「火竜の鉄拳!!」
ドゴォン!
「何だ、今の爆発は?!」
「お、親分!魔導師の奴らが乗り込んで来やがった!」
「フェアリーテイルだ!近くの村で悪さばっかりしてるチンピラ集団の巣は此処だな!」
「誰がチンピラだ、俺たちは山賊だ!」
「「似た様なもんだろ!!」」
シンとナツは山賊退治のクエストに来ていて、そのアジトの扉をナツが破壊して真正面から突入した。
「燃え尽きろーー!」
「ぎゃーー!!」
「ガキだ!ガキの方を狙え!!」
「滅竜体術・鋼竜寸鉄!」
ギィィン!
「うわぁー?!鉄の斧を素手で斬りやがったー!!」
「に、逃げろコイツら化け物だ!!」
「逃すわけねぇだろうがぁ滅竜体術・竜の息吹!!」
「こいつでも喰らえ火竜の咆哮!!」
山賊達もシンとナツを迎え撃つが力の差は歴然で逃走しようと試みるもシンが地面を砕き立つことさえ出来ない状態になり、其処にナツの炎が放たれて構成員約20人の山賊は黒焦げの状態でお縄となった。
〜近くの村〜
「族を捉えていただきありがとうございます」
「この位どうって事ねぇよ、なぁシン!」
「まぁな〜」
「ナツとシンが相手だなんてあの山賊達も運がなかったね」
依頼主の村長から御礼をされたナツとシンとハッピーは報酬金を受け取って村を後にしようとしたが…
ゴゴゴゴゴ!!
「何じゃ?!この揺れは!」
「そ、村長様見てください山が!」
突然大きな揺れと共に先程まで山賊達のアジトとなっていた山が崩れていく。
「「またやっちまった!!」」
「あいさー!」
〜フェアリーテイル〜
「ハハハハハ!!お前らまたやらかしたのか!」
「二人とも少しは学習しろよ」
ギルドに戻ったシン達の仕事の話を聞いたメンバーは大笑いしていた、幸いな事に崩れた山は無くても問題なかったみたいで報酬金は減らずに済んでいる。
「山が無くなったのナツのブレスの所為だからな」
「シンが地面を割った所為だろ!」
「オイラは両方とも悪いと思うよ?」
毎度お馴染みの言い合いにまたギルドには笑いが巻き起こる。
「シン戻ってきたか!!」
「何だエルザ、俺に何か用か?」
「実はちょっと手伝ってほしい仕事があってな」
「エルザが他の奴に仕事の助けを求めただと?!」
「いったいどんなクエストなんだよ!」
エルザがシンを仕事に誘うと周りのメンバーが慌てふためく…エルザはS級魔導師なので基本的にはどんな仕事もたった一人でこなしてきた、だからこそ他の者達は驚いている。
「手伝うのは構わねぇけど何の仕事だ?」
「移動しながら話そう、早くしないと列車が出てしまう」
「列車…うぷっ」
「ナツ気分が悪そうだな?私に任せろ」
ドン!
「ガハッ?!」
「酷でぇ…」
「では行くぞシン!」
気分の悪くなったナツの腹を殴り気絶させたエルザにドン引きするシンであった。
〜列車内〜
ギルドを後にしたエルザとシンは駅から列車に乗り込んで座席に座る。
「さてと…仕事の話だが実は今から向かう街で人攫いが頻繁に起きてる」
「只の人攫い位ならエルザ1人で十分だろ?」
「只の人攫いではないからお前に来てもらっている」
「そりゃそうか…で、どんな連中なんだ?」
「それが…姿を見た者は居ないらしい」
「どういう事だよ?」
「順を追って説明する…数日前から朝になると子供が行方不明になる事件が起こり街の人達はその原因を調べようと夜中の警備を強化したが誰1人として朝まで起き続けて警備出来た者は居なかった、恐らく睡眠系の魔法を使われたんだろう…がそれだけなら対策さえすれば普通の魔導師でも何とかなるのだが12歳以上の人を通さない術式が街の中だけでなく街の外の至る所に設置してあって子供達は自らの足で街から消えてしまうらしいんだ」
「成る程、眠りの魔法で街の大人を術式で魔導師の動きを封じてから催眠術かなんかで自分の顔をバラさずに子供を攫う…って事か」
「あぁ…レビィに術式を解除してもらう方法も考えたが数が余りにも多過ぎる…犯人の顔が分からない以上は解除してもまた術式を設置されるかも知れん」
「つまり俺に催眠術に掛かったフリをして人攫い共のアジトに潜入してほしいって事か」
「話が早くて助かる…あのミストガンの眠りの魔法にも耐えたお前ならと思ってな、普通の子供には危険な役目だがお前なら問題無いだろう」
「そういう事なら任せとけ」
「感謝する、幼い子供を攫うなど……絶対に許さん」
エルザはシンに仕事の内容と作戦を伝えた後に窓の外を眺めるが、その表情は普通の人が見たら間違いなく脅える様な顔をしていた。
数時間後、列車は目的の街へと到着したのでシンとエルザは列車から降り街を見渡す。
「大きな街だな…へぇ他のギルドの魔導師にルーンナイトまで」
「被害は昨晩で21人に達した様だ…最初は1人、次は2人…そして3人4人と日をおうごとに1人ずつ行方不明になる子供が増えている」
「そうなると只の人攫いとは考えにくいな…やり方がまどろっこしすぎる、一気に攫って街を転々とした方が捕まる危険は低く済むだろ?」
「あぁ…だが何にしろ今晩7人の子供が居なくなる可能性が高い…頼むぞシン」
「ま、何にしても夜になるまで飯食いながら作戦でも立てるか」
シンとエルザは宿を取り、その後食事を済ませ街中を散策しながら魔法屋で作戦に必要な魔法薬などを購入した。
数時間後〜夜〜
「さて…そろそろか?」
「あぁ……換装!幻夢の鎧」
シンとエルザはこの街で1番高い建物で街に張り巡らされた術式の発動と睡眠魔法が発動するのを待っていると街にある時計塔の針が0時を刺そうとした時エルザが鎧を変更する…エルザの魔法はザ・ナイトと呼ばれ様々な武器と鎧を換装して戦うもので今は幻惑や睡眠・催眠魔法を防ぐ鎧へと換装する。
ゴォーン!ゴォーン!
「始まったか」
鐘の音と共に街の至る所で無数の術式が発動し、巡回していたルーンナイトや魔導師達は閉じ込められてしまい術式の解除に躍起になっている。
「エルザ、彼処に子供がいる」
「よし行くぞ」
フラフラと裸足で街を徘徊する子供を見つけたシンとエルザは建物を飛び移りながらその子供の所へ向かう。
「ではシン作戦通りに」
「分かった」
シンとエルザの作戦とは、シンが催眠術に掛かった子供の後をつけて人攫いのアジトを見つけるというものだが毎晩決まった人数を誘拐しているので人数が増えると怪しまれる、其処で最初に1人の子供の後を追い他の子供を見つけたらその子の催眠術を解除し他の子供達と共に人攫いのアジトまでついて行き、アジトに到着したらバレない様にロケット花火でエルザに場所を伝え人攫い共を叩くというものである、因みに催眠術を解除した子供はエルザが保護する事になっている。
「その前にシン…コレに着替えるんだ」
「何だよそれ…」
「見ての通りパジャマだ!私が選んだ!!」
目を輝かせてエルザがシンに子供用のパジャマを見せる。
「嫌だ…」
「何を言っている、1人だけそんな服装の子供がいたらへんだろ!他の子供達は皆パジャマを着ているんだから早く着ろ」
「…」
シンは渋々パジャマに着替える。
「似合ってるではないか、やはり私の目に狂いは無かった」
「エルザ…お前なんか楽しんでねぇか?」
「そんな事はない、さぁ早く行け見失ってしまうぞ」
シンはエルザと別れて子供を追いかける。
やがて他にも催眠術をかけられた子供を見つけたシンは催眠術を解除する魔法薬を子供に飲ませてからロケット花火を上げ更に子供達の後を追う。
(街の教会?なんでこんな所に……ん?誰か居やがる)
「はーい皆よく来たわね〜さぁ中にお入り〜」
(そうか、街の外にも術式を張り巡らせたのはアジトを街の外だと思わせる為か)
シンと子供達が街にたった1つしかない教会に行き着くと中から二十代くらいのシスターが出て来て子供達を中に入れる。
「よしよし今晩も無事収穫出来たな…全くルーンナイトや魔導師達も大した事ねぇーなぁ!!アヒャヒャ!」
「神父様バカ笑いしてないで早く地下に…」
(へぇ…神様に仕える神父とシスターが人攫いか……今すぐボコボコにしてぇ所だが他の子供達の居場所も突き止めねぇと)
神父とシスターと共に螺旋状の階段を降り教会の地下深くへと連れていかれる。
「ボス、新しいガキ共が来ましたぜ」
「よしお前ら儀式の準備だ!」
地下には人攫いの親玉と数人の子分達、そして結晶の中に封印されている魔導書があった。
(成る程…この魔導書を手に入れるのが人攫い共の目的か)
シンと子供達は結晶を囲う様に立たされ、先程の神父が杖を持ち呪文を唱えていく。
(コイツ…
呪文を唱えてる最中ずっと結晶は光を放ち続けて、神父が呪文の詠唱を終えると結晶の光は消える。
「ボス後3日続ければこの封印も解けますよ」
「そうかそうか…それにしても面倒な封印だな、毎日毎日ガキを増やしながらじゃねぇと取り出せねぇとは」
「そういやボス攫ってきたガキ共はどうするんですか?」
「用が済んだら人売り家業の奴らに売り渡す事になってる…高値で売れるぜガハハハ!」
「流石ボス、無駄のねぇやり方でさぁ」
「そうだろそうだろ!もっと褒めろ!」
その後シンと子供達は牢屋に入れられ、人攫い共は宴をする為に居なくなる。
「さてと…どうやってエルザに知らせるかな」
地下にいる為合図を送れてないシンはエルザとの連絡手段を考える。
「くっそ〜ウォーレンを連れてくるべきだったな…仕方ねぇ監視もいねぇしバレねぇ様に脱出してからエルザと戻ってくるか」
泣き叫ばれない為か幸いな事に子供の催眠術は解けてなかった為シンは1人で脱出する事にした。
「そろそろか?…滅竜剣ジエン・モーラン」
キィン
数時間後、馬鹿騒ぎしていた人攫い達の声が聞こえなくなったのでシンは剣を手に牢屋の斬り外へ向かう。
「この変でいいか…もう日も出ちまう早くしねぇと」
外へと脱出したシンはパジャマの裏に貼り付けておいたロケット花火を取り出し火の大剣で点火すると花火は空へと打ち上がった。
街中の術式が解除された後に保護した子供をルーンナイトに預けたエルザはシンからの合図を待っていた。
「シンからの合図…換装!飛翔の鎧」
エルザはスピードを強化する飛翔の鎧を身に纏いシンの所へと向かう。
「早かったなエルザ」
「シン、子供達は何処だ?」
「この教会の地下だ、催眠術がまだ解けてなかったから連れ出すのはやめといた」
「良い判断だ…では先ずは子供達の所へ向かうぞ」
人攫い達にバレない様に教会に侵入したシンとエルザは地下に向かう。
「26…27…よし数も合ってる全員無事でよかった」
地下に着いた2人は子供の人数と顔を確認する、先日までに連れ去られた子供達は街の新聞などで顔が掲載されていたのでエルザが確認し、今回連れ去られた子供はシンが確認をした。
「…エルザ」
「あぁ…どうやら此方に来ているな」
地下に向かってくる気配に気付いた2人は静かに身構える。
「シンお前は此処で子供達を見ていてくれ……奴等は私が始末する」
「うちの女王は怖ぇなぁ〜」
エルザが剣を手に牢屋から出て行った直後無数の悲鳴が地下に響き渡る…その後、ルーンナイトに人攫い達を引き渡し封印されていた魔導書も回収し子供達も全員無事に親の元へと帰された。
〜フェアリーテイル〜
「エルザとシンが帰ってきたぞ!」
エルザとシンは昼過ぎに漸くギルドへと帰ってきた。
「エルザ帰ってきたか」
「マスター私に何か御用で?」
「ちと評議会に始末書を出しに行くので着いてきてもらおうと思っての」
「分かりました、直ぐに出発しましょう」
エルザはマカロフと共に評議会へと出向く。
「流石に眠いな…ふぁ〜」
「何だよシンだらしねぇなぁ〜」
「うるせぇナツ…寝てねぇんだから仕方ねぇだろ、この水貰うぜ」
ゴクゴク
連日の仕事で少し眠そうにしてるシンは椅子に座り机の上に置いてあった飲み物を飲む。
「折角また勝負しようと思ったのに今日はやめとくか〜」
「どうせまた負けるんだからやめとけナツ」
「なんだと?シンの前にお前からぶっ飛ばしてやろうか変態パンツ野郎」
「望む所だクソ炎!」
「ねぇアンタ達、此処に合った私の酒知らないかい?」
火花を散らすナツとグレイを他所にトイレから戻ってきたカナがキョロキョロと周りを見回す。
「……ヒック…ウィ〜」
「あ?!シンそれ私の酒!」
「おいおいカナ、ガキに酒を飲ませたらダメだろ〜」
「俺ぁ〜ガキじゃねぇぞ〜このヤロぉがぁ〜!!」
ドゴォン!
「グハァ?!!」
顔を真っ赤にしたシンがワカバに飛び蹴りを食らわす。
「お、おいシンの奴まさか酔ってんのか?!」
「嘘?!コップに入ってた酒ははほんの少しだけだったわよ」
「ウィ〜.どいつもこいつもガキガキって馬鹿にしゃがって〜…ヒック…」
完全に酔っ払ってあるシンは見境なく周りの物を素手で壊し暴れまわる。
「おい!誰かシンを止めろ!!」
「任せろ!火竜の翼げ「うるせぇーー!!」ゴハッ!!!」
「ナツがやられた!」
「アイスメイク…
「しょ〜〜りゅ〜けぇええん!!!」
バゴォーン!
「グハァ!」
「漢なら子供の1人くらい片手であやしてみせ「誰が乳クセェガキだぁー!!」グォオオ?!」
「グレイとエルフマンまでやられた!ヤベェぞ全員で取り押さえろ!!」
ギルド全員で取り押さえようとしたがシンの強さは凄まじく瞬く間に全員ボコボコにされてしまい、暴れ疲れたシンはその場で眠ってしまった。
それから1つの絶対に破ってはいけないルールがフェアリーテイルで決められた、それは【如何なる理由があってもシン・ベルセルクに酒を飲ませてはいけない】というものだった、評議会から帰ってきたマカロフの話によるとシンの祖父も酒をほんの少し飲んだだけで大暴れした事があるらしく