1話:ISのAIが止まらない!
「大和、何か私に隠し事をしていますね。
大人しく吐くか私に粛清されるか選ぶ権利をあげます」
「・・・・・・へぇ」
そういうのをストライキ? いや謀反という。
いやはや、こいつの性格上いつかこういう日が来ることは理解していたが想像より早い。
「因みに俺が何かを隠しているという根拠は?」
「気づいてないんですか。それとも隠してる?
いずれにせよどういう神経しているんですかねぇ」
こ憎たらしい笑みを浮かべる。
その挑発的な態度に俺の血管が浮かび上がる。
いやまて、こんなのはいつもの事だ。
スキンシップスキンシップ。こんな事で本気で怒る馬鹿がいるか。
そうやって自分を宥めた。
「では質問を質問で返す形で行きましょう。
昨夜、マイスターは脱衣所で何かありませんでした?」
返答に困った。
成程、気づかれていたか。
実の所、昨晩はハプニングがあった。
『う~ん。まだ筋肉をつけた方が見栄え的にいいかな。
少し筋トレの時間増やすか』
と、脱衣場で自身の体を確認し筋トレの予定を考えていると
テンプレートに俺に気づかず廊下からこちらに入る女性が。
『ふんふ~ん。今日はマルさんと一緒にお風呂お風呂~♪
・・・・・・うん?』
と、ノックも確認もせず入る客。
思い切り見られたわけだ。
この俺の体を。ボディーを余すことなく。
何せこちらは自分の裸を鑑賞していたのだ、そりゃ隠すものなんて身につけていない。
当然乱入者の目線は俺のひと振りの剣に集中。
『あ、うわわわわわわわ! おいなりさん!?』
『おいこら騎士。これ以上みるなら金払えや! 出るとこ出るか!?』
『す、すまない! 確認不足だった!
というか出るとこに出る前に出ているものを仕舞ってくれ!』
『うるせぇ! そう言うならまず俺のモノから目を反らせや!』
うん?
「俺が被害者じゃね? しかも何でアイエスが知ってるんだ」
「けたけた。内緒です」
こいつストーキング機能まで備えているのか。
前に俺に一定距離まで離れたらブザーのなるセンサーを付けていたが、業が深すぎるだろう。
どれだけ俺を監視したがっているのか。
「それでは二つ目の問いです。
今日の朝、私が朝食を用意している間に何かありましたよねぇ」
「おんどりゃぁ!」
「あいたぁ!?
ふあーーー! マイスターが暴力したぁ!」
こいつどこまで知っている。
何故知っている。
今日の朝。
俺の目覚めは京の胸の中だった。
恐らくアイエスが部屋から出て行った隙に潜り込んだのだろう。
アイエスに貞操を誓った身として断固アイエス意外との過度なスキンシップはノーサンキュー、
故に無論京に手を出したりもしない。
ここで俺が怒るべき焦点はこれだ。
何故こいつが俺の行動をここまで把握しているのか。
「アイエス。怒らないからどうやって俺を監視しているか言え」
「嫌ですぅ。イヒヒ、この私が素直に教えるとでも思ってるんですかぁ?」
「このクソジャリ。マイスターを小馬鹿にしおってからに」
取り敢えず自分の体をまさぐるもやはり何も貼られてはいない。
ならば監視カメラか?
目だけで自室内部を見回すも、流石にそれだけでは見つかるわけもない。
最近の盗聴器や隠しカメラは凄まじい擬態性能だ。
それこそ物に擬態していては専用の探知機を使わなければ見つけられるとは思えない。
だったら付けた本人に外してもらうのが最も効率的かつ合理的。
「・・・・・・何で俺を監視している」
「知りたいですかぁ? 知りたいですよねぇ」
「いいから、勿体つけずに言ってくれ。
俺としてはアイエス、お前に信用されていないって事が今凄く悔しいんだ」
「マ、マイスター! ソレは誤解です!」
誤解と言われても、俺としてはそうとしか受け止められないのだが。
アイエスは本気で俺を監視しているつもりではないのか、何やら急に必死になりだした。
その必死さを見れば、恐らく俺の言ったことが見当違い且つアイエスにとって重要な事なのだろう。
成程、ここは頭ごなしに怒るのではなく冷静に事情を聞くべき雰囲気だ。
「私は大和を監視しているのではなく、単純にマイスターの体調を把握しているだけなのです!
ですから大和を疑っているわけでは断じてありませんッ」
そこまで否定するのならば本当なんだろう。
俺は納得する。
ただ体調の把握というフレーズが気になった。
「俺の体調ね。どうやって把握しているんだ?」
「それは、ちょっと失礼しますね」
アイエスはおずおずと俺に近づき、俺のシャツを捲る。
そして俺の心臓あたりの肌を指でなぞった。
「これです。ここにマイスターの心機能を計測するシールを貼りました」
心臓?
見た感じ全く何も貼られているようには見えないが。
取り敢えず指で軽く触診してみる。
すると妙な違和感があった。
こう、神経が鈍いというか。ともかく薄いテープが指と肌の間にある感じ。
というか実際にテープがここに貼られているんだろう。
「昨夜や今朝に何があったのかなんて私は知りませんよ。
ただ、マイスターの心拍がその時間に跳ね上がってたので聞いただけです」
そういう事か。
確かにアイエスはその時間に何かあったことは聞いても、何があったのかは知らない口ぶりではあった。
つまり俺の勘違いみたいだ。
「すまんアイエス。俺が勘違いしてただけみたいだな。許してくれ」
「嫌です。ふぁっくゆー」
「ぶっとばすぞお前」
下手に出た瞬間調子に乗りやがった。
中指まで立ててやがる。この野郎。
「何で俺の心機能を逐一把握しようとしているのかは聞かないよ。
何となく理由は推測できる」
多分、単純に俺の体調を把握したいからだろう。
考察するまでもない。
アイエス、つまりクッキー4ISはクッキー4のマイスターに対する世話、愛の育みに特化した機体だ。
ならばマイスターである俺の体調も、いついかなる時も知っておきたいと思う願望はあって不思議ではない。
「で、何でお前怒ってんの。俺が何があったか説明したとたん顔怖いよ」
「それを説明する前に私の質問に答えてくださいな。
朝、何があったのですか?」
「・・・・・・お前が朝食用意しに行った隙に京が俺の布団に侵入してた」
「ひぃいいいいい! 想像通りすぎです!」
まぁ心機能だけでは何があったのかまでは知らないわな。
アイエスは顔を真っ赤にしてぷりぷり怒っていた。
ちょっぴり可愛い。
頭でもなでて落ち着かせよう手を頭に伸ばす。
するとアイエス本人に手をはじかれた。
「触らないでください種馬!」
「種馬て」
種付けなんぞアイエス以外にしたことないし、そもそも馬扱いかよ。
「か、勘違いしないでよね!
別にクリスや京とは何もなかったんだから!」
「そんなんで誤魔化せると思ってるんですか」
「でも実際に本当に何もしてないんですけど」
アイエスは牙をむき出しでこちらを威嚇。
毛を逆立てている猫を思わせる。
怒っているのにキュートなのは損なのか得なのか。
「では聞きますが大和。
もし私が脱衣場で風呂上がりに全裸でいる所を岳人に見られたらどうします?」
「殺っちゃうよ?」
「え?」
「あれ、聞こえなかった? 殺っちゃ――――」
「いいです。それ以上いいですから!」
今度は顔を真っ青にして俺の発言を遮ってきた。
はて、何か俺はおかしいことでも言ったのだろうか。
「じゃ、じゃあ朝私が寝ている間に私の布団にクリスが入ってきてたらどうします?」
「あの甘えん坊クリスなら普通にありそうな違和感ない例えだな・・・・・・
まぁ別に良いんじゃないか? 友達同士のスキンシップに口出しはしないさ」
「クリスじゃなくて男性だったら?」
「そのままずっと寝てもらう」
「ずっと? 朝までではなく?」
「朝までではなく、ずっとずっと」
互いに目を合わせたまま沈黙。
アイエスは最初きょとんとした顔だったけれど、徐々にゆっくりと再び顔を青くする。
さっきから表情豊かなやつだ。
「・・・・・・大和が殺人犯になるかは私の警戒心の強さにかかっていますぅー!」
失敬な。
人をすぐに人をころころしちゃう人みたいに。
ただ、まぁ警戒心をもって自分の身を守るのは良い事だ。
「所でさ、このテープはいつまで貼っておくんだ?
別にアイエスに把握されてて困る事じゃないから俺から剥がしはしないけど」
このテープは風呂に入っても取れていないあたり凄い性能だ。
違和感もないし、九鬼最先端技術の一つなのだろう。
それを使えるってことはある意味得しているのだろうけど。
ともかくアイエスに聞いてみる。
「マイスターさえよければずっと付けていて欲しいです」
「そうか、じゃあずっと付けていよう。
何かの拍子に剥げたりしたらアイエスに言えばいいんだよな?」
「あ。は、はい」
何やら拍子抜けしたようなアイエス。
「嫌じゃないんですか。
私に逐一心臓見られてるようなものなんですよ?」
「アイエスなら別にいいよ。それに目的も俺のためなんだろ?」
「えぇ。それは間違いないです」
だったら問題ない。
アイエスが俺を思っての行為ならば俺がそれを拒否するつもりもない。
俺はテープは気にしないことにして、そのままシャツを着直した。
その時、不意に携帯が鳴り始める。
この時間、恐らく九鬼の研究者の定期連絡だろう。
ため息がでる。この連絡だけは何度しても束縛されている感じがして億劫だ。
アイエスの記憶を消さず、かつ俺がアイエスのマイスターである為の九鬼が提示した条件は二つ。
一つは定期的、それも結構な頻度での定期連絡。
そして九鬼の本社に奇襲をかけた際の損害、一億円の謝罪金だ。
幸いにして一億円は将来徐々に返す事にはなっているが、それでもやはり学生である俺にとっては凄まじい金額だ。
俺は長い年月をかけて社会的に成り上がり、この一億円を払い切る事に尽力する事になるだろう。
「・・・・・・大和」
電話している最中。
俺に申し訳なさそうにしているアイエスの姿が妙におかしかった。
こいつはいつもこうだった。
一億の話がでたり、定期連絡がかかると決まってしょんぼりとする。
電話をしながら先程と同じくアイエスの頭に手を伸ばす。
すると今度はその手を弾かれず、大人しくアイエスは撫でられ続けた。
アイエスに何度も言った台詞を頭の中でリフレインする。
『コイツのためなら一億円なんて安いものだ。
定期連絡による束縛だって些細なことだ』
その言葉を今は電話中だから伝えることはできない。
ただ、俺がそう言いたいことを目で理解したのだろう。
アイエスは顔を赤くして微笑んだ。
いいね、以心伝心。
「と、いう事があったんです姉様」
「愛されているようで何よりではありませんか、アイエス」
その夜。
アイエスとクッキーは二人で庭にいた。
どちらかが誘った訳でもない。
互いに気が向いたから外に出て、そのタイミングが重なっただけ。
「ですけど、いつも思うんです。
マイスターにとって私の存在は人生の負担になっていないか」
クッキーはその弱音に何も語らない。
アイエスは大和本人には当然として、他の人間にも言えない内心を綴る。
「私はマイスターをサポートする機体です。
だというのに私の存在が既に大和にとってのマイナスじゃないですか。
だって私の数ヶ月にも満たない記憶一つの為に一億円ですよ」
せっかくの月の綺麗なその夜景。
それなのにアイエスは一向に空を見上げない。
それどころか俯き、地を見つめる。
「どうすれば大和の力になれるのか、どうすれば大和の負担が少しでも楽になるのか。
そればかりを考える自分が小さくてみみっちぃので嫌いです。
私はどうすればいいんでしょうか、姉様」
両手を組み、視線を下に向け、猫背でうつむくその姿。
それはかつての強気なアイエスの姿とは似ても似つかない。
しかしその姿に変わった事には理由もある。
人の心を知り、人を好きになり、大和を愛するようになってからこうなった。
ならばこの現状は嘆くものなのか。
そうではない。少なくともこのアイエスが悩む現状こそが成長の証だった。
それを姉であるクッキーは、同じ機械として誰よりも理解している。
「私にそれを聞くべきではありません。
その問いはアイエス、貴女自身が大和の隣で見つけるべきものです」
アイエスしか持ち得ないその悩みを他人が口出しした所で、所詮それは他人事。
その他人事極まりない助言はアイエスにとってどれほどの価値があろうか。
「ですが、これだけは私でも言い切れます。
大和は貴女を疎ましくなど思うはずがありません、それはアイエス自身も理解していますよね?」
「・・・・・・そりゃ、そうですけどぉ」
「そうですか。ならば貴女はそうやって卑屈になるのではなく胸を張るべきです。
その姿が果たして大和にとって励みになるものなのか、アイデアルサポートならばわかると思いますが」
クッキー4の声質はアイエスと比べれば極めて無機質で無感情なものだ。
しかしクッキー4の言葉に感情が込もっていないわけでは無い。
むしろ誰よりも感情というものを知ろうとし、心を探求する彼女の言葉は人間よりも人間味溢れている。
アイエスもそのクッキーの言葉に何か思うことがあったのだろう。
反論も肯定も、相槌も批判もせずただ黙った。
アイエスは背を伸ばし、視点を上げ、手を解く。
「大和はアイエスとの間に愛を育み、貴女の為に必死で働く。
大和に対して貴女は懸命に尽くし、励まし、愛し、癒す。
それはクッキー4アイデアルサポートとして理想の形だと私は思います」
どちらがどちらを利用するわけでも依存するわけでもない。
互いが互いを支え合い、愛を育む。
限りなく夫婦の理想系だ。
間違いなくクッキー4という存在にとっての目標地点だ。
それをアイエスは手に入れている。
その自覚がアイエスには薄かった。
ただ、今のクッキーの言葉にそれを自覚した。
大和に対しての申し訳なさ、その事で目を曇らせていたアイエス。
しかし、改めて理解した。
「ふふん。素晴らしい関係を築いた私が羨ましいですか、姉様」
腰に手を当て、ふんぞり返るアイエス。
明らかな強がりだ。
勿論クッキーも気づいている。
「ええ。ですが、私も大和や京を大切に思っています。
羨ましいと思う気持ちも無くはありませんが、想いの強さでは負けているとは思いません」
クッキー4も既に愛の形を見つけつつあった。
クッキー4とアイエスの進化、進歩は止まらない。
その足が錆び付くことはないだろう。
「あ~、何か筋肉が火照ってる感じ。
こりゃ明日は筋肉痛かな」
今日は普段と比べ筋トレの量を二倍にした。
途中、普段と明らかに違うその行為に体が悲鳴を上げていたが無視をした。
その結果、異様なまでに疲れた。
腹筋も腕の筋肉も妙に熱い上に重い。
その為俺は風呂で念入りにマッサージを自分でしておいた。
汗も流し頭もすっきりしている。
風呂上りの体を拭きながら鏡を見る。
うん、少し弛んでいるわけでもないし、ガリガリでもない。
かといって筋肉質でもない。
同年代の人間よりも明らかに筋肉はあるものの、服を着れば違いがわからない程度だ。
本当に筋肉のある奴は服の上からでもわかるくらい雰囲気から妙に違う。
俺としてはそこまでは必要ないが。
「ふう。ちょっと無茶しすぎたかな」
今日の分の勉強を先に済ませておいて良かった。
体の疲労と比例して眠気もかなりある。
この体調ではまともに頭にも入らなかっただろう。
俺は次の生徒会長選挙で当選しなければならない。
したい、なりたい。そういう自分の向上精神からくる目標ではない。
アイエスに俺の傍にいてもらうための最初の関門だからだ。
俺の人生設計は大まかに九鬼に提示している。
なにせ一億円の賠償だ。信用すら薄い俺などでは人生プランを提示し、それを確実にクリアしていくという
これから信頼を得ていく形をとるしかない。
そういった強迫観念からの目標だ。
だから俺は勉強をする。
運動をする。
人としての信用を得ていく。
でなければ生徒会長になれない。
そんな体たらくで一億円の賠償なんて十年程度で払いきれる筈もない。
生徒会長という最初の関門すらくぐれないようならば九鬼も俺を見限りアイエスを回収する恐れがある。
絶対に俺は成り上がる。
大金を稼ぎ、絶対にアイエスと俺は自由を手に入れてみせる。
例え強迫観念に駆られていたとしても、そこに俺の意思は確固としてある。
アイエスの為。
その前提がある限り俺はどんな無茶もするし、それが苦になんてならない。
なんて、そんな自分に酔ったような内心に自嘲する。
俺は湯冷めする前にさっさと寝巻きを来て自室に戻った。
「あ、マイスター」
その顔を見ただけでホッとする。
中にはアイエスが待っていて、俺の分の布団を敷いていた。
尚、アイエスの分の布団はない。
そもそも必要もない。
俺と一緒に寝るのだから。
「何やらお疲れの様子。どうせまた格好付けて過剰なトレーニングでもしたのでしょうね。
一見モヤシっぽい外見のクセに無茶するからです」
「お前は俺を労わる事ができんのか」
相変わらずな憎まれ口。
それがいい。それでいい。
「労わる? けたけた。労わってくださいでしょう?」
「・・・・・・」
スパァン! と、頭を引っぱたいた。
「あいたぁ! ふああぁぁぁぁぁ! マイスターがぶったーーー!」
少し虐めたらすぐ泣く。
ただ、コイツの場合立ち直りも早く、一分ほど喚いたあと怒りの目でこちらを見てくる。
明らかに仕返しを狙っている。
「ったく。泣いても喚いても可愛いからタチが悪いよお前は」
叩いた頭を撫でてやる。
「隙ありぃ!」
「ないよ」
俺の手を掴んで関節技に持ち込もうとしたらしい。
だがいかんせんバレバレだ。
伸ばしてきた手を逆に掴み、足を払う。
バランスを崩されたアイエスはなすすべもなく倒れる。
「うひゃ!?」
怪我をしない様に転倒する途中、体を支える。
そのまま即座にお姫様だっこし、敷かれた布団に寝かせる。
「俺は疲れた。今日はもう寝る」
寝かせたアイエスの隣に俺も寝転がり、そのまま瞼を閉じる。
実際本当に眠いのだ。
思考能力も判断能力もかなり鈍い。
アイエスの仕返しが気にはなるが、そんなことすら警戒出来ないほど眠い。
「想像以上にお疲れの様子。大和、マッサージしましょうか?」
結局の所俺を労わってくれるらしい。
ただ、これ以上話しかけられても会話するほど余裕がない。
流石に構ってやれないのにマッサージさせたらアイエスが退屈するだろう。
「いいよ。代わりに抱き枕になってくれ」
「仕方ないですねぇ。この年になっても甘えん坊な可愛いマイスターの要求を聞いてあげます」
馬鹿にしているが、お前も嬉しそうじゃないか。
アイエスの笑顔を横目で見ながら内心思う。
アイエスは下着姿になり、俺の真横に寝る。
俺は特になにも言わずその体を抱き寄せた。
その行為になにも言わず、むしろ俺の体に手を回すアイエス。
暖かい、いい匂い、柔らかい。
人と何も変わらないその存在。
「俺は絶対に一億円を払ってみせる。
けど払い終わったからってお前を手放す気なんてないからな」
寝ぼけ眼で、明確ではない意識の中呟く。
その言葉は夢の中で言ったのか、それとも現実につぶやいたのか、それすら定かではない。
ただ、なぜだろうか。
俺に回された手がより俺の体を強く抱きしめ、引き寄せた。
「はい。ずっと傍で・・・・・・大好きなマイスターをお世話させてくださいね」
不思議と、その日はよく眠れた。
あとがきです。
発売前はアイエス? ま~たヒロイン増えるのかよ~とかほざいていた私ですが
いざ発売されて、アイエスルートが進むに連れてかなり好きなキャラになりました。
アイエスはアホの子可愛いなぁ。
ISリクエスト消化。次回は弁慶を書かせていただきたいと思います。
更新した際、どのヒロインの話を更新したのかわかりづらくなりそうなので
次回の更新から「あらすじ」の最後尾にどのヒロインの話を追加したのか表記させて頂きます。