インフィニットストラトス 〈THE GEMINI G MYSTER〉   作:ジャッジ

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第二十九話 「模擬戦、烈花&セシリアVS代表候補生!」

No side

 

ルーシィ達がミッションに出て二週間と数日、ようやくエターナルなどの補給と整備が終了間際となってきた。

 

その秘密基地にあるIS訓練用のアリーナ。そこではまさに今、二人の狙撃手が順調に仮想敵を落としていっていた。

 

片方は赤い機体、ガンダムアストレアtypeF2とそのパイロットの如月烈花。

もう片方は青い機体、ガンダムMk-IIとそのパイロットのセシリア・オルコットだ。

 

「ふぅ、これでラストね。合わせてねセシリア!」

「ええ!奏でましょう、わたくし達の二重奏(デュエット)を!」

 

烈花のスナイパーライフルが遠くの、セシリアのビームライフルが近くの敵を的確に狙撃していく。

 

最後の的を撃ち落とした時、ブザーが鳴り響き二人の点数が弾き出される。

二つとも、現在の代表候補生が見たら舌を巻くレベルの物だった。

 

「ふぅ、やっと調子が戻ったみたいね。最高記録更新よ。」

「わたくしもベストレコード更新ですわ!」

「なかなか筋が良くなってきてるわ、教えることはもう無いわね。」

 

二人とも武器を格納してアリーナの地面に降り立つ。

その様子をそこの観覧席に座っている鈴とシャルロットも見ていた。

 

他の一夏達は各々が特訓や一年生達の指導をするということで今も励んでいるが。たまたま休憩が重なったシャルと鈴が偶然、烈花とセシリアの訓練を目撃したのだ。

 

「うひゃあ。何よこのスコア、あたしじゃ一生かかっても無理ね。」

「そうかな、案外わからないよ。シンから教わったらいいんじゃないかな?」

 

シン。という単語を聞いた瞬間、鈴の顔は一瞬朱に染まったと思うと、すぐにムスッとした顔に戻った。

そしてかなり機嫌の悪そうな声色でシャルに話しかけた。

 

「な、なんであいつの名前が出てくんのよ…」

「なんでって、好きなんでしょ?シンの事。」

「………なんで知ってんのよ。」

「だって、顔に書いてあるもん。鈴って喜怒哀楽が激しいからわかりやすいんだよ。」

 

確かに、と鈴は思っていた。

自分の感情がすぐ顔に出ると親に言われたことがあるし、第一シンの事は好きだ。

 

気がついたら目が合うような、そんな淡いもんだと思ってたのに。いつの間にか思いは膨らんでいって…

今ではすっかり惚れ込んでしまっている。

 

「ったく…あーあ、シャルに変に詮索されてやな気分〜。」

「詮索って…どうしたら機嫌直してくれる?」

「そうねぇ。」

 

そう言って鈴は互いに褒めあっている二人のバカップルをちらりと見た。

そしてニンマリ笑うとドラゴンナタクの待機状態を掲げる。

 

「例えば、あそこの二人とあたしら二人で模擬戦やるとか?」

 

 

 

 

 

そして、その五分後。鈴の提案はOKされ四機のISが視線を交えていた。

アリーナの観客席には今まで特訓していた者たちも集まり、真剣な眼差しでこっちを見ている。

 

「ギャラリーも随分増えたこと

ですし…そろそろ始めませんか?」

「ゴメンね烈花、それにセシリアも。鈴のわがまま聞いて貰っちゃって。」

「いいのよ、私らだって訓練ばっかで退屈だったし。」

「ならちょうど良かったわけね。こっちも安心だわ、後でコンディション悪かった。とかで言い訳されてもねぇ?」

「そう言ってられんのも今のウチよ!」

 

推奨BGM

ガンダムビルドファイターズ

「Quick Attack」

 

その言葉と同時に烈花のGNスナイパーライフルが火を吹き、それと同時に二人とも急いで武器を呼び出し、戦闘態勢に入る。

 

「ちょっと!まだ開始の合図とかなってないんだけど!」

「なぁに?今更そんなどの口が言うのかしらね!」

「お姉様の言う通りですわね。いくら訓練と言えど、そこで手を抜くとは…笑止ですわっ!」

 

烈花の狙撃にセシリアも加わり、二人を追い詰めていく。

流石、と言わんばかりの連携プレーに鈴もシャルも舌を巻いていた。

 

だが、ただそれだけで終わる二人ではない。

鈴のの衝撃砲による攻撃で狙撃を妨害、その隙をついてシャルのバスターモードによる砲撃で烈花達を狙う。

 

それに対して、烈花はビームピストルを、セシリアはバルカンポッドを使って牽制する。

 

「りゃぁぁぁ!」

「くっ!」

 

シャルの方に気を取られているセシリアに鈴の青龍刀が振り下ろされる。

とっさに取り出したツインビームスピアでそれを受け止めるが、至近距離で龍砲が炸裂し、セシリアは大きく後退する。

 

「きゃあ!」

「っ、セシリア!」

「おっと、よそ見してる場合かな!」

 

シャルも両手にビームサーベルを握りアストレアに向けて振るう。

対する烈花は敢えて近接武器を出さず、細かなステップと両腕のバルカンを使ってダメージを最小限に抑えている。

 

「これが、本物のスナイパーの戦いってわけよ!」

「えっと…普通それなら相手に近接戦闘の隙を与えないんじゃないかな?」

「……そ、それは…そうね。」

 

 

 

 

 

「わちゃあ、二人とも近接戦闘に持ってかれちゃったけど、大丈夫かな?」

 

四人の模擬戦を見ていたショーコは烈花とセシリアを見て難しい顔をして言った。

確かにスナイパー、又はガンナーとしては一流だが近接戦闘になるとからっきし…というのは良くあることだ。と考えていた。

 

しかしそれは杞憂で、セシリアはスパイクシールドを鈴の胴体に叩き込み。烈花は得意なガン=カタで応戦する。

 

「うわっ、また形勢が変わった。」

「おうよ、どこの戦場でもこんな風に変わるもんだぜ。」

 

大地の感想に信太郎が答える。そうしてる間にも戦況はどんどん変わっていく。

 

シャルのビームサーベルがビームピストルを切り裂く、誘爆するピストルを捨て烈花はGNソードを呼び出しレールガン「シヴァ」を破壊する。

 

セシリアもまたツインビームスピアで青龍刀を弾き飛ばし、鈴のドラゴンハングがビームライフルを握りつぶす。

 

「やるね烈花!」

「けど、こっちだって成長してるわけよ!」

 

鈴の火炎放射器が烈花に向けて放たれる。紙一重でよけた所をシャルのミサイルが襲いかかる。

 

「くっ、セシリア!」

「お任せくださいまし!」

 

烈花はその場にとどまらず、縦横無尽に動き回りミサイルを翻弄、そこをセシリアのゼータ用のビームライフルで叩き落としていく。

 

今度はこっちだと言わんばかりに、セシリアはハイパーバズーカを二人に向けて放つ。

同時に烈花も片腕にビームライフルを持ち両腕のライフルで攻撃する。

順調なように見えてそう……ではなく、烈花の顔には焦りがで始めていた。

 

 

「さっきの近接戦闘から一転しての射撃戦闘…ここの切り替えが重要ってことですか?」

「だな、馬鹿みたいにいつまでも近接戦闘ばっかりだとか、ずっと射撃戦だとか…偏ったバトルじゃなくって臨機応変に動くのがいいんだ。」

 

金女の質問にダリルが答え、またアリーナの方を見て険しい顔をする。

厳密に言えば烈花&セシリアチームの、さらに厳密に言うなら烈花の方を見ていた。

 

今度はライフルをしまい、シールドを取り出して鈴に突撃しようとする所だった。

 

「ちっ、なるほど、あいつ焦ってんのな。」

「あの、烈花さんが焦ってるってどういうことですか?」

「そりゃエネルギー切れさ。」

 

ショーコの質問に答えたニールもまた、険しい顔で戦いを見ていた。

もちろん意味がわからない彼女は首を傾げる。

 

「烈花の乗ってるアストレアは、俺やラウラが使ってるのと同じタイプ(太陽炉装備型)のISだ。

けどな、性質的にはフォルテさんのタイプ(擬似太陽炉装備型)なんだよ。

つまり、サバーニャやヴァーチェにはエネルギー切れがないが、ジンクスIIやアストレアにゃエネルギー切れがあるのさ。」

「でもそれは、どのISでも同じことじゃないんですか?」

「そう、所がアストレアの運用方法は基本的にゃ近接戦闘よりの中距離戦闘。

烈花みたいにスナイパーライフルや2丁拳銃による中〜遠距離戦闘には向いてないのさ。だからエネルギー切れが早くなってしまう。

あの調子じゃ、アストレアのGN粒子残量は多くても四割程だろうな。」

 

そのニールの予想は的中し、烈花も内心焦っていた。

残量はあと43%…序盤にバカスカ撃ち過ぎたか?と考えていた。

 

「(まっ、後悔先に立たず。加えて後の祭りね。なるべく早めにっ!)はぁぁぁぁ!」

「へぇ、あたしに近接戦闘ねぇ!」

 

烈花の振り下ろしたGNロングブレイドは鈴のビームトライデントと切り結び、龍砲をシールドで防いだ途端、それが粉砕される。

 

反動で後退しながらアリーナの地面に不時着し、ロングブレイドを格納。GNソードを呼び出す。

 

「せいやぁぁぁ!」

「ぐっ!」

 

スピードに乗って振り下ろされたもう一本の青龍刀がGNソードとぶつかり合い、火花とビリビリとした衝撃か奔る。

 

瞬間、アストレアのセンサーとセシリアからのプライベートチャンネルが鳴る。

 

『お姉様!狙われています、よけて下さいまし!』

「もう遅いよ!」

「しまった!」

 

シャルの超高インパルス狙撃砲が烈花を狙い撃つ。

烈花は鈴の足止めで動けない。彼女を盾にするか?と考えたが、発射されるのと同時に既に離脱していた。

 

よけられない⁉︎と思った次の瞬間には、割って入ったセシリアのシールドによってそれは防がれた。

 

「なっ…流石セシリア、反射速度は速いね。」

「このわたくしがいる限り、お姉様には一撃たりとも当てさせませんわっ!」

「なら、あんたが喰らいなさいよ!」

 

セシリアの後ろから接近していた鈴が青龍刀を振りかぶって彼女を切り裂こうとする。

 

そこからの烈花の判断に迷いは無く迅速だった。私を守ってくれたセシリアを傷つけはしない、エネルギー切れなんか構うもんか!と。

 

「烈火を纏え、アストレア!トランザムッ!」

 

キィン!という音を立てて赤かったアストレアがさらに赤く染まる。

それと同時に弾丸のような速度でアストレアが飛び出す。

 

GNソードを展開しあっという間に鈴を追い抜き一閃、そのまま踏み台にして一気にシャルに近づく。

 

「ちょっ、あたしを踏み台にしたぁ⁉︎」

「トランザム…でも粒子残量は少ないはず!」

 

ビームライフルとガンランチャーの射撃をよけつつ接近して肩のミサイルランチャーを切り裂き、さらに装甲と一緒にSE(シールドエネルギー)もそぎ落としていく。

 

「もらったぁ!」

「速いっ、格闘戦仕様だからスラスターに廻される粒子が多いの⁈」

 

シャルもデュエルモードとなりビームサーベル二刀で捌くが、トランザム中のスピードの差を埋めることが出来ず、次々とダメージを受けてしまう。

 

加えてそこにセシリアからの狙撃が重なりシャルのSE(シールドエネルギー)は底をついた。そして烈花は標的を再び鈴へと戻す。

 

「トランザムの限界時間まであと二十秒…これでケリをつける!」

「付き合ってやるわよ、二十秒間だけね!」

 

そこから二人の近接戦闘は凄まじいの一言だった。

 

セシリアも何度か狙撃のチャンスを…と思ってはいたが、嵐のように激しくぶつかり合う二人のあまりの速度にロックオンが間に合わないのだ。

 

GNソードと青龍刀。二つの大剣が攻防を繰り返し相手に少しずつ、けど確実にダメージを与えていく。

 

「なかなかやるようになったじゃない!半年前より確実に強い!」

「その言葉、そっくり返すわよ烈花!」

 

烈花はGNソードを大きく振りかぶって袈裟斬りを放つ、同時に鈴は龍砲のエネルギーを溜めつつそれを受け止める。

 

「「けどね…」」

 

二人の言葉が重なり、ニヤリと笑みを浮かべる。

そして烈花はトランザムによって強化されたスナイパーライフルを。鈴は最大出力の龍砲を構える。

 

「「この瞬間を待っていたのよっ‼︎」」

 

互いの攻撃が全く同時に炸裂し、数瞬を置いてブザーが鳴り響く。

それは二人の片方のSE(シールドエネルギー)が尽きたことを意味する。

それが尽きたのは鈴の方だった。

 

「〜〜ッ!だぁぁぁ!負けた負けた負けた!でも気持ちいいわね。サンキュー烈花、セシリア。」

「あはは、結局負けちゃったけど、色々勉強になったかな?」

「こちらこそ、楽しかったですわ。」

「私も同じよ、ありがとね。」

 

 

 

 

 

それから四日後、エターナルの艦橋は慌ただしく報告が飛び交っていた。

いよいよ出港の時を迎えたのだ。飛び交う言葉を聞きながら艦長席に座るルルーシュは格納庫のアオバと話をしていた。

 

「結局、テスタメントとブレイヴティアーズの修理は間に合わなかったか。」

『はい、申し訳ありません。しばらく二人ともアストレア、Mk-IIでの戦いを強いられる事になりますし…』

「構わん、それの程度で弱くなる二人じゃない。

それより、あの機体は完成したのか?」

 

はい!と元気良く答える、彼女の後ろには背中にフロートユニットを配備したピンクのランスロットが立っていた。

 

ランスロットフロンティア。大破したアリアの専用機「ベルセルク」に変わって彼女の新しい剣となった機体だ。

 

『ブレイズルミナスやフロートユニット、MVSと言った武器を装備し、計算上ではオリジナルランスロットと同等の性能を持ちます。』

「完璧だな、よし。お前たちは一刻も早くテスタメントらの修理を急げ。

機体によっては作戦を変えねばならんからな。」

 

はいっ!と言ってアオバは通信を切る。それと同時にオブサーバーとして指揮官席に座っているカヲルが彼の方に振り返る。

 

「出航プランAをダウンロード、発進プロセスは74まで終了。いつでもいけるよ?」

「わかった。メインゲートオープン、固定アーム接続解除!

同時にエンジン始動、エターナル発進!」

「了解、メインゲートオープン、固定アーム接続解除!エターナル、発進します!」

 

注水されたドッグの中でエターナルを整備する為のアームが解除されゲートが開けられる。

そしてその扉をくぐり淡紅色の戦艦が陽光に輝く海中に姿を表す。

 

なんの障害もなくいけば、香港まで一日半。永遠の名を持つ艦は再び戦場へと向かう。

 

第二十九話完




いかがだったでしょうか?では次回予告。

一足先に到着していたルーシィ達は烈花達が来る前に攻撃を開始する。
戦いながら目的の物を探す中、能天使と鬼灯の名を持つガンダムが彼らの前に現れる。

次回
インフィニットストラトス
〈THE GEMINI G MYSTER〉
第三十話
「通りすがりと悪夢」

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