遊☆戯☆王 ーArtificial Divine Taleー   作:ばるどふぉるす

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002:『サ ク ラ サ ク』

 ターミナルでひっそりと行われているクリフ(夏樹)とサクラ(春衣)のデュエルは、クリフが優勢のまま中盤に差し掛かっていた。

 

 クリフの場には最上級モンスターが二体。一方のサクラは場にモンスターが無く、手札も0枚。

 

 次のターンで、現状を打開できるカードが呼び込めなければ、サクラは一気に追い詰められてしまう状況だった。

 

 

【クリフ】LP:4700

手札:3枚

モンスター:森羅の仙樹 レギア(攻撃)×2 ナチュル・パイナポー(守備)

魔法・罠:伏せ1枚

 

【サクラ】LP:8000

手札:0枚

モンスター:なし

魔法・罠:伝説の都 アトランティス

 

 

 森羅の仙樹 レギア (レベル)8 炎

[植物族/効果]ATK/2700 DEF/1800

1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動できる。自分のデッキの一番上のカードをめくる。めくったカードが植物族モンスターだった場合、そのモンスターを墓地へ送り、デッキからカードを1枚ドローする。違った場合、そのカードをデッキの一番下に戻す。また、デッキのこのカードがカードの効果によってめくられて墓地へ送られた場合、自分のデッキの上からカードを3枚まで確認し、好きな順番でデッキの上に戻す。

 

 ナチュル・パイナポー (レベル)2 地

[植物族/効果]ATK/100 DEF/100

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分フィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターは植物族になる。自分のスタンバイフェイズ時にこのカードが墓地に存在し、自分フィールド上に魔法・罠カードが存在しない場合、このカードを墓地から特殊召喚する事ができる。この効果は自分フィールド上に「ナチュル・パイナポー」が表側表示で存在する場合、または自分の墓地に植物族・獣族以外のモンスターが存在する場合には発動できない。

 

 伝説の都 アトランティス フィールド魔法

このカード名はルール上「海」として扱う。

(1):フィールドの水属性モンスターの攻撃力・守備力は200アップする。

(2):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、お互いの手札・フィールドの水属性モンスターのレベルは1つ下がる。

 

 

「あたしのターン、ドロー!」

 

 サクラはドローしたカードを一瞥すると、目を見開く。そして、嬉しそうにそのカードを場に登場させる。

 

「〈氷霊神ムーラングレイス〉を特殊召喚だよっ!」

 

 

〈氷霊神ムーラングレイス〉攻撃力2800→3000 守備力2200→2400 レベル8→7

 

 

「なにっ!?」

 

 想定外のモンスターの出現に、クリフは驚きの声を上げる。

 

「〈氷霊神ムーラングレイス〉はあたしの墓地に水属性モンスターが5体ぴったりいる時に特殊召喚できるよ!」

「このタイミングで引き当てるとか、相変わらず悪運強ぇなぁ」

 

 呆れるクリフをよそに、サクラはデュエルを続ける。

 

「〈氷霊神ムーラングレイス〉の効果を発動! 夏樹君の手札2枚をランダムに捨てさせる!」

 

 クリフの手札の〈ダンディライオン〉と〈スポーア〉が墓地へと送られる。

 

「〈ダンディライオン〉が墓地へ送られたことで効果が発動。綿毛トークン2体が俺のフィールドに特殊召喚される」

 

 クリフのメインモンスターゾーンがモンスターで埋め尽くされた。

 

「どっちも墓地へ行ったほうが良いモンスターか。夏樹君も悪運強いじゃん」

「ああ。損失抑えられて感謝だよ」

 

 クリフは不敵な笑みを浮かべると、サクラに笑いながら問いかける。

 

「さて。俺のモンスターは全て〈氷霊神ムーラングレイス〉の攻撃力を下回っているわけだけども、どれに攻撃する? 特に〈森羅の仙樹 レギア〉はドロー効果を持ってるし減らしておくべきだと思うけどなぁ」

 

 サクラは戯けるクリフの伏せカードを見る。

 

(あのカードは多分〈森羅の施し〉の時に確認できた〈聖なるバリア -ミラーフォース-〉。それをあたしが理解していることを知ったうえで攻撃を誘ってる……意地悪だなぁ)

 

 サクラは、まんざらでもなさそうに笑むと、クリフへ凛と言い放つ。

 

「その手には乗らないよ! あたしはこれでターンエンド」

 

 

 氷霊神ムーラングレイス (レベル)8 水

[海竜族/特殊召喚/効果]ATK/2800 DEF/2200

このカードは通常召喚できない。自分の墓地の水属性モンスターが5体の場合のみ特殊召喚できる。このカードが特殊召喚に成功した時、相手の手札をランダムに2枚選んで捨てる。「氷霊神ムーラングレイス」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。このカードがフィールド上から離れた場合、次の自分のターンのバトルフェイズをスキップする。

 

 ダンディライオン (レベル)3 地

[植物族/効果]ATK/300 DEF/300

(1):このカードが墓地へ送られた場合に発動する。自分フィールドに「綿毛トークン」(植物族・風・星1・攻/守0)2体を守備表示で特殊召喚する。このトークンは特殊召喚されたターン、アドバンス召喚のためにはリリースできない。

 

 スポーア (レベル)1 風

[植物族/チューナー/効果]ATK/400 DEF/800

このカードが墓地に存在する場合、このカード以外の自分の墓地の植物族モンスター1体をゲームから除外して発動できる。このカードを墓地から特殊召喚し、この効果を発動するために除外したモンスターのレベル分だけこのカードのレベルを上げる。「スポーア」の効果はデュエル中に1度しか使用できない。

 

 聖なるバリア -ミラーフォース- 通常罠

(1):相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊する。

 

 

【クリフ】LP:4700

手札:1枚

モンスター:森羅の仙樹 レギア(攻撃)×2 ナチュル・パイナポー(守備)

魔法・罠:伏せ1枚

 

【サクラ】LP:8000

手札:0枚

モンスター:氷霊神ムーラングレイス(攻撃)

魔法・罠:伝説の都 アトランティス

 

 

(予想通り。攻撃はして来ない。まぁ普通そうだよな)

 

 クリフは少し残念そうな表情を見せると、手をデッキトップへ近づける。

 

「俺のターン、ドロー」

 

 クリフは自分の場のモンスター達を見つめる。

 

(さっきは喜んだが。綿毛トークン。邪魔だわ)

 

 綿毛トークンは寂しそうな表情で、仲間になりたそうな目でクリフを見ていた。

 

(……)

 

 クリフは綿毛トークンを無視し、デュエルに戻った。薄情な奴である。

 

「〈森羅の仙樹 レギア〉の効果を発動。めくったカードは〈サイクロン〉。デッキの一番下に戻す」

 

 植物族であれば墓地へ送って、ドローできたのだが、そう上手く事は運ばなかった。

 

「もう1体の〈森羅の仙樹 レギア〉の効果も発動。めくったカードは〈死者蘇生〉。デッキの一番下に戻す」

 

 二回連続で失敗してしまった。

 

(さっきのターンまでで運を使い果たしたか)

 

 クリフの場にはサクラの〈氷霊神ムーラングレイス〉に打点で勝てるモンスターがいない。

 モンスターの数ではサクラを圧倒しているが、それだけだった。このままでは何もできない。

 

(さてどうするか……。エクシーズして攻めに行くべきか。いや。影霊衣はエクストラモンスターにはめっぽう強いシリーズだ。ここは現状維持が無難か)

 

 クリフは思考を巡らせた後、このターンでの行動を終えた。

 

「ターンエンドだ」

 

 

 サイクロン 速攻魔法

(1):フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

 死者蘇生 通常魔法

(1):自分または相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。

 

 

「あたしのターン、ドロー」

 

 サクラはドローしたカードを確認すると、すぐさま魔法&罠ゾーンに置いた。

 

「〈聖約の宝札〉を発動だよ。除外されている〈ブリューナクの影霊衣〉と〈クラウソラスの影霊衣〉、墓地の〈マリンメロウ・リチュアル・ドラゴン〉。合計3体のモンスターをデッキに戻して3枚ドロー!」

 

 サクラの手札は0枚のため、今ドローした三枚を手札とする。

 

「〈儀式の準備〉を発動。あたしの墓地から〈影霊衣の万華鏡〉を回収して、デッキから〈ブリューナクの影霊衣〉を手札に加えるよ!」

 

 サクラが発動したのは儀式デッキ専用の魔法カード。デッキからは儀式モンスターを、墓地からは儀式魔法カードを回収できる強力な効果を持っている。

 

「さらに手札の〈ブリューナクの影霊衣〉を捨てて効果を発動。デッキから〈ユニコールの影霊衣〉を手札に加えるよ」

 

 〈ブリューナクの影霊衣〉は手札から捨てることでデッキから影霊衣モンスターを手札に呼べる効果を持っている。影霊衣デッキの中核を担うカードの一つだ。

 

「そして、手札に加えた〈ユニコールの影霊衣〉を捨てて効果を発動。あたしの墓地から〈ディサイシブの影霊衣〉を回収するよ!」

 

 〈ユニコールの影霊衣〉は手札から捨てることで墓地の影霊衣カードを回収できる。魔法や罠も選べるので状況に応じて柔軟に対応ができる。

 

「〈影霊衣の万華鏡〉を発動。エクストラデッキから〈ミスト・ウォーム〉を墓地へ送る!」

 

 サクラはエクストラデッキのモンスターを対価に儀式召喚の準備を整える。

 

「これでレベル9の儀式召喚が可能になった! 絆を結集した希望の象徴……再びお借りします! 儀式召喚! レベル10〈ディサイシブの影霊衣〉!」

 

 サクラの場に光柱が聳える。

 その光柱の中から屈強な肉体を持つ魚人のようなモンスターが姿を見せる。金と水色を基調とした巨大な砲塔3つを背中と両肩に装備している。

 

 

〈ディサイシブの影霊衣〉攻撃力3300→3500 守備力2300→2500 レベル10→9

 

 

「〈ディサイシブの影霊衣〉の効果を発動。夏樹君の伏せカード〈聖なるバリア -ミラーフォース-〉は破壊させてもらうよ!」

 

 サクラは自信たっぷりに、クリフの場に伏せられたリバースカードを指差す。

 すると、クリフは不敵な笑みを浮かべ、そのカードを翻す。

 

「かかったな春衣。リバースカードオープン〈グレイモヤ不発弾〉!」

「えっ!?」

 

 想定外の展開にサクラの頭がフリーズする。ただ、すぐに冷静になるとサクラは状況把握に動く。

 

「まさか、あたしが伏せカードを〈聖なるバリア -ミラーフォース-〉だと思い込むように、あえて〈森羅の施し〉の時に見せたの?」

「まーな。春衣ならちゃんと覚えていてくれてると思ったよ。まぁあえて見せた事が見破られてる可能性もあるから自信はなかったけどな。上手くいってなによりだ」

 

 サクラはクリフの掌で上で踊らされていたのだ。

 現状に慢心せず次のプレイングのために布石を置き続ける。そんなクリフの戦術にサクラは感心するしかなかった。

 

「〈グレイモヤ不発弾〉の効果で〈氷霊神ムーラングレイス〉と〈ディサイシブの影霊衣〉を対象にする。〈グレイモヤ不発弾〉は〈ディサイシブの影霊衣〉の効果で破壊され除外される。そして、〈グレイモヤ不発弾〉が破壊されたことで対象となった2体は破壊される」

 

 サクラの場から〈氷霊神ムーラングレイス〉と〈ディサイシブの影霊衣〉が消え、サクラの場は再び〈伝説の都 アトランティス〉だけになる。

 

「やられたよ。さすが夏樹君だね」

 

 サクラは素直にクリフのプレイングを褒める。静かに低く放たれた声から、勝利を諦めてしまったようにも映った。だが、そんなことはなかった。

 

 サクラは顔を上げ楽しそうにデュエルを続ける。

 

「だけどまだあたしのターンは終わってない! あたしの墓地の〈影霊衣の万華鏡〉の効果を発動だよ。〈影霊衣の万華鏡〉と〈ヴァルキュルスの影霊衣〉を除外して、デッキから〈影霊衣の降魔鏡〉を手札に加え、発動!」

 

 影霊衣儀式魔法カードは、自分の場にモンスターがいない時、コストを払うことでデッキから影霊衣の儀式魔法カードを呼ぶことができる。

 

 この立て直しの早さも影霊衣の強みの一つだ。

 

「あたしの墓地の〈ユニコールの影霊衣〉2体を除外する! これでレベル8の儀式召喚が可能になったよ! 魔の都を滅ぼした三叉槍の力……お借りします! 儀式召喚! レベル9〈トリシューラの影霊衣〉!」

 

 サクラの場に一人の青年が舞い降りる。

 攻撃的なトゲトゲしい氷の翼を広げ、その青年は立っていた。

 腕と頭部に竜の形の防具を身につけ、氷の大剣を右手で構えている。オッドアイのイケメンだ。

 

 

〈トリシューラの影霊衣〉攻撃力2700→2900 守備力2000→2200 レベル9→8

 

 

「引き当ててたか」

「〈トリシューラの影霊衣〉の効果で夏樹君の手札、フィールド、墓地のカードを1枚ずつ除外するよ!」

 

 オッドアイのイケメンは翼を大きく広げ、手に持つ剣を天高く掲げる。

 すると、無数の細かい氷の破片が混ざった吹雪がクリフを襲った。

 

 そして、クリフの手札の〈増草剤〉、場の〈森羅の仙樹 レギア〉、墓地の〈スポーア〉をそれぞれ氷漬けにし、次元の彼方へ吹き飛ばした。

 

 これでクリフの場のモンスターは四体。

 手札は〈聖なるバリア -ミラーフォース-〉一枚だけとなった。

 

 サクラは笑顔でバトルフェイズに突入する。

 

「〈トリシューラの影霊衣〉で〈森羅の仙樹 レギア〉に攻撃!」

 

 〈トリシューラの影霊衣〉の放った剣撃が瞬時に樹木を両断し、そして粉砕する。

 

 

【クリフ】LP:4700→4500

 

 

 これでクリフの場はパイナップルと綿毛トークン2体だけ。上級モンスターがいなくなってしまった。

 

「これであたしはターンエンドだよ!」

 

 

 聖約の宝札 通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分は儀式モンスター以外のモンスターを特殊召喚できず、通常召喚できない。

(1):自分の墓地のモンスターまたは除外されている自分のモンスターの中から、儀式モンスター3体を対象として発動できる。そのモンスター3体をデッキに加えてシャッフルする。その後、自分はデッキから3枚ドローする。

【オリジナル】

 

 ブリューナクの影霊衣(ネクロス) (レベル)6 水

[戦士族/儀式/効果]ATK/2300 DEF/1400

「影霊衣」儀式魔法カードにより降臨。

「ブリューナクの影霊衣」以外のモンスターのみを使用した儀式召喚でしか特殊召喚できない。

「ブリューナクの影霊衣」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードを手札から捨てて発動できる。デッキから「ブリューナクの影霊衣」以外の「影霊衣」モンスター1体を手札に加える。

(2):エクストラデッキから特殊召喚された、フィールドのモンスターを2体まで対象として発動できる。そのモンスターを持ち主のデッキに戻す。

 

 クラウソラスの影霊衣(ネクロス) (レベル)3 水

[戦士族/儀式/効果]ATK/1200 DEF/2300

「影霊衣」儀式魔法カードにより降臨。

このカードは儀式召喚でしか特殊召喚できない。

「クラウソラスの影霊衣」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードを手札から捨てて発動できる。デッキから「影霊衣」魔法・罠カード1枚を手札に加える。

(2):エクストラデッキから特殊召喚された、フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。ターン終了時まで、そのモンスターの攻撃力は0になり、効果は無効化される。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

 マリンメロウ・リチュアル・ドラゴン (レベル)7 水

[ドラゴン族/儀式/効果]ATK/2500 DEF/2000

「苹果の聖典」により降臨。

「マリンメロウ・リチュアル・ドラゴン」の(1)(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードを手札から捨て、相手フィールドのレベル5以上の効果モンスター1体を対象として発動できる。その相手モンスターの効果をターン終了時まで無効にする。

(2):???

(3):???

【オリジナル】

 

 儀式の準備 通常魔法

(1):デッキからレベル7以下の儀式モンスター1体を手札に加える。その後、自分の墓地の儀式魔法カード1枚を選んで手札に加える事ができる。

 

 影霊衣(ネクロス)の万華鏡 儀式魔法

「影霊衣」儀式モンスターの降臨に必要。

「影霊衣の万華鏡」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):儀式召喚するモンスターと同じレベルになるように、自分の手札・フィールドのモンスター1体をリリース、またはエクストラデッキのモンスター1体を墓地へ送り、手札から「影霊衣」儀式モンスターを任意の数だけ儀式召喚する。

(2):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、自分の墓地からこのカードと「影霊衣」モンスター1体を除外して発動できる。デッキから「影霊衣」魔法カード1枚を手札に加える。

 

 ユニコールの影霊衣(ネクロス) (レベル)4 水

[魔法使い族/儀式/効果]ATK/2300 DEF/1000

「影霊衣」儀式魔法カードにより降臨。

このカードは儀式召喚でしか特殊召喚できない。

「ユニコールの影霊衣」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードを手札から捨て、「ユニコールの影霊衣」以外の自分の墓地の「影霊衣」カード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、エクストラデッキから特殊召喚されたフィールドの表側表示モンスターの効果は無効化される。

 

 ディサイシブの影霊衣(ネクロス) (レベル)10 水

[ドラゴン族/儀式/効果]ATK/3300 DEF/2300

「影霊衣」儀式魔法カードにより降臨。

レベル10以外のモンスターのみを使用した儀式召喚でしか特殊召喚できない。

「ディサイシブの影霊衣」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードを手札から捨て、自分フィールドの「影霊衣」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力・守備力はターン終了時まで1000アップする。この効果は相手ターンでも発動できる。

(2):相手フィールドにセットされたカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊し、除外する。

 

 ミスト・ウォーム (レベル)9 風

[雷族/シンクロ/効果]ATK/2500 DEF/1500

チューナー+チューナー以外のモンスター2体以上

(1):このカードがS召喚に成功した場合、相手フィールドのカードを3枚まで対象として発動する。その相手のカードを持ち主の手札に戻す。

 

 グレイモヤ不発弾 永続罠

フィールド上に表側攻撃表示で存在するモンスター2体を選択して発動できる。選択したモンスターがフィールド上から離れた時、このカードを破壊する。このカードが破壊された時、選択したモンスターを破壊する。

 

 森羅の施し 通常魔法

デッキからカードを3枚ドローする。その後、「森羅」と名のついたカード1枚を含む手札のカード2枚を相手に見せ、好きな順番でデッキの上に戻す。手札に「森羅」と名のついたカードが無い場合、手札を全て相手に見せ、好きな順番でデッキの上に戻す。

「森羅の施し」は1ターンに1枚しか発動できない。

 

 ヴァルキュルスの影霊衣(ネクロス) (レベル)8 水

[魔法使い族/儀式/効果]ATK/2900 DEF/1700

「影霊衣」儀式魔法カードにより降臨。

レベル8以外のモンスターのみを使用した儀式召喚でしか特殊召喚できない。

「ヴァルキュルスの影霊衣」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):相手モンスターの攻撃宣言時に自分の墓地の「影霊衣」カード1枚を除外し、このカードを手札から捨てて発動できる。その攻撃を無効にし、その後バトルフェイズを終了する。

(2):自分メインフェイズに発動できる。自分の手札・フィールドのモンスターを2体までリリースし、リリースした数だけ自分はデッキからドローする。

 

 影霊衣(ネクロス)の降魔鏡 儀式魔法

「影霊衣」儀式モンスターの降臨に必要。

「影霊衣の降魔鏡」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):レベルの合計が儀式召喚するモンスターと同じになるように、自分の手札・フィールドのモンスターをリリース、またはリリースの代わりに自分の墓地の「影霊衣」モンスターを除外し、手札から「影霊衣」儀式モンスター1体を儀式召喚する。

(2):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、自分の墓地からこのカードと「影霊衣」モンスター1体を除外して発動できる。デッキから「影霊衣」魔法カード1枚を手札に加える。

 

 トリシューラの影霊衣(ネクロス) (レベル)9 水

[戦士族/儀式/効果]ATK/2700 DEF/2000

「影霊衣」儀式魔法カードにより降臨。

レベル9以外のモンスターのみを使用した儀式召喚でしか特殊召喚できない。

「トリシューラの影霊衣」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドの「影霊衣」モンスターが効果の対象になった時、このカードを手札から捨てて発動できる。その発動を無効にする。この効果は相手ターンでも発動できる。

(2):このカードが儀式召喚に成功した時に発動できる。相手の手札・フィールド・墓地のカードをそれぞれ1枚選び、その3枚を除外する。

 

 増草剤 永続魔法

(1):1ターンに1度、自分の墓地の植物族モンスター1体を対象として発動できる。その植物族モンスターを特殊召喚する。この効果でモンスターを特殊召喚するターン、自分は通常召喚できない。この効果で特殊召喚したモンスターがフィールドから離れた時にこのカードは破壊される。

 

 

【クリフ】LP:4500

手札:1枚

モンスター:ナチュル・パイナポー(守備) 綿毛トークン(守備)×2

魔法・罠:なし

 

【サクラ】LP:8000

手札:1枚

モンスター:トリシューラの影霊衣(攻撃)

魔法・罠:伝説の都 アトランティス

 

 

「俺のターン、ドロー」

 

 形勢を逆転されてしまった。

 だが、クリフが先程のターンまでに打った布石はまだ生きている。

 

「俺は墓地の〈スポーア〉の効果を発動。墓地の〈森羅の仙樹 レギア〉を除外して自身を特殊召喚」

 

 墓地より可愛らしいレベル1のチューナーモンスターが復活する。

 

 

〈スポーア〉レベル1→9

 

 

「〈スポーア〉は復活する時に除外したモンスターのレベルだけ自身のレベルを上昇させる」

 

 レベル9となり肥大化した〈スポーア〉。これがクリフの反撃の鍵。

 

「レベル1の綿毛トークンにレベル9となった〈スポーア〉をチューニング。星に根をはる大樹の防人よ、今こそ神星の力を得て闖入者を追い払え! シンクロ召喚! 出でよ、レベル10! 〈神樹の守護獣-牙王〉!」

 

 足音を轟かせクリフの場に現れたのは四足歩行の巨大な獣。白銀の防具を全身に纏い、鋭い黒い角を頭部と背中から二本ずつ生やしている。

 

 獣は咆哮すると、鋭い牙を煌めかせサクラの場のイケメンを威嚇する。

 

「さらに〈ナチュル・パイナポー〉をリリースし〈ナチュル・バンブーシュート〉をアドバンス召喚」

 

 続けて現れたのは、先ほど出てきた獣とは対照的なとても愛くるしいモンスター。

 幼い瞳をした丸いフォルムのタケノコだ。

 

「えっ!?」

 

 そのタケノコの登場にサクラは声を上げる。

 このタケノコ、見た目とは裏腹に強力な効果を持っている。

 同胞を生贄にして場に現れると、相手の魔法カードと罠カードを一切使えなくしてしまうのだ。

 

「魔法、罠カードの発動は封じさせてもらう」

 

 サクラの影霊衣デッキは儀式召喚が主軸のデッキ。儀式召喚には儀式魔法カードの発動が必須となる。

 それが封じられてしまったのだ。サクラにとってはかなりの痛手だ。

 

「バトル。〈神樹の守護獣-牙王〉で〈トリシューラの影霊衣〉に攻撃」

 

 オッドアイのイケメンは剣を振るい、氷の攻撃を放つ。だが、獰猛なクリフの獣はそれを一切受け付けず、そのイケメンを牙と角で一気に粉砕する。

 

 

【サクラ】LP:8000→7800

 

 

 これでサクラの場からモンスターが消えた。

 ここぞとばかりにクリフは追撃する。

「〈ナチュル・バンブーシュート〉でプレイヤーへダイレクトアタック」

 

 タケノコは勢い行く飛び跳ねるとサクラに体当たりする。

 

 

【サクラ】LP:7800→5800

 

 

「リバースカードを1枚セットしてターンエンドだ」

 

 

 神樹の守護獣-牙王 (レベル)10 地

[獣族/シンクロ/効果]ATK/3100 DEF/1900

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカードは、自分のメインフェイズ2以外では相手のカードの効果の対象にならない。

 

 ナチュル・バンブーシュート (レベル)5 地

[植物族/効果]ATK/2000 DEF/2000

「ナチュル」と名のついたモンスターをリリースしてアドバンス召喚に成功したこのカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、相手は魔法・罠カードを発動する事ができない。

 

 

「あたしのターン、ドロー」

 

 サクラは手札を眺める。

 タケノコによって魔法・罠カードの発動は封じられている。それに、このターンは〈氷霊神ムーラングレイス〉のデメリット効果でバトルフェイズを行えない。

 じっとしているのが得策だった。

 

「あたしはこれでターンエンドだよ」

 

 

【クリフ】LP:4500

手札:0枚

モンスター:神樹の守護獣-牙王(攻撃) ナチュル・バンブーシュート(攻撃) 綿毛トークン(守備)

魔法・罠:伏せ1枚

 

【サクラ】LP:5800

手札:2枚

モンスター:なし

魔法・罠:伝説の都 アトランティス

 

 

「俺のターン、ドロー」

 

 クリフはドローしたカードを確認する。

 

(このタイミングでこれかぁ。空気読んでくれや)

 

 クリフは心の中で文句を垂れると、すぐさまバトルフェイズに入った。

 

「流石の影霊衣もこの布陣の前じゃ動けないみたいだな。〈ナチュル・バンブーシュート〉でプレイヤーへダイレクトアタック!」

 

 タケノコがサクラへ襲いかかる。

 

「〈ナチュル・バンブーシュート〉はモンスター効果までは防げないよね! 手札の〈ヴァルキュルスの影霊衣〉の効果を発動だよ!」

「まーた呼び込めてるのかよ」

 

 サクラが手札から発動したのはレベル8の影霊衣儀式モンスターの効果だ。自身を墓地に捨て、墓地の同胞をコストにすることでバトルフェイズを強制終了できる。

 

「なかなか追い詰められんなぁ。リバースカードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

 

「あたしのターン、ドロー」

 

 これでサクラの手札は二枚。サクラはドローしたカードと手札の一枚を持ち替える。

 

「手札の〈マリンメロウ・リチュアル・ドラゴン〉を墓地に捨てて効果発動! 〈ナチュル・バンブーシュート〉の効果はターン終了時まで無効になるよ!」

「手札に呼び込むの早すぎだろ」

「あたしのフェイバリットカードだからね!」

 

 タケノコははしゃぐのをやめて、おとなしくなってしまった。

 

「続けて1000ポイントのライフを払って〈苹果の聖典〉を発動!」

 

 

【サクラ】LP:5800→4800

 

 

「あたしは除外されている〈ユニコールの影霊衣〉と〈ブリューナクの影霊衣〉をデッキに戻す! これでレベル10の儀式召喚が可能になった! 絆を結集した希望の象徴……またまたお借りします! 儀式召喚! レベル10〈ディサイシブの影霊衣〉!」

 

 サクラの墓地から三つの砲塔を装備した屈強な男が蘇る。

 

 

〈ディサイシブの影霊衣〉攻撃力3300→3500 守備力2300→2500 レベル10→9

 

 

「相変わらずチート性能な儀式魔法だなそれ」

 

 クリフが嘆くのも無理はない。

 〈苹果の聖典〉はライフコストがあるとはいえ、儀式召喚のための生贄を除外ゾーンからも用意でき、儀式召喚も墓地から可能という、とんでもない性能の儀式魔法カードなのだ。

 

「〈ディサイシブの影霊衣〉の効果で今度こそ〈聖なるバリア -ミラーフォース-〉は破壊だよっ!」

 

 クリフの場の〈聖なるバリア -ミラーフォース-〉が次元の彼方へ飛ばされる。

 クリフの場には先ほどのターンに伏せられたもう一枚のリバースカードがあるが、このターンでタケノコを葬らなければサクラは確実に負ける状況だった。

 攻撃を躊躇している場合じゃ無い。

 

「バトル! 〈ディサイシブの影霊衣〉で〈ナチュル・バンブーシュート〉に攻撃だよ!」

 

 男の装備した砲塔から青白い閃光が放たれる。それ瞬時にタケノコを蒸発させてしまった。

 

「たった2ターンで処理されるとはなぁ」

 

 

【クリフ】LP:4500→3000

 

 

「ふぅ。これでターンエンドだよ」

 

 

 マリンメロウ・リチュアル・ドラゴン (レベル)7 水

[ドラゴン族/儀式/効果]ATK/2500 DEF/2000

「苹果の聖典」により降臨。

「マリンメロウ・リチュアル・ドラゴン」の(1)(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードを手札から捨て、相手フィールドのレベル5以上の効果モンスター1体を対象として発動できる。その相手モンスターの効果をターン終了時まで無効にする。

(2):???

(3):???

【オリジナル】

 

 苹果の聖典 儀式魔法

レベル5以上の儀式モンスターの降臨に必要。

「苹果の聖典」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):1000LPを払って発動できる。レベルの合計が儀式召喚するモンスターと同じレベルになるように、自分の手札・フィールドのモンスターをリリース、またはリリースの代わりに除外されている自分の儀式モンスターをデッキに戻し自分の手札・墓地からレベル5以上の儀式モンスター1体を儀式召喚する。

(2):???

 

 

【クリフ】LP:3000

手札:0枚

モンスター:神樹の守護獣-牙王(攻撃) 綿毛トークン(守備)

魔法・罠:伏せ1枚

 

【サクラ】LP:4800

手札:0枚

モンスター:ディサイシブの影霊衣(攻撃)

魔法・罠:伝説の都 アトランティス

 

 

「俺のターン、ドロー」

 

 クリフの場には強力なモンスターである〈神樹の守護獣-牙王〉がいるが、サクラの場の〈ディサイシブの影霊衣〉には敵わなかった。

 このままターンを終えれば次のターンには処理されてしまう。

 

「スタンバイフェイズに〈ナチュル・パイナポー〉の効果発動。墓地から特殊召喚」

 

 パイナップルがクリフ場に攻撃表示で復活する。

 

「〈コピー・プラント〉を通常召喚。〈コピー・プラント〉の効果を発動。自身のレベルを〈神樹の守護獣-牙王〉と同じレベル10にする」

「あれっ? 〈神樹の守護獣-牙王〉は確か獣族じゃなかったっけ」

「〈ナチュル・パイナポー〉は俺の全てのモンスターを植物族にするの忘れた?」

「あっ。そうだったね」

 

 

〈神樹の守護獣-牙王〉獣族→植物族

〈コピー・プラント〉レベル1→10

 

 

 これでレベル10のモンスターが二体揃った。

 

「〈神樹の守護獣-牙王〉とレベル10となった〈コピー・プラント〉でオーバーレイ! エクシーズ召喚! 戦果の褒美はすぐそこだ。貪欲な大蜘蛛よ、戦場で捕らえた脆弱な獲物を暴食せよ! 喰らいつくせ、ランク10! 〈No.35 ラベノス・タランチュラ〉!」

 

 ニ体のモンスターが渦の中へと消えると一気にそれは爆発した。そして、その爆発の中より現れたのは一体の大蜘蛛。八つの足をうねうね不規則に動かし、大きな目でサクラを捉える。背中には35という数字が緑色に浮かび上がっている。

 

「み、見た目が……」

「安心して。俺もちょっと苦手な見た目だ」

 

 二人して鳥肌が立っていた。特にサクラは目の前にいるせいで全身が視界に入る。悪寒を感じてしまうのは仕方がないだろう。

 

「だけど効果は強いぞ。〈No.35 ラベノス・タランチュラ〉の効果は俺と春衣のライフの差だけ俺のモンスターのステータスをアップさせる」

 

 現在のライフポイント差は1800。

 よって、クリフの場のモンスターはステータスが上昇する。

 

 

〈No.35 ラベノス・タランチュラ〉攻撃力0→1800 守備力0→1800

〈ナチュル・パイナポー〉攻撃力100→1900 守備力100→1900

〈綿毛トークン〉攻撃力0→1800 守備力0→1800

 

 

「綿毛トークンを攻撃表示に変更。バトルだ! 綿毛トークンで〈ディサイシブの影霊衣〉に攻撃」

「特攻……。そっか!」

 

 自身より攻撃力が高いモンスターで攻撃を仕掛ける。しかも、効果を持たないトークンで、だ。普通に考えればただの自殺行為。

 だが、クリフがそんな自暴自棄なプレイングをするわけがない。サクラはクリフの狙いを察した。

 

 

【クリフ】LP:3000→1300

 

 

「これでライフ差は3500」

 

 

〈No.35 ラベノス・タランチュラ〉攻撃力1800→3500 守備力1800→3500

〈ナチュル・パイナポー〉攻撃力1900→3600 守備力1900→3600

 

 

「これで攻撃力が逆転した」

 

 これがクリフの狙い。

 ライフポイントの差を広げ、残った自軍モンスターのステータスをさらに上昇させた。サクラのモンスターを葬るために。

 

「肉を切らせて骨を断つってやつかな」

「そういうこと。〈ナチュル・パイナポー〉で〈ディサイシブの影霊衣〉に攻撃」

 

 

【サクラ】LP:4800→4700

〈No.35 ラベノス・タランチュラ〉攻撃力3500→3400 守備力3500→3400

〈ナチュル・パイナポー〉攻撃力3600→3500 守備力3600→3500

 

 

「ターンエンドだ」

 

 

 コピー・プラント (レベル)1 風

[植物族/効果]ATK/0 DEF/0

1ターンに1度、このカード以外のフィールド上の植物族モンスター1体を選択して発動できる。このカードのレベルはエンドフェイズ時まで、選択したモンスターと同じレベルになる。

 

 No(ナンバーズ).35 ラベノス・タランチュラ (ランク)10 闇

[昆虫族/シンクロ/効果]ATK/0 DEF/0

レベル10モンスター×2

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分フィールドのモンスターの攻撃力・守備力は、自分と相手のLPの差の数値分アップする。

(2):X素材を持ったこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手がモンスターを特殊召喚する度に相手に600ダメージを与える。

(3):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。このカードの攻撃力以下の攻撃力を持つ相手フィールドのモンスターを全て破壊する。

 

 

 サクラは目の前の大蜘蛛を見つめる。

(〈No.35 ラベノス・タランチュラ〉がいなくなったら〈ナチュル・パイナポー〉の攻撃力も100に戻る。夏樹君が絶対有利ってわけじゃない)

 

 サクラは自分の場に視線を落とす。

 

(だけど、元々の攻撃力が1300を超えているモンスターを呼び出されたら、あたしは負ける。このターンで〈No.35 ラベノス・タランチュラ〉を処理する必要がある)

 

「あたしのターン、ドロー」

 

 引き当てたカードを見るなり、サクラは笑みを浮かべた。

 

「よし! 墓地の〈影霊衣の降魔鏡〉の効果を発動。〈影霊衣の降魔鏡〉と〈ディサイシブの影霊衣〉を除外してデッキから〈影霊衣の万華鏡〉を手札に加えるよ」

 

 影霊衣儀式魔法カード共通の効果を使い、サクラはデッキから儀式魔法カードを呼び込む。

 

「〈影霊衣の万華鏡〉を発動。エクストラデッキから〈ダイガスタ・ファルコス〉を墓地へ送る! これでレベル4の儀式召喚が可能になった! 侵略者を迎え撃った兵器の力……お借りします! 儀式召喚! レベル5〈カタストルの影霊衣〉!」

 

 大きな金色のかぎ爪を装備した青い魚人が現れた。

 

 

〈カタストルの影霊衣〉攻撃力2200→2400 守備力1200→1400 レベル5→4

 

 

「相手の場にモンスターが特殊召喚されたことで〈No.35 ラベノス・タランチュラ〉の効果が発動する」

 

 大蜘蛛には特殊召喚が行われる度に、相手に600ポイントのダメージを与える効果がある。

 せっかく広げたライフポイント差が縮まってしまった。

 

 

【サクラ】LP:4700→4100

〈No.35 ラベノス・タランチュラ〉攻撃力3400→2800 守備力3400→2800

〈ナチュル・パイナポー〉攻撃力3500→2900 守備力3500→2900

 

 

「〈カタストルの影霊衣〉で〈No.35 ラベノス・タランチュラ〉に攻撃だよ!」

 

 ライフポイントの差が縮まったとはいえ、まだ〈No.35 ラベノス・タランチュラ〉の攻撃力は2800だ。

 攻撃力2400の〈カタストルの影霊衣〉では太刀打ちできない。

 だが、それはサクラも理解していた。サクラは戦闘で大蜘蛛を葬る気は無かった。

 

「〈カタストルの影霊衣〉はエクストラデッキから特殊召喚されたモンスターと戦う時、そのモンスターを効果で破壊できる!」

 

 魚人のかぎ爪から放たれた、爪の形をした金色のビームが大蜘蛛身体を貫いた。

 

「〈No.35 ラベノス・タランチュラ〉がいなくなったことで、夏樹君の〈ナチュル・パイナポー〉のステータスは元に戻るよ!」

 

 

〈ナチュル・パイナポー〉攻撃力3500→100 守備力3500→100

 

 

「ターンエンド!」

 

 

 ダイガスタ・ファルコス (レベル)4 風

[サイキック族/シンクロ/効果]ATK/1400 DEF/1200

チューナー+チューナー以外の「ガスタ」と名のついたモンスター1体以上

このカードがシンクロ召喚に成功した時、フィールド上の全ての「ガスタ」と名のついたモンスターの攻撃力は600ポイントアップする。

 

 カタストルの影霊衣(ネクロス) (レベル)5 水

[ドラゴン族/儀式/効果]ATK/2200 DEF/1200

「影霊衣」儀式魔法カードにより降臨。

「カタストルの影霊衣」以外のモンスターのみを使用した儀式召喚でしか特殊召喚できない。

「カタストルの影霊衣」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードを手札から捨て、自分の墓地の「影霊衣」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

(2):自分の「影霊衣」モンスターがエクストラデッキから特殊召喚されたモンスターと戦闘を行うダメージステップ開始時に発動する。そのモンスターを破壊する。

 

 

【クリフ】LP:3000

手札:0枚

モンスター:ナチュル・パイナポー(攻撃)

魔法・罠:伏せ1枚

 

【サクラ】LP:4100

手札:0枚

モンスター:カタストルの影霊衣(攻撃)

魔法・罠:伝説の都 アトランティス

 

 

 またまた形勢を逆転されてしまった。

 サクラの場の魚人は戦闘を介することでエクストラデッキから出てきたモンスターを問答無用で葬れる。

 ただエクストラデッキからモンスターを出しただけじゃ対抗できない。

 

 それにクリフの手札は0枚。

 場にいるのは攻撃力がたった100しかないパイナップルとブラフとして伏せた腐った魔法カードが一枚のみ。

 このドローで敗北が決定してしまう恐れもある。

 

「俺のターン」

 

 だが、勝利へ導いてくれるカードの可能性もある。

 

「ドロー! 来たあァ!〈レスキューラビット〉召喚!」

 

 クリフはドローしたカードを見るなり、フィールドに出現させる。

 

「〈レスキューラビット〉の効果を発動! このカードを除外しデッキから〈エンジェル・トランペッター〉2体を特殊召喚」

 

 〈レスキューラビット〉はデッキから同名の通常モンスターを二体呼び出せるのだ。

 これでクリフの場のモンスターは三体。

 しかも呼び出された二体はシンクロ召喚を可能にするチューナーモンスターだ。

 

「レベル2の〈ナチュル・パイナポー〉にレベル4の〈エンジェル・トランペッター〉2体をダブルチューニング!」

 

 二体のお花は、それぞれ緑色の輪四つに姿を変える。その緑の輪は空中で道を作るように一列となる。パイナップルはその緑色の輪の道を潜っていく。

 

「王者と悪魔、今ここに交わる。赤き竜の魂に触れ、天地創造の雄たけびをあげよ! シンクロ召喚! 現れろ! レベル10! 〈レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント〉!」

 

 その輪っかは閃光を放ち光柱となる。

 そして、その光柱から一匹の竜が現れる。

 渦巻く炎を己の身に纏わせ、禍々しい黒き翼を広げてクリフの場へと舞い降りる。

 場を震撼させる威圧感から竜というより悪魔と呼ぶのが相応しいかもしれない。

 

「〈レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント〉の効果を発動! フィールドの自身以外のカードを全て破壊する! アブソリュート・パワー・インフェルノ!」

 

 悪魔は大地に手をつける。そこから大地を抉るように炎が吹き出した。場にあるものは、その悪魔を除き全てがその炎の中へ飲み込まれていった。

 クリフの場に伏せてあった〈RUM-七皇の剣〉も。

 

「夏樹君。なかなかしぶといね」

「お前に言われたくねーわ!」

 

 サクラにツッコミを入れると、クリフはフェイズをバトルフェイズへ移行する。

 

「〈レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント〉で春衣にダイレクトアタック! 獄炎のクリムゾンヘルタイド!」

 

 悪魔はがら空きになったサクラの場を飛行し、上空からサクラへ炎を叩き込んだ。

 

「ううぅっっ!」

 

 悪魔の腕より放たれた炎に包まれサクラは叫び声をあげた。サクラは身体を縮こませて、その場でじっとその炎が止むのを待った。

 

 

【サクラ】LP:4100→600

 

 

「王手かなぁ。ターンエンドだ」

 

 

 レスキューラビット (レベル)4 地

[獣族/効果]ATK/300 DEF/100

「レスキューラビット」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

このカードはデッキから特殊召喚できない。

(1):フィールドのこのカードを除外して発動できる。デッキからレベル4以下の同名の通常モンスター2体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズに破壊される。

 

 エンジェル・トランペッター (レベル)4 地

[植物族/チューナー]ATK/1900 DEF/1600

天使の様な美しい花。絶えず侵入者を惑わす霧を生み出し、聖なる獣たちが住まう森の最深部へ立ち入ることを許さない。

 

 レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント (レベル)10 闇

[ドラゴン族/シンクロ/効果]ATK/3500 DEF/3000

チューナー2体+チューナー以外のモンスター1体以上

このカードはS召喚でしか特殊召喚できない。

「レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズ1に発動できる。このカード以外のフィールドのカードを全て破壊する。このターン、このカード以外の自分のモンスターは攻撃できない。

(2):バトルフェイズに魔法・罠カードが発動した時に発動できる。その発動を無効にして破壊し、このカードの攻撃力を500アップする。

 

 RUM(ランクアップマジック)七皇の剣(ザ・セブンス・ワン) 通常魔法

自分のドローフェイズ時に通常のドローをしたこのカードを公開し続ける事で、そのターンのメインフェイズ1の開始時に発動できる。「CNo.」以外の「No.101」~「No.107」のいずれかをカード名に含むモンスター1体を、自分のエクストラデッキ・墓地から特殊召喚し、そのモンスターと同じ「No.」の数字を持つ「CNo.」と名のついたモンスターをその特殊召喚したモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。

「RUM-七皇の剣」の効果はデュエル中に1度しか適用できない。

 

 

「王手かどうかはこのドローで決まるかな! あたしのターン!」

 

 サクラはデッキから勢いよくカードを引き抜く。

 

「ドロー!」

 

 サクラの手札に舞い込んだのは、このデュエルに決着をつける魔法カード。

 

「あたしの墓地の〈影霊衣の万華鏡〉の効果を発動! 墓地の〈影霊衣の万華鏡〉と〈カタストルの影霊衣〉を除外して、デッキから〈影霊衣の反魂術〉を手札に加えるよ!」

 

 サクラは儀式魔法カードをデッキからサーチすると、そのカードをこのターンにドローしたカードと持ち替える。

 

「〈新海の宝石〉を発動だよ! 相手はデッキから1枚ドローする。そして、あたしはデッキトップのカード3枚を確認して、その中からレベル5以上の水属性モンスターをサーチできる!」

 

 サクラは賭けに出た。

 これで目当てのカードを呼び込めればサクラは勝利できる。

 だが、逆に何も呼び込めなければその時点でサクラの敗北が確定する。

 

 めくった三枚の中にあったのは──。

 

「あたしは〈ブリューナクの影霊衣〉を手札に加えるよ!」

「流石だなやっぱり」

 

 サクラの強運にクリフは苦笑するしか無かった。

 

「〈ブリューナクの影霊衣〉を手札から墓地に捨てて効果を発動! デッキから〈影霊衣の術士 シュリット〉を手札に加えるよ」

 

 サクラはこのターンの最初にデッキからサーチした儀式魔法カードに手をかける。

 

「そして、〈影霊衣の反魂術〉を発動! 手札の〈影霊衣の術士 シュリット〉をリリース。これでレベル9の儀式召喚が可能になったよ! 魔の都を滅ぼした三叉槍の力……再びお借りします! 儀式召喚! レベル9! 〈トリシューラの影霊衣〉!」

 

 サクラの場に一人の青年が蘇る。

 攻撃的なトゲトゲしい氷の翼を広げ、氷の大剣を右手で構えたオッドアイのイケメンだ。

 

「〈トリシューラの影霊衣〉の効果を発動! 夏樹君の手札、フィールド、墓地からそれぞれカードを1枚除外する!」

 

 クリフの手札と場の〈レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント〉、墓地の〈ナチュル・パイナポー〉がそれぞれ除外される。

 

 これでクリフの場はがら空きとなった。

 

「あたしが王手だったね! 〈トリシューラの影霊衣〉でダイレクトアタック!」

 

 

【クリフ】LP:1300→0

 

 

 影霊衣(ネクロス)の反魂術 儀式魔法

「影霊衣」儀式モンスターの降臨に必要。

「影霊衣の反魂術」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):レベルの合計が儀式召喚するモンスターと同じになるように、自分の手札・フィールドのモンスターをリリースし、自分の手札・墓地から「影霊衣」儀式モンスター1体を儀式召喚する。

(2):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、自分の墓地からこのカードと「影霊衣」モンスター1体を除外して発動できる。デッキから「影霊衣」魔法カード1枚を手札に加える。

 

 新海の宝石 通常魔法

「新海の宝石」は1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分はモンスターを通常召喚できない。

(1):自分のデッキの上からカードを3枚めくり、その中からレベル5以上の水属性モンスター1体を選んで手札に加え、その後残りのカードをデッキの一番下に戻し、相手はデッキから1枚ドローする。

【オリジナル】

 

 影霊衣(ネクロス)の術士 シュリット (レベル)3 水

[戦士族/効果]ATK/300 DEF/1800

「影霊衣の術士 シュリット」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):「影霊衣」儀式モンスター1体を儀式召喚する場合、このカード1枚で儀式召喚に必要なレベル分のリリースとして使用できる。

(2):このカードが効果でリリースされた場合に発動できる。デッキから戦士族の「影霊衣」儀式モンスター1体を手札に加える。

 

 

「また負けたか。今回は良いところまで行ったんだけどなぁ」

「惜しかったよね。あたしずっと冷や冷やしてたもん」

 

 クリフとサクラは空き地に無造作に置いてある土管にもたれかかる。

 

「そういえば〈RUM-七皇の剣〉をデッキに入れてたんだね」

「あぁ。なんかオリオンも入れてるっていうし、それに森羅とも相性いいからな。まぁ今回活躍できず腐ってましたけど」

「決まると強いもんね、あれ」

「それに格好良いしな。最後の切り札みたいで」

 

 クリフは操作画面を開いた。

 

「なんだかんだ楽しかったよ。誘ってくれありがとな」

「うん。あたしも楽しかったよ」

「明日のオリオンとのデュエル楽しめよー。じゃあなー!」

 

 クリフはそう言い残すとターミナルからログアウトした。空き地に一人残されたサクラは空を見上げた。

 

 ターミナルはすっかり夜になっていた。

 無数の星々が己の存在を主張するように輝いていた。

 

「頑張れ、でも、絶対勝てよ、でもなく『楽しめよ』か。夏樹君らしいや」

 

 サクラはふっと笑うと、ご機嫌でターミナルを後にした。

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