これは魔法少女ですか?~はい、ゾンビです~   作:超淑女

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4「デレ期?違います」

 マミを先頭として、まどかとさやかの二人もついてやってくる。

 そこは廃ビルのホールで、正面の大きな階段の上には結界の入り口があった。

 輝く禍々しいエンブレムを睨みつけるマミと、おびえるような目つきのまどかとさやか。

 

「今日こそ逃がさないわよ」

 

 ソウルジェムを指で弾き、変身する。

 いつもの衣装に身を包むと、マミはさやかが構えているバッドを掴む。

 輝くバッドが形を変えて剣のような形状になった。

 

「うわぁ~!」

 

「すごい」

 

 感嘆の声を上げるまどかとさやか。

 軽い剣を片手で軽く振るう。

 意外とその姿はさまになっていた。

 

「私が魔法少女になるとしたら武器は剣だね!」

 

 さやかがそう言って笑う。

 その姿を見て、ぶつぶつと喋っているマミ。

 

「蒼騎士。いえ、でもなんだかひねりが足りないわね。青い魔剣<ブルスパーダ>うぅん……ハッ、戦慄の青いブルー。ダメかしら……」

 

「ま、マミさん?」

 

 まどかに声をかけられて戻ってくるマミ。

 軽く謝るとマスケット銃を二挺持つ。

 結界へと足を踏み入れる手前、振り向くマミ。

 入り口付近を見るが、特に何の変哲もない。

 

「……絶対に私の傍を離れないでね」

 

 まどかとさやかの元気な返事を聞くと、その結界の中へと足を踏み入れる。

 

 

 

 結界内で走る三人。目の前に現れる敵を撃ち倒しながら進むマミ。

 できる限り華麗に優雅に戦う。先輩風を吹かしてカッコつけたがりなマミである。

 近づく敵を、さやかが怯えながら剣で倒す。

 

「や、やった!」

 

「油断しないで!」

 

 銃声と共に、さやかの顔の横を通って、襲ってくる使い魔を倒す。

 

「護身用の武器だからね期待しちゃだめよ」

 

 拳銃サイズのマスケット銃をマミは手の中で回すと両脇から迫る魔女を撃つ。

 本来ならばこうした華麗な戦い方をしていたのだが、最近はどうでも良くなってきたふしがある。

 ゾンビだが痛いのはわかっているのでどうしてもカッコ悪く戦ってしまうこともあるからだ。

 やはり後輩二人がいるからか、モチベーション故に戦闘能力がだいぶ変わる。

 

「どう? 怖い? 二人とも」

 ほほ笑みながら問うマミに、さやかは剣をギュっと握った。

 

「な、何てことねえって!」

 

 声がわずかに上ずっているので理解する。

 

「しっかり守ってあげるからね?」

 

 狭い通路で、三人は前と後ろから来る使い魔に挟撃された。

 前方の使い魔をマミが拳銃サイズのマスケット銃で倒す。

 背後ではさやかが剣を振るっていた。

 しかし細かい使い魔が合体して、まどかを襲おうとする。

 その瞬間、マミが蹴りで使い魔を倒す。

 

「(怖いけど……でもっ)」

 

 華麗に戦うマミを見て、まどかはふつふつと“魔法少女への憧れ”を抱いていく。

 走る三人。後ろのさやかは余裕のようだがまどかがだいぶ疲れているように見える。

 ここらで休憩を入れようか?悩んでいる。

 

「頑張って、もうすぐ結界の最深部だ」

 

 その言葉に、まどかが頷く。

 

「キュゥべぇ、居たのね?」

 

「君は実に失礼だなぁ」

 

 走る三人と一匹が、大きな部屋の前で立ち止まった。

 マミが指さす。

 それを見たまどかとさやかは怪訝な表情をする。

 

「あれが魔女よ」

 

「う、グロい」

 

「あんなのと……戦うんですか」

 

 さやかが握っている剣を受け取ると、その剣を二人と一匹の前の地面に突き刺す。

 そこからバリアのような薄い膜が展開して二人と一匹を守る。

 マミがライフルサイズのマスケット銃を持つ。

 

 目の前にいるのは巨大な魔女。

 体はヘドロのようで、蝶のような羽があり顔付近には緑色の濁りと共に薔薇が装飾されていた。

 何度見ても魔女の容姿というものは醜い。

 

「大丈夫。負けるもんですか」

 

 ゾンビですから。と言おうとして止まる。

 平静を意識して歩き出したマミが、魔女に銃口を向けるとトリガーを引く。

 弾丸の一発が魔女に当たったが、大したダメージにもなっていないようで、飛ぶ。

 

「私の魔弾からは逃げられないわ」

 

 頭にかぶる帽子を取ると、あたりに一周させる。

 地面に刺さって現れるマスケット銃を抜き撃つ。

 何度か繰り返すがほとんどが避けられる。

 

「いくわよ!150%!」

 

 地面を蹴ると、マミは魔女に蹴りをぶつけた。

 吹き飛んだ魔女は壁にぶつかる。

 着地したマミの足が、突如動かなくなった。

 

「(折れた? 違うっ!)」

 

 両足が地面から現れた触手に拘束されている。同様に両腕も拘束。

 あたりから先端がとがった触手が現れ、マミを狙う。

 

「(カッコつけて無理に接近戦なんかするからね……)」

 

 溜息をつくと、身体全体に力を込める。

 

「220%!」

 

 マミが、自分にまきついた触手を引きちぎった。

 両足で地面を蹴ると、空中で魔女に手を向ける。

 壁にある銃弾の痕から、黄色のリボンが出て、壁に魔女を拘束。

 

「これで最後よ」

 

 マミの手にあるリボンが輝き、巨大なマスケット銃が現れる。

 必殺技ともいうべきマミの技。

 先端に光が溜まっていく。

 

「ティロ・フィナーレ!」

 

 閃光。魔女は炎に包まれて消滅する。

 着地と同時に紅茶を出して一口。

 まどかとさやかにウインクをすると同時に、魔女の結界は砕けた。

 

 

 

 魔女の結界が砕けると同時にマミも変身を解く。

 紅茶も消えて、そこは廃ビルの通路。

 外から夕日が差しこんでくる。

 

「かっ、勝ったの?」

 

 さやかの疑問に、マミが頷く。

 

「すごい……」

 

 踵を返して少し歩くと、落ちているグリーフシードを拾った。

 やはり“魔女の卵”には抵抗があるようで二人とも警戒する。

 そんな姿にマミがほほ笑む。キュゥべぇがまどかの肩に乗って話を始めた。

 

「大丈夫、その状態では安全だよ。むしろ役に立つ貴重なものだ」

 

「私のソウルジェム、さっきよりちょっと色が濁ってるでしょう?」

 

「そう言えば…」

 

 言われなければ気づかない程度だが、確かに濁りはあった。

 これがなんなのかはわからない。

 

「でも、グリーフシードを使えば、ほら」

 

 マミのソウルジェムから、黒い何かがあふれ出てグリーフシードに移る。

 黒いグリーフシードはさらに黒さを増す。

 

「あ、キレイになった」

 

 綺麗になったソウルジェムをしまうマミ。

 手の上にあるグリーフシードを苦笑気味に見る。

 その表情にちょっとした疑問を持ったまどかが何かを言おうとしたが、マミが先に口を開いた。

 

「これで消耗した私の魔力も元通り。前に話した魔女退治の見返りっていうのが、これ」

 

 そう言うと、マミはグリーフシードを投げる。

 あっ、と声を上げるまどかとさやかがグリーフシードの行先を視線で追う。

 その先は真っ暗になっている部屋の一つ。

 パシッ、と音が聞こえてから、足音が聞こえる。

 

「あと一度くらいは使えるはずよ。あなたにあげるわ暁美さん」

 

 そう言うマミ。現れるほむらを見て、さやかがまどかの前に立つ。

 ほむらは相変わらずの無表情でまどかを見て、マミを見る。

 

「暁美ほむらさん」

 

 名前を読んで、近づいていく。

 予想外なのか少しだけ後ろに下がるほむら。

 それが意外で、マミは少しだけほほ笑む。

 

「そうね、あんまり近寄らない方が良いわよね。ところで……暁美さんはグリーフシードが目的の魔法少女?」

 

 そう聞くと、あけみほむらは少しだけ表情を変える。

 少し煩わしそうにも見えて、マミは困ったような顔をした。

 

「違うわ。ただ……この街を守りたいだけよ」

 

 その言葉に、驚いた表情をするさやかとまどか。

 志はマミとまったく同じ。ならなぜキュゥべぇを攻撃していたのか?

 問おうとしたマミをわかってか、ほむらが先に口を開く。

 

「私は弱いわ。私より強い魔法少女が出れば争いが起きる。その魔法少女がグリーフシード目当てならこの街は地獄に変わる」

 

 その言い分はもっともだった。

 マミにもわかる。

 けれど、さやかは違うようだ。

 

「なによ、私たちがグリーフシード目当てになるって言いたいの?私たちは街の平和を守るためになるのに!」

 

「それでもそれから先ずっとそうしていけるとは限らないわ。巴マミ、貴女にはわかるわよね?」

 

 その言葉に、マミはかつての弟子を思い出した。

 同じ志を持った初めての魔法少女仲間。

 けれどそれは永遠には続かずに……終わってしまった。

 

 頷いて、そうね。と呟く。

 

「だから、私は貴女たちを魔法少女にするわけにいかない」

 

 そう言うと、ほむらがキュゥべぇをにらみつけた。

 さやかはまだ警戒しているようで、まどかを片腕で抱いて、まだ剣状態のバットを構えている。

 情に厚いさやかだからこそそうしているのだろうけれど、この状態であれば混乱を生むだけだ。

 マミが指を鳴らすと、剣はバットに戻る。

 

「しつこいようだけどもう一度聞くわ。貴女は街を守るのよね?」

 

「えぇ、気づいたら使い魔まで狩るようにしている。それは貴女も同じよね?」

 

 軽く笑うと、マミは片手を前に出す。

 驚いているさやか。暁美ほむらが本当に信用に足るのかと、さやかは心配なのだ。

 彼女自身まどかが大事なようにマミもまた尊敬できる魔法少女の『先輩』である。

 

「そのグリーフシード。もらってくれるのかしら?」

 

「この借りは地道に返していくわ」

 

 ほむらが差し出された手を握り返す。

 こうして二人の同盟が成立されたわけだが、さやかは気に入らないようだ。

 マミ自身もほむらの話全てを信用しているわけではない。

 眼を見ればわかる。彼女はどこか自分を偽っていた。

 

「キュゥべぇを苛めないでね?」

 

「あの子たちが契約しないなら……」

 

 どちらともなく手を離す。

 マミが頷くが、少しだけ二人の方を見る。

 

「最後を決めるのは彼女たちよ?」

 

 少し眉をひそめてから、頷く。

 そんなほむらの頭を軽く撫でるマミだったが、ほむらはマミの手を勢いよく払いのける。

 ついユウにやる癖で撫でてしまったマミが、キョトンとした後、笑った。

 

「ごめんなさい、ついね」

 

「わ、私もいきなりでびっくりしたから」

 

 勢いよく振り払った手をチラチラと見る。

 少し深呼吸をするほむら。

 長い後ろ髪を払うと、踵を返す。

 

「私は下にいる人を……」

 

 そう言って去っていく。

 グルルルッ、と音がなりそうなほど威嚇しているさやかだが、まどかがいさめる。

 ほむらに言われて、マミはあらためて思うものがあった。

 

 

 

 その後、廃ビルの前のOLの女性が四人に頭を下げて帰って行った。

 もう大丈夫だろうと、頷くマミ。

 まどかは憧れるような眼でマミを見ていた。

 それに気づいたほむらが、少し気に入らなさそうな顔をする。

 

「さて、帰る?」

 

「少し喫茶店でも寄って行かない?」

 

 ほむらの誘いに驚愕する三人。

 少し怪訝な顔をするほむら。

 三人が三人とも、まさかこの後にほむらと喫茶店に行くなんて思ってもみなかった。

 それだけあって開いた口がふさがらない。

 

 

 

 

 

 結局四人で喫茶店にきたものも、話すことと言ったら魔法少女の話だ。

 全員が飲み物を用意して、話を始める。

 

「二人になってほしくない理由についてしっかり私から説明しおくわ」

 

 ほむらはマミに目を向けた。

 なんとなくわかって、話して、と促すマミ。

 

「私は心臓の病気で……願いが無ければ一生病院暮らしだったかもしれない。一生戦い続けることに後悔なんてない程の願いのつもりよ」

 

 言いたいことがわかった。

 ようは願いに選択肢があるかないか、そしてその願いが一生をかけるに値するかだろう。

 釣り合う釣り合わないでは無く、かけるに値するかしないかだ。

 

「私も、交通事故で死にそうなところを願いで生き残った。私たちは選択の余地なんてなかったってことでしょうね。一生戦い続けるのだって“しょうがない”で済ますしかないもの」

 

 頷くほむら。まどかとさやかの表情は少し暗い。

 幸せで平凡な彼女たちには少しキツイ話なのかもしれないと、マミは目を伏せた。

 ほむらは話を続ける。

 

「鹿目まどか、美樹さやか、貴女たちが今までしていた生活は無くなるのよ。恋人も友達も居なくなるし魔法少女の仲間が死んでしまって一人になる時だってある」

 

 その重苦しい言葉に、まどかは俯いてしまう。

 暁美ほむらはそれでも言葉を止めるわけにはいかなかった。

 それなりの理由もある。

 

「それに鹿目まどか。貴女のように優しい子が魔法少女になるものではないわ……魔法少女に救いなんてないんだから」

 

 その言葉に、まどかは狼狽していた。

 

「あたしは無視かい!」

 

 鮮やかなツッコミだが、ほむらとまどかはスルー。

 マミが肩に軽く手を置くと、しみじみと頷く。

 結局、マミにとってほむらのその願いはわからないでも無いものだった。

 軽い願いで魔法少女になられるのは、マミにとっても嫌なものだ。

 

「たしかに暁美さんの言うこともわかったわ」

 

「なら巴マミ。これ以上二人をこんなことに連れまわすのはやめて―――」

 

 どこか、食い違っていたようだと感じるマミ。

 

「ほむらちゃん、マミさんに連れて行ってもらったのって私がお願いしたからなんだ」

 

「その通りだよ。魔法少女になるなら見た方が良いだろう?」

 

 まどかの後のキュゥべぇの声。

 むすっとした表情になるほむらだが、苦笑するマミ。

 なんだか思ったより人間らしい子のようで嬉しい限りだ。

 

「じゃあ、今日から二人は……私たちと下手を関係をもたないように」

 

 ほむらがそう言うと、マミはわずかに寂しそうにしていた。

 だれもそれに気づくことはなかったけれど、さやかは反発する。

 

「なんでさ、マミさんだって最後を決めるのは私たちだって……」

 

「美樹さやか、貴女もじっくり考えなさい。私は帰るわ」

 

 そう言うとほむらは立ち上がった。

 同時にまどかも立ち上がる。

 一緒に帰るつもりだろう。

 あの二人はあの二人で話があると見たマミは、特になにも言わずに二人を行かせようとする。

 

「ちょっと!」

 

 まどかが心配なのか、さやかも立ち上がった。

 いつのまにやらキュゥべぇはまどかの肩だ。

 

「じゃあマミさん!」

 

「また明日!」

 

 そう言ってほむらの後を追っていくまどかと、その後を追っていくさやか。

 あの三人が仲良くなってくれれば良い。と思いながら立ち上がるマミ。

 残った紅茶を、一人飲むマミ。

 もう少しゆっくりしていこう。

 幸い時間はまだ余裕がある。

 

 暁美ほむら。彼女のことがいまいちわからなくなる。

 突然現れた魔法少女、そしてキュゥべぇ曰く信用ならない。

 言葉を聞く分にはそうでも無いのだがマミだって信用はできないのは確かだ。

 別に殺されても問題無いので騙し討ちも恐くは無い。

 だからこそ歩み寄れたけれど、臆病な自分が平時に歩み寄れたかと言われたら、それは否だ。

 

 数々の魔法少女に騙されそうになったマミだからこそ、魔法少女を信じることの怖さがわかっている。

 騙されていないにしろ、暁美ほむらを完全に信用するのはまだ軽率だろうか?

 けれど信じたいのは確かだ。

 彼女も自分と同じ志を持った魔法少女であると、もしかした脆い自分を支えてくれると、信じたい。

 それ以外の理由だってある。けれどそれを直接言うのは失礼にあたるかもしれないと、頷く。

 

「(ダメね、ユウと一緒にお風呂でも入りましょう)」

 

 どうせダメだろうけれど、と思いながら笑った。

 立ち上がると、伝票を持つ。

 そう言えば誰一人お金おいて行かなかったと思いながらも、会計をする。

 

「960円です」

 

 店員の言葉に、千円札でも出そうかと財布を開くと、横から手と共に千円札が出てきた。

 テキパキと会計を済ます店員。マミが横を見るとそこには肩を上下させているほむら。

 喫茶店を出ると、マミが困惑したような笑みのまま問う。

 

「どうしたの?」

 

「忘れてたのよ」

 

 その言葉に、頷く。

 あのままでも構わなかったけれど、と言おうと思ったがそれは野暮だろう。

 

「ありがとう」

 

 返事は無く、その代わりに髪を払うほむら。

 どちらともなく歩き出した。

 歩く二人の空気は重くは無い。

 

「なんで、私と組もうと思ったのかしら?」

 

 歩いて数分、突然ほむらがそう聞いた。

 死なない。というのもあるけれど理由はある。

 失礼かもしれないけれど、言ってみることにした。

 

「少し前の私に似てたから……」

 

 その言葉に、横のほむらはわかっていないよう。

 

「一人なのかなって」

 

 少し動揺したような顔をする。

 それが新鮮で、少し笑ってしまった。

 別に悪い子ではないのかもしれない。

 

「でも、お互い孤独を感じる心配なんて無いでしょ?」

 

 少し目を見開くほむら。やはり人間らしい部分が垣間見えて楽しいと思った。

 最初は機械のように冷たい少女だと思ったが、ユウとどこか似ている。

 “仮面”をかぶっているのだろう。

 何かを“殺す”ための仮面を―――それがなにかはわからないが、自分がそれを外す手伝いをできればな、と思ってしまう。

 それでも、きっとこの仮面を外すのは“鹿目まどか”だ。

 

「それじゃ、私はこっちだから」

 

 そう言うと、ほむらはマミの家とは反対方向に歩いていく。

 彼女は自分の家の方向を知っているのだろうか?

 まぁそんなことは些細な疑問にすぎない。

 あの謎だらけの少女と“同盟”を組んだのだから……

 

「また明日ね」

 

 その背中にそう言うと、少し立ち止まる。

 

「ええ、また……」

 

 去っていくほむらの背中を見て、マミはわずかにほほ笑んだ。

 帰り道を行く足取りはいつもより軽く、気持ちのいいものだった。

 

 

 

 

 

 帰ってきたマミは、リビングに向かう。

 相変わらずの“おかえり”を見て嬉しそうにただいま。と返し食事の準備。

 米は炊いてあるので味噌汁をつくりおかずである豚キムチを作るだけだ。

 ユウが来てからは自分で料理を作る回数が増えた。

 魔女狩りで疲れた日はコンビニ弁当で済ましていたこともあったが最近は料理を必ず作る。

 そんな所にも一人じゃなくなったという影響が出ていて、なんだかおかしくなって笑う。

 20分程度で晩御飯の準備をすると、二人でちゃぶ台を囲んで食事を始めた。

 

 問題としては、ユウの食事量が尋常じゃない。

 米もおかずもすぐ食べる。

 まぁマミが小食なだけあってそれぐらい食べてくれると一周まわって気持ちが良いが……あまりの速さに自分がご飯を食う暇があまりない。

 

 そしてまた茶碗が突き出される。

 マミの脳内で妄想が繰り広げられた。

 

「お姉ちゃんの帰りが遅いから、ユウお腹ペコペコだよ」

 

 妄想ユーは饒舌で可愛らしい。

 

「ご飯が終わったら。一緒にお風呂入ろうね!」

 

 決して外では魅せられないニヤケ顔。

 マミを尊敬しているまどかやさやかが見れば卒倒しかねないほどだ。

 

「はいはい、お姉ちゃん大変だな~」

 

「私も味噌汁をいただきたいのですが?」

 

「はいは―――えっ?」

 

 あたりに、葉がまっているのに気づく。

 室内なのになぜ―――と思うと、ちゃぶ台で座っているマミ、ユウのほかに一人。

 綺麗な、美女がそこに居た。

 流れるような黒いポニーテール。翡翠色の眼をした―――高校生ぐらいだろうか?

 

「えっと……誰?」

 

「味噌汁」

 

「味噌汁……さん?」

 

 微妙な沈黙が、その場に流れた。

 とりあえず味噌汁を用意した方が良いのだろうか?

 非日常に慣れ親しんだマミは対して驚かなくなっている。

 

 ―――なんだか、それがとってもヤバいなって、思ってしまうのでした。

 

 

 

 

 




あとがき

とりあえずほむらと協力することになりました!
そして現れたのはもちろん彼女です。
ここから話もだいぶオリジナル入ってきます。
なんたって魔法少女でゾンビですからww

では、次回もお楽しみいただければいいなと思います♪
感想おまちしてます!

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