自由な黒猫魔導師の野良猫生活 作:軍曹(K-6)
嘱託魔導師試験には無事合格した俺は、望んでいた野良猫生活を開始した。嘱託魔導師として管理局の手伝いをするだけでなく、傭兵として多種多様な人間から依頼を受けて様々な事を遂行している。それこそ警護であったり、奪取であったり。戦争に参加していたり。時に仲良くなって人脈を張ったりと、しっかり活動しながら金を貯め、のらりくらりとした生活を俺はしていた。
野良猫生活と言ってもそんなにだらけているわけじゃない。ちゃんと金を貯めながら毎日とは言わなくても働いている。それだけではなく十歳の時に表社会から離れてしまった俺は、図書館などで借りた本を読んで勉強を進めていた。
まぁ、そんなある日のことなんだが・・・・・・。
「・・・・・・・・・・・・」スゥスゥ
「・・・・・・・・・・・・」ドウシヨ
幼女、拾いました。
この日も俺は魔導師、“
金髪をツーサイドアップにしていて、外見年齢は四、五歳だろう。何か訳ありなのか服がボロボロなのは会えて何も言わないことにした。あからさまに何かある子だったが、見て見ぬ振りが出来なかったし、なによりたった一人で生きていく覚悟を持つことがどれだけ大変か分かっているからこそ、この子を一人には出来なかった。
「・・・うぅん・・・」
「・・・・・・」
ベッドで寝かせていた幼女が体を動かし声を出す。
起き、たのか? 起きてないのか? いや、まぁ。待つか。
そんなに焦ってはいないし、時間もある。のんびりと幼女が起きるのを待つとする。
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・ここ・・・は?」
「ん? 起きたか。ここは俺の家だ」
「・・・? お兄ちゃん誰?」
「トレイン=ハートネット。魔導師だ」
「私・・・アリシア。アリシア・テスタロッサ」
「・・・ん、そうかぁ」
アリシア・テスタロッサ。それはリリカルなのはシリーズの中で最も不憫な子と言っても過言ではないほど恵まれていなかった子だ。二次創作の中では良く優遇されて、チートを持ったオリ主が生き返らせたりして家族仲良くを実現したりするほど。原作者もあまりにも報われない子だったためにスピンオフで生きているアリシアを作ったほどだ。
「私・・・どうしたんだっけ・・・?」
「それは悪いが知らないな。帰ってきたら俺の家の前でお前が倒れていたから、変なこと考える奴に拾われる前に、俺が家に運び入れただけだ」
「・・・ありがと」
なんとも笑顔が似合う子である。とりあえず色々事情を聞きたい所だが、いかんせん彼女自身何がどうなっているのか覚えてなさそうだ。覚えていることだけでいいから聞いてみるか。
「とりあえず、覚えていることだけでいい。話せることは話してくれないか?」
「あ、うんっ。え、と・・・アリシアです。五歳です・・・。誕生日は新暦三十四年の「待ってくれ」・・・?」
「・・・新暦三十四年? お前、今何年か分かってるか?」
「?」
「分かってないんだな? 今は新暦五十八年だ」
「え・・・えぇ!?」
なんだよこの幼女! 一体全体どういう理屈で今ここに生きてやがる! ワケ分かんねぇ! でも、見過ごすわけにはいかねーんだよなぁ・・・あぁ、野良猫生活・・・自由な時間・・・・・・グッバイ・・・。
「ど、どうなってるの・・・?」
「俺に分かるかよ。・・・・・・ハァ。とりあえず今はここにいろ。何があったかは知らんが、少なくとも家なき子よりはマシだろ」
「・・・え? あ、ありがとっ!」
「ああ。そうやって笑ってろ。女の子は笑ってる時が一番可愛いんだよ」
「え、えへへ・・・・・・」
アリシアの頭をなでてから俺はリビングに出る。リビングに出た俺はデバイスを起動させる。
『どうかしましたか?
「今、途轍もなく不名誉なルビが振られていたような気がするが、・・・まあいいや。姫っち、頼みがある」
『なんでしょう?』
「アリシア・テスタロッサ。もしくは“テスタロッサ”についてだけでも良い。調べてくれないか?」
『承りました』
俺の相棒デバイス“イヴ=ルナティーク”普段は腕時計型で空中にディスプレイを表示するが、俺が武装を何も持っていない時などには、高速変形で俺の眼にコンタクトディスプレイを着け、手元にドミネーターを出現させるインテリジェントデバイスだ。
このドミネーターはいちいち犯罪者の適性を確認する必要はなく、姫っちの独断と偏見で執行モードが変形する。デバイスの非殺傷設定状態でパラライザーがスタン。エリミネーターが魔砲攻撃の直撃ぐらいヤバい。殺傷設定は本物のドミネーターと同じで、デコンポーザーにも変化する。
『調べ終わりました。テスタロッサで、プレシア・テスタロッサ。元中央技術開発局第三局長。新型魔力駆動炉(大)の開発プロジェクトの設計主任』
「お、速いな」
『プロジェクトの方に関しては肩書きだけで実際はお飾り主任だったみたいですけど』
「?」
『彼女の補佐が実権を握り、成果も補佐のものとなっていたのですが、安全性を無視して稼働実験により事故が発生。プレシアの娘アリシアが死亡。自己の責任をおわされた上で、違法研究者と言う汚名まで着せられています』
「え、何それ不憫」
『現在何をしているかなどは分かっていません』
「と言うか細かい所まで良く調べ上げたな」
『管理局のコンピュータをハッキングして得た情報です』
「あっはっはー。証拠残してないだろうな?」
『もちろんです』
逆に管理局のセキュリティを疑いそうになるが、電脳戦において俺のデバイスに勝るものはない。
「・・・・・・トレインさん。私、お腹すいた・・・」
「おっ、そうか? んじゃあなんか作るか・・・。何買ったっけ・・・」
「私も手伝う!」
「それは助かるな。教えてやるからこっち来い」
「うんっ!」
簡単なオムライスを作って食べた。アリシア飲み込み早い。めっちゃ上手く作った。何この子。恐ろしい子!