遊☆戯☆王 ーArtificial Divine Taleー   作:ばるどふぉるす

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001:『蒼 い 春』

 眼前に広がるのは西洋風の街並みだった。

 住人達を見守るように街の奥には大きな城が聳える。

 

 その街と城は青空と融和し穏やかで落ち着いた雰囲気を醸し出していた。

 

 だが、その雰囲気は突如として破壊された──。

 

 氷で形成された三つの龍が街を蹂躙し、街は瞬く間に氷で覆われてしまう。

 

 人々で賑わっていた商店街には吹雪が走り、

 民家は氷龍の攻撃により瞬時に倒壊し、

 城は全てが氷で覆われ巨大な氷山と化していた。

 

 逃げ惑う人々。泣きじゃくる子供。そして、そんな街の惨状を嘲笑う一人の男。

 

 

 少女は何もできなかった。

 その惨状を見つめることしかできなかった──。

 祈ったところで何も変わらない。

 

 少女は呪った。

 自分の血筋を、自分の運命を──。

 

 

 蒼月春衣(そうげつはるえ)は目覚めた。

 

「また。あの夢かぁ……」

 

 春衣は目覚めると、右手で頭を押さえながら、ゆっくりと上半身を起こす。

 窓から入る日差しに春衣は思わず目を細める。

 朝が弱い春衣はぼーっと目の前を眺める。

 視界に入ったのは一つの置き時計。針は十時を指し示していた。

 

「えっもう十時!? あの服売り切れちゃうよ!」

 

 現時刻を把握した春衣は下半身に被さっている布団を思いっきりはけて、ベッドから飛び起きる。

 顔を洗い、髪を整え、軽く化粧する。

 白と青のボーダーシャツとデニムに着替え、口に食パンを加えると急いでアパートを飛び出した。

 

 食パンを食べながら自転車を漕ぎ、春衣が向かうのは駅前のデパートだった。

 今日は前から欲しかったが値段が高くて諦めていた服のセールがあるのだ。

 

 食パンを食べ終わる頃にはデパートに到着していた。額から汗が垂れるが、それを拭く素振りも見せず春衣はデパートに突入する。春衣は家族連れやカップルを押しのけエスカレーターを駆け上がっていく。

 

「よし! 着いた!」

 

 春衣は息を切らしながら、目当ての服を探し始めた──。

 

「やっぱ売り切れてたかぁ。なんで寝坊しちゃったかなぁ」

 

 春衣が欲しかった服は既に売り切れていた。デパートの開店からまだ二十分も経過していないにも関わらずだ。やはり人気商品はすぐに完売してしまうらしい。寝坊した自分が悪いのだから、何も文句は言えない。

 

 春衣は服屋を後にし、エスカレーターを使いゆっくり下へと降りていく。春衣は手すりに寄りかかって項垂れていた。

 

 一階に到着すると、エスカレーター近くのベンチに腰を降ろした。思わず溜息が漏れる。

 

「まぁ仕方ないよね。人気商品だし」

 

 春衣は力を抜き、ぼーっと目の前にあるデパート入り口を眺めていた。楽しそうにはしゃぐ子供を宥める母親や、笑顔で並んで歩くカップルなどが視界に入った。

 

 今の春衣とは正反対の気分であろう人物達が春衣の視界に入っては消えていく。その繰り返し。春衣はただ呆然とその光景を眺めていた。

 

 すると隣から若い男の声が聞こえてきた。

 

「おっ。ここ良い?」

 

 声がした方を振り向くとそこには、春衣と同年代くらいの男がいた。ワックスでガチガチに固めた金髪、迷彩服を羽織り、腕にシルバーを巻いており、いかにもチャラそうだった。どうやら、春衣が座っているベンチの隣に座りたいらしい。

 

「どうぞ」

 

 このベンチは共有スペースであり、断る理由も特に無かったので春衣は空返事する。

 ただ、他にもベンチは空いているのに、わざわざ隣に来たことから、春衣は何か嫌な予感がしていた。

 

「ねえねえ。君って今一人?」

「そうだけど」

「奇遇だね。俺もさ。ダチが急に来れないとか言い出して一人なんだよ」

 

 この会話の流れで春衣は確信した。これはナンパだと。

 

「よかったら一緒に飯でもどう?」

「よくないからダメ」

 

 春衣は無表情で即答する。

 よくナンパはされるので目新しさや嬉しいといった感情はない。ただ迷惑なだけだった。

 

「そう言わずにさぁ」

 

 男は引き下がらなかった。諦めるどころか自身の右手をそっと春衣の太ももに乗せる。

 

「えっ。ちょっと何してんの!?」

 

 男の想定外の行動に驚いた春衣は、とっさにベンチから飛び上がる。

 春衣とは対照的に男はゆっくりとベンチから立ち上がる。そして、引きつった表情の春衣に笑顔を向ける。

 

「そんなびっくりしないでよ。ただのスキンシップじゃん」

 

 単純に不気味で気持ち悪かった。春衣はゆっくり息を吸って呼吸を整えると、トートバックを肩に乗せて持ち、凛とした態度で言い放った。

 

「ごめん。悪いけど君とは価値観合わないかな!」

 

 その態度は可愛いというより、かっこいいに近かった。春衣は嘲笑うように男を一瞥すると、その場を立ち去る。

 

「あっちょ……」

 

 一瞬の出来事だった。男は反応に遅れる。気づいた時には視界から春衣は消えていた。

 

 春衣は嘆息しつつデパートを後にし、自転車置き場を目指し歩を進めてた。

 

「もう……。今日は不幸の日だぁ」

 

 ぼやくように呟いたその言葉になぜか背後から返答があった。

 

「よぉ。さっきのかっこよかったな」

 

 聞き覚えのある男の声だった。春衣が振り向くと、そこには一人の青年が立っていた。

 英字が印字された白いシャツに黒いジャケット、茶髪ではあるものの童顔であり、立ち振る舞いから落ち着いた雰囲気を受ける。

 

 栗林夏樹(くりばやしなつき)、春衣のバイト先の同僚だった。年齢は春衣と同じ18歳だ。

 

「……。もしかして見てたの?」

 

 恐る恐る尋ねた春衣に対し、夏樹は楽しそうに返答する。

 

「あんなにかっこよく逃げられないよ普通は」

 

 やはり先ほどのナンパの場面を見られていたらしい。春衣は頬を染めて慌てながら夏樹に迫った。

 

「見てたんなら助けてよ! 彼氏のフリとかしてさ!」

「一人でいる設定なのにさ。急に彼氏が出て来たらおかしくなるでしょ」

 

 夏樹から返ってきた言葉に、春衣の感情は一気に冷却される。

 夏樹の口ぶりからすると、どうやら先ほどのナンパのやり取りを見られたらしい。

 

「夏樹君。念のために聞いておくけど、どこから見てたの?」

「『やっぱ売り切れてたかぁ。なんで寝坊しちゃったかなぁ』辺りからだな」

「そこからっ!?」

 

 まさかの最初からだった。

 

「そんでさ。近くにタイミング見極めてたさっきの男が見えたから、アイスでも食べながら一部始終傍観してたってわけ」

「性格悪いねほんとっ!」

「そのセリフ、俺にとっては誉め言葉にしかならないけども」

「そうだったね。このひねくれものっ!」

 

 春衣は夏樹の性格を改めて認識した。この青年はかなりひねくれた性格をしているのだ。知り合いの女の子が困っていても、それを助けて好感度を上げるような行動はせずただ傍観する。理由は単純で明快。自分が楽しいからだ。利己主義が服を着て歩いているような、そんな人物だ。

 

「それで。これからどーすんの? さっきの男と遊ぶ?」

「遊ばないよっ! お腹空いたからファミレスでも行こうかと思って」

 

 春衣はそっとお腹を押さえる。

 

「ほう。じゃあ俺はこれで」

 

 夏樹は後ろを向くと、しれっとその場を離れようとする。

 

「って。え?」

 

 だが、春衣に腕をつかまれ、それを阻止される。

 

「さっきあたしを助けなかった罰として。なんかおごって!」

 

 夏樹の右腕をぐいっとひっぱり、春衣は迫る。

 夏樹は左手で春衣の腕を払いのけると、一歩後退する。

 

「ええッ。嫌よッ!」

 

 ワントーン高い声でそう叫ぶ夏樹に、春衣は冷たい視線を送る。

 

「なんでオネエ口調? 夏樹君ってそっち系だったの?」

「ちげーわ。バリバリ女の子大好きだわ」

 

 どうやら夏樹はふざけ始めたようだ。春衣は表情を消す。

 

「引くな引くな」

 

 夏樹は一回嘆息し、財布の中身を確認すると春衣の提案に乗った。

 

「わかったわかった。おごるよ、ガムシロップくらい」

「おごる気全くないじゃんそれっ!」

 

 落ち込む夏樹に春衣は肩を叩いてツッコミを入れる。

 

 

 春衣と夏樹はファミレスに来ていた。

 二人ともアイスコーヒーを注文し窓際の席でまったりしていた。

 夏樹はアイスコーヒーが手元に届くなり、ガムシロップを一気に三つ入れ、ストローでかき混ぜ始めた。

 

「夏樹君ってほんとに甘いものが好きだよね」

「まぁーな」

 

 ストローでかき混ぜながら、夏樹は決めゼリフでも言ったかのように満足そうな表情を見せる。

 

「なんでどや顔? 別に甘党は偉くないんだよ」

 

 夏樹とは違い春衣はアイスコーヒーには何も入れずブラックのまま飲み始める。

 

「そういう春衣はアレだな。ガムシロップとか砂糖は入れないんだな」

「うーん。今日はなんかブラックって気分なだけだよ」

「何か嫌なことでもあったんですか?」

「いやいや。夏樹君見てたでしょその現場」

「あー。本当はナンパ男と遊びたかったから、断ったのを残念に思って……」

「実はそうなんだよぉ。今思い返すと顔はなかなかイケてて……」

 

 春衣は急に黙り込むと、コップを握る。

 

「コーヒーかけるよ?」

「調子に乗りすぎました。すみません」

 

 春衣の低く冷たい声に、夏樹も恐れを抱いたのかすぐさま反省の態度を見せる。

 

「それでよろしい」

 

 春衣は笑顔に戻ると、ご機嫌にコーヒを口に運ぶ。

 

「でも、貴女かわいいからねえ。ナンパされるのは仕方ないべ。さっきからあの店員さんチラチラ春衣のこと見てるし。春衣の連絡先渡して来ようか?」

 

 夏樹はまたふざけ始めた。

 

「やめてよっ」

 

 ペンと紙を取り出して何かを書き出そうとする夏樹の手を、春衣は軽く叩いた。

 

「とても贅沢なことなのはわかるんだけどさ。友達にもよく憎まれ口言われるし」

「かわいいってのも大変なんですね」

 

 夏樹が呟いた直後、そのテーブルには静寂が訪れた。

 会話が途切れてしまった。だが、別に気まづいといった感情はない。同じ職場でお互い気心は知れている。

 

 だが、その静寂は長くは続かなかった。春衣の質問により沈黙は打ち壊される。

 

「夏樹君は今日ってシフト入ってたっけ?」

「あー。今日は夜勤だな。見たいアニメあったから断ってたんだけど、店長が代わってくれってうるさくてなー」

「ふぅーん。がんばってね」

「おう。春衣が代わってくれてもいいんだぞ?」

「嫌だよ。夜更かししたくないし、まず仕事わからないし」

 

 二人の職場はコンビニエンスストアだ。

 夏樹も春衣もそこでアルバイトをしている。

 基本的に春衣は朝か昼間、夏樹は深夜を担当している。

 

「じゃあ今日は夜勤まで暇なの?」

「まぁ時間は空いてるかな。でも夜遅くまでこのファミレスで時間つぶすのは嫌だよ」

「ち、ちがうよ。実は明後日ね。カリスマデュエリストチャレンジに出ることになって」

「あー。ターミナルの?」

「そうそう。しかも相手が冬星(とあ)なんだよ!」

 

 楽しそうにはしゃぐ春衣とは対照的に、夏樹はとても静かだった。

 

「冬星? あー。春衣の大学の友達だっけ」

「うん。なんか冬星の知り合いが運営側にいて、セッティングしてくれたみたい!」

「ほう。よかったじゃん」

 

 大舞台で楽しく友人とデュエルができる。

 言葉の響きからもう楽しそうな光景が連想できる。

 

「それでなんだけどさ。時間あるなら今からターミナルでデュエルしない?」

 

 春衣からの言葉に、夏樹はピクリと静止する。そして、露骨に嫌悪感を表情に浮かべた。

 

「なんでそんな嫌な顔するのさ」

「デュエルするのは良いけど、お前のデッキってエクストラ使い辛くなるからなぁ」

「そんな状況でもデッキを使いこなすのが、真のデュエリストだよ?」

 

 春衣は首を傾け、覗き込むように夏樹を見つめる。

 見つめられた夏樹は、春衣の視線に緊張するわけでもなく淡々とコーヒを口に入れ、そして飲み干した。

 

「お前が言うと暴論にしか聞こえんな」

 

 そうボヤくと夏樹はコップを静かに机の上に置き、春衣を見据えた。

 

「わかった。いいよ。時間と場所は後で連絡するわ」

「うん。わかった」

「それってハイスピードじゃなくてマスターで良いんだよな?」

「うん。チャレンジは基本的にマスターだし」

「へーい。そんじゃまあ……」

 

 気になる点を春衣に確認した夏樹は、じっと春衣を見つめる。某クイズ番組の正解発表前の司会者のように。

 

「えっ? なに?」

 

 急に見つめられ春衣は緊張してしまう。

 よく見てみてみると夏樹も美少年とは言えないが、とても整った顔立ちをしている。

 じっと見つめられ意識してしまうのは仕方がないかもしれない。

 

 夏樹はさらに春衣に顔を近づけると、春衣の隣に置いてあったお店のメニュー表を手に取った。

 

「なんか食うか。腹減った」

「そ、そうだね」

 

 春衣が拍子抜けしている間に、夏樹は店員を呼んだ。

 

「えっと、このロイヤルクリームパフェください」

「本当に甘いの好きだね」

 

 春衣は苦笑する。

 

 

 

 ターミナル──。

 

 一年ほど前にアルボス社が運営を開始した仮想空間でデュエルができるフルダイブ型のゲーム。

 

 世界で初めての仮想空間ゲームということもあり、世に出されてすぐ若者を中心に爆発的なヒットを記録し社会現象を巻き起こした。

 

 現実世界よりターミナルに滞在する時間の方が圧倒的に長い『廃人』と呼ばれるプレイヤーも少なくない。

 

 運営が開始されてわずか一年ではあるが、ターミナルは現在の現実社会の生活の一部を構成していた。

 

 

 ターミナル内 美術館前の空き地──。

 

 一人の少女が立っていた。

 

 ピンクアッシュのハーフツイン。

 海を連想するような濃い青のミニドレスを纏い、首には貝をモチーフにしたネックレスを下げている。

 これが春衣のアバターだ。ターミナルでのアカウント名は「サクラ」である。

 

「あたしの力に恐れることなく、ちゃんと来たみたいだねっ!」

 

 腰に手を当てて威張るサクラに、やって来た青年は冷ややかな視線を送る。

 

「恐れたから帰る」

 

 青年は後ろを振り向く。

 

「ごめんごめん! ちょっとやってみたかっただけなのっ! だから本当に逃げないで!」

「はいはい」

 

 しぶしぶサクラの元に戻る青年。これが夏樹のアバターだ。アカウント名は「クリフ」。

 くせが一切ないストレートの黒髪、白いワイシャツに黒スーツという姿。

 今から就職面接でも行くのかと言われそうな格好だ。

 ゲームのアバターとは思えない地味さだった。

 

「夏樹君って格好にこだわらないの? 男の子も色々な服選べるんでしょ?」

「いいんだよ、このくらいで。みんなゲーム内だからってはっちゃけすぎなんだよ」

 

「それにしても全身真っ黒だね。何か嫌なことでもあったの?」

「聞いてくれよ。実はさ。欲しかった服は買い逃すし、変な男にはナンパされるわでもう大変で大変で……ってやらせんなあほ。これお前だろうが」

「はははっ。ファミレスの時のお返しだよ。相変わらずノリ良いね。楽しいよ」

 

 笑うサクラを見て、クリフは「やれやれ」と頭を掻くと、身につけているデュエルディスクを身構える。

 

「それじゃあデュエルといきますか」

「そうだね!」

 

 

「「デュエル!」」

 

 

【クリフ】LP:8000 【サクラ】LP:8000

 

 

「俺の先攻か」

 

 デュエルディスクの判定により先攻クリフとなった。

 クリフは五枚の手札を眺めると、一番右端のカードに手をかける。

 

「〈ナチュル・ホワイトオーク〉召喚」

 

 現れたのは、青々と繁った大量の葉を携えた広葉樹。

 

「続けて〈ワン・フォー・ワン〉発動。手札の〈ナチュル・パイナポー〉を捨ててデッキから〈スポーア〉を特殊召喚」

 

 クリフが発動したのは手札のモンスターをコストにデッキからレベル1モンスターを呼べる魔法カードだ。

 

 デッキより愛くるしい顔をした胞子が一つクリフの場に舞い降りる。

 

 これでクリフの場にはモンスターが2体揃った。

 

「〈ナチュル・ホワイトオーク〉に〈スポーア〉をチューニング! 神秘の森の住人たちよ、魔導を遮る守護獣を樹海の奥より呼び覚ませ! シンクロ召喚! 出でよ、レベル5〈ナチュル・ビースト〉!」

 

 現れたのは緑を基調とした四足歩行の獣。腕と脚が尖った樹木で構成されており一瞬攻撃的に映る。だが、獰猛な獣とは思えない柔らかい表情がそれを払拭する。

 

「げっ」

「どうした?」

 御恍けるクリフに対しサクラは嘆息混じりに呟く。

 

「いや。早速出てきちゃったなぁと思って」

「そりゃあ貴女のデッキ対策にはこいつが一番だからな」

 

 〈ナチュル・ビースト〉は魔法カードの発動を無効にできる効果を持っている。しかも、無効にできる回数に制限はない。

 

 殆どのデッキにおいて魔法カードは重要な一角を担っている。それが封じられるというのはとても痛手なのだ。

 

「俺はリバースカードを1枚セットしてターンエンドだ」

 

 

 ナチュル・ホワイトオーク (レベル)4 地

[植物族/効果]ATK/1800 DEF/1400

このカードが相手のカードの効果の対象になった時に発動する事ができる。自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードを墓地へ送る事で、自分のデッキからレベル4以下の「ナチュル」と名のついたモンスター2体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃宣言をする事ができず、自分のエンドフェイズ時に破壊される。

 

 ワン・フォー・ワン 通常魔法

(1):手札からモンスター1体を墓地へ送って発動できる。手札・デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚する。

 

 ナチュル・パイナポー (レベル)2 地

[植物族/効果]ATK/100 DEF/100

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分フィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターは植物族になる。自分のスタンバイフェイズ時にこのカードが墓地に存在し、自分フィールド上に魔法・罠カードが存在しない場合、このカードを墓地から特殊召喚する事ができる。この効果は自分フィールド上に「ナチュル・パイナポー」が表側表示で存在する場合、または自分の墓地に植物族・獣族以外のモンスターが存在する場合には発動できない。

 

 スポーア (レベル)1 風

[植物族/チューナー/効果]ATK/400 DEF/800

このカードが墓地に存在する場合、このカード以外の自分の墓地の植物族モンスター1体をゲームから除外して発動できる。このカードを墓地から特殊召喚し、この効果を発動するために除外したモンスターのレベル分だけこのカードのレベルを上げる。「スポーア」の効果はデュエル中に1度しか使用できない。

 

 ナチュル・ビースト (レベル)5 地

[獣族/シンクロ/効果]ATK/2200 DEF/1700

地属性チューナー+チューナー以外の地属性モンスター1体以上

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、デッキの上からカードを2枚墓地へ送る事で、魔法カードの発動を無効にし破壊する。

 

 

「あたしのターン、ドロー」

 

 これで手札は六枚。様々な戦術が繰り出せる手札の数だ。だが、クリフの場に〈ナチュル・ビースト〉がいるため魔法カードの発動は無効にされてしまう。罠カードは使用可能だが1ターン待たなければ使えない。

 

 つまり、実質的にこのターン使用できるのはモンスターの力のみ。

 サクラは手札一枚を墓地に捨てると高らかに効果の発動を宣言する。

 

「〈マリンメロウ・リチュアル・ドラゴン〉を手札から捨てて効果を発動。〈ナチュル・ビースト〉の効果をターン終了時まで無効にするよ」

 

 サクラが手札から捨てたのは、手札から効果を発動できる儀式モンスターだ。

 レベル5以上のモンスターの効果を1ターンだけ封印できる効果を持っている。

 これでサクラは魔法カードが使えるようになった。

 

「初手にそいつを呼び込めてたか。相変わらず引き運がつよいねぇ貴女」

「えへへ。お褒めの言葉ありがとっ」

「別に褒めてはねーよ」

 

 苦笑するクリフをよそにサクラはプレイングを続ける。

 

「〈影霊衣の万華鏡〉を発動だよ。エクストラデッキから〈ドラグニティナイト-トライデント〉を墓地へ送る!」

 

 サクラが発動したのは儀式魔法カード。儀式召喚を可能にする魔法カードだ。

 

 儀式召喚は本来、呼び出したい儀式モンスターのレベルに見合うモンスターを、呼び出す対価として手札か場から墓地へ送るのだが、この〈影霊衣の万華鏡〉はその墓地へ送る行為をエクストラデッキから可能にするというイレギュラーな効果を持つ。

 

 対価をエクストラデッキで代用できるため、手札と場の損失を抑えて儀式召喚できるのだ。

 

「これで、レベル4とレベル3の儀式召喚が可能になったよ!」

 

 それに加え〈影霊衣の万華鏡〉はもう一つ特殊な効果を備えている。

 

 一回の儀式召喚で呼べるモンスターは基本的に一体だけ。だが、〈影霊衣の万華鏡〉は対価としたモンスターのレベルの範囲内なら何体でも儀式モンスターを呼び出せる。

 レベル7のモンスターを対価としたなら、レベル4とレベル3を同時に儀式召喚できるといった具合だ。

 

「眩惑の霞鳥の力と霊力秘めた一角の力……それぞれお借りします! 儀式召喚! 来て! 〈クラウソラスの影霊衣〉! 〈ユニコールの影霊衣〉!」

 

 サクラの場に二体のモンスターが姿を現す。

 一体は怪鳥を模した鎧に身を包んだオッドアイの少年。右手に鳥の翼の形をした天鵞絨の剣を手にしている。

 

 もう一体は白を基調とした防具に身を包む銀髪青年。紺色のマントを靡かせ、白と金のランスを左手に持ち身構えている。一角の兜が印象的だ。

 

「うわーお。厄介なのが同時に出てきやがった」

 

 サクラの場を見据え嘆くクリフに、サクラは笑みを返すとフェイズを先に進める。

 

「バトルフェイズに入るよ! 〈ユニコールの影霊衣〉で〈ナチュル・ビースト〉に攻撃!」

 

 銀髪青年は瞬時に間合いを詰めると、持っている槍を守護獣に向けて構え体勢を整えた。

 

「リバースカードオープン〈コマンド・サイレンサー〉」

「っ!」

 

 クリフが発動させたのは相手の攻撃命令を取消せる速攻魔法カード。

 突如発せられた超音波に押され、銀髪青年は定位置に戻される。

 

「やっぱりそう簡単には通してくれないよね」

「あぁ。このターンのバトルフェイズはこれで終了。そして、俺はカードを1枚ドローする」

 

 クリフがドローしたのを見届けると、サクラは自分の手札に手を伸ばす。

 

「リバースカードを1枚伏せてターエンドだよ」

 

 

 マリンメロウ・リチュアル・ドラゴン (レベル)7 水

[ドラゴン族/儀式/効果]ATK/2500 DEF/2000

「苹果の聖典」により降臨。

「マリンメロウ・リチュアル・ドラゴン」の(1)(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードを手札から捨て、相手フィールドのレベル5以上の効果モンスター1体を対象として発動できる。その相手モンスターの効果をターン終了時まで無効にする。

(2):???

(3):???

【オリジナル】

 

 影霊衣(ネクロス)の万華鏡 儀式魔法

「影霊衣」儀式モンスターの降臨に必要。

「影霊衣の万華鏡」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):儀式召喚するモンスターと同じレベルになるように、自分の手札・フィールドのモンスター1体をリリース、またはエクストラデッキのモンスター1体を墓地へ送り、手札から「影霊衣」儀式モンスターを任意の数だけ儀式召喚する。

(2):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、自分の墓地からこのカードと「影霊衣」モンスター1体を除外して発動できる。デッキから「影霊衣」魔法カード1枚を手札に加える。

 

 ドラグニティナイト-トライデント (レベル)7 風

[ドラゴン族/シンクロ/効果]ATK/2400 DEF/1700

ドラゴン族チューナー+チューナー以外の鳥獣族モンスター1体以上

自分フィールド上に存在するカードを3枚まで墓地へ送って発動する。相手のエクストラデッキを確認し、この効果を発動するために墓地へ送った枚数と同じ数だけカードを選択して墓地へ送る。この効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

 クラウソラスの影霊衣(ネクロス) (レベル)3 水

[戦士族/儀式/効果]ATK/1200 DEF/2300

「影霊衣」儀式魔法カードにより降臨。

このカードは儀式召喚でしか特殊召喚できない。

「クラウソラスの影霊衣」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードを手札から捨てて発動できる。デッキから「影霊衣」魔法・罠カード1枚を手札に加える。

(2):エクストラデッキから特殊召喚された、フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。ターン終了時まで、そのモンスターの攻撃力は0になり、効果は無効化される。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

 ユニコールの影霊衣(ネクロス) (レベル)4 水

[魔法使い族/儀式/効果]ATK/2300 DEF/1000

「影霊衣」儀式魔法カードにより降臨。

このカードは儀式召喚でしか特殊召喚できない。

「ユニコールの影霊衣」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードを手札から捨て、「ユニコールの影霊衣」以外の自分の墓地の「影霊衣」カード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、エクストラデッキから特殊召喚されたフィールドの表側表示モンスターの効果は無効化される。

 

 コマンド・サイレンサー 速攻魔法

(1):相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。その攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する。その後、自分はデッキから1枚ドローする。

【オリジナル】

 

 

【クリフ】LP:8000

手札:2枚

モンスター:ナチュル・ビースト(攻撃)

魔法・罠:なし

 

【サクラ】LP:8000

手札:1枚

モンスター:ユニコールの影霊衣(攻撃) クラウソラスの影霊衣(攻撃)

魔法・罠:伏せ1枚

 

 

「俺のターン、ドロー」

 

 クリフは三枚になった手札を一瞥し、サクラの場へ視線を向ける。

 〈ユニコールの影霊衣〉にはエクストラデッキから特殊召喚されたモンスターの効果を永続的に無効にする効果がある。

 

 〈ナチュル・ビースト〉もその効果を受け、魔法カードの発動を無効にできなくなっている。現在の〈ナチュル・ビースト〉はただの攻撃力2200のモンスターというわけだ。

 

 つまり、〈ナチュル・ビースト〉の力を最大限に活用するにはサクラの場でカッコよく槍を構えている〈ユニコールの影霊衣〉を排除しなければならない。

 

「スタンバイフェイズに墓地の〈ナチュル・パイナポー〉の効果が発動。自身を墓地から特殊召喚」

 

 クリフの場にパイナップルに愛くるしい瞳を2つけたようなモンスターが現れる。

 

「〈ナチュル・パイナポー〉をリリースして〈エネミーコントローラー〉を発動。〈ユニコールの影霊衣〉を奪う」

 

 クリフが発動したのは自分モンスターをコストに相手モンスターを1ターン奪える速攻魔法カード。

 パイナップルが消えると、そこに巨大なゲームコントローラーが現れる。

 

 そのコントローラーから伸びたコンセントが、槍使いの腹部に接続されると、彼は何かを思い立ったかのようにサクラの元を離れてクリフの場へと移動した。

 

「まだスタンバイフェイズ。〈ナチュル・パイナポー〉がもう1度復活」

 

 〈ナチュル・パイナポー〉の蘇生効果はスタンバイフェイズであれば何度でも発動する。クリフは〈エネミーコントローラー〉をこのタイミングで発動することによってコストを抑えたのだ。

 これでクリフの場にはモンスターが三体。

 

「バトルだ! 〈ユニコールの影霊衣〉で〈クラウソラスの影霊衣〉に攻撃」

 

 クリフは躊躇いなく奪ったモンスターで共食いを行わせる。

 そうはさせまいとサクラは伏せカードを翻す。

 

「リバースカードオープン〈砂塵のバリア -ダスト・フォース-〉! 夏樹君の攻撃モンスターは全て裏側守備表示になるよ!」

 

 砂塵に巻き込まれクリフの場のパイナップル以外のモンスターはセット状態へと表示形式が強制的に変更された。

 これにより攻撃はもちろん、各々のモンスター効果も適用できなくなった。

 

(攻撃する前に発動すべきだったかねえ)

 

 クリフは手札を眺めて落ち込むと、その中から一枚を抜き出しそっと場に置いた。

 

「バトルフェイズは終了して〈フレグランス・ストーム〉を発動。〈ナチュル・パイナポー〉を破壊して、俺は1枚ドローする」

 

 クリフが発動したのは植物族専用のドローソースカード。場の植物を犠牲にして一枚ドローできる。

 また、それで手札に加わるのが植物族だった場合は追加ドローができる。うまくいけば手札を発動前より増やすことができる。

 

「ドローしたのは〈森羅の実張り ピース〉。よってもう1枚ドロー」

 

 クリフはきちんと植物族を引き当てた。よって、追加で手札が補強される。

 

「これでターンエンドだ」

 

 

 エネミーコントローラー 速攻魔法

(1):以下の効果から1つを選択して発動できる。

●相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。その相手の表側表示モンスターの表示形式を変更する。

●自分フィールドのモンスター1体をリリースし、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。その表側表示モンスターのコントロールをエンドフェイズまで得る。

 

 砂塵のバリア -ダスト・フォース- 通常罠

(1):相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て裏側守備表示にする。この効果で裏側守備表示になったモンスターは表示形式を変更できない。

 

 フレグランス・ストーム 通常魔法

フィールド上に表側表示で存在する植物族モンスター1体を破壊し、自分のデッキからカードを1枚ドローする。さらに、この効果でドローしたカードが植物族モンスターだった場合、そのカードをお互いに確認し自分はカードをもう1枚ドローする事ができる。

 

 森羅の実張り ピース (レベル)1 風

[植物族/効果]ATK/400 DEF/100

このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、自分のデッキの一番上のカードをめくる事ができる。めくったカードが植物族モンスターだった場合、そのモンスターを墓地へ送る。違った場合、そのカードをデッキの一番下に戻す。また、デッキのこのカードがカードの効果によってめくられて墓地へ送られた場合、自分の墓地からレベル4以下の植物族モンスター1体を選択して特殊召喚できる。「森羅の実張り ピース」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

 

「あたしのターン、ドロー」

 

 〈ユニコールの影霊衣〉を奪われたのは少々痛手だったが、厄介な魔法封じ効果を持つ〈ナチュル・ビースト〉をセット状態にできた。これでサクラは気兼ねなく魔法カードを乱発できる。

 それに加えてセット状態はサクラにとってさらなる恩恵をもたらす。

 

「〈儀式の準備〉を発動。デッキから〈ブリューナクの影霊衣〉、墓地から〈影霊衣の万華鏡〉をそれぞれ手札に加えるよ」

 

 サクラが発動したのは条件さえ整えば儀式モンスターと儀式魔法を一気に揃えることができる魔法カード。

 儀式召喚主軸デッキ限定とはいえ、かなりのアドバンテージを稼げる強力な魔法カードだ。

 

「〈ブリューナクの影霊衣〉を手札から捨てて効果を発動。デッキから〈ディサイシブの影霊衣〉を手札に加えるよ」

 

 原則、儀式召喚は、儀式モンスターと儀式魔法カードが手札に揃わないと真価を発揮できない。儀式モンスターは本来、場に現れることで効果を使用できるからだ。

 

 だが、サクラ愛用の影霊衣シリーズは、場に出さずとも魔法カード感覚で手札から効果を発動できる。

 

 儀式主軸デッキが頭を抱える手札事故とは無縁のシリーズなのだ。したがって、安定してデッキを運用してデュエルを進めることができる。

 

「さらに〈伝説の都 アトランティス〉を発動だよ! 水属性モンスターのレベルは1つダウンし、ステータスが200強化される!」

 

 水属性専用サポートのお出ましだ。

 周囲の景色が水中へと変わり、サクラの背後には古代神殿のような構築物が聳え立つ。

 

「そして、〈影霊衣の万華鏡〉発動だよ。エクストラデッキから〈霧氷結界の巫女 シビュラス〉を墓地へ送る。これでレベル9の儀式召喚が可能になった!」

 

 サクラは再び万華鏡を使い儀式召喚の舞台を整えた。

 

「絆を結集した希望の象徴……お借りします! 儀式召喚! レベル10〈ディサイシブの影霊衣〉!」

 

 サクラの場に光柱が聳える。

 その光柱の中から屈強な肉体を持つ魚人のようなモンスターが姿を見せる。金と水色を基調とした巨大な砲塔3つを背中と両肩に装備したその男は、ゆっくりとサクラの場の定位置へ向けて歩き出す。

 

「〈ディサイシブの影霊衣〉のレベルは本来10だけど、〈伝説の都 アトランティス〉の効果でレベルが1つダウンしてるから、レベル9になってるよ」

 

 

〈ディサイシブの影霊衣〉攻撃力3300→3500 守備力2300→2500 レベル10→9

 

 

「〈ディサイシブの影霊衣〉の効果を発動! 〈ナチュル・ビースト〉は除外させてもらうよ!」

 

 〈ディサイシブの影霊衣〉はセット状態のカードを破壊して除外できる効果を持っている。セット状態にしたことにより生まれる恩恵とはまさにこのこと。墓地より再利用が難しい除外という手段で厄介な能力の守護獣を処理できた。

 

 サクラはバトルフェイズへの移行を宣言する。

 

「〈クラウソラスの影霊衣〉で〈ユニコールの影霊衣〉を攻撃だよ!」

 

 少年が振るった翼の剣がセット状態の〈ユニコールの影霊衣〉を両断にする。

 

「〈ディサイシブの影霊衣〉でダイレクトアタック」

 

 〈ディサイシブの影霊衣〉の背中の砲塔がクリフへ向けられる。エネルギー充填が完了すると、青白い閃光が放たれる。

 それはクリフを包み込むと一気に爆散する。

 

 その勢いに飲まれクリフの体が後方へと飛ばされる。

 クリフは背中を打ち付けると、その場に大の字になった。

 

 

【クリフ】LP:8000→4700

 

 

「ッったぁ」

 

 クリフはゆっくりと体を起こし立ち上がると、デュエルディスクを身構える。

 

「なかなか強烈な一撃だったな」

 

 クリフは右手で軽く服の汚れを叩く。

 ここは電脳空間であるため実際に汚れたわけではないのだが、自然とそのような仕草をしてしまう。

 

 それだけこの世界が現実世界と遜色のないほど完成度が高い空間ということなのだろう。

 

「〈霧氷結界の巫女 シビュラス〉の効果で1枚ドローしてターンエンドだよ」

 

 儀式召喚の素材としてエクストラデッキから墓地へ送られたモンスターの効果が発動しする。

 儀式召喚による消費で失われていたサクラの手札が一枚に増えた。

 

 

 儀式の準備 通常魔法

(1):デッキからレベル7以下の儀式モンスター1体を手札に加える。その後、自分の墓地の儀式魔法カード1枚を選んで手札に加える事ができる。

 

 ブリューナクの影霊衣(ネクロス) (レベル)6 水

[戦士族/儀式/効果]ATK/2300 DEF/1400

「影霊衣」儀式魔法カードにより降臨。

「ブリューナクの影霊衣」以外のモンスターのみを使用した儀式召喚でしか特殊召喚できない。

「ブリューナクの影霊衣」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードを手札から捨てて発動できる。デッキから「ブリューナクの影霊衣」以外の「影霊衣」モンスター1体を手札に加える。

(2):エクストラデッキから特殊召喚された、フィールドのモンスターを2体まで対象として発動できる。そのモンスターを持ち主のデッキに戻す。

 

 ディサイシブの影霊衣(ネクロス) (レベル)10 水

[ドラゴン族/儀式/効果]ATK/3300 DEF/2300

「影霊衣」儀式魔法カードにより降臨。

レベル10以外のモンスターのみを使用した儀式召喚でしか特殊召喚できない。

「ディサイシブの影霊衣」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードを手札から捨て、自分フィールドの「影霊衣」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力・守備力はターン終了時まで1000アップする。この効果は相手ターンでも発動できる。

(2):相手フィールドにセットされたカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊し、除外する。

 

 伝説の都 アトランティス フィールド魔法

このカード名はルール上「海」として扱う。

(1):フィールドの水属性モンスターの攻撃力・守備力は200アップする。

(2):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、お互いの手札・フィールドの水属性モンスターのレベルは1つ下がる。

 

 霧氷結界の巫女 シビュラス (レベル)9 水

[魔法使い族/シンクロ/効果]ATK/2600 DEF/2700

水属性チューナー+チューナー以外の水属性モンスター1体以上

「霧氷結界の巫女 シビュラス」の(1)(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):???

(2):このカードが墓地へ送られたターンのエンドフェイズに発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。

(3):???

【オリジナル】

 

 

【クリフ】LP:4700

手札:3枚

モンスター:なし

魔法・罠:なし

 

【サクラ】LP:8000

手札:1枚

モンスター:ディサイシブの影霊衣(攻撃) クラウソラスの影霊衣(攻撃)

魔法・罠:伝説の都 アトランティス

 

 

「俺のターン、ドロー」

 

 場はガラ空きにされてしまったが、このドローで手札は四枚。反撃の狼煙をあげるには充分な戦力だ。

 

「スタンバイフェイズに墓地から〈ナチュル・パイナポー〉が復活」

 

 再び墓地からパイナップルが出現する。

 

「〈ローンファイア・ブロッサム〉を召喚。そして効果を発動。〈ローンファイア・ブロッサム〉をリリースしデッキから〈森羅の仙樹 レギア〉を特殊召喚」

 

 果樹の花が消え、そこに大きな樹木が一つ聳え立つ。太い幹の部分には顔があり、険しい表情でサクラを見下ろす。

 

「なんか怖いよっ! そんな見ないでよ!」

「春衣の可愛さに魅了されてんだよ。言わせんなって」

「相変わらずテキトーだなあ」

 

 サクラの呆れた視線をよそに、クリフはプレイングを続ける。

 

「〈森羅の施し〉を発動。デッキから3枚ドローして森羅を含む2枚をデッキトップへ戻す」

 

 発動されたのは森羅専用のドローカード。三枚もドローできるという破格の性能を誇るが、ドロー後に手札の二枚をデッキの上に戻さなければならない。手札増強というよりは手札交換に近い。

 ただ、森羅デッキにおいては、手札増強より強力な性能になる。

 

 クリフは手札の〈聖なるバリア -ミラーフォース-〉と〈森羅の実張り ピース〉をサクラに見せる。

 そして効果を見せた二枚をデッキの上に置いた。

 

「〈森羅の仙樹 レギア〉の効果を発動。デッキトップをめくる。それが植物族だった場合、そのカードを墓地へ送り1枚ドローする」

 

 デッキトップは先ほどの〈森羅の施し〉で操作済みだ。つまり、今のクリフには自身のデッキトップのカードが何なのか判断できる。

 

「デッキトップはもちろん〈森羅の実張り ピース〉。墓地へ送って1枚ドロー」

 

 手札を増やすクリフ。だが、森羅の真骨頂はこれからだ。

 

「さらに〈森羅の実張り ピース〉がデッキトップからめくられて墓地へ送られたことで効果が発動。墓地から〈ローンファイア・ブロッサム〉を特殊召喚する」

 

 森羅はデッキトップからめくられて墓地へ行くことで効果を発揮するシリーズ。先ほどの〈森羅の施し〉は手札交換や手札増強というよりは、森羅シリーズの能力を発揮させるためのカードなのだ。

 

「〈ローンファイア・ブロッサム〉の効果を発動。自身をリリースしデッキから2体目の〈森羅の仙樹 レギア〉を特殊召喚」

 

 クリフの場に大きな樹木がもう一つ聳え立つ。

 こちらも先ほどのと同じくサクラを険しい表情で見下ろす。

 

「見下ろしてくるのが増えた……」

 

 嘆くサクラを見て、クリフは嬉しそうに笑みを浮かべる。

 

「何で嬉しそうなのかな夏樹君?」

「女の子が困った顔っていいよね」

「……変態め」

 

 右耳から入ってきたサクラの低い声を、左へ受け流すとクリフは効果の発動を宣言する。

 

「2体目の〈森羅の仙樹 レギア〉の効果を発動」

 

 先ほどデッキトップを操作したのは二枚。一枚は効果でめくられて墓地へ送られ、もう一枚はドローによってクリフの手札に加わっている。

 

 つまり、今のクリフのデッキトップは何のカードかわからない。完全な運任せなのだが、

 

「デッキトップが〈森羅の姫芽君 スプラウト〉だったので墓地へ送り、1枚ドロー」

 

 クリフは見事に植物族を引き当てた。これで森羅の効果が再び発動する。手札も一枚増えるオマケつきだ。

 クリフの手札は五枚に回復した。

 

「〈森羅の姫芽君 スプラウト〉の効果で墓地から自身を特殊召喚。レベルは8を宣言」

 

 〈森羅の姫芽君 スプラウト〉はデッキトップからめくられて墓地へ行った場合、自身を場に復活できる。その際、任意の数値のレベルになることができる。

 

 これでクリフの場のモンスターは四体だ。じっと見つめてくる二体もいてサクラの戦意は絶賛低下中だろう。

 

 

〈森羅の姫芽君 スプラウト〉レベル1→8

 

 

「準備は整った。まずは〈月の書〉を発動。〈クラウソラスの影霊衣〉は裏側守備表示になってもらう」

 

 サクラの場の少年がセット状態に戻される。

 

「続けて〈エネミーコントローラー〉を発動。〈森羅の姫芽君 スプラウト〉をリリースし〈ディサイシブの影霊衣〉のコントロールを得る」

「うっ。〈エネミーコントローラー〉強いね……」

「まぁーな」

 

 先ほどの〈ユニコールの影霊衣〉と同じように、今度は〈ディサイシブの影霊衣〉がクリフの支配下に置かれる。

 これで、サクラの場のモンスターはセット状態になった〈クラウソラスの影霊衣〉だけ。

 

 

〈ディサイシブの影霊衣〉ドラゴン族→植物族

 

 

 場にいるパイナップルによって、奪われた〈ディサイシブの影霊衣〉は植物族へと種族が変更される。

 こんな屈強な戦士がどうやったら植物になるのか想像がつかないが。

 

「〈ディサイシブの影霊衣〉の効果で裏側になった〈クラウソラスの影霊衣〉を除外」

 

 クリフはサクラから奪ったモンスターの効果を使い、サクラの場を荒らす。

 これでサクラの場はフィールド魔法のアトランティスのみ。サクラを攻撃から守ってくれるモンスターはいない。

 

「〈森羅の仙樹 レギア〉2体と〈ディサイシブの影霊衣〉の攻撃力の合計は8000を超えている。俺の勝ちだな」

「うっ」

 

 クリフは不敵な笑みを浮かべバトルフェイズに突入する。

 

「まずは〈森羅の仙樹 レギア〉で春衣にダイレクトアタック」

 

 まずは第一弾。これを受けてサクラのライフポイントは8000から5300に低下する。

 はずだった──。

 

「そうはいかないよ! 手札の〈ヴァルキュルスの影霊衣〉の効果を発動。墓地の〈ブリューナクの影霊衣〉を除外してバトルフェイズを終了させる!」

「さっきのエンドフェイズのドローで引き当ててたのか」

 

 サクラが発動させた〈ヴァルキュルスの影霊衣〉は自身を手札から墓地に捨て、墓地にある他の影霊衣シリーズのカードを除外することで、相手の攻撃を無力化できる効果を持つ。

 場に出さなくてもこれだけ強力な効果が使える影霊衣は、強力なシリーズなのだと再認識させられる。

 

 クリフの思惑は外れバトルフェイズは強制的に終わりを告げ、フェイズはメインフェイズ2へ移行した。

 

「〈エネミーコントローラー〉の効果はこのターンの間だけ。あたしの〈ディサイシブの影霊衣〉は返してもらうよ!」

 

 サクラは凛とした態度で、クリフの場の影霊衣を指差した。

 

「くっ。このターンで決着が着く算段だったからなあ。仕方ない。返してあげるよ……。春衣の墓地にだけど」

「!?」

「さっきのターン、できなかったコンボをやらせてもらうか。〈フレグランス・ストーム〉を発動」

 

 前回のクリフのターンでも発動された植物族専用のドローカード。自分の場の植物族をコストに一枚、場合によっては二枚ドローできる。

 そして、サクラから奪った〈ディサイシブの影霊衣〉は〈ナチュル・パイナポー〉の効果で植物族になっている。

 

「植物族となっている〈ディサイシブの影霊衣〉を破壊し1枚ドロー。ドローしたのは〈ダンディライオン〉。よってもう1枚ドロー」

 

 クリフは影霊衣を処分しつつ手札をさらにニ枚増やす。抜け目ない戦術にサクラは感心する他なかった。

 

「やっぱ流石だね。総攻撃は防げたけど、あたしの場がフィールド魔法だけになっちゃったよ。おまけに手札もないし」

 

 サクラは優しく微笑み、クリフを見つめる。

 アバター姿の春衣もそれはそれでかわいい姿をしていた。特に普段は見ることのできない格好をしているため余計そう感じてしまう。

 じっと優しく微笑みを向けられる、じっと見つめられると流石に意識してしまう。我を忘れてしまっても良いのかな?と、そんな感情が芽生えてくる。

 

「歪んだ性癖を持つ変態なのによくやるよ」

「あの……。そんな褒められ方をされても全然嬉しくないんですけど」

 

 サクラから放たれた言葉に、クリフは一気に現実に引き戻され、芽生えてきたヤツは弾けた。

 

「でも最後の最後まで何が起きるかわからないのが、デュエルだもんね。あたし諦めないよっ!」

「そうかい。まぁお前のデッキと引き運ならなんとかしそうで本当に恐ろしいわ」

 

 クリフはサクラへ微笑み返すとターンを終える。

 

「リバースカードを1枚伏せてターンエンド。どう反撃してくるのか見ものだわ」

「うん! 本当の勝負はこれからだよっ!」

「お、おう。なんか打ち切り臭がすごい……」

 

 ターンはサクラのターンへ移行する。

 

 

 ローンファイア・ブロッサム (レベル)4 炎

[植物族/効果]ATK/500 DEF/1400

(1):1ターンに1度、自分フィールドの表側表示の植物族モンスター1体をリリースして発動できる。デッキから植物族モンスター1体を特殊召喚する。

 

 森羅の仙樹 レギア (レベル)8 炎

[植物族/効果]ATK/2700 DEF/1800

1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動できる。自分のデッキの一番上のカードをめくる。めくったカードが植物族モンスターだった場合、そのモンスターを墓地へ送り、デッキからカードを1枚ドローする。違った場合、そのカードをデッキの一番下に戻す。また、デッキのこのカードがカードの効果によってめくられて墓地へ送られた場合、自分のデッキの上からカードを3枚まで確認し、好きな順番でデッキの上に戻す。

 

 森羅の施し 通常魔法

デッキからカードを3枚ドローする。その後、「森羅」と名のついたカード1枚を含む手札のカード2枚を相手に見せ、好きな順番でデッキの上に戻す。手札に「森羅」と名のついたカードが無い場合、手札を全て相手に見せ、好きな順番でデッキの上に戻す。

「森羅の施し」は1ターンに1枚しか発動できない。

 

 聖なるバリア -ミラーフォース- 通常罠

(1):相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊する。

 

 森羅の姫芽君 スプラウト (レベル)1 光

[植物族/効果]ATK/100 DEF/100

「森羅の姫芽君 スプラウト」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードをリリースして発動できる。自分のデッキの一番上のカードをめくって墓地へ送る。その後、自分の墓地の「スプラウト」モンスター1体を選んで自分のデッキの一番上に置く事ができる。

(2):デッキのこのカードが効果でめくられて墓地へ送られた場合、1~8までの任意のレベルを宣言して発動できる。このカードを墓地から特殊召喚し、このカードのレベルは宣言したレベルになる。

 

 月の書 速攻魔法

(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを裏側守備表示にする。

 

 ヴァルキュルスの影霊衣(ネクロス) (レベル)8 水

[魔法使い族/儀式/効果]ATK/2900 DEF/1700

「影霊衣」儀式魔法カードにより降臨。

レベル8以外のモンスターのみを使用した儀式召喚でしか特殊召喚できない。

「ヴァルキュルスの影霊衣」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):相手モンスターの攻撃宣言時に自分の墓地の「影霊衣」カード1枚を除外し、このカードを手札から捨てて発動できる。その攻撃を無効にし、その後バトルフェイズを終了する。

(2):自分メインフェイズに発動できる。自分の手札・フィールドのモンスターを2体までリリースし、リリースした数だけ自分はデッキからドローする。

 

 ダンディライオン (レベル)3 地

[植物族/効果]ATK/300 DEF/300

(1):このカードが墓地へ送られた場合に発動する。自分フィールドに「綿毛トークン」(植物族・風・星1・攻/守0)2体を守備表示で特殊召喚する。このトークンは特殊召喚されたターン、アドバンス召喚のためにはリリースできない。

 

 

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