ヘドロの弟です 作:隠れミノ
希望があれば後書きにでもいれようかな
「ただいま」
「おかえり〜」
不愉快な出来事が終わった後にすぐ家に帰った俺は我が家についてようやく一息いれることができた。
出迎えてくれた祖母
「なんか失礼なこと考えなかった?」
「いや?全然」
訝しむような様子の祖母はとても年寄りとは思えない。
若く見える理由を聞くとプルプル美肌とか言う個性らしい。
若々しい肌と黒の長髪は近所でも、美魔女だかなんだかと話題だなんて自慢してた。
結構嘘くさいがまあそんなものかと気にしないようにしてる。
「今日何かあったの?」
「なんでもないさ」
「そう。なにかあったら相談してくれていいのよ」
俺がやや険しい表情をしてるのを見てとって心配されるが、この表情は割といつものことだ。
「じいさんは?」
「
俺のじいさんは元警官である。
定年退職してからは暇を持て余し、ランニングやら公園でトレーニングやら、そこで子供とあった時に遊んであげるやら呑気に過ごしてる。
要するに公園にある高めの鉄棒で懸垂してるようなジジイが我が祖父である。
そのまま自室に荷物を置いたころに、じいさんが帰ってきたらしい。
「大地はいるか?」
「さっき帰ってきたわ」
「よし!降りてこい!」
うちのじいさんはヒーロー科を目指すといった途端、俺との訓練をやり抜いたら認めてやるとか言い始めたために、庭での訓練が日課になっている。
「わかった」
返事をしつつ降りてきたら、身長190近い鍛えられた体をもつ我らが祖父とのご対面だ。
60超えたのに胸板は厚く、体格も相まってこれも若く見える。
短く刈り上げられた短髪と鍛えられた体は、チンピラ程度の
事実彼が現役警官だった時期には、
そんな祖父の個性は 液体化 である。
体の一部を液体にするだけなのだが、この液体細胞はSTA…ips細胞のように万能で多少の怪我なら自力で回復可能なのである。
ただ元々こんな機能のある個性ではなく、修練を重ねた結果の賜物なのだ。
ここまでの個性になったのは警官になった後らしい。
「さあ、まずは基礎トレーニングだ」
俺は人間の体になり筋トレをたっぷりする。
液体になることが多い俺はちゃんとやらないと筋肉が衰えるとのこと。
また、筋トレなどをするとより人の体になれる時間が伸びるのである。
そんなこんなで1時間ほどそれを続けた後に祖父との組手である。
祖父が
もちろん、警官が個性なんて使ったら大問題なのだが、祖父の個性は使った場面を見ないと使ったかどうか分かりづらいものである。
例えば、今俺が隙を見て拳で胴体を殴ったのだが、そこを液体にし、衝撃を和らげることでダメージを抑えたりするのだ。
液体にした箇所に傷なんかつくわけがなく、挙句の果てには余分な脂肪を使って吹っ飛んだ指を生え直すなんて、やってのけたこともある。
まあ、個性の使用が警察本部にバレることもあったらしいのだが、状況的に仕方ないと抗弁し、始末書やらですませることができたとのこと。それでいいのか公務員。(なお減給とかもあった模様)
そのまま1時間ほど組手と休憩を繰り返して終了となる。
「いい汗かけたな。先に風呂もらうぞ」
俺が庭で潰れてるのに呑気に風呂に行くジジイはターミネーターかなんかだ。
この訓練は祖父が現役時代に磨きあげた、体の一部を液体化しつつ行う近接戦闘術を身につけるためにやっている。
いまだ組手では一勝もできないが強くなってると実感できるため、感謝はしている。
完全にヘドロになれば祖父相手でも勝てるかもしれないが、個性に頼った戦闘をしていると弱点を突かれたときに厳しいとは祖父の弁だ。
ヘドロの個性は当然強力だ。
オールマイト並みのスペックがない限りは身体強化などの、物理戦闘をするような個性相手には圧倒できるだろう。
ただエンデヴァーの炎のような個性相手には体が乾燥したりと、考えたくない状況になる。
そのため、戦いのスタイルはいくつあっても困ることはない。
庭での訓練が終わればあとは、風呂、飯、寝るだけの流れなのだが、夕食後に祖父が話があると祖父の部屋に呼ばれた。
「今日何があった?」
部屋に入って座った直後に聞かれた俺は、咄嗟に言葉を返すことができなかった。
「ふと気づくと暗い表情でお前は考えごとをしている。訓練中のふとした瞬間や、飯の時にテレビを見ている時だ」
どうやら祖父には何かあったと勘付かれたらしい。
なんだかんだで鋭い祖父だ。年の功には勝てる気がしない。
相談相手なら適切だし話すとしよう。
「俺は今日学校の帰り道で、
事の顛末をだいたい話しておくことにする。
ただし、オールマイトの殺害とやらは黙っておくことにする。
こんな嘘っぽい話に冗談みたいな事を加えて、軽く受け止められても困る。
「ふむ、多少ツテがあることだし、少し警察の方に話を通しておこう。あとはお前には悪いが、人気のない所は行かんほうがいいだろう」
「わかった」
「あとは俺らだけはお前の味方だ。もっと頼ってもいいんだぞ。あいつと同じようになったら…」
額にシワを寄せて祖父が言う。やはり心配してたらしい。
「大丈夫だよ。わざわざありがとう。話したら楽になったさ。あとは、あの『先生』とやらはかなりヤバイ。画面越しでも威圧感が…」
「それも伝えておこう。ワープ系個性持ちの
超人社会では各人の個性は国によって把握されている。
特に希少なワープ系の個性については詳細な情報すらあるだろう。
「それは何でなんだ?」
「お前を返してやることが前提でお前を攫ったんだ。知られてもいい情報しか渡す気はないんだろう。お前が見た物だけではなにも特定できないはずだ」
「バーもありがちすぎて特定は無理そうだったと思う」
「なにもされてないってのがネックだ。大掛かりな動きを警察やヒーローはできないだろう。外出の際は気をつけてくれ」
「わかった。じゃあそろそろ寝るよ」
「ああ、おやすみ」
そのまま祖父の部屋を後にして自室に戻る。
もうじきに高校受験だってのに面倒なことにあったな。
俺はデカい水槽で溶けながら考えごとをしているうちに眠りについた。
こんな社会の警察官だと、こっそり個性使ってる人とかいそうなんですよね
そうして問題児として有名な警察官ていうのが祖父のイメージです