_______なんと清々しい朝であろうか。
茶髪の少年、吉井明久はたっぷりと降り注ぐ朝の光に目を細めつつ、近場の公園に置かれたイナ●マイレブンの絵が描かれた時計を覗いた。万年金欠の彼が、腕時計などという大層なものを持っているはずもない。
8:56
少年は穏やかな顔で一人、ぽつりと他愛も無い言葉を漏らした。
「遅刻も、たまには....ね☆」
「あ・き?」
明久の背後には、ニッコリと笑った赤髪の美少女が立っていた。長くなめらかな赤茶髪を黄色いリボンでまとめ上げ、スカートからは細くて健康的な生足が伸びている。胸の辺りはひらぺったいが、それ以外は完璧と言っていいほどスタイルがいい。
「おらあ!!!」
「アッーーーー!!」
▽明久はスープレックスをかまされた!
明久の身体は三日月のような軌跡を描き、彼の脳天は我らが母なる大地にめり込む。
母なる大地よ...嗚呼....
「あんたのせいよ!なんで自転車で突っ込んできたのよ!」
「いやごめんて、余所見してて気付かなくって...少女漫画によくあるじゃん」
「自転車と歩行者じゃ洒落になんないでしょ!」
「そんな怒んないでよ...まず美波は無傷じゃん...僕もまさか自分の自転車が美波のパンチで大破するとは思わな腕がなんかありえない方向にアッーーーー!!」
美波と呼ばれた少女が、最早何も語るまいと明久に肘十字固めを極めた。少女は笑みを浮かべてはいるものの、その目は微塵も笑っていない。怖い。
二人がこのような状態に陥ったのは、現在から丁度三十分の出来事に起因する。
____「そういえば最近近くに教会みたいな建物できたよなあ...でも教会なんて今時作られるもんかな?」
明久がシャコシャコと音を立てて自転車のペダルを回す。
明久は普段徒歩で登校するのだが、今日彼が自転車を利用した理由は、"なんとなく"などという優柔不断なものでは一切ない。
彼はここの所、街の北側に新設された教会のような建物に興味を惹かれていた。
教会などという非日常的な建物は、齢16の少年の好奇心を掻き立てるには充分すぎる代物なのである。
「......やはりあの建物は.......ラブホに違いない!!!!」
____ラブホテル。別名愛の巣。明久はその神聖な施設を生で見たことこそ無いものの、クラスメイトのムッツリーニこと土屋康太から、それはまるでお城や教会のような幻想的な見た目をしていると教えられていた。
現代において、街中に教会が建てられるなど不自然だと考えた明久は、教会のような建物がラブホなのではないかと踏んだわけだ。
「...登校ついでに近くまで行って観察する必要があるな」
少年は●ルゴ30と仇名が付いても頷けるような凛々しい顔付きで、建物に熱い眼差しを送った。思春期の男子の健全な反応だ。
明久の若干吊り上がった口角を、鼻から流れ出た赤い液体が濡らす。
「うわっ口に鼻血入った!拭こ」
...以上、事故直前の状況である。
「ちょ、わっ!!」
「へ?」
ガシャーーーーーン!!!
********
明久と美波は肩を落とし、すごすごと校舎の廊下を歩いていた。彼等が向かうはFクラスの教室だ。
もうどのクラスも既にホームルームを終え一時限目を始めた様子で、二年の廊下は嫌に静まり返っている。
....彼等の目的地以外の話だが。
「美波、なんかうちのクラスから知らない女の子の声しない?」
「あ、ほんとね...そういえば今日、Fクラスに転校生が来る日じゃなかった?」
「え!そうなグェーッ!!」
「何嬉しそうにしてんのよ!すぐ女の子にデレデレするんだから!」
「今ツンデレ要素いらな今日僕三本は折れてる気があ"あ"あ"あ"」
男女が廊下で絡み合うというとなんだか卑猥に聞こえるが、現状はそんな生易しいものではない。
おそらく頻繁にプロレス技が見られる高校は、ここ文月学園ぐらいであろう。
「おーーい!」
「あ、あの子かな?」
呼びかけに気付いた美波が顔を上げると、教室内からこちらに向かって笑顔で手を振る少女の姿が見えた。右手に、彼女の小柄な体格には随分と不釣り合いなゴツいスコップを持っているのが気になる所ではあるが、その場でピョンピョンと飛び跳ねるその仕草は、見ているだけでなんだか微笑ましい気分になる。
ガララ。
明久がげっそりとした表情で、建て付けの悪いFクラスの教室の扉を開けた。転校生の紹介により若干スケジュールが遅れたのか、先生は教壇に登る最中で、一時限目の授業が始まる直前のようだ。教壇に立つ西村先生...もとい鉄人が、二人をジロリと睨む。
「ラッキー!セーフですね!」
「アウトだ!!!」
鉄人の声と共に、明久が教室に勢いよく足を踏み入れた。
__________刹那。
「ん?」
\\スコーン//
唐突に明久の足元が崩れ、彼の体がボッシュートした。
クラスの誰もがおよそ想像していなかった事態のようで、教室中の空気が一瞬固まる。
「先生幾ら何でも酷いです!」
「いや誰だよ教室に落とし穴作った奴!!!」
「これは草」
「mg(΄◉◞౪◟◉`)プギャーwwww」
教室に突如現れた落とし穴にツッコミを入れる者、ひたすら欲望のままに爆笑する者、人々の声が入り乱れ、教室の内部は混沌と化す。
ガタリ。
教室中に広がった喧騒を搔き消したのは、一人の少女が立ち上がり、机代わりの段ボール箱が擦れた音だった。
水晶の如く透き通るオレンジ色の髪が、甘い香りを放ちながらゆらゆらと揺らめいた。
少女の華奢な手が、彼女頰の真横でピースサインを形作る。
清宮もぐらははにかみ、ただ一言、他愛もないその一言を、鈴のような可愛らしい声に乗せた。
_______「てへぺろ☆」
********
清宮もぐら
性別:女
年齢:16歳
身長:153cm
得意科目:地理、日本史、世界史、現代社会
趣味:穴掘り
穴掘りの芸術家・アナホリストを自称する変人少女。穴を心から愛しており、芸術的な穴を掘るのが彼女の生涯における目標。
よく言えば天真爛漫、悪くいえばアホな性格。大抵の事に対してあっけらかんとした態度で対応でき、彼女が取り乱す姿は滅多に見られない。
こういうタイプの例に漏れず神出鬼没だが、穴の話をすると高確率で出会うことができる。
聖職者の家系であり、司祭として日本に帰国することになった兄に付いてきた。実家はイタリアのバチカンにあり、父親が枢機卿なのでそれなりの権力を持つ。
現在は兄と二人暮し。
決して勉強ができないわけではないが、穴掘りに集中してテストを受けないという愚行を繰り返しているため万年Fクラス。結局アホ。
実家の影響か社会科目、特に地理に関してとにかくずば抜けており、地理では名だたるAクラスの猛者を押しのけ堂々の学年トップ。地理の成績最高1252点、最低654点。化け物の領域。常に成績は400点以上な為腕輪を所持しており、彼女の召喚獣には空間を歪める特殊能力が付与されている。
何故か買ってきたストッキングがすぐのびのびになってしまうため、ガーターベルトで留めて着用している。
...のびのびになる原因は言うまでも無い。
清宮遥希
性別:男
年齢:18歳
身長:182cm
趣味:妹
文月学園付近に新設された教会の神父で、もぐらの兄。
普段は紳士的で物腰柔らかな聖職者を絵に描いたような態度を取っているが、その正体はシスコン変態野郎。なまじイケメンだけにもったいない。
もぐらに近付いた男は一人残らずぶち殺す勢いで脅してくる他、えっちなものは全てもぐらの目に触れないよう徹底的に隠すため、もぐらの羞恥心が極端に少ないのは大体こいつのせい。
頭は非常に良く、学力試験を行えば教師並の学力を垣間見ることができる。
私の高校の近くにはラブホがあります(謎報告)
もぐらの兄は変態野郎なのでその分イケメンにしました
色ぬり3分クオリティ&バストアップのみの雑仕様でごめんねもぐら兄!!