これは魔法少女ですか?~はい、ゾンビです~   作:超淑女

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26「けど、それがいい」

 数日後……。

 臨時休校だった学校も今日から開始。

 

 金色の髪をしっかりセットして、いつも通りのダブルロールにしたマミが制服のまま玄関にかける。

 靴を履くと、ユウが玄関まで歩いてきた。

 軽く手を上げて、メモ帳を持ち上げるユウ。

 

「うん、行ってきます」

 

 笑顔で家を出て行った。

 

 マンションから出ると丁度セラと杏子の二人に出くわす。

 

「どうしたの?」

 

「ゴミ捨てです」

 

「あとエイミーのエサ」

 

 そう言えば最近はほむらやセラや杏子の間でエイミーを世話しているらしい。

 残念ながらマンションだから飼うことができないけれど、世話は続けているようだ。

 二人と軽く談笑して別れると、マミは通学路を歩く。

 

「まだお金は山ほどあるし、引っ越しでもしましょうか……」

 

 つぶやくマミ。

 

「マミさん!」

 

 大きな声が背後からかかる。

 振り返ると、そこにはピンク色の髪をした少女。

 言うまでも無く鹿目まどかだ。

 ほむらも一緒のようで、軽く笑みを向けられる。

 

「おはよう」

 

「おはようございます」

 

 二人の揃った声を聞いて、歩き出そうとした時、新たに自分を呼ぶ声。

 走ってきたのは美樹さやか。

 やってきてから少し驚いたような表情をする。

 

「まどか、それ!」

 

「うん」

 

 まどかが持っているのは巨大な弓。

 一応カバーに入っているがまるで弓道部のようだ。

 彼女は魔装少女。見滝原の守護者として武器は手放せないのだろう。

 例えばだが、魔装錬器がチェーンソーなどで無くて良かったなどと思う。

 

「クラスのみんなには、内緒だよ♪」

 

 まぶしいぐらいの笑顔。なんだかまどかはワルプルギスの夜との戦い以降明るくなった気がする。

 夜を超えたから、という理由で言えばほむらも明るくなったけれど……。

 まどかが明るくなった理由が力を持ったからだとしたらと思うと……マミはゾッとした。

 四人で歩いていればいつのまにやら志筑仁美も現れる。

 

「お久しぶりです」

 

「あっ! 仁美ぃ、事情を説明してもらうよぉっ!」

 

 あの後なんの説明も無しに消えてしまった仁美にかけよるさやか。

 だが仁美はさやかを笑顔で回避。

 

「それはまたおいおい、あっ、まどかさんは持ってきているのですね?」

 

「うん、仁美ちゃんにもらった大事な武器だもん!」

 

「(鹿目さん、貴女今すっごい輝いてるわ)」

 

 まぶしすぎる笑顔にマミは顔を逸らす。

 なんだかまどかが恐くも思えてくるのだから、内心で腹黒だったり? などと思うも首を振る。

 そんなわけがない。ラブリーでチャーミングなただの魔装少女だ。

 自分に言い聞かす。

 

「あっ、そうだ暁美さん。わたしもしかしたらエイミーを飼うかもしれないわ」

 

「え? マンションは……」

 

「一軒家に引っ越しも考えてるの、いつまでも佐倉さんと同じ部屋っていうのもね」

 

「わかった! 引っ越しの時は手伝うわね!」

 

 グッ、と拳を握りしめて笑みを浮かべるほむら。

 なぜか嬉しそうだなぁ、と思うマミはエイミーを引き取るからだろうと自己完結。

 わいわいとしたまま登校したせいか、目の前はもう学校だった。

 すぐにまどかたちと別れると自分のクラスに行く。

 窓際のマミにとっては憂鬱で気だるげな時間だ。

 

「死んだかと思ったよマミ」

 

 夏乃が寄ってくる。

 

「メールしたじゃない」

 

 そう返すマミに、笑う夏乃。

 なんだかんだで夏乃だって十分友達と言える仲だ。

 魔法少女のことを知らなくたって友達になれない、わけではない。

 

「そういえばスーパーセルに乗じてテロがあったかもしれないって知ってた?」

 

 ギクッ、とするマミだが血走った眼で夏乃に詰め寄る。

 

「タチの悪い噂よね」

 

「え、お……おう」

 

 返事をして夏乃は頷く。

 それで良い。余計な詮索は後々に関わる。

 普通には戻れなくなってしまう。

 まぁ夏乃はそれでも逞しく生きていきそうだけど、などと思うマミ。

 

 

 

 授業が終われば干からびる。

 昼にはみんなで昼ご飯。

 放課後はマミの家に集合して、パトロールで魔女を倒して、ついでに出てきたメガロを倒して……。

 

 こんな日常。言う人に言わせれば非日常かもしれないが、マミたちにとっては平凡な日常だ。

 生きていれば人間なんて危険がつきものだ。

 道を歩けば側を通る車。事故の可能性が0%だとも限らない。

 魔法少女たちはその可能性が少し高いだけ。

 

 マミは一人300%ほどあるかもしれないが、それだって些細なことだ。

 

「遅いぞマミ! もう晩御飯できてんぞ!」

 

「今日は自信作です」

 

『おかえり』

 

 テーブルに乗った異様な食べ物をこれからみんなで食すわけだが、きっと自分が犠牲になるだけだ。

 今日は出前だろう。悪くは無い……これだってちゃんとした日常だ。

 マミが望んでいた。帰ってきたら誰かが晩御飯を用意して待っていてくれるという、当たり前の幸せ。

 微笑したマミは、荷物を下ろしていつも自分が座っている座布団に座る。

 

 

 

 ほとんどの人が気づかずに一生を終えていくけれど……世界には、決して触れてはいけない秘密があふれている。

 それを知ったが最後。

 もう、普通の生活には戻れない。

 

 ……けど、それがいいんじゃないかな。

 

 

 

 ―――私、魔法少女です。あと、ゾンビです。

 

 

 

 




あとがき
はい!これにて終了です。
今までご愛読ありがとうございました♪

まぁ終わりといってもとりあえず、という感じですがw
一応続編も考えていたりはします。まぁ続編といっても後日談でのんびりしたりラブコメしたりですかね。あ、たまにシリアスとかもあるかもという感じでw

まぁ続編を望む声があれば、の話になりますがw

では、またお会いしましょう♪

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