Episode.34 告白と別れ
「.....」
ALOにある大樹がそびえ立つ浮島。
アートは静かに立っていた。
「アートさん!!」
其処で彼女達.....スリーピングナイツが到着する。
彼の背中を見たランは名を呼ぶ。
それにアートはゆっくりと彼女達の方へ向いた。
「.....来たな。」
「おい.....お前、ホントに死ぬのかよ?」
ジュンが改めて彼の状態を問う。
その問いに彼はお気楽そうに、ああ、そうだけど?と返した。
「.....ホント、に.....?」
如何にも死にそうな状態ではなさそうなアートにユウキは疑問を持つ。
.....仕方無いだろう。自分達の時は動けない程弱っていたのに、彼は悠然と立っているのだから。
「ああ、ホントホント。ほら、証拠に━━」
そう言って彼は、腕を上げる。
そこには━━
「━━ちゃんと、光の粒になってるだろ?」
━━今にも消えかかっている、アートの手だった。
少しずつだが、身体からも粒子みたいな物が飛び散っている。
それを見た彼らは絶句したままだ。
「あらら、ちょっと衝撃的だったか?すまんn.....」
.....その言葉は最後まで紡げなかった。
理由は簡単。ランに抱き着かれたからだ。
「.....どうしたんだよ。そんな泣きそうな顏して。」
「ッ.....だって、だって.....!!」
次第に泣き声は大きくなっていく。
それを見たアートは小さな溜息を吐いて、ランの頭を撫でる。
「何でこんな.....理不尽なんだって.....」
「何言ってるんだよ。俺はお前らが覚えてくれればそれでいいさ。」
彼は自分の思いを零す。
「違う.....違うんです.....」
「?.....何が?」
彼の言葉にランは首を振る。
アートは何の事か分からず、彼女に聞いた。
そして.....
「.....私、アートさんの事が.....好きでした。」
「.....は?」
今、彼女は何と言ったのだろうか。
アートは思考が一瞬止まり、そして.....
「.....マジで?」
「.....マジです。」
「.....Wow.」
まさかの発言により、アートは絶句を通り越して英語を出す。
.....今思えば、彼女の好意にまったく気づいてなかったらしい。おかしーなー。(すっとぼけ)
「.....やっぱ辞めようかな.....」
「.....え?今、何て.....」
「あ、ああ、何でもない。.....色々あるけど、ごめんな。」
彼が何か呟いたのを聞くが、何でもないと返されてすぐに話を戻される。
それに違和感を持つも、ランは再度彼の胸に顔を埋めた。
「もう.....私は、真剣なんですよ.....」
「.....悪いな。もう一緒に居られなくて。」
身体の半分が薄れてきた。それが何を意味するのか、彼らは分かっていた。
「お兄ちゃん.....」
「.....お前もか。全く、お前ら双子って奴は.....」
そう言いながらも彼は二人纏めて抱きしめる。
.....それが原因となったのだろう。ユウキの目から大粒の涙が止まらない。
「うぁぁぁ......いやだよ.....もっと、一緒に居たいよぉ.....!」
「.....ッ.....!」
一瞬だけ、彼の身体が震える。
しかし、それもすぐに治まった。
「.....さてと。そろそろ時間だな。」
その言葉と共に彼の足元が消えていく。
それを見た彼女達は更に顔を歪めた。
「!!待って下さいっ!!まだ伝えたい事が.....」
「.....いいぜ。まだ聞いてあげるよ。だけど、その前に.....」
彼はいきなりメニューを開く。
そして何かを操作し、メニューを閉じる。
すると、彼が被っていたローブが取れて素顔が見える。
整った容姿に少しボサボサな髪の毛、そして惹きつけられる青い目がそこにあった。
「うし、これでOK。で、話って何だ?」
「ひゃ、ひゃいっ!!」
アートの問いに慌てて返すラン。
彼はその動作に首を傾げる。(この鈍感めっ!!by作者)
「ふぅ.....アートさん。」
「おう、何だ?」
大きな深呼吸をして、再度彼の名を呼ぶ。
「私.....忘れません。貴方に教えてもらった事.....いや、貴方の事、全て。」
「.....ああ。」
「だから.....」
その言葉で、ランは言葉を止める。
既に涙は流れている。泣き声が言葉に混じらなかったのは奇跡と言えよう。
.....そして、彼女は━━
「.....今まで、有難う、御座いました.....!」
━━勇気を振り絞り、涙が混じりながらも、感謝の言葉を言った。
.....無論、泣きながらも笑顔で。
「.....ああ、良かった.....」
ずっと無言で聞いていたアートが、突然安堵の意を示す。
その顔には今まで見たことがない、本心の笑みだった。
「これなら.....心配する必要はなさそうだな。」
━━もう限界だったのだろう。
彼の身体が薄れていく。既に膝から下はもう実態すら無い。
「ラン。」
「っ、は、はい!!」
最後の、この言葉を伝える為に彼は名を呼ぶ。
そして、顔を見ながらこう言った。
「
「!.....はいっ!!」
そう言って、彼は安堵の気持ちを浮かべながら、目を閉じた。
この日、ALOから一人のプレイヤーが姿を消した。
尚、その日の天気は優しい雨が一日中降っていたらしい。
「.....」
青年が目を覚ます。
其処はいつもの自分の部屋ではなく、ある施設の一室だった。
「アレで良かったのかい?」
そんな彼を迎える者が一人。
金色の髪の毛に天然パーマ、そして胡散臭い笑みを浮かべている男性。
「.....ええ。俺では、幸せに出来ませんから。」
ベットから降りながら話す。
その口調は悲しさではなく、
「それに、今更貴方達の約束を破るつもりは無いんでね。」
「.....分かったよ。で、ちょっと聞きたいんだけど、その敬語は.....」
「?.....上司関係はキッチリしないといけないでしょう?」
「いや、逆に歯痒いというか.....」
それを聞いた青年は大きな溜息を吐く。
そして、男性の方へと向き合った。
「.....じゃあ、普通に話していいんだな?」
「うん!やっぱそっちの方がいいねぇ!」
青年の心は『どれだけガキなんだ.....』というもので埋められている。
だが、男性が表情を切り替えた事で彼も真剣な表情になる。
「さて、此度は僕の計画に賛同してくれてありがとう。
ようこそ、我らが《
「.....ああ。俺の出来る限りだが、是非とも尽力しよう。菊岡さん。」
此処に固い握手が交わされた。
だが、彼らは知らない。
話がまた交わるのは、そう遠くない事を。
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次回━━━━『アリシゼーション編』、開幕。