踏み台やらされそうになりましたが、割となんとかなりました。   作:街をさまよい歩く亡霊

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1000UA突破…!?これが踏み台の力か…!

こんな駄文でも、読んでくれる人がいるのはとても嬉しいです。
ありがとうございます!

これからもよろしくお願いします。



名前が変わりました。

「さあ、ついたぞ。ここが首都クラナガンの時空管理局ミッドチルダ地上本部だ」

「………」

 

 その時空管理局本部と呼ばれた建物は、周りの高層ビルとは一線を画す、超高層ビルと呼ばれるものだった。

 でけえ…

 

「どうした、早く行くぞ」

「…俺を、どうするんだ?」

「別に孤児院に叩き込んでもよかったんだがな、俺が引き取ることにした」

「…はあ?」

 

 子供の、かつ表沙汰になっていないとはいえ、殺人者を孤児院に叩き込むこともおかしいが、俺を引き取る?

 

「なぜって顔をしてるな。まあ、気まぐれってことにでもしとけ」

「殺人者の…それも殺し屋を引き取るとか、正気か?」

「お前、ちゃんと喋れたんだな」

「…はあ」

 

 露骨に話題を逸らされたが、特に気になることでもないので、それ以上追求はしなかった。それから、しばらく会話はなかったが、建物に入って、ロビーを通り過ぎ、エレベーターに乗った時、不意に話しかけてきた。

 

「そういえば、自己紹介をしてなかったな。俺は、東雲蔵人。第97管理外世界〈地球〉出身。趣味は酒を飲むことで、最近のマイブームは仕事中昼寝だ。女の趣味は…」

「そこまで聞いてない」

 

 自己紹介に余計な情報を交えた時点で終わらせた。マイブームって…聞く意味あったか…?

 

「ほい、今度はお前の番」

「はあ?」

「自己紹介」

「…ああ。ゼロだ」

「…それだけか?」

「ああ」

「かー…かわいくねえ奴」

「言ってろ」

 

 それ以外言うこともないしな。前までの趣味は技術を磨くことだったが、今になっては必要のないものだから、趣味ではないだろう。

 

「そーだなあ…よし!お前に新たな名を授けよう!」

「……」

 

 ゼロじゃダセーしな、とか言っている東雲に何言ってんだこいつというような目で見ていたが、東雲は無視して続けた。

 

「零だ。殺し屋だった‘ゼロ’から、俺の息子の‘零’へ。そしたらお前は、東雲零だな!」

「…!」

 

 こいつは…ほんと、気でも狂ってるのか…!

 

「俺が…息子?」

「そうだ。まあ、母ちゃんは居ねえが、それは勘弁してくれ」

「……」

 

 思えば、今まで大人たちの俺を見る目は、冷たかった。バケモノを見るような、恐怖に怯えた目。俺を利用するために、何かを企んでいる目。

 …だけど、東雲…いや、蔵人の目はまるで、本当に息子に対して接してるような、暖かい目。そんな目は新鮮で、なにより…

 

 嬉しかった……!

 

「あ…」

「何だ、零?」

「あ、ありが、と」

 

 俺は、上手く笑えているだろうか…驚いている蔵人を見るに失敗したかもしれない。

 

「お前、笑えたんだな。俺の息子なんだ、笑ってろ、どんな時もな」

「さすがに、それは無理だ」

「くははっ、それもそうか。じゃあ、辛いときだけでいい」

「なぜ変な注文ばかり……」

「意味はある、今は分からなくてもいいさ」

 

 蔵人は俺の頭にポンと、手を置いて、楽しそうな雰囲気で話す。

 そこからもまた、会話はしばらく無かったが、先ほどには感じられなかった温かさが、場を包んでいた。

 

 エレベーターが止まり、多少の浮遊感の後、扉が開く。そこから少し歩いたところで、先導していた蔵人が立ち止まった。

 

「さて、ついたぞ。ここが俺の部隊、陸士106部隊だ」

 

「……?」

 

 部隊にしては、部屋が狭い。それに、人も見当たらない。どうしたのだろうか?任務か?

 

「所属隊員数4名、隊長1名の少数部隊だ……どこもそんな感じだがな」

「たった5人で、部隊?」

「そうだ。まあ、仕事は担当区域の周回ぐらいだから、この人数でも何とかなる」

 

 それで部隊なんて、よく言えたものだ。その分一人一人の質が高いのだろうが。

 

「とりあえず、零」

「なんだ」

「奥に仮眠室がある。休んどけ」

「休まなくても、まだ活動できる」

「それでも、だ」

 

 休むことを強要してくる蔵人に、眠くないと遠回しに言ってみたが、あまり効果はなかったようだ。

 

 しぶしぶながらも、仮眠室に入り、ベッドに横になって目を閉じるも、やはり眠気は襲ってこない。

 貧困街で生活してた時、まともな睡眠は2日に一度の周期で行なっていたため、しょうがないかと、思考が至る寸前。ふいに、サクのことを思い出した。

 

ーーサクは死んだーー

 

 蔵人の声が頭の中で繰り返し流される。

 

ーーそうか、サクは、もういないのかーー

 

 心に余裕ができたのか、ようやく現実を受け入れられるようになってきた。

 それと同時に、謎の寂しさや、虚無感に襲われる。

 

ーー……もう寝ようーー

 

 目から涙が溢れてると自覚したすぐ後には、意識は落ちていた。

 

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