インフィニットストラトス 〈THE GEMINI G MYSTER〉 作:ジャッジ
ニールside
俺とシャル、ステラはエターナルの格納庫でサバーニャ達の整備をしていた。
例え戦闘が無くっても自機のメンテナンスぐらいはしなきゃいけない、戦闘の後ならなおさらな。
「う〜ん、ミサイルとシヴァの残弾ゼロか。二人ともどう?」
「オオワシのビーム砲が破壊された…」
「俺も、ミサイルの残弾がなぁ〜。モルゲルレーテに戻りゃあるんだが。まぁ、無いもん欲しがってもしょうがねぇけどな。」
「いえ、そんな事ありませんよ。」
真後ろからそう声が聞こえ俺たちは一斉に後ろを向く、そこには携帯端末とバインダーを持ったツナギを着た少女が立っていた。
「えっと、君は?」
「はい、ルルーシュさんから指名されてこの艦の整備主任に任命されたアオバと申します。」
「それよりも、私たちのパーツを用意出来るの?」
「はい、サバーニャのミサイルとバスターデュエルのレールガンの弾ならすぐに用意出来ますし。
オオワシの代わりになる武装パックも準備出来ますよ。」
「本当か!いやぁ、助かるよ。」
いえいえ〜、とちょっと頬を赤らめながら否定する。けど助かったのは事実だ。ビットやライフルだけじゃどうにもならない時はミサイルに頼りっきりだったからな。
すると、今度は何かを思い出したかのようにシャルに話しかけた。
「そういえば…シャルさん。もしかしたら右腕の反応鈍くありませんでした?」
「確かに動きにくかったけど…もしかしてパーツが悪かったの?
てか、それよりよく分かったね、右腕の反応が悪いって。」
「皆さんの機体とパイロットデータを記憶してまして、そこから予想したんです。
対した能力じゃありませんけどね。」
「ううん、十分スゴイと思うよ!
流石主任さんは伊達じゃないって事だね。」
「そ、そんな事ありませんよ…
そうだ!三人で代わりの武装パック、見てきてはいかがでしょう。こっちは私たちにお任せ下さい!」
という事で自分の機体をアオバさんに任せて俺たちはアカツキの武装パック『オオワシ』の代わりとなる物を見せてもらう為、指定された所に行った。
そこでは丁度、信太郎を始め一夏や箒、簪、マユちゃん、アリアちゃん、ショーコちゃん、そして蘭が何やら手元の紙を見つめながらルーシィさんと話をしていた。
「あれ皆、何してるの?」
「デュノア、それとディランディとルーシェか。
タイミングがいいな、お前らにもコレを渡しておかないといけなかったんだ。」
と言ってルーシィさんさ俺たちに数枚の紙が手渡された、一枚目には「作戦指示書」と書かれてあった。
「作戦指示書…新しい作戦ですか。」
「僕とステラは同じチームだけど、またニールだけ別みたいだね。」
「ステラ、ニールと一緒が良かった…」
「仕方ないよステラ。僕も一緒が良かったもん…
それでえっと三枚目は…機体改造?」
俺も確認しようとするが…無い。恐らくチームが違うからだろうな。
二人のを見せてもらうとシャルの方は出撃時からデュエルモードに固定、シヴァを取り外し右肩から腕にかけて水中用の大型フォトンメーザー砲を装備し格納領域に大量の弾を入れておくように指示されている。
ステラはオオトリストライカーというのを装備するようだ。
「俺はヤークトアルケーのファング取っ払って大型魚雷を装備ってか。」
「私はX2のショットランサーの機銃を水中用に換装…」
「俺はエールストライカーにシュゲルトゲベールとパンツァーアイゼンを装備か。」
「ふむ、ベルセルクのライトニングレイピアをノーマルのレイピアにか。」
「私のMk-IIは特に変更無しです。」
「迅雷のビームライフルをショットガンに…ですか。」
全部の機体に改造を加えるつもりなのか?信太郎と簪の簪の言葉から考えるに…なるほど、海中戦か。
通りでビーム兵器を外して実弾やレーザー兵器を乗せてるわけか。
「あ、あの…一ついいですか。私、IS持ってないのにどうして?」
不意に蘭がおずおずと手をあげた。確かにあいつは専用機持ちじゃない。じゃあ何で参加する事に?
「機体はこちらで用意した、この後にフォーマットとフィッティングをするから…」
「ちょっと待ってくれ、蘭はまだ満足にISを使ってないんだ。
いきなり実戦投入は流石にどうかと思うんだが?」
「ディランディ、お前も知っていると思うが習うより慣れよという言葉がある。
織斑一夏だって知識や経験がほとんど皆無なのにも関わらずオルコットを撃破している。理屈はそれと同じだ。」
「あれはISバトル。これは実戦。
危険度は比べものにならない程高いと思うんだが?」
「最終決定は五反田自身にある。それを聞いてからでも遅くないと思うが?」
ルーシィさんはそう言って蘭の方を見る。あいつは何度か口を開いたり閉じたり、言葉を選びつつ時には飲み込んだりして…言った。
「や、やります…やらせて下さい。私も、世界を変えたいから!」
「…蘭がそう決めたなら俺が口を出していい権利はないな。頑張れよ。」
「纏まったな、では五反田ついて来い。指南とレイランドも一緒にな。」
そう言ってルーシィさんは三人を連れてどこかへと行った。
全く、コレを弾や厳さんが知ったら何と言われる事やら、あと『蘭ちゃんファンクラブ』の人たちにもな。唯一その場に残った一夏は盛大にため息をついる、恐らく俺と同じことを考えてたんだろう。
「やれやれ、俺ら厳さんに何されることやら。」
「はは、流石の現生徒会長も厳さんには敵わないか。」
「未来永劫、俺たちゃあの人にゃ勝てねぇって。」
「確かになぁ〜、あの人がIS乗ったらかなり強いと思うな。」
そう言って苦笑する一夏、俺もつられて笑ってしまう。
シャルとステラ以上に一夏はこっちじゃ長い付き合いだ、一番信用してるって言っても過言じゃない。
「お前は海中だったな、艦を頼むぞ相棒。」
「そっちこそ、蘭のことは頼むぜ相棒。」
そう言葉を交わしてその場を去る。さてと、俺もアオバさんに任せっきりのサバーニャの整備を再開しよう。
そして、二人と並んで歩いていてふと思った事がある。こんな戦いの…歪んだ世界の中でも友情とか信頼が一番大切だなぁ〜ってな。
ルーシィside
人間の思考というのがよく分からんとこっちに来て感じたのは始めてではない。特に織斑千冬と戦った時は特に感じたな。
戦いの中で殺しが正当化されるというのは姉のミネルヴァより教えられたことだ。
実際、戦時中に敵兵を殺しても裁かれることなく自国の英雄となった者も大勢いる。だが…彼女は生かそうとした、私からすれば奴の気が知れん。そもそも…
「なーに難しい顔してんのよ?」
「む、烈花か。いや、なんでもない…それよりテスタメントの調整は終わったのか?」
「んまぁ一応、あっちもそろそろだと思うよ。」
烈花の視線の先にはヒビヤとエイラが指南とレイランドに見守られながら五反田専用機のフォーマット等の手伝いをしている。
彼女が乗ってる機体はXXXG-02D、ガンダムデスサイズアーリータイプと呼ばれるガンダムタイプISだ。
こいつはエターナルにあった機体のうちの一機で他にもランスロットタイプが組み立て途中だったり、エヴァの参号機が完成した状態で格納庫に放置されていた。
「ガンダムデスサイズ…やっぱ蘭ちゃんには手に余るんじゃないの?」
「消去法だ。まず完成してないランスロットタイプは論外、水中戦ならともかく海上部隊に入ってもらうためエヴァもダメとなると…」
「自然とデスサイズってわけね、まぁ箒と組んで貰うんだし、そこで戦闘のイロハを掴んでもらうしかないわね。
さて、私もセシリアの整備の手伝いしないといけないから〜!」
烈花はそう言って駆け出す。むっ、整備か…そういえばライフルの補給と右腕の関節部の修復作業がまだだったな、今回は出撃しないが…備えあれば憂い無しだ。
と、心を入れ替えゼータの置いてある場所まで移動した。
烈花side
私は改めて妹分二人のISを見た。
まずはセシリアのブレイヴティアーズ。その手足はスラリとしていて武装はスナイパーライフルやビットなど。
続いてラウラのシュヴァルツェア・ヴァーチェ。セシリアのとは対照的にずんぐりとした体型で厚い装甲と強力な火器とGNフィールドを持つ。
両方ともクセのある機体だけど…まぁ大丈夫でしょ、一通りのチェックが終わったのかセシリアとラウラが声をかけてきた。
「姉貴!ヴァーチェの整備、終了しました!」
「お姉様、こちらも終わりましてよ。」
「お疲れ様〜。さて、今回はラウラは艦橋でオペレーター。セシリアは私とペアで海上部隊だったわね。」
「はい、精一杯頑張りますわ!」
そう言ってセシリアが右腕に抱きつきて来たから左手で頭をなでほぼ同時に笑みをこぼす。
全く、この子の可愛さは反則級ね。それにしても気になるのはラウラ。
ずっと私たちをキラキラした目で見つめてるんだけど…
「姉貴!セシリア!お一つ言いたいことがあります!」
「な、何よいきなり…」
「どうしましたのラウラさん…?」
「恋人の力はすさまじいものと聞きました!
愛の力は全てを打ち砕くと…次の戦闘頑張ってください!私はいつまでも応援し続けます!」
そう言われ私たちはお互いの顔を見つめて…瞬時にポッと顔を赤らめる。
セシリアはもじもじとしてどこか恥ずかしそうな表情をして上目遣いでこっちを見てる。
(うわぁ…めちゃ恥じらってるじゃん、反則級だってこの可愛さは…!ヤバイって鼻血でそう…)
すると今度はそのままの体勢で目を閉じ唇を…ってこれは⁉︎…ああもう!…仕方ないわね。
私は要望通りちょっと乱暴に…キスした。
ちょうどいい大きさので、柔らかい唇…甘くてイチゴみたいな香りがする…
体感時間では十分ぐらいし続けてから唇を離した。
「ぷはっ!ち、ちょっと長すぎではありませんか…?」
「ご、ごめん…久しぶりで、加減とかわかんなくて…」
私はセシリアの頭を撫でつつ微笑みかける。もう一度しようと顔を近づけていく…
「ちょぉぉぉぉぉとストップ!そこのレズカップル、今すぐキスしようとするのをやめろっす!」
「あっ!フォルテ、テメェいい所だったんだから止めんなよ!」
ふと声をかけられ二人して振り向くと肩で息をしているフォルテさんとちょっと残念そうな顔をしたダリルさんがいた。
「ダメっす!これ以上見たら、砂糖吐いて倒れてしまうっす!あんたら年齢と付き合ったことない年数が同じっていう私への当て付けっすか⁉︎
それに…ぐふっ‼︎」
更に喋り続けようとしたフォルテさんをダリルさんが後頭部を殴って制した。
ってかフォルテさん。それって自分のコンプレックスこじらせただけじゃ…
「…ったく、悪かったな二人とも。
そろそろボーデヴィッヒに準備しとけよーって言いに来たんだが…まさかこんな事にとはな。」
「あはは…すみません…」
「申し訳ございませんわ…」
なるほど、通りでさっきからラウラの姿が見えないと思ったら、もう行っちゃったんだ。
と、その時、艦内にアラートが鳴り響いた。
『敵影確認!敵影確認!総員第一戦闘準備!両部隊の第一班は出撃願います!』
「うそっ!予定よりめちゃ早いじゃない!」
「うわっと!私も配備場所に行くっす!三人ともご武運をっす!」
フォルテさんは大急ぎで指定された場所に向かう。私たちも急いで新しいISスーツに着替える。
新しいISスーツとはまんまガンダムのパイロットスーツのデザインになっている。
私はカガリ・ユラ・アスハと同タイプものを。
セシリアはソレスタルビーイングの青いものを。
そしてダリルさんはクロスボーンバンガードのものを着用している。
着替え終わってカタパルト駆けてゆくと既に楯無さんを中心に箒に蘭ちゃん、金女ちゃんと大地君も集まっていた。
「海中部隊は⁉︎もしかしてもう行っちゃったとか?」
「いや、その逆でまだ来てないんだ。多分、水中用装備への換装に手間取ってるんだと思う。」
ザフトの赤いスーツを着た箒が心配そうな声で言う。
全く、信太郎は何してるのよ。海中部隊が発進しないとこっちも出れないのに。
「んじゃ、あいつらが来たらすぐ出れるように展開しとくか。」
そう言うとダリルさんはバックルを着け中央にΧのデザインされた黒いケータイ…カイザフォンを取り出しコードを入力して空に掲げる。
「行くぜぇ…変身ッ!」
〈complete〉
彼女の体がピカッと輝き、瞬時にX3が展開されてる。
それを見てロンドベルのスーツを着た楯無さんもバックルを着け中央にΦの文字がデザインされたファイズフォンを取り出してコードを入力、空に投げてキャッチする。
「行くわよ〜、変身!」
〈complete〉
こちらも瞬時に展開され、既にABCマントも装備されている。このノリは…私もしなきゃいけないって感じね。
私もウイングフォーム電王ベルトを装着、変身待機音を鳴らす。
「さぁて…変身。」
〈I.W.S.P.-FORM〉
「降臨!万を辞して。」
「あの…それって絶対に言わなきゃいけないんですか?」
変身ポーズをキメてお決まりのセリフを言った後、セシリアがちょっと気まずそうに聞いてきた。
っとこれは…ねぇ〜…
「いやぁ…別に言わなくてもいいんだけど。
その…モチベーションの問題ってかさ。」
「そうそう、言わねぇと締まんねぇんだわ。」
そう言いつつ信太郎を初めとした海中部隊がやっと来た。
先頭の信太郎はムウ・ラ・フラガと同タイプのスーツを着ていた。
「遅いわよ信太郎!あんた達が出ないと私ら出れないんだから。」
「悪りぃ悪りぃ、全員分の換装に手間取ってな。んじゃあ行くぜ!」
信太郎は電王ベルトを取り出し腰に巻きつけ赤いボタンを押し、右手にパスを持ち構える。
「変………身ッ‼︎」
〈JAGD ARCHE-FORM〉
「へへっ。俺、参上!」
そう言いカタパルトに歩を進めてハッチが閉じられると同時に水が注水される。
『榊原信太郎。アウトフレームD出るぜ!』
後に続いて次々と発進していく、セシリアの機体が出撃し私の番が回ってきた。
一度深呼吸して目を閉じ、カッと開く。確認できないけど私の目つきは鋭くなってるだろう。
『最後にテスタメントガンダム、発進どうぞ!』
「如月烈花、テスタメントTAKE OFF‼︎」
勢いよくカタパルトから射出されそのまま海上を目指す。
さぁて、私たちと新生亡国機業との第三ラウンドの開幕よ!
第二十話完
では、次回予告です。
海中部隊を率いる信太郎は特務用に改造されたアウトフレームDを駆って水中用のISと戦う。
しかし、不慣れな水中戦で苦戦して…
次回
インフィニットストラトス
〈THE GEMINI G MYSTER〉
第二十一話
「海中戦線」
感想、ご意見お待ちしております。