改造戦士美鈴   作:akimon243

2 / 7
第2話

河童「う、うわぁぁぁぁぁぁ!!」

河童「逃げろぉぉぉ!」

美鈴「逃゛か゛さ゛ん゛!!!」

 

鎧のような姿へと変身した美鈴は手当たり次第に河童を倒し始めた。

いや、倒すというよりも粉砕していた。

 

美鈴「はッ」ドスッ

河童「ごッ」ブホッ

 

腹パンされた河童は腹に穴が開き、

 

美鈴「ふんッ」ガッ

河童「」ブシャー

 

背後から近づいた河童は後ろ回し蹴りで頭が吹き飛び、

 

美鈴「せいッ」ヒュンッ

河童「ぐはッ」ザクッ

 

手刀を突き出された河童は腹を貫通され、

まさに死屍累々、阿鼻叫喚の地獄絵図さながらであった。

 

河童「本部!本部!至急改造兵を!場所は...」

美鈴「ていッ」グサッ

河童「最上かぁッ...ぐほぉッ」ブシャッ

 

本部に救援を求めるものの、その救援まで持ちこたえられるか怪しい河童。

なおも殺戮を続ける美鈴。全身が返り血で紅くなっている。

 

河童「撃てッ!撃ち続けろ!」タタタタタ

河童「だ、駄目だ!全然効かねえっ!」タタタタタ

美鈴「はあッ」ブワーッ

河童「うわあぁぁぁぁぁ」

 

鎧に身を包んだ美鈴に銃弾は効かず、逆に美鈴が気弾で殲滅する。

そしてついに美鈴は咲夜の元へ到達した。

 

美鈴「咲夜さん!咲夜さん!しっかりしてください!逃げますよ!」

咲夜「うッ...美鈴......?美鈴...?何その体...」

美鈴「えっ」

美鈴「うわあぁぁッぁッナニコレ!?」

 

美鈴は正気を失っていたらしい。周囲の河童の残骸にも今気づいたようだった。

美鈴が我に返った瞬間、美鈴は元の姿に戻った。

 

美鈴「」

咲夜「あなた...大丈夫...?」

美鈴「ダ、ダイジョブデスヨ」ガチガチ

咲夜「そう......?」

 

美鈴は完全に混乱していた。また同時に恐怖してもいた。

果たしてこの凄惨な状況は何だ。自分がやったのか。自分のこの姿は何だ。自分は何だ。

 

美鈴「わ...私は...?」

咲夜「...美鈴...逃げるなら早く...」

美鈴「...ハッ!はい!」

 

しかし美鈴たちが立ち上がった瞬間、銃声が響く。

 

美鈴「ハッ!伏せて!」

 

美鈴たちは素早く床に伏せたが、銃撃が狙っていたのは美鈴達ではなかった。

 

バリバリバリバリ!!!

美鈴「うわっ明かりが」

 

銃撃は天井の照明を狙っていた。部屋の中が真っ暗になる。

床に散乱するガラス。咲夜を庇う美鈴の背中にも破片が落ちる。

 

美鈴「うッ......?」

 

美鈴は背中の痛みに耐えながらも、近づいてくる気配を感じ取った。

咄嗟に周囲を見渡すが、真っ暗で何も見えない。

闇で姿を隠しているのか。もしくはあの夜のように影になって──

 

ピシッ

 

美鈴「...!」

 

ピシッ ピシッ

 

ガラスが割れる音だ。かなり近い。美鈴は五感を研ぎ澄ませて探した。

壁際に三、正面に二、背後に一、そして河童にしてはいやに強力な気が部屋中央に一。

しかもデカい奴はただの生物ではないように感じられた。

 

ピシッ

 

背後の一人が接近してきた。位置は完全につかんでいる。

拳を一発お見舞いしたいところだが、まだ少し遠い。もっと引き付ける。

 

ピシッ

 

もう少し。

 

ピシッ

 

今だ。

 

美鈴「ふんッ」バキッ

河童「んごッ」

 

最初の一人は倒した。次に来る奴はどれだ。再び周囲の気配を探る。

しかし......

 

咲夜「ムグッ!ン~~~!」ジタバタ

美鈴「...はっ!咲夜さん!」フリムキー

河童「やッ」ベシッ

美鈴「ぶほッ」

 

完全なる不注意であった。殺したと思い込んでいた河童がまだ生きていた。

そのうえ咲夜まで囚われてしまった。助けなければ。

美鈴は咲夜の声のする方へ走った。

 

美鈴「咲夜さん...!」

河童「...」タタタタタ

美鈴「うっ」ドスッ

 

銃撃の一発が当たる。その場に崩れ落ちた美鈴に、強力な気の持ち主が接近する。

 

美鈴「(来るか...?)」

美鈴「せいッ」バキッ

美鈴「ぐっ手がッ」

美鈴「(何だこいつ、硬さが違う)」

 

変身によって十分に強化されていない美鈴の拳では、相手の体に傷をつけることはできなかった。

何故なら、相手もまた、改造された妖怪兵士だったからだ。

美鈴は、この相手はそう簡単には倒せない、と判断し、周囲の河童の殲滅を優先することにした。

そのために先ほど受けた銃弾の傷を可能な限り回復しようと思った、その時。

 

改造兵「...」グオッ

美鈴「(...ハッ!)」

美鈴「うおぉっ」ヒョイッ

 

辛うじて攻撃を躱す美鈴。最初のようなキレはなくなっていた。

美鈴はもう限界が近いとも思ったが、咲夜のことが気にかかる。

やはりここで敵を叩かねばならない。そのためには...。

美鈴はひとまず息を整え、集中し、体中の気を集め、溜め始めた。

 

美鈴「はぁぁぁぁぁぁぁ......ッ」

 

身体の左前で腕を十字に組む。その時、胸のエナジーコアが紅く光り始めた。

腕を離して、体の前に大きな円を描くように腕を回す。

そして身体の正面で再び腕を組むまでに、エナジーコアはだんだんと輝きを増していった。

 

美鈴「はぁッ!!!」ブワァッ

河童達「うおっまぶしっ」

 

美鈴が集めた気を解放した瞬間、美鈴の体は光に包まれた。

同時に、美鈴は凄まじい痛みを感じた。まるで全身の皮膚がめくれ上がるような痛みだ。

 

美鈴「ぐッ......」ズキィィン

美鈴「...ふうッ......ほあぁぁぁぁぁぁッ!!!」ビカーン

河童達「うわぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

一層強い、目を開けられないほどの光に、河童達は皆目を瞑り、顔を背けた。

その閃光は、真っ暗だった部屋が昼間のように明るくなるほどだった。

光が弱まり河童達が目をあけると、美鈴はまたも、鎧のような姿に変身していた。

 

全身は蟲を思わせる黒と茶色の強化外装に覆われ、そこに紅く輝く線が全身に走り、

頭には龍のような角が生え、紅く丸い大きな眼を持ち、

両前腕には刀のような形状の鰭、右腕の先の方には銃のような金属部品が露出し、

 

そして、胸の中央には真っ赤に明るく発光する、丁字のような、

鹿の角を正面から見たような、独特な形状のエナジーコアが鎮座していた。

 

強化外装の繋ぎ目からは、余剰エネルギーが湯気となって放出されていた。

 

美鈴「はぁ...はぁ...」シュゥゥゥゥ

河童「なんと...自力で変身しよった...」

河童「何を驚いとるか!撃てェ!撃てェッ!!」タタタタタ

 

美鈴の鎧は弾丸を悉く弾き返した。

美鈴は傷が治ったのを確認すると、素早く河童達に近づき、瞬く間に殲滅した。

 

美鈴「さて...」

 

美鈴は改造兵の方に向き直った。暗くてよく見えないのだが、大体の姿はわかった。

河童とは明らかに違う姿だった。四肢に加え腹から生えた四本の足、大きな八つの眼、

そして独特の瘴気。間違いなく土蜘蛛であった。

 

美鈴は構えなおした。いつ相手がどう仕掛けてくるかはわからないのだ。

しかしいつまで経っても仕掛けてこない。美鈴は試しに、蹴りを一発、相手の頭めがけて放った。

 

美鈴「ふんッ」ヒュッ

土蜘蛛「......」ガシッ

 

土蜘蛛は腕で蹴りを防ぎ、即座に拳をふるった。

 

土蜘蛛「......」ヒュゥン

美鈴「はっ」ヒョイッ

美鈴「せいッ」ヒュッ

土蜘蛛「......」ドスッ

 

土蜘蛛の胴体に、美鈴の拳が突き刺さった。土蜘蛛が一瞬怯む。美鈴はその隙を逃さなかった。

 

美鈴「ふんッ、ふんッ、はぁッ」

 

一発ずつ確実に打撃を与える。締めに上段蹴りをかます。

 

美鈴「やッ」ドスッ

土蜘蛛「......」グオッ

美鈴「うおっ」

 

土蜘蛛は肩に美鈴の蹴りを受けながらも、もう一方の腕で美鈴の足を掴んだ。

さらに、掴んだまま美鈴を何度も床に叩きつける。

 

土蜘蛛「......」ブゥン

美鈴「ぐほっ」ドゴン

土蜘蛛「......」ブゥン

美鈴「ぶへっ」バゴン

 

そしてそのまま、美鈴を壁に投げつけた。

 

土蜘蛛「......」ビュン

美鈴「ごっ」ドゴーン

 

凄まじい攻撃を受け、死んでこそいなかったが、美鈴は朦朧としていた。

同時に、胸のエナジーコアが脈打つようにゆっくりと点滅し始めた。

 

美鈴「くっ......」ドクン...ドクン...

土蜘蛛「......」ドスドスドス

美鈴「......ハッ!」ヒョイッ

 

改造の影響か、異様に早く意識を取り戻す。

猛然と突進してくる土蜘蛛を間一髪で回避し、即座に反撃する。

 

美鈴「ほぁッ」ヒュッ

土蜘蛛「......!」グサッ

 

美鈴の手刀が土蜘蛛の後頭部に文字通り突き刺さった。

しかし、まだ土蜘蛛は動きを止めない。

 

美鈴「なにッ!?」

土蜘蛛「......!」ブンブン

美鈴「はっ」ヒョイッ

 

確実に脳にダメージが入る位置に刺さったはずだ。しかも後頭部、運動機能に障害が出てもおかしくはない。

だが土蜘蛛は腕を振り回しまくる。美鈴は避ける。

美鈴は悟った。改造された、操られている妖怪は、頭全体を破壊しなければ倒せないと。

美鈴は相手とやや距離を置き、やや屈みこんで右足に気を集め始めた。

 

美鈴「はぁぁぁぁぁぁぁ......」ジュゥゥゥゥゥ

 

右足と床の間から煙が上がり始めた。集められた気の熱が床を溶かしているのだ。

右足の紅い線がより鮮やかに輝く。

 

美鈴「はぁッ!」

 

相手の頭を直接攻撃、破壊するには、直上から狙うのが手っ取り早い。

十分に気をためた後、美鈴は高く飛び上がった。

 

美鈴「とぅあぁぁぁぁぁッ!!!」

 

美鈴の渾身の蹴りは土蜘蛛の頭に直撃した。

足に集まった大量の気が凄まじい高熱を発し、土蜘蛛の頭部を溶かしていた。いや、蒸発させていた。

 

次の瞬間、美鈴は着地した。背後の土蜘蛛には、もう頭というものはなかった。

土蜘蛛のわずかに残った首からは大量の血が噴き出していた。

 

美鈴は咲夜の姿を探した。咲夜はもう部屋にはいなかった。河童が連れて行ったのだ。

美鈴は悔やんだ。そして自分を責めた。しかし、どう悔いても、誰を責めても、現実は変えられない。

エナジーコアの脈動にも似た点滅はかなり速くなっていた。

ひとまず美鈴は基地の外に出ることにした。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。