インフィニットストラトス 〈THE GEMINI G MYSTER〉   作:ジャッジ

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第二十二話 「黒騎士と白騎士」

第一班の中で最も苦戦していたのはやはりアリアだった。慣れない水中戦で機体もボロボロ、エネルギーも残り少なくライフルやレールガンの弾も切れた状態だった。

 

対してアビスは対した損傷もなくほぼ無傷であったが、いくらかはSE(シールドエネルギー)を削られていたが微々たるものだった。

 

「くっ、流石はガンダムか…これだけ性能差があるなんて…」

「あなたの機体がガンダムだろうが何であれ、あなたの負けは決まっています。

なぜならあなたの技量は私には到底及ばないからです!」

「ぬぐぅ!」

 

ついにアビスのランスがベルセルクのバスターランスを砕き最後の武装が破壊される。だが…

 

「調子に…のるなぁ!」

「…ッ⁉︎」

 

とどめを刺すために振り下ろしたアビスの槍をアリアは掴んだのである。

 

衝撃で手のマニュピレーターの一部が砕かれ血が滲んでいる。そして、そのまま回し蹴りを槍の中央に叩き込み真っ二つにへし折った。

 

「ふっ、一矢は…報いたつもりだ。」

「どうやらそのようですね。でもそれは無意味です。

では、おやすみなさい。」

 

アリアに向けて両肩のシールドに付けられている連装砲が向けられる。

十分にSE(シールドエネルギー)が残っているアビスとは正反対にもうエネルギーはゼロに等しい。

 

このまま喰らえばタダでは済まないとわかっているが、スラスターを動かすエネルギーも無い状態。

 

これまでかとアリアは目をつぶり連装砲が放たれる瞬間を待った。

 

「やめろぉぉぉぉぉ!」

 

推奨BGM

ガンダムSEED DESTINY

「インパルス発進」

 

その声とともに紅色に彩られたリフターがアビスに体当たりする。続いてその方向から実弾ライフルの弾が撃たれる。がその勢いとは裏腹に全く当たる気配がない。

 

「何よこの銃、銃身曲がってんじゃないの⁉︎」

「お前の技術が未熟なんだろ、もっと脇を締めて…」

「なるほどね、だいたいわかったわ。」

「わかってないから教えてんだろ!話をちゃんと聞けよ!」

「その声…アスカ先輩と凰先輩…?」

 

再び目を開けたアリアの前にはリフターを背負ったインフィニットジャスティスを駆るシンとマシンガンを持ったドラゴンナタクを駆る鈴がそこにはいた。

 

ルルーシュから指示を受けアリアの援護に回ってきた彼らはトドメを受けるギリギリで到着しリフターを飛びして彼女を救ったのだ。

 

「大丈夫かアリア?」

「申し訳…ありません、マユの仇も取れないで…」

「なぁに言ってんのよ、それがそんな状態で言う言葉?

あんたは下がっときなさい、こっから先は先輩たちでやるわ。誰かに襲われちゃいけないから、これも渡しておくわ。」

 

鈴はそう言って使用可能にしたマシンガンをアリアに渡し自分は徒手格闘の構えをとり、シンは事前に受け取った青龍刀を構えた。

 

「シン・アスカに凰 鈴音、どちらも格闘戦特化型…なら近づかなければ。」

「そんな事、させるかよ!」

 

シンはリフターのバーニアも使いアビスに近づこうとするが容易に近づかせる訳はなく、ひらりと避けられる。

 

「あんた何外してんのよ!これでも喰らっときなさい!」

「徒手格闘…私も出来ないとお思いですか?」

 

鈴の正拳突きをアビスは右肩のシールドで防ぐ。そして戻ってきたシンの青龍刀も反対のシールドで防ぐ。

 

「それで奇襲のつもりですか?」

「違うね、お前こそ注意力散漫だぜ。鍛えるために間違い探しだ。さっきの俺とは違うものがある。なんだかわかるか?」

 

そう言われてアビスのパイロットは注意深くジャスティスを見つめる。

 

「あ、ああ…あああ…」

 

そう、ジャスティスのリフターが無いのだ。瞬間、彼女の背中に大きな衝撃が走る。

 

背中にさっき消えたリフターが体当たりしたのだ、至近距離から放たれるビーム砲がその装甲を削っていく。

 

「いくら水中でも、この距離なら減衰もないだろ!」

「くっ…このままでは…致し方ない。」

 

アビスのパイロットは魚雷発射口からミサイルを放つ。しかもGN粒子入り、至近距離で放たれたので二人ともセンサーが乱れこれ以上追えなくなってしまった。

 

 

スコールとオータム、そしてキラは一夏と簪の元に辿り着き攻撃を開始していた。

 

そしてそこには千冬とルルーシュと共に信太郎達もいた。実はルルーシュ達が到着した瞬間、千冬がドッズランサーで残った敵を全て蹴散らしたのである。

 

「オータム、キラ君、信太郎。そっちに牽制するからお願い!」

「任せとっけてスコール!」

「お願いします。」

「変な場所に誘導するなよ。」

 

スコールは両手に持つレールバズーカをトリロバイトに打ち込みよけた所にオータムの十本のフォルドシックルとキラのカレトヴルッフがクロー、千冬のドッズランサーに突き刺さる。

 

「今だデュノア、ルーシェ、信太郎!」

「オッケー、狙い撃つよ!」

「言って、ミサイル。」

「行くぜ、超変身!」

〈HEAVY ARMS-FORM〉

 

シャルのフォトンメーザー砲とステラのミサイルそして信太郎のガトリングが一斉に火を吹き穴が空いたトリロバイトが水圧に負けて大きく爆発した。

 

トリロバイトの爆発を見つつ一夏と簪は落胆したような声色で呟いた。

 

 

「な、なんか…すごくあっけないよな…」

「う、ん…こんなにあっさりだとちょっと…」

「いや、トリロバイトは少数機での破壊は難しい。お前達はよく頑張った方だ。」

「そうだ、よく頑張ったな。更識妹、一夏。」

 

千冬とルルーシュから激励をもらうが一夏達にはあまり届いていない感じだった。

 

(やはり自分の不甲斐なさを感じているのか…団員のメンタルケアにも気を配らないとな…)

 

ふと、ルルーシュはそんな事を考えた。ここの所連戦続きだ、パイロット達にもストレスがかかっていると考えたからだ。

 

そして彼は頭を振ってその思考を一時中断さる。

 

「行くぞヤマト、楯無達が待っている。」

「あ、そうだね。でも、僕たちだけでいいの?織斑先生や信太郎君とかにも着いてきてもらった方がいいんじゃないのかな?」

「なるほどな、向こうも人手を求めてるか…よし。スコール、オータム。着いて来い。」

 

二人は頷きルルーシュとキラに続く、信太郎達に撤退を指示して彼らは海上へと向かう。かなり深度の深い所をエターナルは航行していた為、数十秒ほどかかってしまったが敵の攻撃もなく海上へと出られた。

 

「こ、これは…」

 

思わずルルーシュは絶句してしまう、箒からの通信では正確な数は記されていなかった。ルルーシュもいてもせいぜい十機程度だろうと考えていたが…それは大きく外れていた。

 

「なにこの数は…目視できるだけでも二、三十機はいるわ…一体どこからISコアを…」

 

そう、いくら敵にISコアを量産できる何らかの方法があるにしてもこの数は尋常ではない。

 

さらに後方には空母も待機していてまだ艦載機があるかもしれないと思うとぞっとする。

 

「っ!いた、ニセヴァルヴレイヴの二人だ!」

「金女さんに大地君も…よかった。あっちには箒さんと蘭さんもいるし…後は楯無さん、ダリルさん、セシリアさんと烈花さんだけど…」

 

オータムとキラが探している中、ルルーシュはある一点だけを見つめていた。そこには白いKMF(ナイトメアフレーム)と戦う二機のガンダムがいた。

 

「やはりランスロット…ランスロットコンクエスターか!

俺とヤマトは楯無の援護に向かう、スコール達は四人の救出を頼む。」

「だけど!この数は尋常じゃない、全部倒すのは無理よ!」

「用は勝てばいいんだ、区切りをつけて撤退する。エターナル!」

『聞こえてルゾ、ルルーシュ。エターナルの航行深度を上げておくように伝えてオク。』

 

エターナルとの通信を終えキラとルルーシュは楯無とダリルの元へ、スコールとオータムは箒達を救出するために動いた。

 

 

その時にも楯無とダリルのコンビとランスロットの戦いは続いていた。

 

ランスロットの放つスラッシュハーケンと楯無のシザーアンカーが空中でぶつかり合い一瞬動きを止める。

 

その隙にダリルがムラマサブラスターで斬りつけようとするが残った三つのスラッシュハーケンが襲いかかる。

 

「んだよあいつ!全然近づけやしねぇ!」

「落ち着いてダリルちゃん。まぁ対抗策が出なくてイライラするのもわかるけど!」

 

そう言うと楯無はビームザンバーを携えランスロットのMVS(メーザーバイブレーションソード)と切り結ぶ。

 

ビームと実刃がぶつかり合い火花とスパークを散らす。一度離れて今度はダリルがムラマサブラスターで切り結ぶ。

 

彼女達は縦横無尽に移動しながら時には楯無が、時にはダリルと小規模な波状攻撃を行っていたが、ランスロットはそれを物ともせず全て受けきっていた。

 

「なんて技量なのこいつ…!私らの攻撃を物ともしないなんて!」

「楯無、三秒後にザンバスターを二時方向へ。さらに五秒後ダリルはブラスターを発射だ。」

 

その声が聞こえた瞬間二人は全くその通りに各々の銃を向けて放つと面白いように当たったのだ。

 

そしてその数秒後、後ろから二機のISがやってくる。キラのデスティニーフリーダムとルルーシュのガウェインである。

 

「す、すげぇ本当に当たりやがる。」

「当然だ。あいつの癖は全部記憶している、忘れたくとも忘れられないさ。」

『ガウェイン⁉︎まさか…それに乗っているのは!』

「久しぶりだな、スザク‼︎」

 

ランスロットのパイロット、枢木スザクは驚きを隠せなかった。なぜなら目の前にいる親友は自らの手で殺したはずなのだから。

 

「なぜこの世界に居るのかは知らん。だが、再び敵となるなら容赦はしない。

お前達はスコールのアシストに回れ、ここは俺とキラで何とかする。」

 

二人は頷くとバーニアを最大に吹かし戦闘空域を離脱、スコール達の元へ向かった。

 

その場に残ったのは三機のIS。他の機体達はもう少し離れた場所に居て、流れ弾の心配もない。

 

ここなら奴の動きはさらに読めやすくなるとルルーシュは考えていた。

 

『どうしてだルルーシュ!どうして君がここに居るんだ!

あっちはナナリーが…君が望んだ優しい世界になった…なのにどうして君は!

カレンだって…こんな事望んでいない!』

「ルルーシュ…君と彼は一体?」

「親友だ。例えるなら…そうだな、お前とアスランの様な関係だ。」

 

ハッとキラは息を飲んだ。親友なのに戦場で殺しあう、そんな悲しすぎる事を何度も経験してきたキラ。

 

それがどれだけ悲しい結末を迎えるかもまた…彼はよく知っている。

 

「キラ、俺の言った通りに動け。奴の癖やよけ方…何から何まで頭に入っている。

俺とお前が組めば奴を鹵獲することも可能だ。お前はいつもの不殺の技を使え、そっちの方が気はマシだろう?」

「君の友人を切るのは…少し気が引けるけど、なるべく傷つけない様にする。」

 

そう言うと黒式はカレトヴルッフを両手に持ち接近する、そしてランスロットもまたMVSを用いて反撃に出る。それが最強同士の試合開始の合図だった。

 

第二十二話完




SEEDの世界。最強のスーパーコーディネイター、キラ・ヤマト。
ギアスの世界。ブリタニアの最強の騎士、枢木スザク。
二人の最強が剣を交えるさなか、別の場所にて赤い機体同士の戦いも始まっていた。

次回
インフィニットストラトス
〈THE GEMINI G MYSTER〉
第二十三話
「キラVSスザクそして…」

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