ロウきゅーぶ ~表裏一体の6人目~   作:打ち上げ花火

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今回は描いていてかなり長くなってしまったので前後編に分けました。それにしても、全然話が進まないですね。もう少しいろいろ端折った方がいいのかな?
では、第7話お楽しみください。


07. がんばる理由 (前編)

~~ 交換日記(SNS) ~~

 

 

まほまほ「みーたんはああいってたけど、あたしたちもなにかしたほうがいいよね?」

 

湊 智花「そうだね。時間は足りないけど基礎的なことはやっておいた方がいいと思うよね。由紀はどう思う?」

 

ユッキー「確かにね。形になるのは無理だろうけどやらないよりはずっといいと思う」

 

紗季  「なら、体育館が使えない日の練習場所を探さないといけないわね」

 

あいり 「近くにゴールがあるところってあるのかな?」

 

ひなた 「おー? ひなはしらないよ?」

 

まほまほ「それならしんぱいごむよう! じゃあちょっといってくる!」

 

ユッキー「えっ! ちょっ、真帆どこへ?」

 

紗季  「だいたい見当はつくから心配ないわ。ほっといても大丈夫よ」

 

 

 

 

 

 そして次の日。

 登校してきた僕は席に着くと、隣の席がまだ空いているので前の席の愛莉に聞いてみることにした。

 

「あれ? 真帆はまだきてないの?」

「おはよう、由紀ちゃん。真帆ちゃんならまだきてない、かな」

 

 昨日のことを聞こうと思ったのに残念。今日は休みかな?

 

「どうしたの? 真帆になにか用があったの?」

「いや、用ってほどのことじゃないんだけど、昨日のことはどうなったかなって」

 

 愛莉と話していると、その隣の紗季も話しに入ってきた。聞きたいことがあったことを言うと、紗季は納得した様子だ。

 

「ああ、確かにどうなったか気になるわね」

「でも紗季、昨日心当たりがあるようなこと言ってたよね?」

 

 不思議そうに首をかしげる智花も気になっているみたいだ。

 

「それはね、たぶんだけど真帆は……」

「はーい、ホームルーム始めるぞ。席につけー」

 

 紗季が説明しようとすると、タイミング悪く篁先生が入ってきてしまった。「またあとで」と小声で言うと紗季は前を向いてしまい、1番気になるところで止められてしまった。

 

「じゃあ、出欠とるから返事しろよ。相田、市川……」

 

 はぁぁと溜息をついて、どうせ後でわかることだと気持ちを切り替えて自分の名前を呼ばれるのを待つことにした。なんとなく篁先生の名前を呼ぶ声を聞いていると、その他になにやら違う音が混じっているのに気付く。

 それはだんだんと大きくなってきて、ついには僕たちの教室の前で止まる。かと、思ったらバンッと勢いよくドアが開いた。そこにいたのは……。

 

「ハァハァ……みーたん、セーフ?」

「まあ、セーフにしといてやるよ。ほら、早く入ってこい」

 

 肩で息をしている真帆だった。自慢のツインテールもなんとなく崩れてしまうほど全力で走ってきたらしい。真帆は点呼を再開した先生の脇をそそくさと通り過ぎて席につくと、服の胸の部分をパタパタして一息つく。

 

「ふぃー、つかれたー」

「おはよう、真帆ちゃん。今日はずいぶん遅かったね。お寝坊でもした?」

 

 真帆が胸の部分をパタパタしていて若干目のやり場に困っていると、愛莉が真帆に遅くなった理由を聞いていた。まあ、やっているのが真帆だから『若干』ですんでるけど、もしこれを愛莉がやっていたらもっと大胆に目をそらさないといけないところだ。でも、愛莉がこんなことをやってるところなんて想像できないんだけど。

 

「いやー、練習場所のことを昨日パパと話してたら遅くなっちゃって。それでうっかり、ね」

 

 遅刻の理由(未遂だけど)はどうやら寝坊ではなかったらしい。真帆の性格なら寝坊でも不思議ではない、というか常習犯でもおかしくないような感じだけど、後からみんなに聞けば真帆は無遅刻無欠勤の優良生徒なのだそうだ。それならそれで、元気いっぱいの真帆のイメージとぴったりだなと思ってしまう。

 と、そんなことよりも今は練習場所のことを聞かないと。

 

「ところで、その練習場所ってどうなったの?」

「それならね、パパが買って……」

 

 真帆が言いかけたところで、またもや邪魔が入る。

 

「ほら、そこっ! 授業始めるから話すの止めろよ」

 

 なんだろう、この話はできないように神様はいたずらしてるんだろうか?

 おもわず、そう思ってしまうようなタイミングの良さで篁先生に注意されてしまった。先生にそう言われてしまうとさすがに話をするのは無理なので、仕方なく僕も真帆も諦めることにして体を前に向けて授業を聞く体勢になおす。

 もしかしてこのまま今日は邪魔が入り続けて聞けない、なんてことはないよね。と、モヤモヤした気持ちを抱えながら1限目の授業を受ける羽目になった。

 

 

 

 結論から言うと、結局次の休み時間に話は聞くことができた。

 

「で、練習場所だけど昨日パパを説得して買ってもらうことになったから」

 

 休み時間になるなり、みんなを集めて(と言っても体を向けるだけでいいんだけど)得意げにする真帆。真帆は真帆で早く自分の成果をみんなに言いたかったんだろうな。

 

「それはすごいね。ゴールがあるならいろんなことができるね」

「そう! なんなら、みんなで試合もできるよ!」

 

 グッとガッツポーズをしながらの真帆の言うセリフに、不思議に思った僕が聞くよりも紗季の方が早かった。

 

「試合って、あんた。まさかとは思うけど買ってもらうもの、言ってみなさい」

 

 試合ができるなんて庭がきっと広いのかな、と思っていた僕とは違うことを紗季は考えていたようだ。そういえば前に紗季と真帆は幼馴染だって言ってたから真帆の家の広さなんて知っていて当然か。

 

「え? そりゃあ『コート』だよ。練習するんだから当然じゃん」

「コートっ!!」

 

 真帆の答えに思いっきり驚いてしまう。マンガなら口に含んだ飲み物を噴き出しているレベルだ。いきなりの僕の大声に愛莉がビクッてなってしまっている。

 紗季は「やっぱりかー」みたいな顔をして呆れているし、智花もアハハと苦笑いだ。ひなたはというといつも通りのニコニコ顔だった。みんなの反応が薄いのは『慣れ』なんだろうか。

 

「ま、真帆? コートって半分?」

「違うよ? 体育館にあるのと同じ広さにきまってんじゃん。」

 

 オールコート! 一体どれだけ家広いんだよ! そしてそれをポンと買ってもらえるなんてどれだけお金持ちなんだよ!

 恐る恐る聞いてみた真帆の答えに、驚きを通り越して呆れてしまっている自分がいる。

 

「ね、ねえ、真帆って実はお嬢様だったりするの?」

「あはは、やっぱり驚くよね。えーと、真帆のお父さんが有名なデザイナーさんでお家とかもすっごく大きんだよ。プールもあるし、メイドさんがいるくらいって言えばわかるかな?」

 

 紗季に「真帆パパは甘いんだから」なんて言われている真帆は正真正銘のお嬢様だったらしい。

 メイドさんがいる家なんてホントにあるんだ。でも、真帆がお嬢様かー。ドレスなんかを着て、パーティーとかに行ってるところが全然想像できない。正確にはお淑やかにしているところ、かな。

 

「でも、ゴールが使えるようになるのは来週になるんだって。昨日はそれをもっと早くしてって頼んでて遅くなっちゃたんだよね。結局、無理だったし」

 

 そりゃあ、作るのがオールコートなんだから1週間でも早い方だと思う。でも、これでコートも確保できた。なら余計に、この前の疑問が大きくなってくるのを感じる。

 やっぱり今回の試合って、負けても構わないんじゃないかな?

 

 

 

 そのままコートのことを話していたら休み時間が終わってしまった。それからいくつかの授業を受けて、給食を食べて、昼休み。

 

「ちょっとジュース買ってくるね」

「あ、待ってよ。あたしも行くっ!」

 

 給食を食べて喉が乾いたので、ちょっと買いに行こうとしたら真帆もついてきた。

 

「いやー、今日のごはんはちょっと味濃かったよねー」

「あのさ、真帆。ちょっと聞きたいことがあるんだけどいいかな?」

 

 ジュースを買いに行く途中、1番話してくれそうな真帆と2人きりな状況で、ついに我慢できなくなってしまった。

 

「女バスって、真帆たちだけってことは真帆たちで創った部活だったりする?」

「ん? そうだよ。もっかんが転校してきてからだから去年の10月くらいかな、みんなで創ったんだ」

 

 隣を歩く真帆が、思い出すように少し上を見上げて答えてくれた。智花が僕と同じように転校してきたのは知らなかった。そっちも気になるけど、今は女バスのことについてが優先だ。

 

「……じゃあ、ちょっと聞くけど今回の男バスとの試合って、正直勝てなくても構わないんじゃないかな?」

「なんで! ユッキーは女バスがなくなってもいいの?!」

 

 聞きづらい内容なだけに躊躇いがちに聞いた僕に、びっくりした顔で真帆が勢いよくこっちに振り向く。

 

「だって、部活って言ったってやってるのは遊びみたいな試合ばっかりだし。それなら、別に体育館じゃなくったって、それこそ真帆の家にコートができるんならそこでだってできることだと思うんだ」

「…………」

 

 黙り込んでしまった真帆に構わず続ける。

 

「それに男バスに勝つのはすごく難しいはずだから、その無茶をやろうっていうならかなり厳しい練習をしないといけない。そんな練習をやってまで勝つ意味があるのかなってことなんだ」

 

 真帆の沈黙は自動販売機に着くまで続いた。僕から話すことはひとまずないのでだんまりの真帆を気にしつつ、仕方なくジュースを買って取り出し口からジュースを取ろうとした時に、やっと後ろから話しかけられた。

 

「よしっ! ユッキー、ちょっとついてきて」

「う、うん」

 

 自分の分のジュースを買った真帆は、僕の手を引っ張って走り出す。いきなりの行動に驚きながらもなんとかついていき、中庭まできたところで空いてるベンチがあったので2人並んで座る。走ってきて乱れた息を整えると真帆はいつになく真面目な顔をして話し始めた。

 

「さっきユッキーはそこまでして勝つ意味があるのかって聞いたけど、あるんだよね。あたしたちにも勝ちたい理由ってやつ」

 

 真帆は淡々と話を続ける。

 

「女バスはあたしたちが創ったっていうのはさっき言ったよね。あれってきっかけがあったんだ」

 

 そんな前置きで真帆が話してくれたのは、女バス創設の話しだった。




読んでいただきありがとうございます。
次回は真帆から見た女バス設立の話となります。
それでは、感想などお待ちしてます。
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