さて、全然関係ない話から始まりましたが、第6話楽しんでいただけたらうれしいです。
~~ ガールズトーク ~~
まほまほ「しかし、みーたんがぶかつごにたいいくかんにのこっとけってなんだろね?」
あいり 「部活を見に来るのも少ないのにめずらしいよね」
紗季 「いつもみたいにまたなんか思いついたんじゃないかしら」
ユッキー「なんか前科があるような言い方だね……」
湊 智花「大丈夫だと思うよ、たぶん。美星先生は基本的に楽しいことを考えてくれるから」
ユッキー「基本的じゃない出来事がすごく気になるんだけど」
ひなた 「ひな、楽しいこと賛成ー」
紗季 「まあ、とりあえず部活に行きましょ」
ある日の東雲家の食卓。
「そういえば今日ね、うちの男バスが1年間の休止処分を受けたみたいなのよ」
「へー、一体なにをやらかしたの? 1年間なんて結構重い処分よね?」
帰りが遅くなることが多い父さん以外で夕ご飯を食べている時、アキ姉がそんなことを話しはじめ、それにミキ姉が質問をしていた。僕はといえば、ご飯が大好きなコロッケだったのでホクホクと満喫中で耳だけ向けているような状態だ。
「それが、男バスのキャプテンと顧問の娘さんが駆け落ちしたらしいの」
「おー、キャプテンやるね~。で、それがバレちゃってってこと?」
ふ~ん、そのキャプテンの人も大胆だな~。それより、やっぱり母さんのコロッケはおいしいな~。
「それが、どうやらその顧問の娘さんがまだ小学6年生らしいの」
「えっ、小6なの! そりゃロリコンじゃん」
どうやらミキ姉の中では、そのキャプテンはやる人から変態へジョブチェンジしたようだ。
「だから余計に処罰が重くなったんじゃないかって噂よ。そのキャプテンは自主退学になるそうだし」
「でも、それじゃあバスケ部の人達がかわいそうだよね。問題を起こしたのはキャプテンだけなのに、部で処罰があるなんて」
それがね…………、とそれからもアキ姉とミキ姉の会話は続いていった。途中からは僕もコロッケを食べ終わったので、時々会話に混じったりしていた。
この時は、ただそれだけのことだった。
それからしばらくたった、ある日の授業終わり。
篁先生はホームルームが終わって、これから部活に行こうとしていた僕たちを捕まえて、部活が終わっても残っておくように指示を出していった。この時知ったことだけど、女バスの顧問が篁先生だということだった。
みんなに残されるような心当たりはないらしく不思議に思っていたけども、どうせ後になればわかることだということで部活に行くことになった。そして時間になり、片付けをしている途中に篁先生がやってきた。
「おっ、片付けしてるところか。なら、話があるからそれが終わったら集合な」
片付けも終わりかけのところだったので、すぐ終わらしみんなで篁先生のところへ集まる。
「おしっ、みんな集まったな。まあ、話と言うよりは連絡事項なんだけど」
僕たちが集まったことを確認して、篁先生が話し始める。けどその顔は、いつもの子供っぽい笑顔からどこか言いにくそうな真剣な顔に変わっていった。
「2週間後の日曜日に男バスと試合することになった」
「えっ! ナツヒたちと試合すんの?」
話しを聞いて騒ぎだそうとする真帆を手で制して、篁先生は話しを続ける。
「でもただの試合じゃあ、ない。このコートを賭ける」
「???」
よく意味がわからず、首をかしげる。みんなも同じような感じだ。
「つまり、負ければ廃部ってことだ」
「えええええ!!」
わかりやすい篁先生の説明に、僕を含む女バス全員から驚きの声が上がる。入部早々廃部なんて冗談じゃない。
「そんな! 男バスと試合なんてどういうことですか?」
「いきなり廃部なんてひどくない?!」
篁先生に詰め寄る僕たち。つらそうな顔を続ける篁先生。言っている篁先生も心苦しいのだ。それは見ればわかる。
「勝手に試合を受けてきたことは謝る。……ごめん。でも、そうでもしなきゃすぐさま廃部にされてた。これでも譲歩したほうなんだよ」
「それでも、2週間後なんて……」
智花が深刻そうにうつむく。そして、篁先生は無理やり作った笑顔を浮かべ、みんなを見渡しながら呟く。
「それに、あんたたちならきっとなんとかしてくれると信じたからOKしてきたんだ」
そんな熱いセリフを言う篁先生。そんな風に言われたら文句を言えなくなるじゃないですか……。これ以上文句を言ったら篁先生の信頼を裏切ることになってしまう。
けど、そんな心配はする必要もなかった。こんなセリフに燃えないわけがないのが1人いるんだから。
「そうだよ、ようは勝てばいいんだし。ナツヒたちなんて楽勝だ!」
案の上、真帆が1番にやる気をみせる。
「トモや由紀もいるし、2週間『も』あるなら私たちだっていろいろできるでしょうし、廃部になんてさせないわ」
「うん、廃部になんてさせない。なんとかしてみせる」
真帆に続いて、紗季・智花も決意を固める。
「おー、ひなもがんばる」
「わ、私もが、がんばってみる」
そして、ひなた・愛莉も小さくガッツポーズをしながらやる気をみせる。そして、最後に残った僕にみんなの視線が集まる。
「僕もやるよ。絶対勝とうね」
「「「「「おー!!」」」」」
なぜか僕のセリフで締める形になる。そのまま真帆たちがこれからのことを話すべく集まるのから外れて、僕はホッとした顔をしている篁先生へ近づいていった。
「ところで、男バスって強いんですか?」
「んー、私はバスケのことはよくわかんないから具体的に言えないけど、とりあえず去年の地区大会に優勝してる」
それってかなり強いんじゃ? 2週間でなんとかなるレベルじゃないよね、たぶん。
「みんなにはああ言ったけど、ぶっちゃけどう? 勝てそう?」
僕の不安が顔にでたのか、篁先生がそんなことを聞いてくる。ここは思ったことを言った方がいいかな。
「まだ男バスのことがわからないんでなんとも言えないですけど、たぶんかなり厳しいんじゃないかと思いますよ」
「うーん、どうしたらいいと思う?」
2人して腕を組んで考え込む。今、足りないものってことは、技術・スタミナ・知識……挙げていくときりがないな。て、ことは…………。
「試合での作戦とそれに合わせた練習メニューを考えてくれる人が欲しいですね。いわゆるコーチって人ですね。たぶん普通に練習してるだけじゃ間に合わないでしょうから」
「それは東雲や智花には無理なの?」
2週間で真帆たちのレベルの底上げなんてたかがしれてるから、どうしたって試合での作戦は奇襲が主になってくるはず。そうなれば、その作戦の役割に合った練習をするのが精いっぱいってところだと思う。
「そりゃあ僕たちも考えますけど、できればちゃんとした人に考えてもらいたいです」
「そっかー、ならちょうどいいしあいつを…………」
僕の意見を聞いて、篁先生はなにやらブツブツと考え事を始めてしまった。
「ねえ、聞いてたんだけどそのコーチって美紀さんに頼んでみればいいんじゃない?」
「うわっ!」
紗季が突然横からひょっこりと顔出してきたから、思わずびっくりしてしまった。見れば、みんな話を止めてこっちの話を聞いてたみたいだ。
「ミキ姉は人に教えるのはそんなにうまくないんだよ。感覚でやってるような人だから。教えてもらうならアキ姉の方がまだいいんだけど」
「アキさんって由紀のもう1人の高校生のお姉さんのことだよね? 頼めるのかな?」
ミキ姉の教え方は、『そりゃ』とか『えい』とかの擬音が多くてさっぱりわかんないんだよね。なんて考えていると、智花が僕の手を握って必死の様子で聞いてくる。
「う、うーん、アキ姉なら頼めばやってくれるんじゃないかな。で、でもアキ姉も教えるのは上手でも作戦を考えたりは苦手だったと思うからそ、そっちの方は誰か探さないと」
智花の顔が思いのほか近く、その大胆な行動にセリフがしどろもどろになってしまった。でも、智花にしたら手を握って少しくらい顔が近くても女の子同士なんだから別に意識することはないんだよね。こっちは手の柔らかさとか意識しまくりなのに……。
「コーチは私がなんとかするよ、心当たりあるし」
「ねえ、みーたん。その人ってどんなひと? 強い?」
僕がオロオロしていると、篁先生がコーチの件を引き受けてくれた。すると真帆が、すかさず興味津々に尋ねる。
「私の甥で、高校1年。中学の時に弱小校を県大会にまで進ませたことから『知将』なんて呼ばれもしてたやつだな」
「おおー、なんかすごい! ……すごいよね?」
篁先生の説明を聞いて真帆は感心している様子だったけど、なぜか自信をなくしたのか紗季に聞いたりしていた。聞かれた紗季は「会ってみないとわからないわよ」とクールな返しだ。
「でも、そんなすごい人なら部活が忙しくって来てもらえないんじゃないですか?」
僕も真帆を見習って、思ったことを聞いてみた。すると篁先生は、苦笑いになって答えてくれた。
「やつは今『とある事情』によりヒマ人だから大丈夫だ。……それにやつにとってもいい機会なはずだし」
それなら、ぜひ来てほしいな。知将なんて呼ばれるくらいなんだから、作戦とか考えるのは得意そうだし期待できそうだもんね。
「おー、おにいちゃんくる? やさしいおにいちゃんがいいな」
「わ、私は男の人はちょっと不安かな」
いつものニコニコ顔で新しい人がくるのを楽しみにしているひなた、それとは反対にひどく戸惑う愛莉。他のみんなも、そのコーチが来ることに一喜一憂みたいだ。
「じゃあコーチの件は私の方でなんとかするから。そうだな、来週くらいから来れるように話すから一先ずそれまではいつも通りみんなで楽しく部活してな」
篁先生が戻る前に言って行った言葉が、僕の心にポチョンと一滴の疑問の落とす。
別にこの内容なら他の場所でもできるんじゃんないか?
そんな疑問を……。
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