インフィニットストラトス 〈THE GEMINI G MYSTER〉 作:ジャッジ
目が痛くなるようは真っ白な執務室。
一人で使うにはあまりに大きなそこの真ん中に置かれたデスクに向かって、アフロディーテこと、ルーシィ・ランクロスは業務に明け暮れていた。
「ふむ、今日の所はこれくらいだな。」
羽ペンを置き、背伸びをしていると扉をノックする音が聞こえた。
どうぞ、と言って招き入れる。立っていたのは黒髪の少年、ルルーシュだった。
「一仕事終えたようだな、アフロディーテ。」
「おいおい、公の場以外ではルーシィと呼べというのを忘れたのか?」
「そうだったな。俺としてはどちらでもいいがな。」
ルルーシュは応接時に使う豪華なソファーに腰掛ける。
戦いが終わった後、天界に戻ったルーシィはルルーシュを秘書に選んだ。
天国に行かせるより、地獄に落とすより、記憶を消し転生させるよりずっといいと思ったからだ。
それだけじゃない、束に呼ばれた各世界のエース達も彼女が作った世界を繋げる装置を使い、それぞれの世界に帰っていった。
「そういえば、あの世界では私たちが帰ってもう五年になるのか?
ふふっ、時が経つとは随分と速いものだな。」
「二千年近く生きている女神が言うセリフか?それより、面白いことがあってな。」
「ん?なんだ、もったいぶらずに話してみろ。」
「ふむ、それはな…………」
場所は変わって、烈花たちのいる世界。日本のとある教会。
そこの控え室で、純白のドレスを着た女性がいた。
彼女は手にした端末を手に、一人の男と話をしていた。
「そう。それじゃあ、今日は無理なんだ。」
『悪りぃ、どうしても外せねぇ用事があってな。』
電話の向こうにいる男、榊原信太郎はそう言った。
彼はモルゲンレーテ社に就職し、テストパイロット育成に携わっていた。
「用事って…もしかして奥さんと?」
クスクスと笑いながら、彼女は頭の中で赤面している信太郎を思い浮かべた。
実は彼も結婚していた、しかも相手はあの織斑千冬だった。
「今日はIS学園の特別講師に呼ばれてる。それに千冬はそっちに行ってるはずだ!
ったく、テメェらはすぐそれでおちょくりやがって…」
「あはは、そりゃ仕方ないって。」
その時、コンコンとノックする音が聞こえた。きっとあの子が迎えに来たのだろう。
「ゴメン、そろそろ時間だわ。」
「おうよ、じゃあ…おめでとな、烈花。」
そう言って彼女は…如月烈花は電話を切った。
そして、はぁい。と返事をして扉を開けた。
そこに立っていたのは、こちらも純白のドレスに身を包んだセシリア・オルコットだった。
「お姉様!」
「もう、お姉様じゃなくって烈花さんでしょ?」
「あ、そうでしたわね…って違います!もう時間を過ぎていますわ!」
「っと、もうそんな時間?それじゃ、行きましょうか。」
万雷の拍手の中、二人の女性がヴァージンロードを歩く。
この式に参列しているのは、かつての戦いで共に戦った者たちのみで、そんな大掛かりな結婚式ではなかった。
それでも、二人は幸せだった。なぜなら、ここに永遠の愛を誓えるのだから。
「でも、俺に神父役は向いてないんじゃね?」
壇上で、神父の格好をしたヒビヤがそうボヤく。
でも引き受けてくれるあたり、まんざらでも無いのだろう。
神への誓いを立て、指輪を交換した二人は、改めて生涯のパートナーに向き直った。
セシリアは少し泣いていた。それは烈花も同じだった。
「長かったわね…セシリア。」
「はい、烈花さん…」
他人から見れば、たった六年と思うかもしれない。けれど、この二人にとってこれほど長い時間はなかっただろう。
「それじゃ、二人とも誓いのキスを。」
言われるよりも早く、二人は顔を近づけた。
もう少しで唇が触れ合う……と次の瞬間。
バンッ!
大きな音を立てて、教会の扉が開かれた。それと同時に二人の男女が烈花らの方へ駆けていく。
「烈花母さん!セシリア母さん!」
と、赤い髪をした少年が血相を変えて烈花とセシリアに詰め寄る。
「…は、はい?」
「ちょ…だ、誰よあんた!」
彼女たちの言葉に。いや、だから…と反論しようとする少年を押さえつけて、もう一人の少女が言った。
「〜っ!バッカじゃないの!いきなり言っても訳わかんないでしょうが!
初めまして、私は榊原 春香。信太郎と千冬の娘です。そしてこいつは如月 直哉。あなた達の…養子です。」
『え、えぇ〜⁉︎』
今度は会場全体から声が上がった。無理もない、今まさに式を挙げている二人と、この間結婚したばかりの二人の子供がいるだなんて。
「とにかく早く来てくれ!未来が大変なんだ!」
「ちょ、ちょっと!」
直哉は、烈花とセシリアを教会の外に引っ張っていく。それと同時に全員が外へと出て行った。
そして、一斉に空を見上げた。
「直哉…アレなに?」
上空には多数の戦艦らしきものと、見たこともないISが浮かんでいた。
直哉と春香はそれを睨みつけながら言った。
「あれが、ネオファントムタスク。
俺たちが未来から追ってきた奴らだ。」
「お願いします。皆さんの力を貸して欲しいんです、あいつらを倒す為に!」
改めて烈花たちは空を仰ぐ。やはり、新生亡国企業とは比べ物にならないほどの数だ。
「おい烈花!」
ふと、別方向から声が聞こえる。そこには、血相を変えて走ってくる信太郎の姿があった。
「お、お父さん?」
「…はぁ?」
意味がわからないというような顔をしながらも、信太郎も空に浮かぶ敵を見つめる。
「…セシリア。」
「わかっていますわ。もとより、いつまでもあなたについていく…そのつもりでした。」
簡単な確認を終えて、烈花は後ろを振り返る。
今まで一緒に戦ってきた仲間たちだ。烈花のしたい事はわかっているのだろう、全員がISを準待機状態にしていた。
「協力するわ、行くわよ皆!」
『おぉ!』
その場にいた全員がISを起動させる。
信太郎とセシリア、烈花のISは五年前とは別の機体だった。
信太郎は、ハルトの残していったヴァルヴレイヴ一号機。
セシリアはストライクフリーダムガンダム。
烈花は銃撃戦用にカスタマイズされた、ガンダムレギルスR。
「行くぞ!ビルドバーニングガンダム!」
「Gセルフ、出撃よ!」
二人も見たことのないISを起動させ、改めて全員の方を見る。
「…行きましょう!」
ビルドバーニングとGセルフが飛び出した。
それと同時に、レギルスRやストライクフリーダムたちも空に駆け出した。
軽く数えても、ISは百数機は入ることだろう。ネオファントムタスクとはなんなのか。
そして、直哉と春香。彼らはどうやってこの時代に来たのか…恐らく、それらはこれからわかっていくことだろう。
しかし、それはまた…別のお話。
エピローグ 完
インフィニットストラトス
〈THE GEMINI G MYSTER〉
~Fin~
はい!どうもお久しぶりです、ジャッジメントでございます。
最初の投稿から、早いものでもう二年が経ちました。
長いようで短い期間でした。もちろん、執筆自体が楽しいことばかりではありませんでしたし、納得のいかない時もありました。
けれど、こうして一つの物語を終わらせる事が出来たのは、皆さんの応援などがあったからです。
それでは改めて…ありがとうございました!これにて、インフィニットストラトス
〈THE GEMINI G MYSTER〉は完結です!