたす行為は掃除と

言うんだぞ? グレン」

 

 

「子供の間違いを優しく諭す母親みたいなノリで

ひどいこと言うな⁉︎ せめて人間扱いして

下さい!」

 

 

口の減らないグレンに、セリカは肩を落として

ため息をついた。

 

 

社会的負け犬然としたグレンとは対照的に、

セリカはいかにも超然とした美女だ。

 

 

 

外見は二十歳ほどだろうか。黄昏に燃える

麦穂のように豪奢な金髪、鮮血を想起させる

真紅の瞳。その相貌は間近からのぞき込めば、

思わずぞっとするほど見目麗しく整っており、

仄かに漂う妖しい色香が魔性を感じさせる。

すらりと伸びる手足が艶めかしいその肢体は、

まるで美術モデルのように、いかにも女性らしく

過不足ない完璧なプロポーションを誇っている。

身にまとうは丈長の黒いドレス・ローブ。

貞淑な雰囲気を漂わせながらも、開放された

胸元や、ベルトで強調されたボディラインは

それを超えてなお、艶美。

 

 

なんとも派手で妖艶な出で立ちだが、それを

着慣らす圧倒的な器量と華がある——セリカは

そんな、どこか浮き世離れした雰囲気の娘だ。

しかし、その全身から醸し出される風格は高貴で

誇り高い貴族のそれであり、さらに言えば二人が

住む、この山のように大きな貴族屋敷の主人も

セリカであり、グレンは単なる居候に過ぎない。

 

 

二人の社会的地位の格差は素人目にも歴然と

していた。

 

 

「それはそうと、なぁ、グレン……

お前、いい加減に仕事探さないか?」

 

 

セリカは真紅の瞳で、真っ直ぐとグレンを見下ろし

ながら言った。

 

 

よろよろ起き上がろうとしていたグレンの動きが

一瞬止まる。

 

 

「お前が前の仕事を辞めて、私の家の居候になって

から早一年。お前は毎日毎日、食って寝て、食って

寝て、何をするでもなくぼんやりとするばかり。

寿命の無駄遣いだぞ?」

 

 

ため息混じりのセリカに、グレンはやおら胸を

張り、自信満々に応じた。

 

 

「大丈夫。俺は今の自分が好きだ。社会の歯車と

して緩慢に死に続けていた昔の俺より、今の俺の方

がずっと輝いている!」

 

 

「何とどう比較したら、引きこもりの無駄メシ

喰らいな生き様の方が輝いていることになるんだ、

もう死ね、頼むから」

 

 

爽やかな笑顔で親指すら立てて見せるグレンに、

もはやセリカは呆れるしかなかった。

 

 

「まったくお前と言う奴は……昔のよしみでお前

の面倒を見てやっている私に少しは申し訳ないと

思わないのか?」

 

 

「ふっ、何を水臭い。俺とお前の仲だろ?」

 

 

「《其は摂理の円環へと帰還せよ・

五素は五素に・象と理を……》」

 

 

流石にキレたらしい。セリカは据わった目で

何やら物騒な呪文を唱え始める。

 

 

 

「ちょ⁉︎ それ、【イクスティンクション・レイ】

の呪文じゃねえか⁉︎ ま、待て⁉︎ それだけは

やめて⁉︎ 粉々になっちゃう⁉︎

嫌ァアアア——ッ⁉︎」

 

 

 

それを見たグレンは高速で後退りし、焼け焦げた

壁を背に声を裏返して悲鳴を上げた。 セリカは

そんな情けないことこの上ない グレンの姿を前に、

直接手を下すのもアホらしいとばかりに起動しかけて

いた魔術を解除した。

 

 

 

「まぁ、いい。お前ごときを魔術で処分するなんて

それは魔術に対する冒涜だからな。ゴキブリに伝説

の剣を向けるようなものだ」

 

 

「ひどくね? それ。ゴキブリに失礼だろ」

 

 

「そっちかよ⁉︎ 一応自覚はあるのか、

タチ悪いな、お前は!」

 

 

どっと疲れたように、セリカはがくんと頭を

垂れる。

 

 

「まぁ、とにかくだ。そろそろお前も前に進む

べきだと思う。いつまでもこうして時間を無駄にし

続けるわけにもいくまい? お前自身も本当は

わかっているんだろう?」

 

 

「つってもなぁ……今さら働くとして……一体、

俺、何をやればいいんだ?」

 

 

グレンは子供のようにふて腐れてそっぽを向く。

 

 

「お前がそう言うだろうことはわかっていた。

だから、ここは一つ、私がお前に仕事を斡旋

してやろう」

 

 

「仕事?」

 

 

「ああ。実は今、アルザーノ帝国魔術学院の講師枠

が、ちょうど一つ空いてしまってな」

 

 

「魔術学院?」

 

 

グレンが怪訝そうに眉をひそめる。

 

 

「急な人事だったものだから、当分、代えの講師

が用意できないんだ。で、だ。お前にしばらくの

間、非常勤講師を務めてもらおうかと思っている」

 

 

「ちょっと待てよ。そこで、なんで俺なんだよ?

あの学院、どうせ暇を持て余した暇人な教授共が

たむろってんだろ?そいつらに臨時講師やらせりゃ

いーじゃねーか?」

 

 

「まぁ、そう言うな。私達教授陣は近々帝都で

開催される帝国総合魔術学会への参加準備で皆

忙しいんだ。残念ながら今の時期、生徒達に

かまっている余裕はない」

 

 

「あー、そういえばそんな時期か」

 

 

「とにかくだ。期間は一カ月、給与も特別に正式な

講師並に出るよう計らう。一カ月のお前の働き次第

で正式な講師に格上げすることも考えよう。

どうだ? 悪くない話だろ?」

 

 

考えるまでもなく破格の条件だが、グレンは

憂いに表情を曇らせていた。

 

 

「ふん……」

 

 

今までのふざけた調子をひそめ、自嘲気味に

鼻で笑うと窓際へと歩いていく。

 

 

「……無理だな」

 

 

窓越しに遠くを見つめながらグレンはつぶやいた。

霞がかった朝空はどこまでも蒼い。窓の外には

いつものように鋭角の屋根の建物が立ち並ぶ

古風な町並みと——そして、その遙かなる上空に

浮かぶ、半透明の巨大な古城の偉容があった。

荘厳かつ勇壮な姿を誇るその古城の名は

『メルガリウスの天空城』——この都市フェジテの

象徴であり、近づくことも触れることも叶わぬ、

なにゆえその城が空にあって、いつからそこに

見えていたのかもはっきりしない、幻影の城だ。

 

 

「無理? なぜだ? グレン」

 

 

「わかるだろ? 俺には誰かを教える

資格なんてないさ……」

 

 

そう語るグレンの背中はどこか寂しげに

煤けていた。

 

 

「そりゃ、資格ないよな。だって、お前、

教職免許持ってないし」

 

 

「やめてよね、人がせっかく渋く決めてんのに

現実を突きつけんの」

 

 

的確なセリカの突っ込みに、グレンは不満そうに

唇を尖らせ抗議する。

 

 

「ま、資格うんぬんに関しては安心しろ。

学院内における私の地位と権限でどうにでもなる」

 

 

「ちょ、おい⁉︎ 職権乱用⁉︎」

 

 

「魔術講師としてのお前の能力は問題ないはずだ。

お前だって昔はそれなりに沢山、魔術をかじって

たんだからな。どうだ? やってみないか?」

 

 

「どうしようかな……よーし、 ボクちょっぴり

不安だけど、ここは一つ、思い切って

断っちゃおうかな♪」

 

 

立てた人差し指を唇に当てて首をかしげる、

女の子がやれば可愛い仕草をするグレン。

 

 

「この上なくキモウザイなそのリアクション。

しかも断るのか。心底、死ねと思った」

 

 

 

ぴきぴき、とセリカのこめかみに青筋が走った。

忍耐の限界も近そうである。

 

 

「ちなみに、お前に拒否権はないからな」

 

 

「ほう? 嫌だと言ったら?」

 

 

「稲妻に撃たれるのが好みか? 

それとも炎でバーベキュー? 

あぁ、氷漬けも候補としてあげようか?」

 

 

「ふっ、言葉が通じなければすぐ暴力か? 

それが根本的な解決になるのか?」

 

 

「忌々しいほど正論だが、

お前に言われたくないわ!」

 

 

すごご、と凄まじい魔力がセリカの掌に

集まっていく。

 

 

「馬鹿が。まだお前は俺の本当の恐ろしさを

わかっていないようだな……」

 

 

だが、グレンはそれに微塵たりとも

臆せず不敵に笑って、セリカに向き直る。

 

 

「お前は知っているはずだ。

俺が『その気』になれば、お前程度の魔術師など、

どうとでもできてしまうということを——」

 

 

「——ち」

 

 

グレンの言葉はセリカの表情に微かな緊張を

走らせた。

 

 

「お前の安い脅しは俺を『その気』にさせて

しまっただけだ——ッ!」

 

 

 言うが早いか、グレンは床を蹴り、

天井すれすれまで跳躍する。そのまま、

ふわりと鮮やかに背面宙返りをして——

セリカの足下に、両膝と両手と額で着地した。

 

 

 

「養ってくださいッ!」

 

 

 

見事なフライング土下座だった。

 

 

 

「……確かに私はお前に戦慄を覚えた」

 

 

 

「お願いしますセリカさん! 

俺、絶対に働きたくないんです⁉︎

どうか養って下さぁあああいッ⁉︎

靴でもなんでも舐めますからッ!」

 

 

 

「もうね……お前、人間としての誇りないの?」

 

 

 

「馬鹿が! 誇りでメシが食えるのか⁉︎ 

あぁ⁉︎ 言ってみろコラ⁉︎」

 

 

「よりにもよって逆ギレか。

もう、ホント殺したい」

 

 

「……ふっ、お前に俺を養う権利をやろう」

 

 

「死ね!」

 

 

土下座の体勢から見上げてくるグレンの顔面を、

セリカは容赦なく踏んづけた。人には図太さで

知られるセリカも、もはや涙目だった。

 

 

「ええい、とにかく働け!働かないなら

もう出て行け!出て行かないならマジで分解

してやるぞ⁉︎ 私、もうお前のそんな情けない

姿を見るのこりごりなんだよ⁉︎」

 

 

「あ、悪魔かお前は⁉︎ 俺は別に世界の平和

なんて大それたことは望んじゃいない!ただ、

ごく普通の平穏と幸せな平和的引きこもり生活を

続けたい、それだけなんだ! そんなささやか願い

を抱くのも罪なのか⁉︎ 大体、お前、俺を一生養う

だけの金なんて余裕で持ってるんだから

いいじゃん⁉︎」

 

 

グレンは何ら悪びれることもなくダメ人間ぶりを

発揮し続けている。

 

 

「それに、お前も知ってるだろ⁉︎ 俺が魔術の

ことを、名前を聞くのも嫌なくらいに大っ嫌い

だってことを!」

 

 

「……グレン」

 

 

「とにかく俺はもう、絶対! 金輪際!二度と

魔術なんかに関わらないからな! へーんだ!

魔術講師なんかやるくらいだったら道端で物乞い

でもやってる方がマシ——」

 

 

 

《其は摂理の円環へと帰還せよ・五素は五素に・

象と理を紡ぐ縁は乖離せよ》

 

 

 

セリカが口早に呪文を紡いだ刹那、グレンの

かたわらを光の波動が駆け抜け、何かが空間に

吸い込まれるような音が壮絶に響き渡った。

 

 

グレンが波動の駆け抜けていった方向に目をやると、

自分のすぐ横の壁に滑らかな切断面を持つ円形の大穴

がごっそりと開いていた。明らかに物理的な破壊の

結果ではない。言わば、消滅とでも表現すべき超常的

な現象——魔術の為せる業だった。

 

 

「ち……狙いが甘かったか」

 

 

口をぱくぱくさせて硬直するグレンに、

セリカは据わった目と掌を向けた。

 

 

「次は外さん……《其は摂理の円環へと帰還せよ・

五素は五素に・象と理を……」

 

 

 

「ま、ママぁあああああああ——ッ⁉︎」

 

 

 

こうして、半ば強制的にグレンの再就職先はその場で

決まったのであった。グレンが一年ぶりにやっと手に

した職は、栄えあるアルザーノ帝国魔術学院の非常勤

講師。一ヶ月という期間限定のなんとも将来的に不安

が残る職だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、アルザーノ帝国の特務分室の方では礼服を

羽織っている一人の白髪で水色の瞳の少年が

歩いていると

 

 

「おい、アイツって……」

 

 

「ああ、間違いない。

奴は『例の特務分室の執行官』だ……」

 

 

宗教国家レザリア王国の侵略併合行為や

天の智慧研究会によるテロ行為に悩まされ

続けているほか、帝国政府内でも国軍省や

強硬派議員からなる「武断派」と魔道省や

穏健派議員からなる「文治派」との諍いがある

多くの周りの二つの勢力の人間達が少年を見て

ひそひそと話していた。

 

 

 

「相変わらず、つまらない人達だな……」

 

 

 

少年はつまらない物を見るようにひそひそと

話す周りの人間達を見ていると

 

 

 

 

「そう言ってやるな……」

 

 

少年の後ろから声がして振り返るといかにも

真面目そうな男が立っていた。

 

 

「アルベルト=ブレイザー……さん?」

 

 

少年がそう答えるとアルベルトと呼ばれた男は

少し困った表情で

 

 

「フルネームで呼ぶな……普通にアルベルトと

呼んでも構わんと前にも俺は言った筈だが?」

 

 

 

「そうでしたね……そう言えば、アルベルトさんも

確か任務でしたよね? それに顔色もあまりにも

良くないみたいですし……そんなに大変な任務

だったのですか?」

 

 

 

少年がそう聞くとアルベルトは溜息をつきながら

淡々と話し始める。

 

 

 

 

「俺の今のパートナーはあの『リィエル』

だからな……」

 

 

「あー……納得しました……」

 

 

少年はそう言うとアルベルトの後ろの方の廊下で

物凄い足音がこちらに近づいてくるのが遠くから

嫌でも分かった。

 

 

「アルベルトさん……この騒ぎはまさか……」

 

 

 

「言うな……貴様が言いたい事は分かっている」

 

 

 

アルベルトが頭を抱えて白髪の少年にそう言って

いると

 

 

 

「いいいいやぁああああ──ッ!」

 

 

 

一人の少女が少年に向かって叫びながら

十字の大剣で斬りかかってきた。

 

 

「やれやれ……」

 

 

 

少年はそう言うと少年は帝国式軍隊格闘術の構えを

して少女のスピードを利用して少女を一瞬にして

軽々と壁に向けて投げ飛ばした。すると少女は勢い

を殺しきれなかったのか背中から壁に当って壁が

めり込んで十字の大剣を地面に落として気絶していた。

 

 

 

「きゃう〜〜……」

 

 

 

そんな状況を見たアルベルトは右手を額に当てて

やれやれとした表情を浮かべながら

 

 

 

「おい、これはいくらなんでもやりすぎだ……」

 

 

アルベルトがそう言うと少年は溜息をつきながら

弁解していた。

 

 

「じゃあ、アルベルトさんはこれ以外で最小限に

この猪突猛進のリィエルを抑える最善の策あると

思いますか?」

 

 

「……すまん、ないな」

 

 

アルベルトがそう言うと少年は何か思い出した

表情で

 

 

「あ! そうでした。イヴ室長に次の任務について

の呼び出しで今から室長室に急いで向かっている

所でした。では失礼します」

 

 

「……待て」

 

 

「どうしたんですか、アルベルトさん?」

 

 

少年がアルベルトにそう言うとアルベルトは

少年に一つだけ質問していた。

 

 

「貴様は昔から知りたがっていた『心』について

何か知り、理解する事が出来たのか? 貴様ほどの

優秀な魔術師だ。もう『心』をもう理解している

んじゃないのか?」

 

 

アルベルトが少年聞くと少年は

 

 

「アルベルトさん。分かっていると思いますが

僕のこれは人間達の意思疎通を解析しただけの

ただの表面だけ知識での追跡(トレース)模倣(エミュレート)ですよ? 

機械的みたいな 発音はイヴ室長がそれでは駄目

だと言われたのでやめてます。それに残念ながら

『心』について本などで調べてはみましたが残念

な事に何も知る事が出来ませんでした」

 

 

「そうか……」

 

 

「まぁ、今になっては『心』なんて見えなくて

不明瞭な物は別にもうどうでもいい事ですから、

それに『心』とか『感情』を知らなくても僕の

生命活動には問題はありませんので大丈夫です」

 

 

少年は無表情で更に光なき瞳でアルベルトに

そう言うとアルベルトは少年の言葉を聞いて

申し訳ないと思ったのか「すまん」と一言を

そう言うと少年は何も気にしていないのか平然と

した表情で「大丈夫です。問題ありませんので」

と言って「では、アルベルトさん失礼します」と

言って少年はアルベルトから去っていくと

アルベルトは空の色を見ながら一人事を

無意識に呟いていた。

 

 

「俺の責任だ……すまない。セラ……」

 

 

そう呟いたアルベルトの表情は何処か暗く

申し訳なさそうに顔を伏せていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「失礼します」

 

 

少年はそう言って室長室に入ると室長室には

赤髪の女性が高級な椅子の上に座っていた。

 

 

「遅かったわね?」

 

 

女性がそう言ってニヤリとさせて少年にそう言うと

少年は少し困った表情で

 

 

「向かう途中でいきなりリィエルに襲われたから

ですよ。イヴ室長?」

 

 

少年がそう言うとイヴは「あっそう」と

一瞬にして切り捨てて更に話しを続けた。

 

 

貴族達による国家運営への干渉が激しく、

特に治安部門は上層部と繋がりの深い

イグナイト家によって牛耳られている。

実は職員達の制服の徽章は全てイグナイト家に

よって魔術的な工作がされており、治安関係に

関係する情報は全てイグナイト家に筒抜けの

状態になっている。混交玉石の情報も存在するが、

これによって帝国を支える功績のほとんどは

イグナイト家が独占する状況となっていた。

 

 

「んで…一体、なんのようですか?って言っても

任務しかないですよね。イヴ室長?」

 

 

「流石ね。話しが早くて本当に助かるわ。

てっきり貴方も他の奴らみたいにあっさりと

断るかと思ったわよ?」

 

 

イヴが少年に言うと少年は無表情だが、

呆れた声で淡々と話しを続ける。

 

 

「イヴ室長…貴方は僕の事を勘違いしているみたい

だから改めて言いますが僕は心なき機械であり、

道具だ…故に、命令を補正を要請する…僕はただ

それだけの存在です」

 

 

少年は虚ろな瞳でイヴを見るとイヴはその言葉

に満足そうな表情で更に話しを続ける。

 

 

「分かったわ。では、任務の内容を伝えるわね」

 

 

イヴは少年にそう言って淡々と話し初めた。

 

 

「今回の任務は長期の任務で『陛下』から

『ある人物』の護衛を頼まれたのよ?」

 

 

イヴがそう言うと少年はある疑問が浮かんだ。

 

 

「長期の任務ですか……ところでイヴ室長…なぜ?

その任務は僕じゃなくてはいけないんですか?

他にも適材適所の人材がいるじゃないですか?

例えば執行官No.5の《法皇》の『クリフトフ』

がいるじゃないですか?」

 

 

「私もそう思っていたのだけどね…だけど、

この『潜入捜査任務』は陛下のご希望なのよ。

だから貴方には悪いけど明日からアルザーノ学院

に入学してもらうわよ?」

 

 

イヴは少年にそう言うと少年は分かりづらいが

少し不満そうな表情をして

 

 

「なるほど……理解しました。なら僕これで

失礼します」

 

 

少年はイヴにそう言って机にあった書類を

手に取って扉を開けて出て行こうとすると

 

 

「じゃあ、あとは頼んだわよ、『ウィル?』」

 

 

「了解しました。では…」

 

 

少年は虚ろな瞳でそう言って部屋から出て行くと

イヴは安心した表情で椅子に座っていると

コンコンと扉を叩く音が聞こえた。

 

 

「開いてるわよ?」

 

 

イヴがそう言うと扉が開くと背が高くて

白い白髪と髭で体格が大きい男が入ってきた。

 

 

「あら、誰かと思えばあなただったのね、

バーナード?」

 

 

「全く、相変わらず言葉と態度はツンツン

しておるのぅイヴちゃん?」

 

 

バーナードが笑いながらイヴにそう言うとイヴは

不満そうな表情でバーナードを睨みつける。

 

 

「私に文句があるならこの場ではっきりと言っても

良いのよ? 貴方が苦しまないように出来るだけ

消し炭にしてあげるわよ。バーナード?」

 

 

「じょ、冗談じゃよ‼︎ イヴちゃん‼︎

任務が終わったから報告しに来ただけじゃよ‼︎」

 

 

バーナードが慌ててイヴに弁解していると

イヴは溜息をつきながら

 

 

「まぁ、良いわ……今日の私は機嫌が良いから」

 

 

イヴがバーナードにそう言うとバーナードは

何かを察したのかイヴを怒らせないように

慎重に質問する。

 

 

「イヴちゃん何か良い事があったのかのぅ?」

 

 

バーナードが聞くとイヴは先程の不機嫌な表情とは

思えないほどの上機嫌で肘を机につけて右手を軽く

握って頬に当ててバーナードに視線を向ける。

 

 

「ついさっき『彼』に特別な任務を与えたのよ?」

 

 

「そうじゃったか……んで、イヴちゃん、

その任務とはなんなのじゃ?」

 

 

「『廃棄女王、エルミアナ女王の護衛』を

頼まれたのよ」

 

 

 

「へ? えっ⁉︎ 陛下がそんな事を⁉︎」

 

 

バーナードは驚きを隠せないでいるとバーナードは

『ある疑問』をイヴに聞いてみた。

 

 

「し、しかし、イヴちゃんがよくその任務を

許したのぅ?」

 

 

「ふん、当たり前じゃない?

『悪魔の生まれ代わりの廃棄女王』でもせめて敵を

誘い出す役割ぐらいはしてもらわないとこちら

だって困るもの」

 

 

「……イヴちゃん」

 

 

バーナードはイヴの言葉や言い方に言いたい事が

あったがバーナードは『一番気になっていた事』を

質問する。

 

 

「イヴちゃん。ノア坊の事じゃが……」

 

 

「バーナード‼︎ 今の彼は『ノア=アイゼア』

という名前じゃないわ‼︎『ウィル=オリバー』、

それが今の彼の名前よ?」

 

 

イヴはバーナードにそう言うがバーナードは

今回のイヴのやり方が気に入らないようだった。

 

 

「じゃが、これで良いのじゃろうか……?」

 

 

「…それは…どういう意味かしら

詳しく教えて欲しいわね、バーナード?」

 

 

イヴはギロリとバーナードに敵意のような視線を

向けているとバーナードはそんなイヴの表情に

気がついたのか慌てて答える。

 

 

『い、いや、だってノア坊はセラの忘れ形見

じゃろ? なのに記憶が全く無いノア坊にこれは

良くないと思うのじゃが……』

 

 

「……」

 

 

バーナードが言う事も事実である。

 

 

 

実際、イヴ達特務分室が駆けつけた時、

グレンがジャティスを討ち取った後だった。

 

 

更に現場にはノアとグレンしかいなかった。

 

 

(なぜ、彼があそこにいるの⁉︎ 彼はあの研究室で

横になっているはずなのにどうして……まさか⁉︎

ジャティスが彼をあの研究室から連れ出しの⁉︎

でも、ジャティスならあり得るわね……)

 

 

イヴがそう考えて我に返って倒れているノアに

近づき生きているか確認して何回もノアの体を

揺さぶった。

 

 

「貴方、大丈夫? しっかりしなさい‼︎」

 

 

「……う、うーん」

 

 

ノアは目を覚ますとキョロキョロと周りを

見渡しながら開口一番、イヴ達にはあまりにも

信じられない一言が飛んできた。

 

 

『……ここはどこ? 僕は……誰?

そして……貴方達は、お姉さんは……誰?』

 

 

「……は?」

 

 

イヴはそんな間抜けな声を上げてノアの表情を

見る。イヴの記憶が正しければノアには自己紹介を

したはずなのだが、しかし、ノアの反応から見て

どうやら嘘をついている様に見えなかった。

それはまるで記憶がリセットされたようだった。

 

 

「貴方……名前は?」

 

 

イヴは自分が思い至ったある可能性を確認する為に

ノアに自分の名前を聞くが

 

 

「名前……? 名前……ごめんなさい。自分が

一体、誰なのかすら全く分からないみたい……

ごめんなさい……」

 

 

ノアが名前を思い出そうと考えるが全くもって

思い出せず頭を抱えてそう言う姿はまるで演技

とは思えずむしろ確信に変わった瞬間、イヴは

心の中で

 

 

(記憶を失っているならむしろ好都合だわ‼︎)

 

 

イヴの父、『アゼル=ル=イグナイト』の言う通り

帝国の宮廷魔術師として、そして『特務分室』と

して戦力と期待できる『忠実な駒』を今なら難なく

引き入れて手に入れられる。

 

 

そう思っているとイヴはノアに手を差し伸べて

 

 

「だったら私の元で働きなさい‼︎」

 

 

イヴが「私が名前を付けてあげる」とそう言うと

ノアは手を差し伸べるイヴを虚ろな瞳で見続けて

 

 

 

「貴方の名前は……『ウィル』。

『ウィル=オリバー』と今から名乗りなさい!」

 

 

 

「ウィル……ウィル=オリバー……それが僕の名前

……分かった。お姉さん達について行く」

 

 

ノアはイヴがさっき名付けたウィルという名前を

小さな声でゆっくりとそう言って差し伸べられた

イヴの手を握って手を引かれた。

 

 

 

 

 

 

イヴはその頃の事を思い出しているとバーナード

は困った表情でイヴに

 

 

「イヴちゃん……ノア坊にセラの事を今からでも

伝えるのは遅くないと思うんじゃよ……それに

今すぐにでもノア坊に真実を打ち明けた方が良い

と思うのじゃよ。もしもノア坊の記憶が戻ったり

したらさすがにマズいと思うし今からグレ坊の所に

行って──【ダン‼︎】」

 

 

 

バーナードが罪悪感で顔を歪めながら『グレン』の

名前を言った瞬間、凄まじい音がしてバーナードが

音がした方に視線を向けるとイヴがギロリ‼︎ と睨み

つけながら両手で室長室の机を力強く叩きつけていた。

 

 

「は? バーナード。貴方、馬鹿じゃないの‼︎

あの時、乱心して帝国に仇なしたジャティスの

せいで『セラという貴重な駒』を失った。その後、

グレンもたった『セラを失ったくらい』の理由で

この特務分室を辞めていったのよ‼︎ 更にグレンが

勝手に辞めて行ったせいで特務分室の戦力は今まで

以上に減っていった中、『彼』という素晴らしい駒

を手に入れる事が出来たのよ‼︎ なのに任務を完璧に

こなすあれ程の優秀で有能な駒を自らの手で捨てろ

って言っているの? あれほどの優秀な駒は中々

いないわよ⁉︎」

 

 

「イヴちゃん………」

 

 

バーナードはなんとかイヴを説得しようと思った

が失敗してイヴの言葉に更なる苛烈さが増して

いった。

 

 

「とにかく貴方の意見には必要性が全くないわ。

後、バーナード、これ以上この話を掘り返したり

ウィルに『天使の塵(エンジェルダスト)事件』の事や『セラの事』を

言ったりでもしたら、いくら古株の貴方でも絶対

に許さないわよ?」

 

 

「わ、分かったのじゃよ……イヴちゃん……」

 

 

バーナードはイヴにそう言って室長室から

退室して室長室はイヴ一人だけになった。

 

 

「私は間違ってないんだから……」

 

 

イヴは誰もいない室長室でただ一人で呟いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっと…この森は枝や茂みが多いなぁ……」

 

 

 

白いローブを着た者がそう言いながら溜息を

つきながら一人で歩いていると

 

 

 

「久しぶりだな……この街は……」

 

 

 

ローブを着た一人のある人物がフェジテを見て

誰もいない芝生の上で眺めていた。




読んで頂きありがとうございます‼︎
これからよろしくお願いします‼︎


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