踏み台やらされそうになりましたが、割となんとかなりました。 作:街をさまよい歩く亡霊
どこの世界でも、変人と言われる人種はいるもので、俺の所属している106部隊にも、その、いる。
……まあ、変人しかいないの間違いかもしれないが。
その中に、一般的にオタクと呼ばれる、やけに特定のサブカルに強いやつによると、世界にはフラグというものが存在してるらしい。
当時も今もよくわかってないが、これだけは言える。
『それ、知ってる価値ある?』
106部隊のオタクが崩れ落ちたのは、見ないことにした。
「……すごいね」
「よくわからんが、ドン引きするのはどうかと思うぞ、ユーノ」
魔法初心者の高町に、花織主導の魔法教室を始めて約1時間。そこにあったのは、魔法でできた的を砲撃魔法で打ち込んでいる高町の姿だった。
「いや、砲撃魔法だよ!?魔法使い始めて1時間で使えるものじゃないからね!?」
「そんなこと言われてもな」
現に使えているんだし、なんとも言えない。
強いていうならば、まだまだ魔力の無駄が多いということぐらいか。そこまで求めはしないけど。
砲撃魔法を発動できたことに喜ぶ高町と花織。そして、いつのまにか2人に忘れ去られていたレオに向かって、今日は解散することの旨を伝え、帰らせる。
「やけに長い1日だったな」
「まだ終わってないよ」
はいはい、わかってますよ。
街の人を守るなんて崇高な目的などないが、約束事だ。頑張ることにするか。
翌日、昨夜のジュエルシードは楽でした。まだ起動してなかったから、封印するだけで済んだ。全部こうだといいんだけどな。
教室に入ると、花織と高町含む女子4人が会話していた。あいつらって交流あったのか、2人名前知らんけど。
「おはよう、零。今日は少し早いんだな」
「おはようレオ。まあ、昨日のやつは割と楽だったからな」
そういやここ数日はよく眠れてなかったなあ。
「昨日ってなんかあったのか?」
「あー……ジュエルシード回収に行ってたんだ、個人的に」
「ん?昨夜はジュエルシード起動したのか?」
「いや、まだ起動してないやつ封印したから、気付かないのはしょうがない」
「そんなことできたのか……」
「今回は、偶々位置を特定できたようなものだからな。いつでもできるわけじゃない。というか、知らなかったのか?」
何故か知識豊富な花織なら、教えてないはずないと思うんだが。
「基本的には待ちの姿勢って言われたな」
「……花織って、サポート型だよな?」
「……多分」
「……そうか」
レオもレオで、苦労しているらしい。
「レオ!そんな奴と話してないでこっち来なさい!」
「み、光愛ちゃん……」
「いいの。あいつ、とんでもなく性格悪いから」
おい。俺の性格勝手に決めんな。いいとは言えないが、悪くない……はずだ。
いくら俺のこと嫌いだからって、悪口広げるのは人としてどうかと思うぞ。
「……花織って、前からああなのか?」
「いや、割ときつい性格だったが、あそこまで誰かを嫌悪する、なんてことはなかった。ましてや、人の悪口を言うなんてことはな……前に何かあったのか?」
「ここに来たのはほんと最近だから、そんなことはない」
あったとしても、俺が忘れるはずがないんだ。
『カメラ・アイ』
医学用語でサヴァン
生まれつき、俺に備わっていた眼。一度見たものは二度と忘れない記憶。便利そうに聞こえるが、案外そうでもない。
まあ、それのせいというか、お陰というか、今までやって来たことは全部覚えてる。その中で、花織光愛と言う人物に関わった記憶など、ない。
「だよな……」
「レオ!」
しびれを切らしたのか、反応しないレオに怒ったのか。どちらにせよ、怒りの矛先はおそらく俺になるだろうな。
他人の怒りの矛先など心底どうでもいいが、このままだとうるさくなりそうだ。
レオも行く気になったのか、身体を花織達の方に向けながら
「……正直、お前は悪い奴じゃないって思ってる。だから、と言うわけでもないが、なんとかしてみる努力はする」
「……ありがとう」
そう言って、談笑を止めた女子4人組の中に入って行くレオの背中は、少し曲がっていた。
……ほんと、苦労してるんだな。