Diavolo Bianco   作:Artisan

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Episode.29 残酷

アート「俺.....もうすぐ死ぬんだわ。」

 

その言葉は気楽そうに言われて、とても重かった。

無論、ラン達は固まった。ま、いきなり『死ぬ』と言われたら、そうなるだろう。

 

 

ラン「な、何言ってるんですか.....?噓.....ですよね?」

 

 

アート「だから、こんな時に噓吐く奴なんて居ねぇよ。」

 

 

ユウキ「.....何で、死んじゃうの?」

 

 

アート「.....この能力にはデメリットがあってな。

病に罹った人の血を摂取しなくちゃならないんだ。」

 

ごめんな、という風にケラケラと笑う。

.....最も、フードで隠れている為に分からないが、恐らく唇を嚙み締めているのだろう。

そうじゃなければ、()()()()()()など、しない筈だ。

 

 

ユウキ「.....違う、違うよ.....」

 

すると、ユウキは何かを否定するかのように呟く。

そして、バッと顔を上げ、悲鳴にも似た声で叫んだ。

 

 

 

 

 

ユウキ「何でお兄ちゃんが死ななくちゃいけないの!?

どうして!?ボク達が救われて、お兄ちゃんが救われなくなるの!?

.....可笑しいよ。こんなの.....」

 

 

アート「ッ.....」

 

対するアートは無言。

.....無理もない。答えたくても、()()()()()()のだから。

 

 

アート「.....仕方無いさ。これが運命って奴だよ。」

 

 

ユウキ「でも...「ユウキ!!」...お兄ちゃん?」

 

アートは名を呼ぶ事で遮る。

そして、そのまま彼女の頭に手を乗せて、こう言った。

 

 

アート「お前は、()()()だろう?なら、それらしく心意気を持て。分かったか?」

 

それは慰めのつもりで言ったのだろう。

だが━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウキ「.....だって、だってお兄ちゃんが、居なくなるなんてぇ.....うぁぁぁぁ.....!!」

 

━━━━それは逆に効果を発した。

ずっと我慢していたのだろう。次々と涙が零れていく。

 

 

アート「(.....ごめん、ユウキ。ごめん、ラン。ごめん、皆。

これだけは、どうしても譲れないんだ.....!)」

 

だが、アートは慰める事しか出来ない。

これは、新しく出来た目標であり、()()()()()なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「さて、と。そろそろ行くか。」

 

数分後。彼はユウキを慰めた後に、突然そんな事を言い出した。

その仕草は、何処か吹っ切れた様子が感じ取れる。

 

 

ラン「?.....行くって何処にですか?」

 

 

アート「んー?クエストだけど?」

 

 

キリト「.....残り少ない時間を、VRに費やすのか?」

 

疑問が彼に問いかけられる。

それに対して。アートは清々しい口調でキッパリと話した。

 

 

アート「ああ。特にやり残した事は無いし。それに.....」

 

 

ユウキ「.....それに?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アート「.....此処だったら、皆と一緒に居れるからな。俺としてはその方が心地いいんだよ。」

 

その言葉に皆は目を丸くする。

それを悪く感じ取ったのか、アートは頬を膨らませる。

 

 

アート「.....何だよ、そんなに意外だったか?」

 

 

ラン「いや、そうじゃなくて.....嬉しいんですよ。いつもはそんな事言ってくれないから。」

 

 

アート「.....と、取り敢えず、クエスト行くぞ!!」

 

 

ジュン「あ、逃げた。」

 

 

アート「逃げてない!」

 

 

ユウキ「お兄ちゃん.....こんな時に噓吐く人は居ないんだよ?」

 

 

アート「うっせぇぇぇぇぇ!!」

 

.....どうやら、アート、いや彼らには『死』など関係ないようだ。

現に、こうやって日常を謳歌している。

まぁ、今日も今日で変わりない物語だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最も、クエストでアートがモンスターに八つ当たりしていたのは余談になるだろう。




ハイ、これにて原作でのマザーズ・ロザリオ編は終了となります。

後は何話か投稿してから、アンダーワールド編へと移ろうかと。


.....え?続きがあるのか、って?
やだなぁ、奥さん。これ、生存ルートですよ?(いつまで言うのだろうか)
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