改造戦士美鈴   作:akimon243

5 / 7
第5話

総長「『インセクトアイ』が死んだか......」

?「『ブラックカープ』の戦闘能力は生半可なものではないようですね」

総長「それはそうだろう。あれは第三世代機の試験型なのだぞ」

?「まあたかが第一世代に勝ち目はありませんでしたか......」

総長「第三世代機は我々の主戦力になりうる。奴は確実に取り戻したいところだったが......やむを得んか」

?「それがですね総長、『インセクトアイ』は奴の他に有望な者を見つけたようです」

総長「なに......ほう......」

総長「......この者はぜひとも我が軍に引き入れたいところだ」

?「至急追っ手を出します」

 

--------

 

美鈴は人里にあった。改造されたとはいえ通常時はほぼ元の姿、人間に怪しまれることはなかった。

白玉楼で餞別として貰った銭はある。これで少しづつ食料を手に入れればよい。

美鈴はひとまず蕎麦屋へ向かった。蕎麦屋が一番安く一食分を賄える。

 

蕎麦屋「いらっしゃい、かけ蕎麦と天麩羅蕎麦とあるけど」

美鈴「かけ蕎麦で」

蕎麦屋「ほいかけ蕎麦ね......紅魔館の門番さんとは珍しい」

美鈴「今は悠長に門番やってる状況じゃないので」

蕎麦屋「ほいお待ちどう」

美鈴「いただきます」

蕎麦屋「そうだ、ここの所蕎麦粉も小麦粉も異様に値上がりしてるんだよね」

美鈴「......高値で食わせようとしてるんじゃないでしょうね」

蕎麦屋「いやいや、ちゃんとお代は三十文だから」

美鈴「普段の倍近いじゃないですか、そんな店で食えるかっての」

蕎麦屋「あっ待ってよー蕎麦置いてくのかよー」

 

その後美鈴は様々な店を回った。

回ったがその多くは閉店或いは開店休業状態で、店の体を保っていたのは少なかった。

どこの店でも食料、特に農産物と川魚が異常に値上がりしていた。

 

美鈴「おかしい......」

八百屋「そうだろ、畑のものがみんな無くなっていくらしい」

美鈴「畑から無くなる?」

八百屋「そう。朝見てみると畑に何もなかったりとか」

美鈴「......」

美鈴「もしや奴らか.....!」

八百屋「それと、最近里の人間が神隠しにあってるらしい」

美鈴「!」

八百屋「先週は三人いなくなったとさ」

美鈴「神隠しなら神社に相談すればいいのでは?特に博麗に」

八百屋「いや、それが博麗はずっと本殿から出てこないんだとさ」

美鈴「へぇ......珍しい」

八百屋「一人で一日中籠って何やってるのか......そうそう、守矢は祈祷してくれるらしい」

美鈴「ふぅん......」

美鈴「......おじさん、情報ありがとうございました」

八百屋「門番さんも気をつけてな」

 

美鈴は一通り食事を済ませると、橋の下で仮眠をとった。

奴らが隠密に行動を起こすとしたら夜しかない。

 

--------

 

妖夢「もう幽々子様、また勝手におやつ食べちゃったんですか?」

幽々子「あら、私は目の前にあった物を食しただけなのよ?駄目?」

妖夢「駄目です。私の分もいっぺんに食べちゃあ」

 

もはや定番ではあるが、白玉楼では妖夢のおやつに関して激しい口論が交わされていた。

とは言っても幽々子の方は謝る気も無いようであったが。

 

幽々子「分かったわ、お金あげるから買ってきてね?」

妖夢「...ハァ...分かりました」

妖夢「もうこの際今週分の食材も一緒に買ってきますよ」

幽々子「お願いね~行ってらっしゃい~」

 

--------

 

妖夢「はぁ~~~こんなに遅くまで掛かってしまうとは......」

 

妖夢は大量の食材を背負い、両手にもやはり大量の食材をぶら下げ、里から白玉楼までの道を歩いていた。

すでに日は落ち、辺りは月明りに照らされ青白く光っていた。

 

妖夢「まさか食材があんな高くなっているなんて......そのうえ店はほとんど開いてないし......」

 

妖夢が愚痴りつつ、とぼとぼ歩いていくのを傍の森から狙う影があった。

影は音もなく飛翔し──

 

影「......」ヒュンッ

妖夢「!?」

影「......」ドスッ

妖夢「おうふ」

 

?「......あっけなかったな」

影「ああ。まあ気づかれたとしてもこの荷物ではまともな抵抗もなかったな」

?「そうだな......おっ、これ全部食料か」

影「これは運がいい」

?「よし、お前達、この半人と食料を持って帰るぞ」

 

--------

 

日が暮れ、人の気配がほとんど無くなった頃、美鈴は起きだした。

食料の枯渇、神隠し、どちらも河童の仕業である可能性がある。

河童の仕業ならば、河童達の戦力を削ぐ為にも、そして河童への復讐の為にも、可能な限りこれを絶たねばならない。

もし河童では無くても、人間の食料問題と減少に繋がり、それは妖怪への影響が避けられない。

故にいずれにしろこれは絶たねばならない。美鈴元来の強い正義感はそう決心した。

 

四半刻ほど後、美鈴は里のすぐ外で犯人らしき影を捉えた。一人ではなく複数人、集団である。

美鈴は詳細を確認しようと、素早くその影に近づいた。

 

美鈴「待て!」ザッ

?「うおっ」

美鈴「!」

美鈴「貴様ら......!」

 

美鈴の前に群れていたのは、大量の食料を背負い、数人で人を抱えた、河童であった。

 

美鈴「やはり貴様らか!河童共!」

河童「それがどうした!お前こそなぜ人里などでうろついている!ブラックカープ!」

美鈴「黙れ!それとその変な名前は何だ!」

河童「知らんのか!お前の我々k」

美鈴「黙れと言っておるだろうが!」

河童「(何だこいつ......)」

河童「まあいい、撃ち方用意!」

美鈴「......自らの思惑の為に人間と妖怪を苦しめる河童......」ゴゴゴゴゴゴ

河童「撃てえッ!」

 

河童が一斉射撃する直前に、美鈴は大きく腕を回す構えを取って変身を開始した。

 

美鈴「ゆ゛る゛さ゛ん゛!!!」ブワァッ

河童「うわあっ」

河童「怯むなッ目が潰れても撃てぇッ!」

 

閃光に包まれた美鈴に銃弾が襲い掛かる。

 

河童「......っ」

河童「やったか!?」

 

硝煙が晴れていく。

 

美鈴「死ねいッ」グォン

河童「しm」グシャァッ

 

美鈴には傷一つ無かった。変身が間に合ったのだ。

手近な河童を奇襲、粉砕して立ち上がる。

 

美鈴「私は美鈴」

 

一歩ずつ河童に歩み寄る。

 

美鈴「門番......紅美鈴」

 

そしてゆっくりと構え、戦闘態勢に入る。

 

美鈴「改造戦士美鈴だ!」

河童「くそう......」

河童「本部に援護要請!ここで食い止める!」

美鈴「させるかぁッ」

 

気を纏った右手を突き出し、震脚の要領で河童の集団に短く突進する。

 

河童「ぐおっ」ゴキッ

美鈴「はッ」

 

熱い拳は河童の鳩尾に入り、皮膚を貫通して背骨を叩き折る。

倒れる河童には目もくれず左肘で側面の河童を打つ。

 

河童「うっ」ドスッ

美鈴「だぁッ」

河童「ぐぼぁっ」バキィッ

 

さらに間髪入れず、体を捩じって右の上段蹴りを食らわせる。

 

河童「ええいこのッ」タタタタタタタ

美鈴「効かぬわぁッ」グオォッ

河童「がッ」ブシャッ

 

強化外装を身に着けた美鈴には銃弾など効果はない。貫手で頸動脈を切り裂く。

 

河童「いかん、一時撤退だ!」

河童「我々がここで時間を稼ぎます!早くあいつを本部へ!」

河童「頼むぞ!」ダッ

美鈴「逃がさん!」

河童「ウオアァァァァァ!!!!!」ボコッ

美鈴「ぐおっ」

河童「お前に、お前に我々の何がわかるッ!行かせはせん!行かせはせんぞ!」ボコッ

美鈴「ええい離せッ」ブオン

河童「ぐわッ」ドスッ

美鈴「遠距離ならば......!」

 

美鈴は素早く気を溜め、腕を十字に組む。

 

河童「させるかッ」ガシッ

 

河童の一人が美鈴の腕を掴み、前に立ちはだかる。

 

美鈴「ええいやめろ!」

河童「ふ......ふふ......お前にあいつが撃てるかな......」

美鈴「邪魔だ!」ブン

河童「ぐッ」ドスッ

 

腕を十字に組んだまま河童を地面に投げ捨て、顔を踏みつけて粉砕する。

再度狙いをつけ、光線を放とうとするが......

 

美鈴「あれは!」

美鈴「よ、妖夢!」

 

美鈴は撃つべきか否か迷った。何故なら、河童の背中に妖夢が背負われていたからだ。

 

美鈴「奴らいつの間に......!」

河童「今だ!」

 

その隙を突き、数名の河童が美鈴を包囲、同時に攻撃を仕掛ける。

 

美鈴「ハッ!」

河童「うおぉぉぉぉ!!!」

 

隙を突かれたとは言えそこは美鈴、素早く反撃する。

 

美鈴「彩華『虹色太極拳』ッ!!!」ドンッ

 

限界まで気を溜めた左足を地面に叩きつけ、周囲に虹色の気の壁を展開する。

 

河童「うおっうあっあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」ジュゥゥ

 

美鈴の攻撃を予測できず壁に突入した河童たちは、壁に触れた部分から体が焼けていく。

それを確認すると、美鈴は先ほど妖夢が連れ去られた方向へ走った。だが!

 

?「てッ」シュボッ

美鈴「ッ!」

 

美鈴の前方から、閃光と共に何かが飛んできた。

美鈴はこれを察知し、的確に回避する。目標を外した何かは背後の地面に落ち爆発した。

 

美鈴「まだいるのか......!」

 

夜道を走る美鈴を待ち受けていたのは、大きな筒のようなものを持った河童数名と、二体の改造兵だった。

 

河童「死んで貰うぞ、ブラックカープ!」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。