アート「俺.....もうすぐ死ぬんだわ。」
その言葉は気楽そうに言われて、とても重かった。
無論、ラン達は固まった。ま、いきなり『死ぬ』と言われたら、そうなるだろう。
ラン「な、何言ってるんですか.....?噓.....ですよね?」
アート「だから、こんな時に噓吐く奴なんて居ねぇよ。」
ユウキ「.....何で、死んじゃうの?」
アート「.....この能力にはデメリットがあってな。
病に罹った人の血を摂取しなくちゃならないんだ。」
ごめんな、という風にケラケラと笑う。
.....最も、フードで隠れている為に分からないが、恐らく唇を嚙み締めているのだろう。
そうじゃなければ、
ユウキ「.....違う、違うよ.....」
すると、ユウキは何かを否定するかのように呟く。
そして、バッと顔を上げ、悲鳴にも似た声で叫んだ。
ユウキ「何でお兄ちゃんが死ななくちゃいけないの!?
どうして!?ボク達が救われて、お兄ちゃんが救われなくなるの!?
.....可笑しいよ。こんなの.....」
アート「ッ.....」
対するアートは無言。
.....無理もない。答えたくても、
アート「.....仕方無いさ。これが運命って奴だよ。」
ユウキ「でも...「ユウキ!!」...お兄ちゃん?」
アートは名を呼ぶ事で遮る。
そして、そのまま彼女の頭に手を乗せて、こう言った。
アート「お前は、
それは慰めのつもりで言ったのだろう。
だが━━━━
ユウキ「.....だって、だってお兄ちゃんが、居なくなるなんてぇ.....うぁぁぁぁ.....!!」
━━━━それは逆に効果を発した。
ずっと我慢していたのだろう。次々と涙が零れていく。
アート「(.....ごめん、ユウキ。ごめん、ラン。ごめん、皆。
これだけは、どうしても譲れないんだ.....!)」
だが、アートは慰める事しか出来ない。
これは、新しく出来た目標であり、
アート「さて、と。そろそろ行くか。」
数分後。彼はユウキを慰めた後に、突然そんな事を言い出した。
その仕草は、何処か吹っ切れた様子が感じ取れる。
ラン「?.....行くって何処にですか?」
アート「んー?クエストだけど?」
キリト「.....残り少ない時間を、VRに費やすのか?」
疑問が彼に問いかけられる。
それに対して。アートは清々しい口調でキッパリと話した。
アート「ああ。特にやり残した事は無いし。それに.....」
ユウキ「.....それに?」
アート「.....此処だったら、皆と一緒に居れるからな。俺としてはその方が心地いいんだよ。」
その言葉に皆は目を丸くする。
それを悪く感じ取ったのか、アートは頬を膨らませる。
アート「.....何だよ、そんなに意外だったか?」
ラン「いや、そうじゃなくて.....嬉しいんですよ。いつもはそんな事言ってくれないから。」
アート「.....と、取り敢えず、クエスト行くぞ!!」
ジュン「あ、逃げた。」
アート「逃げてない!」
ユウキ「お兄ちゃん.....こんな時に噓吐く人は居ないんだよ?」
アート「うっせぇぇぇぇぇ!!」
.....どうやら、アート、いや彼らには『死』など関係ないようだ。
現に、こうやって日常を謳歌している。
まぁ、今日も今日で変わりない物語だ。
最も、クエストでアートがモンスターに八つ当たりしていたのは余談になるだろう。
ハイ、これにて原作でのマザーズ・ロザリオ編は終了となります。
後は何話か投稿してから、アンダーワールド編へと移ろうかと。
.....え?続きがあるのか、って?
やだなぁ、奥さん。これ、生存ルートですよ?(いつまで言うのだろうか)