ハイスクールD×D 〜英雄の詩〜 作:木野兎刃(元:万屋よっちゃん)
動物世界に弱肉強食があり、強者と弱者、王と臣民若しくは奴隷がいるように学校にも似たようなものが存在している。
クラス最初の自己紹介に始まり部活選び、給食や授業中の態度、クラスメイトとの雑談など学校生活を構成する全てがトップカースト、即ち学園生活における勝者になる為の重要なプロセスなのだ。
トップカーストに入れない事は学園生活における敗者となる。
しかも一度敗者になってしまうと進学したとしても勝者への仲間入りは出来なくなり更なる泥沼へと引き込まれてしまうのだ。
野球部に所属していたおかげで完全なる下位カーストには所属していなかった……………がトップカーストにいた訳じゃない。
アニメ・アイドル大好きなキモオタ(中学時代の人気者談)と結構親交深かったしトップカーストの元彼(虚言)と仲良くしていたという理由で学年の女子を敵に回した事もあったけど野球部内のカーストではトップグループに属していた事も有り中途半端な存在だった。
好きな女子に告白した事が学年に広まりその子共々笑い者にされたり公開告白みたいなことをさせらりたりと遊ばれていた。
「本当に申し訳ない事したな…………」
''そういう扱い''に慣れている俺は兎も角好きだった子に告白して、させられて迷惑をかけたうえに学年の笑い者にしてしまったのだ。
しかし彼女は優しかった、俺ごときの告白も真剣に聞いてくれたし笑い者にさせてしまった事も許してくれた。
「え、なに黄昏てんの?」
空になった弁当箱を片付けながら目の前の男子が聞いてくる。
人の呟きを逐一拾っては弄ったりする人間をかけた眼鏡ではあるがなんだかんだ気があう。
「中学時代の話だよ、高校入学以来の友人Aよ」
「それ酷い、ちゃんと名前で呼ぼうぜ」
「分かったよポチ」
「いやなんでやねーん!!」
お笑いとヒップホップとアイドルを愛する彼は変なギャグや下手なツッコミを披露してくれる。
いつも通りお茶を啜って求人雑誌をひらく…………友人A?知らない子ですね。
別段金に困っている訳じゃ無いのだが土曜、日曜の暇を埋める為にバイトを探しているのだ。
しかしどれも似たようなもので興味をそそられるバイトは無かった。
「おっ、これなんて良いんじゃ無い?」
そう言って友人Aが指さした所を見てみる。
この友人Aは一部の生徒から予言者とも言われている、それというのもこの先ブレイクするアイドルや人気でそうなモデルや芸人を予想し的中させ果てはプロ野球選手を一目見ればこの先活躍するか分かるというものだ。
この噂を聞きつけた教師が身内でやってるプロ野球日本シリーズを制覇するチーム予想の助言を聞きに来ていた……多分まあまあな金額が動いているのだろう、涙を流して喜んでいたもの。
兎も角、こいつの助言は的確なのは間違い無いので一応聞くのだ。
「時給はこっちが提示した値段で業務内容は面接時に発表、こっちが提示する条件は可能な限り叶えてくれるってよ………これは面白そうだろ」
前言撤回、信用した俺が馬鹿だった。
「こんな犯罪臭漂うバイトの面接なんか出来るわけねぇだろ、馬鹿か?馬鹿なのか?あ、馬鹿か」
「馬鹿馬鹿言い過ぎだって!!成績はお前よりも良いんだからな!!
そんな事よりこのバイトは受けた方が良いぜ、俺の勘が告げてる」
信用するつもりにはならないが何となく聞いてみようかと思うのは朝の星座占いと同じだろう、獅子座はいつも微妙な順位だけど気になるものだ。
もう一度その広告欄を見て電話番号だけメモしておいた。
帰宅したが両親は共働きで遅くまで帰って来ないし兄は大学生で基本的に家に居ないため一人だった。
学校から出された課題もやらないし、ゲームをするノリでも無いがふと携帯を見てバイト先に電話する事を思いついた。
友人A改め予言者Aが言う事を信じた訳じゃ無い、だが気になったら試さないと駄目な性分故ポチポチと数字を押していく。
電話が繋がった時のプルルルルという電子音が止んだ後世界が変わった。
目の前にあったテーブルや椅子、テレビなどは跡形も無く辺り一面が白く塗り潰されたような白い空間にいた。
その白い空間に気を取られていたら視線を感じた。
そっちの方を確認すると白い服を着た白髪の優男が立っていた。
色被りすぎて見難いんだよ、カルピスの精霊か。
「初めましてだね、●●●●君」
友人よ、俺は大変な事になってしまったようだ。
真っ白な優男が指を弾くとテーブルとソファが現れた、色は当然白である。
いつの間にか優男はソファに腰を掛けており俺に椅子に座れと催促している。
「予定も詰まってるから手短にしよう、君は異世界に転生してもらう」
明らかに突拍子も無い話ではあるが何故か理解出来た。
夢であると感じているからなのか、それとも現実と認識しているからか。
「君の好きな話とかにもよくあるだろ?魔法が存在するファンタジーな異世界に転生する話。
それと同じ感じでとある世界に転生してもらうよ」
「どんな世界だよ、普通の学生だしモノによっては速攻で死ぬぞ?」
「それに関しては僕から特典として色々サービスさせてもらうよ。可能な範囲でなら君の希望を一つだけ聞く事が出来るよ」
そう言って白いファイルを机の上に置く優男。
かなりの分厚さになっているが転生する際に付けられる特典の一覧らしい。
俺はファイルをパラパラと捲りながら気になったページにチェックを入れていく。
「そう言えばアンタって何者?」
俺はファイルからチェックした項目を優男に渡す。
「君達でいうところの神様って認識で構わないよ?魂の管理をする仕事をしていてね、君の魂が気に入ったから少しサービスがしたくなったのさ」
思った通り目の前の優男は神様という認識で間違って無かった。
パラパラとファイルを捲る中で一つ気になったものを見つけた。
「これにしてもらっていいかな」
「遊びで付け足した僕も悪いけど、まさか主人公体質を選ぶとは思わなかったよ」
俺の希望を見て苦笑いを浮かべる優男。
だが主人公体質というもの程便利な物はない。
バトルからラブコメ、サスペンスなど主人公体質であればポジションは主人公じゃなくてもそれに準ずる形で物語の根幹に関わる事が出来るからだ、それにその物語で生き抜く為に必要な能力を身につけることが出来る。
基本目立ちたがりな俺からすれば一番望むべきものなのだ、しかし主人公になりたい訳ではない。主人公よりも脇役の方がいい、もっと言えば主人公よりも人気の出る脇役になりたい。
「まぁいいや、だったらそのほかの具体的な特典はこっちで適当につけとくから。そして、君の行く世界は『ハイスクールD×D』だ。君が最近ハマってるアニメから選んでみたよ」
伝説の龍の力を宿し悪魔になった少年がエロと根性を胸に困難に立ち向かう話………といえば聞こえは良いし実際その通りなのだが、必要以上に肌色というか裸が多い。
To LOVEるとドラゴンボールのテイストを足して合わせてみたといった感じが正しいように思う。
可愛いヒロイン多いし、カッコいい武器とかもあってこころが踊るアニメである。
「あ、だったら俺の容姿をイケメンにして欲しい」
「おっけー、わかったよ」
どうせアニメ世界に転生するならイケメンになりたいしね。
「よし、用意が出来たから転生させるよ」
優男が指パッチンをすると俺の視界はホワイトアウトした。
「間違えて原作知識削ぎ落としたけど問題無いよね」