改造戦士美鈴   作:akimon243

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第6話

河童「行け!ウォーウルフ!ダークスパロー!」

 

二体の改造兵が美鈴に向かってきた。

 

河童「奴を完全に破壊するのだ!」

美鈴「貴様らに構っている暇は無い!」

河童「そうはいかんぞ!」カチャ

 

河童の一人が肩に担いだ筒のようなものを美鈴に向ける。

同時に美鈴はその河童に向かって飛び掛かった。

 

美鈴「遅いッ!」

河童「今だウォーウルフ!」

改造兵「......」グオン

美鈴「はっ!?」

 

ウォーウルフと呼ばれた改造兵──鎧に身を包んだ狼と人の中間のような奴──は、飛び上がって空中の美鈴に前足の爪で斬りかかった。

美鈴はこれを寸前で躱し、その勢いのまま気を纏った右足を見舞った。

 

美鈴「ふんッ」バキッ

狼「グオッ」ドスッ

河童「かかったな!こいつを食らえ!」バシュッ

美鈴「うおっ!?」

 

狼の攻撃と美鈴の反撃によって生まれた僅かな隙を河童は逃さず、先ほど構えた筒から何かを撃ち出した。

撃ち出されたものはその尾部から強烈な光と煙を発し、美鈴を目掛けて高速で飛翔し......直撃した。

 

美鈴「ぐわぁッ」ドォン

河童「どうだ、今までの攻撃より段違いに効くだろう!」

美鈴「あぁぁぁああッ......うッ......」

河童「こいつはな、お前みたいな改造兵の装甲強化外装を打ち抜く、噴進式成形炸薬弾だ」

美鈴「ぐッ......まだだ......まだ腕がやられただけだ......」ザッ

 

美鈴は大量の血が流れ出る右腕を押さえ、治癒しつつ立ち上がった。

 

河童「ほう、立つか。やれ!」

 

河童の号令と共に、二体の改造兵が美鈴に飛び掛かる。

美鈴は只々回避することしかできない。

 

美鈴「ええいこのッ」ガッ

改造兵「ギッ」

 

苦し紛れにではあるが、左側面から迫ってきた、これまた鎧を着けた鳥のような改造兵を裏拳で撃退した。

そこに出来た隙へ、狼の改造兵が攻撃を仕掛ける。

 

狼「ガウッ」ガブッ

美鈴「ぐおっ!?」

 

強化外装の損傷した右腕に狼が噛みついた。

先の射撃でできた強化外装のヒビに、そしてその下の筋肉に牙が深々と突き刺さる。

 

美鈴「ぐうッ......」ブシャッ

美鈴「ふッ......んぬ......」グググググ

 

美鈴は必死に振りほどこうとするが、牙が食い込んでいるのかなかなか離れない。

狼は噛みついたまま美鈴からじわじわと離れるように力をかけていった。

 

河童「死ね!ブラックカープ!」カチャ

美鈴「!」

 

美鈴と狼が組み合っている最中に、河童が先ほどと同じように筒を構えた。

 

美鈴「(こいつを離すには......一か八かやるしかない......!)」

河童「吹き飛べッ!」バシュッ

美鈴「おりゃぁぁぁぁッ!!!」グイン

 

河童が弾を発射すると同時に、美鈴は大きく体を捻って腕に噛みついた狼を弾の方向へと向けた。

しかしそれは腕に限界まで無理な負担をかける行為であった。

 

狼「!!!」ブン

美鈴「うあぁぁぁッ!」グキッ

 

美鈴には自分の右肩に、凄まじい激痛が襲い、嫌な音が聞こえた。力が入らなくなった。

すぐに悟った。脱臼したのだ。

 

狼「ギャオォォォォン!!!」

河童「なにィ!?」

 

美鈴の右腕と引き換えではあるが、弾を背面に受けて狼は仰向けに倒れた。

 

河童「くそう......ッ!」

河童「隊長、もう弾がありません!」

河童「仕方ない!我々は撤収するぞ!」ダッ

美鈴「あっ待てッ!」

鳥「クアァッ!」グバァッ

美鈴「ッ!」

 

河童を逃すまいと一歩を踏み出した美鈴に、鳥の改造兵が空中から襲い掛かった。

間一髪、美鈴もこれを察知し後の先を狙う。

 

美鈴「ふんッ」ブンッ

鳥「クァッ!」ギュンッ

美鈴「はッ」ブワァッ

鳥「ケッ!」グンッ

 

蹴り、気の放射と連続で攻撃を浴びせるも鳥は悉く回避し、なおも空中に陣取り隙を窺っていた。

美鈴は一瞬迷った。

今追いかければ河童を仕留め、基地に近づける。妖夢を助けられる可能性も高い。

しかしそれはこの改造兵に背を向けることになり、不意打ちを食らう危険も高くなる。ましてや相手は二体。

ここで自分が死んでしまっては妖夢ばかりか館の仲間も救えない。

結局、美鈴は河童の追撃を諦め、二体の改造兵に集中することにした。

 

美鈴「......」ザッ

 

美鈴は空中の鳥に向き直り、それからその奥の狼──まだ苦しみ地面で転がっている──を一瞥した。

まだ狼が戦闘態勢にないことを確認し、目の前の鳥に神経を集中する。

 

美鈴「はぁぁぁッ......たぁッ!」ブワッ

 

短く気を練って左手から気弾を放ち、間髪入れず飛び上がり蹴りをかます。

この時間差攻撃には敵も完全には対応できず、蹴りは腹に直撃した。

 

美鈴「はっぁぁぁッ!」ゴッ

 

その勢いと美鈴の体重で、地面に半ばめり込む様に相手を地面に押し付ける。

片足で相手を押さえつけたまま数発、左の拳を顔面に叩き込み装甲を少しずつ破壊していく。

 

狼「グッ......グオッ......」

美鈴「!」

 

例の狼の呻き声が聞こえた。負傷を回復し、立ち上がろうとしているのだ。

直後、狼は背後から美鈴を急襲する。

美鈴は素早く体制を入れ替え、空いている方の足で迎撃。

怯んだ隙にさらに二発、三発と連続で蹴り、最後に頭を狙って上段に蹴りを入れる。

 

美鈴「てゃぁッ!」バキィッ

狼「ウオッ......ッ!」ドサッ

 

強烈な連続攻撃には耐えられなかったか、気絶するように後ろへ倒れる狼。

 

鳥「ッ......!」

 

それとほぼ同時に、美鈴がどいたことにより鳥が起き上がった。

しかし先ほど頭を集中的に殴られたため意識が朦朧としているのか、足元がおぼつかない。

 

美鈴「(......まさに千鳥足.....!)」グッ

美鈴「はぁぁぁぁぁッ......!」

 

けりをつけるべく、独特の構えを取って気を練り上げ、気を集中するに従って左腕と右脚が紅く輝き始める。

 

美鈴「たあぁぁぁぁぁッ!!!」

 

まずは、立ち上がるも未だまともに動かない鳥の顔面に、突進して左手を叩き込む。

大量の気によって生まれた凄まじい熱が、そして美鈴の腕力が、突進の速度が、防御の薄くなった顔面を襲う。

美鈴の左腕は、相手の頭部を焼き、砕き、吹き飛ばした。

 

美鈴「(次はッ!)」クルッ

美鈴「とぅぁぁぁぁぁぁッ!」

 

美鈴は、ようやく立ち上がった狼に向かって大きく、素早く跳躍し、光る右脚で狼の頭を蹴る。

瞬時に狼の頭部は蒸発した。

首から吹き出る血飛沫も余熱で蒸発していった。

 

美鈴「......ふぅ......うッ」

 

比較的短時間で終了したとはいえ、連戦は美鈴にかなりの疲労をもたらした。

それでも、美鈴には休まず戦うだけの強い意志があった。

多少無理をしてでも妖夢や紅魔館の面々を救出しなければならない、との確固たる意志である。

 

美鈴「くうッ......!」ゴキッ

 

激痛に歯を食いしばりながら、脱臼していた右腕を無理やり戻す。

ひとまず戦闘能力を回復すると、美鈴は河童の逃げた方へと歩き出した。

 

--------

 

河童「只今帰投しました!」

 

ちょうど美鈴が二体の改造兵を倒した頃、妖夢を担いだ河童が基地に到着した。

 

河童「おぉ!よく帰ってきたな!......他の皆は」

河童「奴に襲撃され......全滅です......多分」

河童「......とにかく休んどけ、まだ仕事はあるんだ」

河童「はい」

河童「あ、その娘はこっちに」

河童「保管庫なら自分で運びます」

河童「いや、即刻手術を開始する。上からのお達しだ」

 

--------

 

?「総長、いくら奴の戦力が計り知れないといってもわざわざ第三世代機を新造してまで......」

総長「新造して即実戦投入しないと確実に仕留められんのだ」

?「そもそも第三世代機なら奴と同じ頃捕らえたのがいるではないですか」

総長「あれは能力がちょっと厄介でまだ有効な運用方法が定まっとらんのだ」

?「はあ......左様でございますか」

?「......たしかあいつは奴と出身が同じでしたね」

総長「ああ、確かそうだったな」

?「ならそれを利用できるのでは?」

総長「......どんな作戦だ、話してみろ」

 

--------

 

戦闘から半刻ほど後、美鈴は案外簡単に河童の秘密基地へとたどり着いた。

扉を蹴破って山小屋風の建物へ入る。

警備と思しき河童がいるが、見事に熟睡してしまっている。

 

河童「グゥ......」

美鈴「危機意識の無い奴らだ......」

 

周囲を警戒しながらも階下へと急ぐ。妖夢が囚われているであろう部屋を探して。

だが階段を出た瞬間、雨あられと銃撃が美鈴を襲った。

 

河童「撃てぇッ!」ダダダダダダ

美鈴「うおッ!」サッ

河童「逃がすな!」

美鈴「ちいッ!」ダッ

河童「うおっこっちくんな!」

美鈴「ふんッ」バキッ

河童「ぐほッ」

河童「追え!五の乙に近づけるんじゃないぞ!」

美鈴「(五の乙......?)」

美鈴「(まさか妖夢か......?)」

 

奇襲に一度は身を隠した美鈴であったが、すぐに反撃し包囲を突破した。

自分の直感を信じ、河童の言葉にあった「五の乙」なるものを探して走る。

 

河童「駄目です隊長!効果がありません!」

河童「大丈夫だ!応援の部隊がすぐ来る!それまで引き止めるんだ!」

 

美鈴を釘付けにし時間を稼ごうとする河童達であるが、彼らの銃撃は効かない。

 

河童「ええい!あれを持ってこい!」

河童「......えっ!?基地の中であれを!?」

河童「奴にまともに効果のある兵器はあれぐらいしかない!早く!」

美鈴「どけぇッ!」ドンッ

河童「間に合わなくなってもしrッ」ブシャッ

 

美鈴はあえて河童の多い方へ進み、「五の乙」に近づいていく。

 

河童「目標接近!正面扉!」

河童「全員、撃ち方用意!」

 

「五の乙」の直前の廊下、いわば最終防衛線では河童の一部隊が迎撃態勢を取っていた。

 

美鈴「うおりゃぁぁぁぁッ!」バァンッ

河童「ぐわぁぁぁぁッ」

河童「撃てぇッ!」バシュッバシュッ

美鈴「ッ!?」

 

河童を扉に叩きつけながら突入してきた美鈴に、河童の部隊は一斉に噴進式成形炸薬弾を放つ。

 

美鈴「ぐおぉッ」ドォン

河童「やったか!?」

 

流石の美鈴と言えども、高速で飛翔する弾を奇襲的に発射されれば回避は不可能だった。

数発の弾が美鈴に直撃したのか、美鈴の呻き声が硝煙の中から聞こえた。

 

美鈴「はぁぁぁッ!」ダッ

河童「!!!」

河童「しまった!再装填!」

美鈴「させんッ!」ゴシャッ

河童「しでぶ」ボゴン

 

次の瞬間、美鈴は硝煙から飛び出し、刹那のうちに河童をすべて葬り去った。

 

美鈴「......」ザッ

美鈴「ここか......!」

 

美鈴は、その目の前にある扉、そしてそこに書いてある文字を見た。

 

「実験室:五の乙」

 

美鈴「......」

 

美鈴の手には、あの御守が握られていた。

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