あと書籍読んでてふと気づきましたが、アクアも脇出してますよね。
脇女神……。
仲間を募集したら、めぐみんが来た。
帰ってどうぞと言われためぐみんは頭を下げて、今度はお願いしてきた。
「仲間に入れて下さい」
「いいわよ」
「ほ、本当ですか!? ……そんなにあっさり加入を許してくれるなら何で拒否したんですか?」
「特に深い意味はないわ」
「そうですか……」
ちょっとからかっただけで、本気で拒否したわけではない。
めぐみんか……。
爆裂魔法は確かに凄まじかったけど、アクセル周辺で使う相手はいないのよね……。
とはいえ、先日の悪魔みたいな大物が来ないとも限らないから不要とは言い切れないし、もしかしたら何か有用にする方法見つかるかもしれない。
「ん? あんた、その杖何か変わった?」
「ほう。これに気づくとはレイムも中々やりますね! そうです、新調したんですよ!」
めぐみんの話によると、マナタイトとかいう魔法の威力を上昇させる金属を杖に使用したらしく、爆裂魔法は更なる高みに上ったとのこと。
あんなものを更に強くしたらますます使う場面が限定される気がしなくもないけど、それはめぐみんの問題だから放っておこう。
「そういうわけで私としては爆裂魔法を撃ちたいのです。この杖でどうなるか試して見たいんです!」
「まあ、私も私で試したいことあったし、付き合ってもいいわよ。アクアはどうすんの?」
「私も行くわよ。一人は寂しいじゃない」
そんなわけで私達は実験をしに行くことにした。
街を出れば、でっけえ蛙がいるからそいつで試そうと思ったのだけれど。
めぐみんからだめ出しが入る。
「だめです。街の近くですとまた守衛さんに怒られてしまいます」
「また? 前にも怒られたの?」
めぐみんはこくりと頷いた。
よく考えてみたら爆裂魔法が街の近くで撃たれたら騒ぎになるわよね。
あれは大爆発ってレベルだし……。
というわけで私達は街からはなれ、苦情が出ないところまで移動した。
ここからでも街は見えるが、距離を考えたら問題は出ないだろう。
すぐに蛙を見つけ、めぐみんに言った。
「じゃ、先に私からやらせてもらうわね」
「いいですが、何をするのですか?」
「それはお楽しみね」
私は現在修行をしている。それはレベルアップに影響があるかどうかを調べるためであり、私のレベルアップへの執着があるから続いてるものだ。
月のあの女を目標に神降ろしを鍛えることにしたわけだが、これが難航している。
私がどうこうではなく、この世界の神様は協力的でない。
修行して三日目に、
『他の神も下ろすの? じゃあ無理』
『自分の信者でないからやだ』
『色々な神を降ろす予定? 自意識過剰すぎ笑た』
『他の神も降ろすってことは、今より信仰心の争奪を悪化させかねないからねえ。聞けないわ』
『我らより精霊宿したら?』
色んな神様からこんなことを言われた。
幻想郷にいた時はやれたんだけどなあ……。
結局承諾してくれたのは、女神エリスのみだ。
女神エリスは人々を守ることに繋がるならと言って話を飲んでくれたいい女神だ。ただし、仕事が多いそうで、強いアンデッドや悪魔の時だけにしてと言われている。
強いモンスターの時しか降ろせない場合、もしかすると一生出番がない可能性も……。
他の神様は絶望的とわかってしまったので、頼る気にはなれない。
エリス様みたいに協力してくれるのはいるかもしれないが、当分探す気はない。
そうなると私は自力で何とかしないといけないわけで。
でも、私は神様が助言で言った“精霊宿したら”を生かすことに成功したのだ!
この世界には色々な精霊がいる。アクアの話では、精霊は本来は決まった実体を持たず、人のイメージでその姿が決まるらしい。
普通の生物よりは、むしろ神様とかに近いものがある。
でも、精霊の格は神様より下なわけで。
宿すのは簡単だった。いや、神様と比べる方がおかしいのかもしれないわね。
ただ神様と違って、精霊は意思の疎通が難しいので自分で見つける必要がある。
その精霊、普段はどこにいるかというと、わりと色んなところにいたりする。
街の中は人でいっぱいだからそんなにいないけど、街の外に出たら話は別だ。
湖なら水の精霊が生息しているし、草原なら地の精霊がいる。
街の外に出て、少し遠くに行けば簡単に地の精霊は発見できる。普通の人は見えないけど。
私は地の精霊を身に宿し、霊力……、この世界では魔力か……、どっちでもいいや。精霊を宿した状態で魔力を手のひらに集めると土ができる。
魔法ではない。
これは精霊が持つ能力みたいなものだ。
詳しい原理はわからないが、精霊に魔力が触れるか流れるかすると土属性に変わり、それを体外に放出すると土になる。
残念ながら魔法のように練られたり、効率化されていないので、初級魔法にも及ばないものになるのだが……。
しかーし!
問題はそこではない!
私は閃いたのだ。
この変換される時の感覚を掴み、実現できれば、精霊を宿さなくても一人でやれるようになるんじゃないのかと!
地の精霊を我が身に宿し、魔力が変換される時の感覚……。精霊の力で自動変換されるとはいえ、あくまでも外部による影響であり、私からすればただ手のひらに土をつくるだけではない。
変換される時の感覚があるのだ。
私は習得すべく、精霊を身に宿して変換、失敗覚悟ではなして変換、これを繰り返してきた。
神様が行う神業を習得するのは不可能だが、今回のことについてはそうではない。
水を火で熱すればお湯ができる。私が習得しようとしている精霊の能力というのはこれぐらい単純で簡単なもの。
それぐらいのものだからできない理由はどこにもない。
私からしたらない。
結果から言えば、私の理論は正しかった。
魔力を土に変換できた。
しかし、それでできる土はどういうものかというと、何年も手入れされていない土地の固い土みたいなもので、ぶっちゃけ花壇の土のが十倍優れてる。
とはいえ、できたことに意味があるわけで、この時は完成度を求めていない。
そもそも魔法のように洗練されていないのだから、できあがったものの完成度が低いのは当たり前。
あとはこれを魔法のように高める。
戦闘で使えるレベルまで持っていこうと改良しつつ、同時に他の属性もできるように練習した。
水の精霊を宿し、水に変換する時は……。土と水の違いは……。といった具合に調べ上げ、その差を知ることができた。
それを他の属性に応用することで、精霊を宿すことなく、火、風、雷といったものも変換できるようになった。
雷がしっくり来て、そのため雷は他よりも進みがはやかった。
はじめは、というか最後まで手探りでやって来た私は昨日ついに完成させた。
先日のゆんゆんの魔法を超えるものを手にした。
それがこれよ。
私は右手を前方の蛙にかざす。
「『霊夢式ライトニング』!!」
「「!?」」
右手から七色に輝く雷が身をくねらせて蛙へと駆け抜けていき――。
直撃すると、蛙の体を貫き、命を奪う。
雷に撃たれた瞬間の蛙はその大きな体を一瞬大きくビクン、と震わせた。
威力、飛距離は問題なしね。
神降ろしの修行よりこっちに夢中になった甲斐があるってもんよ。
夢中になってただけでさぼってない。
「ねえ、レイムさん、今のは何かしら?」
「明らかに中級、いえ上級並みの魔法でしたよ?」
「これは私がつくった魔法よ。この前の悪魔の時は未完成だったけど、昨日ついに完成したのよ」
「最初から反則スペックなのに、どうしてますます反則スペックになるのよ!」
「ソードマスターは嘘だったんですね、わかります」
「魔法も使えるソードマスターってだけよ」
私が魔法と言ってるだけで、本当に魔法になるかは疑問であるが。
私はこんな風に精霊の力を利用したが、本職のエレメンタルマスターは他の方法も取るようだ。
エレメンタルマスターは精霊に働きかけ、何か色々やるらしい。多くの人が集まり、大地に大穴をつくったこともあるそうだ。
……私も今度働きかけてみよう。
「あんた、それどうやってんのよ」
「私も気になります。ソードマスターのスキルにあるはずありませんし、そもそもなぜレイム式なのか。じっくり教えてもらいましょうか」
アークウィザードだからか、めぐみんはアクア以上に気になっている様子だ。
魔法使い故に変わった魔法が出たら気になるのか。
「魔力を雷に変換してんのよ」
「「はっ?」」
「苦労したのよ。精霊を宿して、精霊の力で自動変換される感覚を掴み、魔力をそのまま属性に変換できるようになったら調整をかけて」
「ごめんなさい。レイムさんが何言ってるかよくわかんないわ」
知力に比例して理解力も乏しいのか、この女神様は。
というか、人が気分よく話してるんだから最後まで言わせてほしい。
私が呆れたように首を振ると。
「精霊を宿すって、レイムはエレメンタルマスターじゃないですよね? それにかなり難しいはずですが……」
「簡単よ。その辺の精霊掴んで、宿すだけだし」
「それが難しいんですが」
「そんなことないわよ」
「レイムがおかしいのはわかりました」
「おかしくないわよ!」
なぜか気の毒な人を見る目で見てくる。
私がおかしいところはない。
この世界に順応した結果の魔法だ。
納得がいかない。
おかしくないことを証明するために、めぐみんを諭すように語る。
「いい? 最初はその辺にわんさかいる精霊を捕まえるの」
「いや、いませんよ」
「あんたが見えてないだけで……、ほら、今私の手のひらの上にいるわ」
「ごめんなさい。どうして見えるんですか?」
「見えるのに理由なんかないわ。アクアは見える?」
「神の目は全てを見通すから見えてるわよ」
「これは見えるのね。で、こいつをこうして」
精霊をスッと体に宿す。この感じ、懐かしい。
宿したのを見て、アクアは驚きの声を出す。
「うわ! 本当にできるのね! 見たところエレメンタルマスターがやるのとは違うわね」
「こいつを宿した状態で魔力を放出すると、勝手に土に変換するのよ。ほら」
「へえ、面白いわね」
「相変わらず私にはわかりませんが……、しかしこれはどういう原理なんでしょうか?」
「能力みたいなものよ。魔力を土に変換するっていうね。こいつらは無意識にやるけど、その時の感覚を掴めばこっちのもんよ。ありがとね」
地の精霊にお礼を言ってはなす。
この子に伝わることはないが、気持ちの問題ね。
さっきまで変な思いをしてたはずなのに、草原の上でくつろいでいる。逃げる素振りは見られない。
今回宿した精霊は小さい子供みたいなもので、何をされたのかよくわかっていないのかも。
精霊にも成長というものがある。この子達が大きくなり、魔力が強くなると、実体化するほどの精霊となる。
私の説明を聞いためぐみんは。
「やっぱりレイムは変ですね」
解せない。
今の説明ではだめだったのかと思い、今度は短くてわかりやすいように話す。
「精霊と同じやり方でさっきの魔法を使ったのよ」
「だから変と言ってるんですよ。さっきレイムは能力みたいなものといいましたが、それが本当ならレイムは能力を得たことになりますよ」
「それは違うわよ。私の場合は技術になるわ。例えば、料理にはスキルがあるけど、なくてもつくれるでしょ? それと同じよ。つまり今回私はスキルを必用としない魔法を使った。それだけの話よ」
「なるほど。それなら……んん?」
やっぱり変だと首を傾げ、腕を組んで目を閉じ、考え込む。
紅魔族は賢いと聞くので、その優秀な頭脳で様々なことに触れているのだろう。
ならば、私が正しいとわかるのも時間の問題だ。
やがて、答えを導き出しためぐみんはすっきりしたように、小さな笑みを浮かべて言った。
「ソードマスターなのに精霊が見えたり、宿したり、能力を習得したり、どう考えてもレイムはおかしいです」
「ええっ!?」
どうやら紅魔族が賢いというのはでっち上げだったらしい。
それとも目の前にいるのはぱちもん紅魔族なの?
私はめぐみんを見据える。
「……どうあっても私を変人扱いするのね」
「むしろ変人と呼ばれない理由を知りたいのですが」
「ちぇ。ならいいわ。いつか霊夢式爆裂魔法をつくって、めぐみん泣かせるから」
「ふふ。楽しみに待ってますよ」
面白そうに笑うめぐみんに私はムッとなる。
爆裂魔法が難しい魔法とは聞いている。
霊夢式ライトニングをつくるのとはわけが違う。
しかし、めぐみんの余裕は爆裂魔法が難しい魔法だからというものではない。
その態度からすると、どっちに転んでも構わないといった感じだ。
まるでそれぐらいじゃ動じませんと言ってるみたいで、私はちょっと気に食わない。
敗北したような気がする私は絶対に爆裂魔法をつくろうと思った。泣かす。
「では」
話は終わったとばかりにめぐみんは帽子をいじり、私達から少しはなれると杖を構え、詠唱をはじめた。
一日一発という燃費の悪さに目を瞑れば、現存魔法最高の火力を誇る爆裂魔法を、守衛さんでも簡単に倒せる蛙に撃ち込むめぐみん。
おそらく最も無駄な使い方だと思われるが、使った本人は満足げに倒れた。
その時だった!
「きゅあ!?」
「んっ?」
「いやあああああ!」
いつの間にか近くに来ていた蛙がアクアを舌で捕縛し、パクリと食べた。
蛙の口からはアクアの足が……。
また食われたのか……。
蛙に好かれた女神を助けに行こう。
めぐみんに背を向けて剣に手を伸ばそうとした時。
「ちょっ、近くから来るとか予想外です。きゅっきゅぱ」
地中から出てきた蛙に爆裂娘も食われた。
二人が体内にいるから霊夢式ライトニングは使えない。
剣を持ち、蛙討伐に動く。
めぐみんを背負いながら歩くアクアはぐすぐすと鼻を鳴らす。
二人とも蛙の液体でぬるぬるだ。
この蛙の臭い、私はどうにも苦手で、触りたくない。
それならと汚れたアクアにめぐみんを押しつけた。
助けたんだからこれぐらいは許してほしい。
「蛙の中っていい感じに温いんですね」
「興味ないから言わないで」
まさか、ちょっと実験しに行っただけで悲惨なことになるとは……。
これもアクアの幸運のなさがなせるのか、それとも別の要因が絡んでいるのか。
……どうしたものかしら、これ。
頼りにならない女神、一日一発だけの魔法使い。
これから苦労する予感しかない。
ぬるぬるになったアクア達は銭湯へ行かないといけないので、あとでギルドで落ち合うことにしてわかれた。
ギルドに来た私は蛙のことを報告し、一万五千エリスいただく。
蛙はこの街の名物食糧なので、クエストを請けていなくても、引き取り金額は安定してもらえる。
しかし、クエストを請けていなければ当然五体討伐報酬は得られない。
ミスったわね。
これなら請けとけばよかったと軽く後悔する。
溜め息を一つ吐く。
適当なテーブルにつき、メニュー表を手に取る。
今日は何を食べようか。そんな他愛もないことを思っていると。
「少しいいだろうか?」
「ん? 何?」
「これなんだが、まだ募集はしているだろうか?」
尋ねてきたのは金髪碧眼の美女だ。
彼女が装備する金属鎧は、そこら辺の冒険者の鎧よりもよさそうに見える。
私よりも年上だろう。
彼女の手には募集の紙があり、そういえばそんなのもあったなあと思いつつ返事をした。
「してるわよ。でも、それの条件は上級職よ。そこは大丈夫なの?」
「ああ。問題ない。私はクルセイダーという上級職だ。条件に当てはまる」
「ほう」
あまり表情を変えないので、どことなく冷たい感じがするけど、アクアとかぱちもん女神とか駄女神とかに比べたらまともそうに見える。
本当にクルセイダーなら加入を認めても問題なさそうだけど、一応他の二人にも聞かないとね。
「問題ないと思うけど、他の二人にも聞いてみないことには何とも言えないから待っててもらえる?」
「わかった。おっと。名乗るのが遅れたな。私はダクネス。よろしく」
「私は霊夢。ソードマスターよ。よろしく」
それからしばらくして、アクアとめぐみんが来たので、ダクネスのことを紹介した。
めぐみんはダクネスから冒険者カードを借りて職業を確認していた。それを見て、そういう方法もあるのかと感心した。
と、ここでダクネスが言いにくそうにしながら、とんでもないことを口にした。
「その。私はクルセイダーなのだが、攻撃には期待しないでくれ。不器用すぎて当たらないんだ。しかし、防御には自信があってな。防御にスキルを全振りしているからどんな攻撃にも耐える自信がある」
本当にとんでもないことだ。
防御だけとなると、アクアのお守りをさせることぐらいしか…………、それはそれで助かるけど。
「問題ありませんよ。私なんて一日一発しか魔法使えませんし」
問題しかない!
「防御全振り……。最強の盾って感じがして格好いいわね!」
格好よくない!
私が介入する余地もなく、ダクネスの加入は決定した。見た目に騙された……。
でも、まともな人が加入したんだからいいか。
攻撃に難があるとはいえ、性能に申し分ないけど性格に難があるアクアよりはまだいい方だ。
むしろ、ここで求められるのは人間性だ!
計画を立てる時とかに役に立つなら、攻撃が当たらないぐらい許す、大目に見る。
何だったら私がダクネスの分まで攻撃する。
だからお願いします。
これ以上苦労の種を増やさないで下さい。
翌日。
ギルドの片隅にあるテーブルに紙の束を置き、独占する。
私は御札をつくることにした。
今までは生活を安定させることを優先していたが、今はお金に余裕があるので御札をつくることに。
この世界、紙が意外と高いので大量に購入するにはそれだけの金額が必要となるが、悪魔の報酬で余裕がある今なら躊躇なく買える。
アンデッド退治以外にも使えるようにするつもりだ。
昨日素晴らしい結果を出した霊夢式ライトニングだが、こいつにも欠点はある。
それは一度にたくさん出せないことだ。左右の手からビビビッと出せるけど、それ以上はめんどい。
そこでこの御札だ。
これに魔力を込めたら、霊夢式ライトニングを発動するというものにしたい。
実現すれば十発、二十発の霊夢式ライトニングを一度に発動させることもできるのだ。
これをアクアに言ったら「レイムがどこに向かってるのかわからない」と言われた。
私にもわからないけど、楽しいからいいの。
「ららら~」
これが完成すれば、私の冒険者生活は揺るぎないものになる。
冒険者の生活は不安定で、しかも仕事は危険だ。その代わり法律さえ守っていれば自由な日々を送れる。
裏を返せば、お金を安定して稼げるようになれば自由を満喫できる。
御札を揃えることで、私は自由を満喫するのだ。
そういうわけで今日は御札製作に専念する。
クエストなんかやらない。
私がせっせと御札をつくっていると、暇を持て余したぱちもん女神がこっちに来た。
「暇だから遊びましょうよー」
「私はこれがあるから。めぐみんかダクネスに構ってもらいなさいよ」
「あの二人は今ゲームしてるもん」
「ゲーム? ……ああ、あの変なゲームね」
将棋のようなゲームをめぐみんとダクネスはやっていた。
前に一度やったが、エクスプロージョンとかいうわけわかんないもので滅茶苦茶にされてから二度とやらないと決めた。
「観戦したらいいじゃない。中々白熱してるみたいよ」
「わかってないわね。そろそろエクスプロージョンが飛んでくるわよ」
「エクスプロージョン!」
「ああっ!?」
「ほらね?」
それだけのことに誇らしげに胸を張るアクアを見て、毎日が楽しいんだろうなと心ないことを思ったり。
私が御札製作を優先してるのが気に入らないのか、アクアは隣に座り、揺らしてきた。
ええい、子供か、あんたは。
揺らされては上手につくれないので、諦めて手を止め、アクアに顔を向ける。
「もうずっとやってるんだから、少し休んだら?」
「断っても邪魔するんでしょ。しょうがないわね」
アクアの言葉を聞き入れるわけではないが、確かに長いことやっていた気がする。
ここらで休憩するのも悪くなさそうね。
御札をまとめ、手つかずの紙束もまとめ、布製の鞄にしまう。ペンは鞄についてるポケットに別にしまう。
鞄を足下に置く。
「とりあえずお昼にしましょうか」
「そう? めぐみん、ダクネス、お昼にするわよー」
「レイムはもう終わったのか? 何やらずっと書いていたようだが……」
「休憩よ。あとで続きをやるわ」
アクアが邪魔してきそうだが、せめて半分は終わらせておきたい。
お昼ご飯を食べ終えて。
満腹感で眠気が襲ってきた。
この世界、意外と美味しいものが多い。
蛙とかはじめはどうなのと思ったけど、食べてみると普通に美味しいのだから驚きだ。
私が満足してると、ダクネスが話を切り出す。
「何かクエスト行ってみないか?」
「クエスト?」
「ああ。パーティー結成記念にクエストを請けてクリアという幸先のよいスタートを決めたいじゃないか」
「気持ちはわからなくもないわね。でも、大体のモンスターは私一人で倒せ……」
メンバーを見て、気づいてしまう。
蛙に食われるぱちもん駄女神、一回魔法を唱えれば倒れるぱちもん紅魔族、攻撃がまともに当てられないクルセイダー。
まともに攻撃できるの私だけ!
……のんびりした日々を送れるようになるのだろうか、私は。
突然話すのをやめた私をダクネスは不思議そうにしていたが、私が何も言わないのを見て、話を進めた。
「簡単なところでジャイアントトードがある。繁殖期を迎えていて街の近くまで」
「「蛙はやめよう!」」
「な、何でだ? 美味しいクエストと言われるぐらい簡単なもので、引き取ってもらえるから稼ぎもいい。森の悪魔を退治したあなた達なら余裕のはずだが」
「あー。こいつら蛙に食われてトラウマになってんのよ?」
「くわっ!?」
「蛙の唾液でぬるぬるになって、臭くなって。とにかく散々な目に遭ってんのよ」
「ぬるぬる……んっ」
「?」
なぜダクネスは頬を赤くしているの?
どことなく興奮しているような……。
戦う時に興奮する人がいるとは聞いたことあるけど、ダクネスもそうなのだろうか?
苛烈な戦いを想像して興奮したのか。
相手はたかが蛙なのだが、食われたりしたという言葉から強敵風に想像してるのかもしれない。
そういう人を見るのははじめてなので、ついつい物珍しい目で見てしまう。
「蛙以外でお願いします。それ以外なら爆裂魔法でどうにかなりますので」
「そうよ! わざわざあんなものと戦う必要なんかないわ!」
正門の前にいる守衛さんでも簡単に倒せる蛙に本気でびびってる上級職がこの二人です。
誰がどう考えてもパーティーを組む相手を間違えたと思うはず。
弱い相手を倒して幸先のよいスタートを決めたいというダクネスの意見を尊重したいところだが、決めたところでどうなるんだと思えてきた。
「蛙以外となるとゴブリンだが、それは今はない。どうしたものか……」
「蛙でいいんじゃない? そこの二人の意見なんか無視しちゃって」
「「!?」」
「それは可哀想だ。他にいいものがないか見てみよう」
「「ほっ」」
どんだけ蛙が怖いのよ……。
アクア、あんたは私と魔王を倒しに来たのに、どうして雑魚モンスターがトラウマになってんのよ。
そんなんで魔王を倒せると思ってんの?
私は倒すつもりないけど。
わざわざ倒しに行くなんて面倒。
私は御札、魔法を完成させて自由に満ちた生活を満喫するのだ。
二つが完成すれば強い敵もバンバン倒せるようになり、レベルアップもすぐだろう。
強い……敵……?
駆け出し冒険者の街アクセル。周辺には弱いモンスターしかおらず、低レベル冒険者がレベルを上げるには最適の地域である。この街で強いモンスターと言うと初心者殺しや一撃熊といったものになる。
上位悪魔ほどのモンスターが住み着くのは、十年に一度あるかどうかと聞いた。
そして、この私のレベルの上がらなさを加えてみたらどうなるだろうか?
はじめから間違えていたのかもしれない。
蛙を倒して経験値少なーい。何て間抜けな発言だろうか。
弱いモンスターなら経験値も少なくて当然。
私が本当にするべきこと、それは……、強いモンスターを倒すこと。
強いモンスターなら経験値も多くもらえる。
そうだ。
蛙を倒してる場合じゃない。
私はテーブルを強く叩く。
「強いモンスター倒したい!」
「うわっ。急にどうしたのよ」
「私のレベルは未だに1なのよ。そろそろレベルも上がっていいと思うんだけど、それじゃだめなのよ。本当にレベルを上げたいなら強いモンスターと戦う必要があるのよ」
「えっ? レイムってレベル1なんですか? そうには見えないのですが」
「森の悪魔討伐に活躍したと聞いているのだが」
「ま、これが証拠よ」
二人に渡す前に見てみたが、やっぱりレベル1であった。
悲しい。
二人は私のレベルを見て驚き、
「何ですかこの魔力は!?」
「幸運もとんでもないぞ。他のステータスも文句なしに高い……。こんなレベル1がいたんだな」
「なるほどなるほど。レイムもやるわね。でも、魔力は私のが上のようね」
アクアは二人の反応に、負けてられないと思ったのか、カードを取り出して私に見せてきた。
レベルは4とあり、これはこの前の悪魔の経験値で上がったのね。羨ましい。
ステータスは……。うわ、確かに魔力はアクアのが高い。やっぱり女神だけあって、スペックは高い?
あれ?
「ちょっと。最初の時とステータス変わってないじゃないの」
「この私ともなれば、ステータスなんて最初からカンストよ」
「カンスト?」
「つまり最大値ってことよ。どう恐れ入った?」
「そんな……」
つまりアクアの知力は今後上がらないってこと?
そんな、そんなことって……。
私はある言葉を思い出した。
ばかは死ななきゃ直らない。
ばかにつける薬はない。
何てことなの?
つまりアクアは永遠にばかってこと?
こんな、残念な神様がいるなんて……。
目が、目が熱くなる。
「そうね。アクアの魔力は私より高いわ」
「ね、ねえ、どうしてそんなに優しい顔をするの? どうしてそんなに優しく言うの?」
「今日はアクアが食べたいもの食べに行きましょう」
「どうしたの? 何で急に優しくするの?」
私の反応にアクアはあたふたする。
そのアクアを私は優しく見つめる。
今までぱちもん女神とか駄女神とか散々言ってしまったけれど、これからはもっと優しくしよう。
他の二人はアクアのカードを見て、私の反応に納得がいったようで、そっとカードをアクアに返した。
そのあとに私のカードを返してきた。
私の優しさにアクアがあたふたしている中、ダクネスは口の前に拳を持っていき、こほんと咳を吐いた。
「話は戻すが、レイムは強いモンスターと戦いたいんだな? 私としては構わないが、パーティーの平均レベルは駆け出しの駆け出しだぞ」
「大丈夫よ。初心者殺しか一撃熊狙うから。まあ、本音を言えば他の街に行って強いモンスターを狩りたいんだけどね」
「それだとレベルが足りなくて断られる可能性がありますよ」
「そうなったら通さずに狩るって手段があるわよ」
「それはそれでトラブルを生むことになりますからやめておいた方がいいですよ」
めぐみんの言葉に私は項垂れる。
どうやら世界は私が疎ましいみたい。
どうしたものかしら。
初心者殺しとか倒していけばだけど、それだって限界がある。
レベルを理由に断られるとしても、実績さえあれば請けるのを許してもらえるはずだ。
アクセル周辺の強いモンスターを狩るか。
私は依頼が貼ってある掲示板へと行き、強そうなモンスターの依頼を探す。
基本的に高額の依頼が強いモンスターなので探すのは簡単だ。
ここで私は妙な依頼を見つけた。
マンティコアとグリフォンの討伐依頼だ。報酬は五十万エリスとある。
何これ?
二匹の討伐でこの報酬……。熊や初心者殺しよりずっと安いから、多分強くないはず。
それなのに誰もとらない。
何かあるの?
私がこの依頼をずっと見てると、めぐみん達が来て教えてくれた。
「マンティコアとグリフォンはアクセルの街の冒険者が戦うような相手ではありませんね」
「強いの?」
「強いも何もこの掲示板の中では最も危険なものだ。戦えば、全滅する可能性が極めて高い」
「それなのにこんな安いの?」
「危険すぎるから誰も請けないようにと安くしているのでしょう」
なるほどね。
確かにそうしたら誰も請けようとは思わない。
単純だけど有効な手だ。
それにしてもこいつらは強いのか。
いいことを聞いた。
「そう。それはいいことだわ」
自然と笑みがこぼれた。
二人の言うほどのモンスターならさぞたくさんの経験値を持っていることだろう。
そんなモンスターが二匹。
これはもう狩りに行くしかないのではなかろうか。
私が素敵な依頼をじっと眺めていると。
『緊急クエスト! 緊急クエスト! 冒険者の皆さんは至急冒険者ギルドにお集まり下さい!』
緊急クエスト?
何のことだかわからず、私は掲示板を見るのをやめて三人に向き直る。
どうやら三人とも察しがついているようで、あれかと言わんばかりの顔をしていた。
「緊急クエストって何よ」
「キャベツですよ」
「キャベツ?」
「はい。キャベツの収穫です。そろそろ収穫の時期ですから」
「農家の手伝いをするってこと?」
「違う。飛んでくるキャベツを収穫するんだ」
「飛んでくるキャベツ? キャベツが飛ぶの?」
「何を当たり前のことを言ってるのですか。味が濃縮して収穫の時期になると、キャベツは空を飛び、大地や街を駆け抜け、海の向こうにあるとされる秘境でひっそりと息を引き取ります。ですから我々はそのキャベツを捕まえ、美味しくいただくのです」
拳をつくり、熱を込めて語っためぐみんに私はやる気をなくした。
モンスターかと思ったらただの食べ物らしい。
やる気を出せと言う方が無茶だ。
そのあとギルド職員からキャベツ一玉につき一万エリスの報酬が出ると言われたが、やる気は出なかった。
何でキャベツなんかを……。
「思わぬ形ではあったが、みんなでやる最初の依頼だな」
ダクネスが嬉しそうにそんなことを言い。
キャベツなら死ぬ心配もないし、ちょうどよかったと言えばよかったのかもしれない。
キャベツを収穫するなんてと思うけど、ここはみんなと参加しよう。
私達はギルドを出て、街の正門に集まる。
侮っていた。
大地がキャベツの群れで隠れる。
キャベツの絨毯と言える光景に私は言葉を失う。
飛んでるし、跳ねてるし、わけわかんない。
そして、わけわかんないキャベツを多くの冒険者が迎え撃とうとし。
「つっ!?」
私は突然の頭痛に頭を押さえてよろめく。
似た光景を見た……。
敵……、無数の黒き異形……。
それを私は、紫や萃香や華扇……、他にも多くの妖怪と一緒に戦って……る?
知らない。
私はこんなの知らない。
見知らぬ記憶に戸惑っている私を、
「レイム! レイム!」
アクアは肩に手を置き、軽く揺らしながら大きな声で呼びかける。
その声で私は我に返ることができた。
「どうしたのアクア」
「どうしたも何もないわよ。あんた、頭を押さえたまま固まってたのよ」
「大丈夫よ。もう何ともないから」
「大丈夫って、あんた……」
アクアにここまで心配されるとは。
ダクネスとめぐみんも心配そうにしていて。
私は何でもないよと手を振って笑いかけ、すぐそこまで迫っていたキャベツを見据える。
ふざけてるとしか思えない収穫クエストを終わらせた私達はギルドでキャベツ料理を食べていた。
たかがキャベツのはずなのにやたらと美味しい。
何がどうなってこんなに美味しいのか知らないが、私は別の意味でも侮っていたようだ。
現在街の中でもキャベツ料理が振る舞われている。
明日には収穫されたキャベツは売りに出されるとのこと。
何が悲しくてと思ったキャベツ収穫であったが、悪くなかったと思う。
……ダクネスの姿を見たからそう思うかもしれないけど。
まともに思えたダクネスであったが、どういうことなのか、キャベツに攻撃されると嬉しそうにし、喜びの叫びを上げていた。
痩せ我慢してるとかではなく、心から喜んでいたのだ。その姿を見た時は目を疑い、次に嘆いた。
「しかし、見事でしたね。ダクネスの防御については聞いていましたが、あれだけ攻撃されても守るために立ち塞がるとは」
「ダクネスにはキャベツの群れも攻めあぐねていたわね。もはや砦と言えるほどよ」
「そう言ってもらえると嬉しい。……それよりもめぐみんの爆裂魔法は凄かった。キャベツを追って来たモンスター達を一掃するとはな。あれには誰もが驚いたな」
「ふふふ。我が爆裂魔法の前ではどんな敵も一撃ですよ」
強敵以外の使い道が爆裂魔法にはあった。
モンスターの群れを一撃で一掃したのは、流石としか言えない。
一日一発限定であるが、使い道さえ間違えなければ大活躍間違いなし。
アクアは酒の入ったグラスをテーブルに置くと、誇らしげな顔になり。
「レイムの回避には驚いたわ! あれだけのキャベツの攻撃を一撃ももらわず、全て避けるなんてね」
幻想郷では弾幕ごっこをやっていたから、キャベツの攻撃を避けるのは簡単だった。
それに久しぶりに弾幕ごっこをした気がして、少しばかり楽しかった。
「あれぐらいなら大したことないわよ」
「いや、あれは本当に凄かった。まるでどう来るのかわかっているかのような避け方だ」
「本当ですよ。何でもなさそうに避けて、キャベツをポンポンと収穫していって。一人だけ違うことやってるように見えました」
収穫……。
改めて聞くと、変な感じがする。
私の知っている収穫とは異なるからかもしれない。
「ふふ。私達なら魔王の幹部どころか魔王だって倒せるんじゃない? 何だったら乗り込んでみない?」
アクアの自信に満ちた言葉にめぐみんは満更でもなさそうな顔になる。
アクアが今日のキャベツ収穫でどうしてそんな自信を得られたのかは不明である。
強敵と戦ったわけじゃないのに、どうして自信があるのやら。
自信があるのはいいことだけどと私が思っていたら、ダクネスが首を横に振った。
「それは無理だろう。我々はまだレベルが低い。その上魔王の城は結界で守られている。あれがある限り乗り込むことはできない」
「結界?」
「ああ。魔王の城には結界が張られている。話では八人の幹部が結界の維持をしているらしい。だから幹部を倒さないといけないのだが、その幹部がとてつもなく強くてな。今のところ結界の無効化どころか幹部の討伐すら目処が立っていない」
何て面倒なのかしら。
これはもう諦めるしかないわね。
レベルがいつまでも1の私にはどうすることもできないわ。
それはしょうがないことなの。
せっかくもらった命を無駄にできない。
レベル1はレベル1らしくアクセルで依頼を請けるとしましょう。
とても残念だけど。
私が無力感に打ちひしがれていると、アクアはテーブルに拳を叩きつける。
「いったあ……! 『ヒール』!」
思ったより痛く、涙目になって、拳に回復魔法をかけた。
こほんと小さく咳を吐いて、何事もなかったように話しはじめた。
「目処が立っていないなら諦めるの? そうじゃないでしょ。私達のレベルが足りないなら、強いモンスターをどんどん倒して高レベルになればいいだけよ。人々を苦しめる魔王を私達の手で葬るのよ」
そんな面倒なことはしたくない。
その内誰かが倒すから放っておきましょうよ。
レベル上げるのは賛成だけど、強いと評判の連中を倒すのは面倒だから……。
アクセル周辺に来たんなら、経験値稼ぎに倒しに行くのもやぶさかではないけど。
まあ、それはないわよね。
「その通りですね。低レベルだからできないと諦めるのではなく、その日が来るように鍛えるべきです」
「そうだな。私は間違っていた。アクアの言う通り、強いモンスターを倒してレベルを上げよう」
単純なのか、純粋なのか、二人はアクアの話に共感していた。
もしかすると明日から面倒なことになる流れかしら、これ。
私が一抹の不安を抱く中で、三人はどんどん話を進めていく。
メンバー、間違えた?
ギルドを出て、宿へ戻る途中。
この世界の空は、幻想郷の空と同じぐらいに美しい。昼も、夕も、夜も、同じぐらいに美しい。
少しだけ空を見上げてそう思った。
「うえええ……ぷっ」
路地で盛大に戻してる女神を見て、改めて空は美しいと思う。
戻してすっきりしたアクアは、水の女神らしく水を出して口の中を綺麗にする。
私の隣に来たアクアに質問を投げる。
「アクア、あんたって私がどう死んだかわかるの?」
「何で?」
「前に神の目は全てを見通すとかほら吹いたじゃない。なら、私の死に方知ってるでしょ」
妙な記憶が出てきた今、私は自分がどう死んだのかわからなくなっている。
最後の記憶は朝食を食べてる時ので、それで私は喉を詰まらせて死んだと思っていた。
私らしい感じがして、気にしていなかったんだけど、流石に知らない記憶が出てきたら疑うしかない。
「ほら吹いてないんですけど。……レイムのいた場所は結界を張ってたでしょ? そのせいで完璧に見通せるわけじゃないのよ。そもそも幻想郷のことなんて私にはさっぱりだからね」
アクアの話に私は引っかかりを覚えたが、それが何なのかわからなくてもやもやする。
だけど、死に方さえわかれば、私としてはそれでいいわけで、引っかかりなんか無視していい。
「だからね。私にはレイムがどう死んだのかはわからないの。でも、酷い怪我をしていたのはわかる。……ねえ、何があったの?」
「それは私が知りたいわ。アクアの言う死に方をした覚えはないんだけど」
「はあ?」
「私は朝ごはん喉に詰まらせて死んだとずっと思ってたし」
「ちょっと待って。あんた、天界に来た時、やけに達観してたわよね? 朝ごはんで死んだ人が見せる態度じゃないから、あれ!」
「うるさいわね。そんな昔のこと言われても困るんだけど」
「もしかしてあの時、死ぬ覚悟は持ってるからとか思ってたんじゃない? そ、そんな人が朝ごはんで死ぬとか……プークスクス」
どうしよう……。
アクアのせいで朝食死が恥ずかしくなってきた。
我ながらあほな死に方とは思ったりしたが、自分らしい感じもあったから気にしなかったのに。
ばかが笑うせいで、私は恥ずかしくて逃げ出したい気持ちになる。
ヤバい。
これは本当に恥ずかしい……。
どうして自分らしいと思っていたのか……。
「ま、まあ? レイムが朝ごはん食べて死んだほ、方がいいってなら? 天界に戻った時、怪我が死因じゃなくて朝ごはん、ブフォ!」
「あ、あんたいい加減にしなさいよ?」
「やだー。レイムさん顔真っ赤にして怒っても可愛いだけですよ? ……ちょ、ちょっと、無言にならないでよ」
アクアが背を向けて逃走した!
私は捕まえてお仕置きするために追いかけた!
そろそろ霊夢はモンスターを経験値呼ばわりするかもしれません。
脇女神と脇巫女、あとは脇悪魔と脇姫とか出れば……