踏み台やらされそうになりましたが、割となんとかなりました。   作:街をさまよい歩く亡霊

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まだ原作キャラとの関わりはありません。
すみません。


無印
踏み台ってなんですか?


 事実は小説より奇なりという言葉がある。地球の一国である、英国の詩人バイロンの言葉である。

 意味は「世の中の実際の出来事は、虚構である小説よりもかえって不思議である」というものなのだが、まさにその通りだなと、この状況に対して思う。

 

ーーなぜ俺は、多数の同年代の前で自己紹介を強いられているんだ?

 

 そこは学校。それも地球の小学校と呼ばれるものだ。名称は、私立聖祥大付属小学校。

 

 ここに至った理由を知るには、少し時間を遡る。

 

ーーーーー

 

 一通りの訓練を終えた俺は、106部隊の仮部隊員として約一年間、活動していたのだが、毎度の事、蔵人に注意されることがあった。

 

「おい零……なぜ一人で戦おうとする?」

「一人の方が効率的に敵を制圧できるから」

「はあ……」

 

 そう、周りの部隊員との連携を、全くと言っていいほどとらないことに注意を受けていた。

 

 普通なら、注意で済むはずがない。それでも許されていたのは、常に最高の戦果を叩き出していたからだ。

 

 その日もいつものように軽い注意で済ませられると、思っていたのだが……

 

「仕方ない……改善の余地が見られないお前に、6年間の業務停止を申し付ける」

「は……?ちょっと待て、6年間だと?警告もなしにそれは、いくらなんでも長すぎはしないか?」

「まて、話は終わってない。その6年間で、お前は地球の一国、日本の義務教育を修了し、社会勉強をしろ。これは命令だ」

 

 なぜ地球なんだ、ミッドならもっと早く終わらせられるだろうと、異議申し立てしたが、目的はあくまで社会勉強。それに地球はうってつけだと答えられた。

 

 そこからは流石、地球出身者と言うべきか、住居や学校の編入など、とんとん拍子で話が進み、今に至る。

 

 

 閑話休題(それはそうと)

 

 

ーー自己紹介とか、ろくに考えていないのだが、どうしようか。

 

 まあ、適当に流せば、なんとかなるだろうと考え、即興で思いついた自己紹介をすることにした。

 

「俺の名前は、東雲零。趣味はプログラミングと昼寝。マイブームは……特にないな。とりあえず、よろしく」

 

 そう、いつぞやの誰かさんの自己紹介を軽く引用させてもらった。

 ちなみに、マイブームを少し考えておいて、特にないと言った時、少し音がしたが、気にしないことにした。

 

 

「はい、ありがとう東雲くん。じゃあ東雲くんは、一番後ろの、窓際の席ね」

「はい」

 

 

 先生に指定された席に移動しにイスに座る。移動の際の視線が気になったが、その席は春の日差しが差し込み、心地よさを与えてくれる、いい席だった。

 

「……眠くなるな」

 

 一応ではあるが、地球でいう大学の範囲まで修めてある俺は、今更小学校の範囲の授業を受ける気などなかった。

 

 授業中の態度が悪いと、先生に目をつけられることを蔵人から聞いていた俺は、眠くならないような席をぼんやり希望していたのだが、それは、叶わなかったらしい。

 

「それじゃあ、みんな1年間、仲良くね。さよーなら」

 

 今日は始業式のため、HRで終わりだそうだ。

 

 さよーならと、どこか間の抜けた返事を返すクラスメイトたち。その様子に、元気だなと思わなくもない。

 

 今日の学校の終わりを告げるチャイムがなり、先生は教室から出て行く。

 

 それと同時に、それぞれのグループにまとまっていくクラスメイト。

 

 俺は、新学期とともに編入という形でこの学校に入ったので、クラスメイトたちが新しいクラスに慣れてない今、新しく編入した俺に話しかけるのは、憚られるのはわかっていたため、すぐに帰りの準備を済ませて、帰宅した。

 

 

「イブ、どうだ?」

Mission complete(任務完了).It”s perfect(完璧です).』

「そうか、ありがとな」

No problem(いえいえ)

 

 もちろん、何もせず、というわけではない。

 

 まさか、管理外世界の学校。それも、高々40人の教室に、3人もの魔力保持者がいるとは思わなかった。

 

 しかも、その内2人はリンカーコア覚醒済み……魔法が使うことができ、デバイスのようなものも持っていた。

 

 なぜ魔法が使え、デバイスを持っているのかはわからないが、もし、何らかの次元犯罪組織に属していた場合、即刻に対処する必要があると判断し、2人にサーチャーを仕掛けておいた。

 

 バレないように、聴覚共有機能(念話盗聴を含む)だけを備えさせて。

 

 イブは今回、サーチャーの魔力を最大まで削減するため、視覚共有機能などを削除してもらった。とても、細かな応用が利くデバイスだと思う。

 

 イブの正式名称は「マインテッドビリーブ」。訓練終了をめどに、俺が製造していたインテリジェントデバイスだ。

 待機状態は、銀の十字のペンダント。中央に、青い宝石のようなものがついている。

 

 自分で製造したため、待機状態などは全て自分でデザインしなくてはならなかったが、そこそこ上手くいったと思う。

 

『Master』

「わかってる」

 

 まあ、それはおいといて。サーチャーの念話盗聴機能が反応した。今あの2人は何か、秘密にしなければならないことを話している可能性が高い。

 

 録音をオンにして、サーチャーからの会話に耳を傾ける。

 

『なあ、花織。あいつって』

『ええ、いて欲しくなかったけど、ほとんど間違いないでしょうね』

『やっぱりか?』

 

 あいつ……今日にその話をするということは、十中八九俺のことだろう。

 

 俺が、あいつらにとっていて欲しくなかった存在?

 

 だが、あいつらは俺が魔導師だということを知っているのか?

 

 細かい魔力制御に優れたイブが、簡易魔力測定の魔力を逃すはずがない。

 

 だがイブは、魔力は感知しなかったらしい。

 

 地球に来るに当たって、蔵人にリミッターをかけるように言われたため、魔力測定をかけずに俺から魔力の有無を判断するのは不可能だ。

 

 じゃあ、なんだ……?

 

『俺は、明らかにこいつ踏み台だろ、って奴はいないと思うんだけどなあ』

『その油断が命とりなのよ。戦いに紛れて、後ろから殺られるかもね。「モブはいらないッ!」とかいって』

『それ、殺られるの俺だけじゃ?』

『いいじゃん、いいじゃん』

『よくねぇわ!」

 

 

 なんか、話が脱線しているな。

 

 まとめると、俺は〈踏み台〉というやつに認識されているらしい。

 

 さすがに「モブはいらないッ!」(モブってなんだ?罵倒なんだろうけど)とは言わない。後ろから殺る時は、何も音を立てないからな。

 

 んんっ、話を戻そう。

 

 〈踏み台〉という存在の嫌われようから察するに、性格クズ野郎が、〈踏み台〉と呼ばれているらしい。

 

 

 ……なぜなんの関わりのない奴に〈踏み台〉と呼ばれなきゃならないんだ。

 

 

『とりあえず、あいつの行動に警戒して。特に、‘なのは’たちに近づいたら、要注意』

『もし〈踏み台〉の行動をとってきたら?』

『なんとかしなさい』

『げえ……』

 

 ‘なのは’とは誰だ?俺から見て近づける存在ということは、おそらくクラスメイトなのだろう。

 

『まあ、あいつの自己紹介は独特だったけど、特に異変もなかったから、公の場では仕掛けてこないと思うわよ』

『公の場以外だったら?』

『私、知ーらない♪』

『てめえ……』

 

 

 この2人は、とても仲がいいらしい。

 男子の方よ、名前は知らないが、頑張れ。

 

 

「イブもういい。ありがとな」

Yes,my master.(了解です)

 

 

 なんだかんだ得られた情報は、あの2人は次元犯罪組織に属していないということと、俺が〈踏み台〉に見られている。ということだ。

 

 踏み台の方に関しては、俺を〈踏み台〉と見てるのは、あの2人だけなのか、クラスメイトたち全員なのかは分からない。

 

 明日、調べる必要がありそうだ。

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