デジモンストーリー オールドフレンド 作:Tomato.nit
フォレストネスト 三日だけ待つ
シスタモンの残したメモにはそれだけが書いてあった。
それはこの森の奥地にある、大きなクモの巣が密集する地帯のこと。
巨大なクモの巣は獲物を捕まえるためのものではなく、そこに暮らすデジモンの足場や生活の場である。巨大なクモの巣を作ることのできるデジモン。それがこの森の主とも言われる、ドクグモンだ。
一対一なら並みの成熟期であれば後れを取ることもないが、場所と数が問題である。フォレストネストでは巣を巧みに移動することで立体的な動きが可能であり、反対にそこに踏み込んだデジモンは自由な動きが制限される。そして、そこに襲い掛かるのは大量のドクグモン。
これが、ドクグモンをこの森の支配者たらしめる理由だ。
洞窟を抜け、大きな泉のその先にあるのがフォレストネスト。僕らの足だと、ここから行くなら二日はかかる。町に戻ってここに来るまで少なく見積もっても一日半はかかる。
ということは、町に戻って助けてもらうのは不可能だ。
シスタモンの目的は妹を助けることだと言っていた。
自身はクルモンに興味が無いと言っていたことから、妹を人質にクルモンを連れてこい
と脅されていたと考えるのが妥当だと思う。
あくまで、彼女の言い分を完全に信じるならだけど。クルモンに関して他の手掛かりがない今は信じるしかないけど。
「ここに来て。妹とクルモンを助けるためならあたしはどうなってもいい」
彼女の最後の言葉を心の中で反芻する。
この言葉を信じていいのだろうか。
「あのデジモンのこと信じていいのかな」
疑問はそのまま口をついて出る。分からない謎な所が多すぎる。
「ボクは信じるよ。シスタモンのこと」
アグモンは力強く答えてくれる。
「何か理由はあるの?」
「理由は、今ボクたちが怪我もしてないってことじゃないかな」
そう言われて自分の体を改めて観察してみると、掠り傷くらいしかない。
あれだけの攻撃力なのにほとんど怪我をしてないってことは、
「手加減してくれた?」
コクっと頷くアグモン。
戦闘中に感じたあの不信感は舐められていたんじゃなくて、加減して貰えてたってことか。
それはやっぱり、クルモンや妹を助けるためなのか。でも、そのためにボクらを無事に残しておいたのはどういうことなんだろう。
そこだけが分からない。シスタモンに圧倒されるボクたちを戦力として期待しているということは考えにくい。
「じゃあ、クルモン助けにいこっか」
こっちの考えが纏まらないうちにアグモンは歩き出す。重要な決断ほどサクッと決める性格のアグモン。そんな彼がうらやましくもあり同時についていけるか不安にもなる。
でも、今回はついていく。
クルモンは絶対に助ける。それは変わらない気持ちだから。
少なくとも今の僕たちに出来るのは前に進むことだけだ。
フォレストネストに向かうまでの難所が一つある。
湖の手前に位置する洞窟だ。この洞窟は長さ事体は大したことはなく、一本道で迷うこともないT、一匹のデジモンが住んでいる。
洞窟の主とも呼ばれているそのデジモンはオーガモン。
この森に棲んでいるデジモンン多くは成長期で、成熟期もちらほらいる程度。成熟期と言ってもそこまでの実力はないから洞窟までたどり着いても、オーガモンに追い返されることがほとんど。
そんなわけで、泉にはなかなか近寄れない。
でも、今回はそのオーガモンを突破しないとクルモンを助けに行くことができない。正直案が無い。オーガモンの巨体は洞窟の中では弱点になると思う。そこをうまく突くことができれば勝機はあるはずだ。それに、倒すことが目的じゃない、洞窟を抜ければいいんだ。
「そういえば、オーガモンの持ってるこん棒ってスカルグレイモンの骨なんだよね」
「そうらしいけど、どうしたの急に?」
アグモンがそんなことを呟いてくる。
「いや、僕がスカルグレイモンに進化したらいつかオーガモンの武器になっちゃうのかなって」
そんな悩みは成熟期に進化してから言って欲しい。
・・・進化か。
進化できればシスタモンにも勝てていたのかな。そう思うと自分の力不足を感じてしまう。
悔しいな。
「ギルモンどうかした?」
気づいたら考え込んでしまっていたみたいで、アグモンがボクの顔を覗き込んでいる。
「うん。ボク達が進化できていたらクルモンが攫われることもなかったのかなって」
「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。それは誰にも分らないし、仮に分かったとしても過去は代えられないよ」
諭すように、そして自分に言い聞かせるようにアグモンは言葉を紡ぐ。
「だからボクは前を見て進む。今のボクに変えられるのは未来だけだから」
アグモンとこんなに真面目な話をしたのは初めてだと思う。
真剣な表情くらいは見たことある。でも、この表情は真剣なだけじゃない。覚悟を帯びている。
でも、その覚悟はどんな覚悟なの?
「アグモン」
思わず名前を呼んでしまう。言っておかないとアグモンがどこか遠くに行ってしまう。そんな気がしたから。
「クルモンを助けて、また三匹で遊ぼうね」
それだけがボクの願いだから。
「もちろん!当たり前じゃん!」
さっきまでの雰囲気は鳴りを潜め、明るいいつものアグモンの声に戻っている。
しかし、ギルモンの視界から外れたその瞳の奥には確かな決意の色が浮かんでいた。
日が暮れるまで歩き続け、野宿をした翌日。
朝日が昇ると共に目覚めたボクたちの前では草木の朝露が陽光に照らされきらきらと光っている。でも、残念なことにここはデジタルワールド。弱肉強食の世界。
綺麗だな、なんて考えていると視界の端に緑の塊がうごめいている。
木の間を縫うように動き、その軌跡には粘液がテラテラと後を残す。
ある意味見慣れた姿。デジタルワールドでもポピュラーで、ある意味嫌われ者なデジモン。
ヌメモンだ。
個体差はあるけど、基本的に知能はそこまで高くない。町に居るヌメモンはめちゃくちゃ賢いらしい。あくまでヌメモン基準だけど。
今回の奴は・・・
「ヌメエエエエエエエ」
もはや言葉を話していないので、知能は低そう。というよりかは限りなくゼロ。本能で動いていると言っても過言じゃない。
成熟期とは言っても、そんな相手に負けるほどボクたちは弱くない。
眠気覚ましに一発かましてやろう!
とまあ、意気揚々と返り討ちにしたいいものの。
「・・・クサイ」
何が起きたのかは察して欲しい。っていうか思い出したくない。
一つだけ言えるのはもうヌメモンとは戦いたくないってことかな。
とりあえずご飯の前に川で水浴びすることにした。
このまま抱き着いたらクルモン死んじゃうかもしれないし。
朝から一波乱あって、すっかりどんより気分なボクらの前に遂に洞窟の入り口が姿をみせた。
「ここだね」
ゴクっとどちらからともなく唾を飲む音が聞こえる。緊張している。
正直言って、オーガモンに勝てる気は全くしない。でも、なんとかするしかない。
「ギルモンは何か作戦ある?」
アグモンの問いに首を横に振るしかない。
分かった。そう言ってアグモンは一歩踏み出す。
「何か案があるの?」
背中越しの答え。
「ボクがおとりになるから、オーガモンの後ろに回り込んで。二手に分かれることが出来たら、後はどうにでもなるよ」
無謀だけど、それしかできないのが歯がゆい。
「大丈夫、約束は守るから」
そんな背中が妙に頼もしく感じられた。
ピチャ。
洞窟の天井から水滴が落ち、音が響く。丁度、中間くらいまで歩いたと思う。
そして、洞窟の中腹がオーガモンの出現場所だ。
もうそろそろだ。気を引き締めてっ
腹を括った瞬間、水音に混じって、足音が響く。
ズン
来た!
光が薄く届く洞窟の奥から、影が姿を表す。
大きい。天井まで届きそうな巨体から発せられる威圧感は尋常ではない。
ズン、ズン、
徐々に足跡が近づく。ボクたちに近付いてくる。怖いんだろう。膝がカタカタ震えてくる。
でも、なんだろう、暗くて姿が捉え辛いけど、何か違和感がある。
違和感の正体は直ぐに露わになる。
オーガモンの巨体には足が二本。腕が一本。
そう、腕が一本しかない。左腕は二の腕から先が無く、その付け根には無造作に赤い包帯が巻かれているだけ。
怪我?
あれが何か、攻略のヒントになるかも。
「去れ。雑魚がこの先に立ち入ってはならん」
オーガモンから言葉が発せられる。低く、洞窟に響き渡る声。決して大声ではないけど、その声の密度からはとてつもない威圧感が放たれる。
「やっぱり簡単には通してくれないか」
「“簡単“にか、通る気でいるとは生意気だな」
だらりと構えられていた棍棒が握り直される。しかし、仕掛けては来ない。
こっちが攻めるまでは撃ってこないってこと?
睨み合いが続く。
そうしている間にも、対峙しているだけでこっちの精神力はがりがり削られる。
続く沈黙をアグモンが破る。
「どうして攻めてこないの」
「知れたこと。俺の目的は雑魚を通さんことだ。貴様らが立ち去るなら、俺が手を下す必要はない」
ブンッ!
棍棒を一閃し、突風を巻き起こす。
踏ん張って耐える。けど、素振りでこの威力、半端じゃない。
それでも、ボク達は退けない。退くわけにはいかない!!
「ボクはどうなってもいい!でも、クルモンは絶対に助ける。だから、死んでもここは通させてもらう!」
叫びながら、アグモンが飛び掛かる。
速い!
今までに見たことのない速さでオーガモンの懐に飛び込むアグモン。
「今だ!」
そうして、オーガモンの意識が懐に行く。
同時にボクも駆ける。死角となるのは丁度オーガモンの左側。腕の無い方向だ!
ここなら抜けられるっ
「通さんと言った」
ぞっとするように鋭い声が耳に届く。
同時にボクの目の前には棍棒が迫っている!
「うあっ!?」
思わず体を逸らして、回避するけど崩れた姿勢のせいで走り出すことができない。
・・・抜けられなかった。
それと同時にアグモンのくぐもった声が響く。
見れば、頭をオーガモンに掴まれ、だらりと両手足を垂らす姿が。
「アグモンを離せえええええ!」
何も考えられない。ただアグモンがやられるのを見ているのは許せなかった。
飛び掛かるボクの体は逆方向に吹っ飛ばされる。
蹴り、それだけでここまで。
壁に打ち付けられ、体中の空気が漏れる。
地面を転がるボクの体をオーガモンが踏みつけ、身動きが完全に封じられた。
万事休すか。
「クルモンと言ったか」
でも、踏みつぶされると思ったボクには体重ではなく、言葉がかけられる。
「そうだよ、シスタモンに攫われたクルモンを取り戻す」
ボクの言葉を聞いた瞬間、足の力がふっと緩む。
同時にアグモンを掴んでいた腕が緩み、その体が地面に落とされる。
「そうか、シスタモンが言っていたのは貴様らか。手加減はしたつもりだが、怪我は無いか」
さっきまでの威圧感は完全に消失し、僕たちを気遣う様子は完全に別物だ。
「いったいどういうこと?」
なにがなんだかわからない。少なくともさっきみたいに攻撃される様子はないけど。
「まずは洞窟から出る。話はそれからでいい。ついてこい」
洞窟の出口に向かうオーガモン。ボクたちの入ってきた側とは反対側に。
そして、洞窟の先に光が見える。出口だ。
「あら、思ったより早かったわね。追い付かれちゃった」
出口に居たのは見間違うことはない。シスタモンノワールだ。
その傍らにはクルモンもいる。
「クル―!!ギルモン、アグモン!会いたかったクル!」
ボクたちの姿を見つけるなり飛び掛かってくるクルモン。良かった!無事だったんだ。
「感動の再開しているところ申し訳ないんだけど、あたしのお話、聞いてくれる?」
フードの奥からこちらを覗くシスタモン。
カワイイ顔で困った表情をしているのは反則だと思う。逆らえないじゃん。
無言を肯定ととったのか、シスタモンが話を始める。
「先にクルモンを攫ったこと謝るよ。ごめんね。あたしにはこれしか方法が無かったんだ」
ペコっと、深々と頭を下げるシスタモン。反省はしているみたい?
「妹を助けなくちゃいけないってのは少し話したと思う。それで、その条件がクルモンを連れてくることだったの」
それでもクルモンを攫っていい理由にはならないけど、続きを聞こう。
「誰がそんなことを?」アグモンが続きを促す。
「アルケ二モン」
シスタモンはぽつりとその名を呟く。まるで、その名を恐れるかのように。
アルケ二モン
クモのような下半身を持ち、上半身には女性の人型を持つ、完全体のデジモン。
そんな強力なデジモンがなどうしてこんなところに。
「フォレストネストってドクグモンの巣じゃなかったっけ?」
ボクの疑問にはオーガモンが答えてくれる。
「近頃フォレストネストの反対側に続く通路ができた様で、そこから大量のデジモンが迷い込み奴らの餌となった。大量の餌を得たドクグモンたちはその数を増やしていったが、増え過ぎたのだろうな、生存競争が激化した結果・・・」
「進化した」最後はシスタモンが引き継ぐ。
「迷い込んだデジモンから聞いたんでしょうね。アルケ二モンはクルモンの力に目を付けたの」
「クルモンの力?」
「そう、クルモンの持つ“進化の力”。それが狙いなの」
「クルモンにそんな力があるクル?」
当の本人は全く心当たりがない様子。空を飛んで首をかしげている。
「詳しいことはあたしも知らないの。ただ、一つ言えることはアルケ二モンを進化させたら碌なことにはならないってこと」
そうだと思う。人質を取ってまで、力を得ようとするデジモンだ。良い奴なわけがない。
「それにもしも、あたしが失敗したら他のデジモンがあたしと同じ目に合う」
それはボクたちかもしれない。
「だからあたしはあいつを止めたい」
顔を上げたシスタモンの瞳は力強い意思を伴っている。
そして、ボクとアグモンの腕を取って、
「お願い。力を貸して」
力強く訴えてきた。顔が近い。照れる。
「分かった。協力するよ」
頷いた瞬間、嫌な寒気がする。その正体は目の前のシスタモン。顔はいつの間にか笑顔になっている。
その笑顔は嬉しそう。嬉しそうなのは問題じゃない。嬉しそうの質が問題だ。
「じゃあ特訓だ」
そう言って、クルっとターンするシスタモン。
「今の君達じゃ、ドクグモンに勝てるかどうかも怪しい。でもでも、安心してね」
ニタァと笑うシスタモン。その笑顔からはとてつもないオーラが放たれていた。
「あたしが直々に、いじⅿ、じゃなくて鍛えてあげるねっ」
「今、いじめって言おうとし、フガァ?!」
突っ込もうとした瞬間に突っ込まれた。口に、拳銃を。
それでもニコニコ。むしろ余計に楽しそう。
あ、この子、本物だ。
ドSだ。
阿鼻叫喚、地獄の特訓 ~ノワールちゃんのガンパレード~ が幕を開けた。
オーガモンが石を投げつけ、シスタモンが銃を乱射する。
申し訳なさそうに石を投げるオーガモンとは対照的に、シスタモンは爆笑しながら鉛玉を飛ばす。
「あははは!よけろ、よけろ~!」
「死ぬ!これはホントに死ぬ!」
「手加減してるから大丈夫よ。死にはしないって。死 に は」
それ、大怪我はするってことなんじゃないかな?!
チュン。
目の下を弾丸が掠めていく。
油断をしていた訳じゃないけど、これは本当にまずい。
「気抜いてると、殺、じゃなくて死ぬよ」
やっぱり殺す気満々なんじゃないかな。
そんな地獄の特訓が丸一日続き、ボクとアグモンの心身は完全に限界を超えて痛めつけられていた。
「よく耐えたな。これを食え」
呼吸もままならないボク達にオーガモンがキノコを手渡してくる。
初めて見るキノコだ。
きょとんとしていると、オーガモンが説明を始める。
「これはこの泉の周辺でしか採取できないレアもの。その名も、シェルターケ。見た通り、亀の甲羅のような模様が特徴のキノコだ」
確かに、亀甲の模様がくっきりびっしり、表面に刻まれている。
緑色の笠も、亀っぽさが増す。
でも、おいしそうじゃない。っていうか、亀は食べたくないでしょ。
「美味しいの、これ」
アグモンも考えていることは一緒の様子。
でも、肝心のオーガモンは黙ったままだ。なんで答えてくれないの。
この場合、沈黙は不味いって言ってるようなものじゃないの。その証拠にほら、オーガモンがすごく微妙な表情になってる。
「そ、そいつはな、食べると体中の怪我の治りが爆発的に早くなる。だから・・・」
しどろもどろのオーガモン。
いや、効果はすごいよ。すごいけど、質問に答えてほしいよ。
「ねぇ、だから味は美味しいの?」
尚も食い下がるアグモンの頭上に影が差す。
「いいから、食べな!」
背後から現れたシスタモンにキノコが奪い取られ、アグモンの口にねじ込まれる。
「ふぎゃ!?ま、う、ま、ま、ダアアアァァァァ」
謎の声を発したかと思えば、その口からは涎が際限なく溢れ出す。シスタモンにより無理矢理閉じられた口はそれでも隙間から涎を垂れ流す。
ゴクっと飲み込んだことで、シスタモンの拘束から解放されたアグモンは、それでも口を開いたまま。どこぞのライオンみたいになっていて、それを見たシスタモンはまた爆笑している。
その反応をする食べ物は口にしたらダメだと思う。
でも、悲しいかなボクの体は動かない。そして、目の前にはニコニコ笑顔のシスタモン。
ああ、アグモン、ボクもそっちにいくヨ。
正に想像を絶する味。表現のしようが無い。
ただ、一つ。
昔、寝ぼけて齧ったヌメモンのことを思い出した。
遠い目をするティラノモン。
苦虫をかみつぶしたような表情の中にも、どこか懐かしそうで嬉しそうな色が浮かぶ。
走り込みはその間も絶えることなく、ティラノモンに長時間引きずられた重りは随分体積が減っている。
「でも、その修行のおかげでティラノモンに進化できたんでしょ?」
修行と呼べるかは怪しいシスタモンの特訓だけど、それを乗り越えたからこそ手に入る力というものがあったのだと思う。
「いや、俺がティラノモンに進化したのはもっと後だ。このときはクルモンの力を借りてグラウモンに進化したんだが、力が抑えられなくてな。シスタモンには散々迷惑をかけた。アグモンにも」
最後の方は聞き取ることができなかった。
アグモン?
その続きを促すべきなのだろうか。
遠い目をしたティラノモン。
この話は僕にとっては彼の過去を知ることで、今のティラノモンを理解する機会だ。
同時に、ティラノモン自身にとっては今までの旅路を振り返る機会なんだ。
だからこそ、待つべきなのだと思う。
クルモンは進化を司るデジモン。その恩恵は進化に直結するが、進化するにあたって十分な能力が備わっていなければ、進化した力に翻弄されてしまうこともある。
グラウモンは成熟期であるが、完全体に匹敵するパワーを秘めている。十分な実力の無いデジモンが無理な進化を行えば、自我を失うことも十分に考えられる。
今日の特訓はもうすぐ終わる。
一日かけてティラノモンが語ってくれた昔話も同じく佳境。
ギルモン、アグモン、そしてクルモン。三匹の物語に終止符が打たれることになる。