遊☆戯☆王 ーArtificial Divine Taleー   作:ばるどふぉるす

3 / 3
003:『水 の 都』

 蒼月春衣(そうげつはるえ)は夕飯を済ませると自分の部屋でくつろいでいた。

 

「そういえば今日って……」

 

 何かを思い出した春衣は、パソコンを開き、ターミナルの中継を見始めた。

「明日の参考にさせてもらいますか」

 

 春衣が開いたターミナルの中継にはスタジアムのような何処かの会場が映し出されていた。

 

 そのスタジアムの壇上には一人のアフロ男がマイクを構えて立っていた。

 

「さーて! 今日のカリスマデュエリストチャレンジの挑戦者を発表しーまーす!」

「「「おおぉ!!」」」

 

 そのアフロ男の発言の直後、会場から歓声が巻き起こった。

 

「挑戦者は様々な話題で社会を賑わすこの男! キャックス・デトラーチ!」

 

 直後映像が切り替わった。

 映し出されたのは、アフロ男がいる壇上の端だった。

 赤と緑が入り混じった奇抜な頭に、金色のスーツという自己主張の激しい男がいた。

 その男は髪を掻き上げながら、壇上の中央にいるアフロ男の元へ歩を進めて行く。

 

「彼はあのデトラーチ財閥の御曹司。アカウント名が本名と同じなあたり彼の自信家っぷりが伺えます」

「カリスマだかなんだか知らんが、俺の力に怯むがいい」

 

 キャックスがアフロ男の元へ到着すると、再び映像が切り替わった。

 映し出されたのは先ほどは真逆の壇上の端だった。

 

「さて。そんな挑戦者を迎え撃つカリスマデュエリストは……現在ランキング3位! 光の騎士たちを束ねる美少女! オリオンだあぁぁ!!」

「「「「おおおぉぉ!!!」」」」

 

 先ほどのキャックスとは倍近い歓声が壇上を包んだ。

 

 黒いミニドレスの細身の少女がゆっくりとアフロ男とキャックスの元へ歩いていく。

 少女が歩くたびフリルスカートが揺れ、奥から真っ白な太ももが顔を出す。彼女の落ち着きぶりと合わせ、とてもセクシーに映る。

 

 そんな彼女を画面越しに見ていた春衣は、ジュース片手に苦笑する。

 

「冬星ってばカッコつけすぎだって」

 

 会場の歓声は止むどころか勢いを増すばかりだった。

 壇上を様々な声が駆け巡っていた。

 

「ちょーかわいい!」

「エロすぎだぞー!」

「結婚してくれぇ!」

「ぺったんこー!」

 

 オリオンの動きが止まった。

 

「誰!? 今ぺったんことか言ったのは!?」

 

 オリオンは声が聞こえた方へ身体を向けると、両脇を締める。

 

「ちゃんと見なさい! 胸あるでしょ!」

 

 オリオンは中腰になり薄い胸元を観客へ見せつける。

 

 突然のファンサービスに会場の歓声は更に勢いを増した。特に男性陣だが。

 

「「「「オオオォォォ!」」」」

 

 そんなオリオンの姿に、画面向こうの春衣は右手で額を抑えていた。

 

「冬星なにやってんの……。見てるこっちまで恥ずかしくなるよ」

 

 オリオンもアフロ男の元へ到着し、キャックスと向かい合った。

 

「さて。お二人とも準備はいいですか!?」

 

 アフロ男は二人確認をとると、キャックスは一歩前へ出る。

 

「カリスマだかなんだか知らんが叩き潰してやるぜ」

「私もそうね。あなたなんか知らないけどはたき落としてあげる」

 

 キャックスの挑発に、オリオンは冷たく笑った。

 二人がデュエルディスクを構えた直後、アフロ男が叫んだ。

 

「デュエルスタアアァァトッ!」

 

「「デュエル!」」

 

 

【オリオン】LP:8000 【キャックス】LP:8000

 

 

「私のターン。〈手札断殺〉を発動! お互いに手札を2枚墓地に送ってカードを2枚ドローする」

「手札入れ替えかぁ。助かるぜ」

 

 オリオンは〈カゲトカゲ〉、〈星因士 ベガ〉を、キャックスは〈海皇龍 ポセイドラ〉、〈海皇の長槍兵〉をそれぞれ墓地へと送った。

 

「私は〈星因士 アルタイル〉を通常召喚!」

 

 オリオンの場に現れたのは金色の装備に身を包んだ青い光の戦士。墓地から同胞を蘇生できる効果を持っている。

 

「〈星因士 アルタイル〉の効果! 墓地から〈星因士 ベガ〉を守備表示で特殊召喚!」

 

 アルタイルの隣に、金色の装備を身につけた光の女戦士が現れる。彦星と織姫がオリオンの場に揃った。

 

「続けて〈星因士 ベガ〉が特殊召喚されたことで効果が発動! 手札から〈星因士 デネブ〉を守備表示で特殊召喚!」

 

 二体の隣に金色の装備をした純白の戦士が舞い降りる。これでオリオンの場に三体の光戦士が集った。

 

「さらに! 〈星因士 デネブ〉が特殊召喚されたことで効果が発動! 私はデッキから〈星因士 アルタイル〉を手札に加える」

 

「でたァ! オリオンの夏の大三角コンボ! 流れるように特殊召喚を繰り返し盤上に3体のモンスターを揃えました!」

「ほぉー。すげえな。来るか。お得意のエクシーズ召喚」

 

 キャックスの言葉にオリオンはふっと笑う。

 

「リバースカードを1枚セットしてターンエンド」

 

 

 

 手札断殺 速攻魔法

(1):お互いのプレイヤーは手札を2枚墓地へ送る。その後、それぞれデッキから2枚ドローする。

 

 カゲトカゲ (レベル)4 闇

[爬虫類族/効果]ATK/1100 DEF/1500

このカードは通常召喚できない。自分がレベル4モンスターの召喚に成功した時、このカードを手札から特殊召喚できる。このカードはシンクロ素材にできない。

 

 星因士(サテラナイト) ベガ (レベル)4 光

[戦士族/効果]ATK/1200 DEF/1600

「星因士 ベガ」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。手札から「星因士 ベガ」以外の「テラナイト」モンスター1体を特殊召喚する。

 

 海皇龍 ポセイドラ (レベル)7 水

[海竜族/効果]ATK/2800 DEF/1600

自分フィールド上のレベル3以下の水属性モンスター3体をリリースして発動できる。このカードを手札または墓地から特殊召喚する。この効果で特殊召喚に成功した時、フィールド上の魔法・罠カードを全て持ち主の手札に戻す。この効果でカードを3枚以上手札に戻した場合、相手フィールド上の全てのモンスターの攻撃力は手札に戻したカードの数×300ポイントダウンする。

 

 海皇の長槍兵 (レベル)2 水

[海竜族]ATK/1400 DEF/0

海底を支配していると言われる、海皇に仕える長槍兵。深く暗い海の底から襲いかかる長槍の連続攻撃は、深海魚たちに恐れられている。

 

 星因士(サテラナイト) アルタイル (レベル)4 光

[戦士族/効果]ATK/1700 DEF/1300

「星因士 アルタイル」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した場合、「星因士 アルタイル」以外の自分の墓地の「テラナイト」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。この効果の発動後、ターン終了時まで「テラナイト」モンスター以外の自分フィールドのモンスターは攻撃できない。

 

 星因士(サテラナイト) デネブ (レベル)4 光

[戦士族/効果]ATK/1500 DEF/1000

「星因士 デネブ」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「星因士 デネブ」以外の「テラナイト」モンスター1体を手札に加える。

 

 

「おっと。エクシーズ召喚はしないようだ。様子見の構えか!?」

「エクシーズ召喚しないのか。がっかりだぜ」

 

 キャックスは「やれやれ」と強者の振る舞いを見せる。挑戦者は彼なのだが、王者にも見える雰囲気が醸し出されているのが不思議だ。

 

「もし油断しているなら後悔することになるぜ。俺のターン、ドロー!」

 

 キャックスはドローしたカードを手札にはせず、そにままデュエルディスクに叩きつける。

 

「永続魔法〈ウォーターハザード〉発動だ。こいつは俺の場にモンスターがいない時に手札のレベル4以下の水属性モンスターを呼び出せるカードだ」

 

 キャックスはオリオンを見据えると嘲笑する。

 

「どうだ驚いたか」

「効果知ってるから別に驚かないわよ」

「冷めた奴だな。俺は〈氷弾使いレイス〉を特殊召喚だ」

 

 キャックスの虚栄をオリオンは冷たく受け流す。

 

「〈氷弾使いレイス〉……」

 

 実況を自室で見ていた春衣の脳裏にとあるビジョンがよぎる。

 

 それは一人の少女。

 その少女は楽しそうにデュエルをしていた。

 

「〈氷結界の舞姫〉に〈氷弾使いレイス〉をチューニング!」

 

「シンクロ召喚、レベル6! 〈氷結界の虎王ドゥローレン〉!」

 

 氷の猛虎が現れた瞬間、春衣の思考は現実に引き戻される。

 

「今のは一体……」

 

 春衣が冷や汗をかいている一方で、画面の中ではオリオンとキャックスのデュエルが進行していた。

 

「さらに通常魔法〈浮上〉発動! 墓地からレベル3以下の水属性・海竜族モンスターを呼び出せる。あんたが使った〈手札断殺〉のおかげだぜ。来い、〈海皇の長槍兵〉!」

 

 キャックスの場に現れたのはレベル2の通常モンスター。

 

「俺はこのターンまだ通常召喚はしていない。来い、〈ニードル・ギルマン〉!」

 

 赤い三又槍を持った青い半魚人がキャックスの場に出現する。

 

「おっと。期待の新人キャックスもオリオンに習い3体のモンスターを盤上に並べたぞ!」

「リバースカード2枚をセット。これで準備は整ったぜ」

 

 キャックスは不敵に笑むと、墓地のモンスターの効果を起動させる。

 

「俺は墓地の〈海皇龍 ポセイドラ〉の効果を発動するぜ。俺の場のモンスター3体をリリースして墓地からこいつを復活させる!」

 

 キャックスの場のモンスター達が消えると、そこに獰猛な海竜が現れる。

 金色の装飾品や防具を身につけ己の力を誇示している。

 

「おっとぉ! 攻撃力2800のモンスターが1ターン目から登場だ!」

「〈海皇龍 ポセイドラ〉の効果発動だ! 場にある全ての魔法、罠カードを手札に戻し、その枚数分お前のモンスターの攻撃力を下げる!」

 

 ポセイドラは咆哮を上げる。すると、水の渦が出現し、それは二人の場のリバースカードを洗い流した。

 

「戻したカードは4枚。オリオンのフィールドのモンスターは全て攻撃力が1200ポイントダウンしてしまったぞ!」

 

 

〈星因士 アルタイル〉攻撃力1700→500

〈星因士 ベガ〉攻撃力1200→0

〈星因士 デネブ〉攻撃力1500→300

 

 

「まだだ! 手札から通常魔法〈テラ・フォーミング〉を発動し、デッキから〈伝説の都 アトランティス〉を手札に加え発動! 今からこのフィールドは伝説の都と化す!」

 

 

〈海皇龍 ポセイドラ〉攻撃力2800→3000 守備力1600→1800 レベル7→6

 

 

「バトルフェイズだ! 〈海皇龍 ポセイドラ〉で〈星因士 アルタイル〉を攻撃!」

 

 ポセイドラの咆哮により生じた竜巻に巻き込まれ、オリオンのアルタイルは粉砕される。

 

「〈星因士 アルタイル〉撃破!」

 

 

【オリオン】LP:8000→5500

 

 

「オリオンのライフポイントが2500ポイントも削られてしまったぞ!」

「エクシーズ召喚して強力なモンスターを呼び出していればこんなにライフポイントは減らされずに済んだんだぜ」

「そうね。だけど私のフィールドにはまだモンスターが2体も残っているわ」

 

 オリオンは冷たく笑う。

 

「そんなにエクシーズ召喚が見たいなら、次のターンで披露してあげる」

「ほーう。楽しみだ。攻撃力3000の俺様の〈海皇龍 ポセイドラ〉を倒してもらおうじゃねーか! ターンエンドだ!」

 

 

 ウォーターハザード 永続魔法

自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、手札からレベル4以下の水属性モンスター1体を特殊召喚できる。この効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

 氷弾使いレイス (レベル)2 水

[海竜族/チューナー/効果]ATK/800 DEF/800

このカードはレベル4以上のモンスターとの戦闘では破壊されない。

 

 浮上 通常魔法

自分の墓地のレベル3以下の魚族・海竜族・水族モンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターを表側守備表示で特殊召喚する。

 

 ニードル・ギルマン (レベル)3 水

[海竜族/効果]ATK/1300 DEF/0

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分フィールド上の魚族・海竜族・水族モンスターの攻撃力は400ポイントアップする。

 

 テラ・フォーミング 通常魔法

(1):デッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加える。

 

 伝説の都 アトランティス フィールド魔法

このカード名はルール上「海」として扱う。

(1):フィールドの水属性モンスターの攻撃力・守備力は200アップする。

(2):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、お互いの手札・フィールドの水属性モンスターのレベルは1つ下がる。

 

 

【オリオン】LP:5500

手札:3枚

モンスター:星因士 ベガ(守備) 星因士 デネブ(守備)

魔法・罠:なし

 

【キャックス】LP:8000

手札:1枚

モンスター:海皇龍 ポセイドラ(攻撃)

魔法・罠:伏せ1枚 伝説の都 アトランティス

 

 

「私のターン、ドロー」

 

 これでオリオンの手札は四枚。様々な戦術が繰り出せる手札の枚数だ。

 

「まずは露払いと行こうかしら。〈サイクロン〉を発動。貴方のリバースカード破壊させてもらう」

 

 キャックスの場に伏せられていた〈竜巻海流壁〉が竜巻によって破壊される。

 

「くっ!」

「なるほど。守りのカードもあったから強気でいられたのね」

 

 〈竜巻海流壁〉は海がある時に自分が受ける戦闘ダメージ0にできる永続罠カードだ。

 

「いられたってなんだ。〈竜巻海流壁〉が無くても俺の場には攻撃力3000の〈海皇龍 ポセイドラ〉がいるぜ」

「攻撃力なんて飾りよ」

「なんだと!?」

 

 不機嫌な表情を見せるキャックスとは対照的に、オリオンは上機嫌にプレイングを続ける。

 

「私はレベル4の〈星因士 ベガ〉と〈星因士 デネブ〉でオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚! 光の貴公子よ、輝きの奥よりその姿を見せなさい! ランク4〈輝光子パラディオス〉!」

 

 二体の光戦士が渦の中に消えると、そこから白銀の戦士が出現する。青白く光り輝く大剣を構えている。

 

「〈輝光子パラディオス〉のオーバーレイユニットを2つ使い効果を発動! 貴方ご自慢の〈海皇龍 ポセイドラ〉の攻撃力を0にし効果を無効にする!」

「ひぇ!?」

 

 

〈海皇龍 ポセイドラ〉攻撃力3000→0

 

 

「なんと! 3000もあった〈海皇龍 ポセイドラ〉の攻撃力が0にされてしまった! これはキャックス大ピンチだぞ!」

「さらに私は墓地の〈カゲトカゲ〉と〈星因士 アルタイル〉を除外し手札からこのカードを特殊召喚する」

 

「光の戦士よ、混沌の狭間より新世界への道を示せ! 〈カオス・ソルジャー -開闢の使者-〉降臨せよ!」

 

 混沌の狭間より光り輝く戦士が現れる。光と闇の力を備えた除外効果を秘めた攻撃力3000の強力なモンスターだ。

 

「攻撃力3000は貴方だけのものじゃないのよ!」

「くっ……」

「勝負ついたわね。バトルよ! 〈カオス・ソルジャー -開闢の使者-〉で〈海皇龍 ポセイドラ〉へ攻撃!」

 

 ポセイドラは混沌の戦士の剣撃をくらって撃破される。

 

 

【キャックス】LP:8000→5000

 

 

「〈カオス・ソルジャー -開闢の使者-〉はモンスターを戦闘で破壊した時、もう1度続けて攻撃できる! 〈カオス・ソルジャー -開闢の使者-〉でダイレクトアタック!」

「グゥッ……」

 

 

【キャックス】LP:5000→2000

 

 

「とどめよ! 〈輝光子パラディオス〉でダイレクトアタック!」

 

 

【キャックス】LP:2000→0

 

 

「決着!! キャックスのライフを1ターンで、ぴったり8000ポイント削って、オリオンの勝利だ!」

 

 オリオンの華麗なる勝利に会場が再び歓声に包まれた。

 

「くっ……。完敗だ」

「ちょっと攻撃力に頼りすぎだったわね。次はもっと強くなって挑んできて」

 

 オリオンは優しく微笑んだ。

 

「楽しみに待ってるから」

 

 

 サイクロン 速攻魔法

(1):フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

 竜巻海流壁(トルネードウォール) 永続罠

フィールドに「海」が存在する場合にこのカードを発動できる。

(1):フィールドに「海」が存在する限り、自分が受ける戦闘ダメージは0になる。

(2):フィールドに「海」が存在しない場合にこのカードは破壊される。

 

 輝光子パラディオス (ランク)4 光

[戦士族/エクシーズ/効果]ATK/2000 DEF/1000

光属性レベル4モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を2つ取り除き、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力を0にし、その効果を無効にする。

(2):フィールドのこのカードが相手によって破壊され墓地へ送られた場合に発動する。自分はデッキから1枚ドローする。

 

 カオス・ソルジャー -開闢の使者- (レベル)8 光

[戦士族/特殊召喚/効果]ATK/3000 DEF/2500

このカードは通常召喚できない。自分の墓地から光属性と闇属性のモンスターを1体ずつ除外した場合に特殊召喚できる。

このカードの(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを除外する。この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない。

(2):このカードの攻撃で相手モンスターを破壊した時に発動できる。このカードはもう1度だけ続けて攻撃できる。

 

 

 

 翌日。

 春衣は大学の食堂で夜船冬星(よふねとあ)と会話をしていた。話題は昨日のターミナルのデュエルについてだった。

 

「それにしても、相変わらず圧勝だったね」

「まぁね。私にかかればこんなもんよ」

「流石3位」

 

 春衣は感心すると、前から思っていた疑問を冬星に尋ねた。

 

「そういえば、なんでオリオンなの? なぞってるの?」

「違うわよ。私って名前に『星』入ってるじゃん? それにちなんで冬の星座とかいいなーって思ってさ。けっこう考えてるでしょ」

 

 春衣は「ふぅーん」と空返事する。聞いてきたのは春衣だというのにこの態度だ。

 人によっては何様だと思うかもしれないが、冬星にとっては日常茶飯事。ようはもう慣れたのだ。

 

「そういうあんたはどうなのよ」

「あんまり覚えてないんだよね。なんかいつの間にか登録されてて」

「はい?」

 

 春衣から返ってきた言葉に、冬星は唖然とする。

 

「多分寝ぼけてる時にアカウント作っちゃったんだよね」

「あんたらしいわね」

 

 笑いながら放たれた春衣の言葉に、冬星は思わず口元を緩ませる。

 春衣は少し抜けたところがある。寝ぼけた時にアカウントを作ってしまっていたとしても不思議ではない。

 

「いよいよ今日ね。凄い楽しみだわ」

 

 冬星は笑顔で目の前にあるお菓子を手に取り、口へと運ぶ。

 

「そうだね! 観客が多いからちょっと緊張するけど」

「その辺は大丈夫でしょ。春衣は現実世界でも人気者だし」

「そんなことないって」

 

 両手を振って否定する春衣に、冬星は少し呆れた表情を見せる。

 

「バレンタインに逆チョコ十個もらった人がよくいうわね」

「冬星だってぺったんこで人気じゃん」

「あのねえ。あれは人気とかじゃなくてイジられてるだけよ。いつの間にか私の本当のプロフィールが出回っちゃって」

 

 冬星は妬むを込めた視線を春衣の胸部へ向ける。

 

「いいわよねぇ。あんたは大きいから」

「そんなことないって」

 

 笑顔で否定する春衣にイラッとしたのか、冬星は身を乗り出し春衣の右胸を掴んだ。

 

「いててててっ。冬星痛いってっ!」

「Eはじゅうぶん大きいのよ! 少しはわけなさいよ!」

「分けられるなら分けたいよっ。肩も凝るし」

 

 春衣のセリフに冬星の機嫌はさらに悪くなる。

 

「くぅー。腹たつ」

「冬星だってそのうち大きくなるって」

 

 春衣は必死にフォローするが、

 

「もう成長止まってるのよ!」

 

 全く効果が無かった。

 

「それに胸大きくなったって別に良いことないよ?」

「巨乳はみんなそう言うのよ! 私に大きいおっぱいがあれば彼氏だって普通に出来てるわよ」

「彼氏ができないのをさりげなく胸のせいにしたね今」

 

 春衣が静かにツッコミを入れると、冬星はニヤニヤし出した。

 

「あんたはいるもんねぇ」

「えっ?」

 

 春衣は照れて少し顔を赤らめる。

 

「夏樹君は別にそんなんじゃ……」

「あれれー。私一度も『夏樹君』だなんて言ってないけどー?」

「もうっ! 冬星ったら、からかうのはやめてよ!」

 

 冬星は先ほどのお返しとばかりに、春衣に攻撃を仕掛ける。冬星の攻撃に春衣は照れながらも少しムッとしていた。

 

「まぁいいわ。今日のデュエルでリア充爆発させてあげるから」

「えー。爆発するのは嫌なんだけどっ」

 

 

 

 その夜。

 昨日、オリオンとキャックスがデュエルしたスタジアムに、春衣はサクラとして赴いていた。

 

 湧き上がる歓声の中、サクラとオリオンはアフロ男を挟んで対峙する。

 

「お二人とも準備はよろしいですか!?」

 

 アフロ男の発言直後、オリオンはサクラへ微笑みかける。

 

「私が勝ったらリア充には爆発してもらうわよ」

「えっと……確認だけどさ。本当に爆発したりしないよね? 冗談だよね?」

 

 恐る恐る尋ねるサクラにオリオンは冷たく笑みを返す。

 

「さーどうかしらねぇ」

「うわぁー。出たよその顔ー」

 

 直後「爆発したら俺が肉片集めてあげるー!」なんていう声援まで飛んできた。

 サクラは何が何やらわからなくなり混乱していた。

 

「マジレスすると爆発しないわよ。演出ってやつよ」

「ほんとかなぁ」

 

 オリオンは昼間の食堂と同じテンションでサクラに指摘するが、サクラは疑心暗鬼になっていた。

 

「あんたあたしを何だと思ってるのよ」

「えっとね……」

 

 サクラは口元に指を当てて考える素振りを見せる。

 数秒後、サクラは口元から手を離すと満面の笑みを浮かべる。

 

「ぺったんこ♪」

「潰すわ」

 

 オリオンが拳を握った直後、アフロ男がマイクを構えた。

 

「デュエルスタアアァァト!!」

 

「「デュエル!!」」

 

 

【オリオン】LP:8000 【サクラ】LP:8000

 

 

「私のターン。〈フォトン・スラッシャー〉は私のフィールドにモンスターがいない時、手札から特殊召喚できる!」

 

 オリオンの場に現れたのは、大刀を構えた光子の戦士。レベル4だが攻撃力2100もあり、特殊召喚も可能という便利なモンスターだ。

 

「続けて〈星因士 シャム〉を通常召喚!」

 

 光子の戦士の隣に、金色の防具を装備した光戦士。剣ではなく弓矢を身構えている。

 

「〈星因士 シャム〉の効果! 相手に1000ダメージを与える!」

 

 

【サクラ】LP:8000→7000

 

 

「効果ダメージで先制攻撃だァ!」

「リバースカードを2枚セットしてターンエンド」

 

(エクシーズはしないかぁ……)

 

 サクラが使う影霊衣シリーズは、エクストラデッキのモンスターに強い。

 オリオンがエクシーズ召喚をしてくれれば、デュエルを有利に運べるのだが、そう上手くはいかなかった。

 

 

 フォトン・スラッシャー (レベル)4 光

[戦士族/特殊召喚/効果]ATK/2100 DEF/0

このカードは通常召喚できない。自分フィールドにモンスターが存在しない場合に特殊召喚できる。

(1):自分フィールドにこのカード以外のモンスターが存在する場合、このカードは攻撃できない。

 

 星因士(サテラナイト) シャム (レベル)4 光

[戦士族/効果]ATK/1400 DEF/1800

「星因士 シャム」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。相手に1000ダメージを与える。

 

 

「あたしのターン、ドロー」

 

 サクラは六枚になった手札を眺め戦術を思案する。

 

「〈リチュア・チェイン〉を召喚!」

 

 現れたのは鎖付き武器を所持する緑の半魚人。儀式召喚をサポートできる効果を持っている。

 

「〈リチュア・チェイン〉は召喚に成功した時、デッキトップのカード3枚を確認し、その中から儀式モンスターか儀式魔法カードをサーチできるよ!」

 

 サクラがめくった三枚のカードの中には儀式魔法カードである〈影霊衣の万華鏡〉が含まれていた。

 サクラは〈影霊衣の万華鏡〉を手札に加える。

 

「〈テラ・フォーミング〉を発動! 〈テラ・フォーミング〉はデッキからフィールド魔法をサーチできるカード。あたしは〈伝説の都 アトランティス〉を手札に加え、発動!」

 

 場全体は水中に包まれ、伝説の都と化した。

 

「伝説の都がある限り手札とフィールドの水属性モンスターのレベルは1つ下がり、攻撃力と守備力が200アップするよ」

 

 

〈リチュア・チェイン〉攻撃力1800→2000 守備力1000→1200 レベル4→3

 

 

「〈影霊衣の万華鏡〉を発動! 〈影霊衣の万華鏡〉はエクストラデッキのモンスターを使って儀式召喚ができるようになる儀式魔法カード。あたしはエクストラデッキの〈霧氷結界の巫女 シビュラス〉を墓地へ送る。これでレベル9の儀式召喚を執り行うことができる!」

 

「絆を結集した希望の象徴……お借りします! 儀式召喚! レベル10〈ディサイシブの影霊衣〉!」

 

 本来のレベルは10だが、伝説の都で9になってる。

 

 

〈ディサイシブの影霊衣〉攻撃力3300→3500 守備力2300→2500 レベル10→9

 

 

 現れたのは巨大な金色の砲塔を三つ装備した屈強の青い半魚人。

 

「いきなり攻撃力3500とは、やるわね」

「まーね! 〈ディサイシブの影霊衣〉の効果を発動! 相手フィールドにセットされたカード1枚を除外できる。あたしから見て右側のカードを選ぶよ!」

 

 オリオンは〈ディサイシブの影霊衣〉の効果対象にされたリバースカードを翻す。

 

「そうはいかないわ! リバースカードオープン〈ワンダー・エクシーズ〉!」

 

 オリオンが発動したのは相手ターンにエクシーズ召喚を可能にする罠カード

 

「私はレベル4の〈フォトン・スラッシャー〉と〈星因士 シャム〉でオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚! ランク4〈No.103 神葬零嬢ラグナ・ゼロ〉!」

 

 オリオンの場の二体の光戦士が渦の中へ消えると、その中から一人の女性が現れる。

 右手に刀を持ち全身から氷の刃を生やしている。破壊効果を秘めたモンスターだ。

 

「相手ターンでエクシーズ召喚……。サクリファイス・エスケープってやつだね」

「そうね。これで強力な効果1つを無駄撃ちにできたわ。さらに〈No.103 神葬零嬢ラグナ・ゼロ〉も水属性。〈伝説の都 アトランティス〉の恩恵に授かれる」

 

 

〈No.103 神葬零嬢ラグナ・ゼロ〉攻撃力2400→2600 守備力1200→1400

 

 

「だけどまだあたしの〈ディサイシブの影霊衣〉には及ばないよ」

「戦闘で勝とうとは思ってないから大丈夫よ! 〈No.103 神葬零嬢ラグナ・ゼロ〉のオーバーレイユニットを1つ使い効果を発動! 〈ディサイシブの影霊衣〉を破壊しカードを1枚ドローする!」

 

 サクラの場の屈強な半魚人は氷の刃の前に無残にも敗北し粉砕されてしまった。

 そして、オリオンは一枚ドローして手札を二枚に増やす。

 

「この効果の対象にできるのは攻撃力が変化しているモンスター。自分を有利にするために発動したフィールド魔法が裏目に出たわね」

「うっ」

 

 サクラの場にはモンスターはいない。

 バトルフェイズを続けても無意味なため、サクラはメインフェイズ2に入る。

 

「リバースカードを3枚セット」

 

 これでサクラの手札が0枚になる。サクラは今持ち得る全ての戦力を場に注いだ。

 

(このコンボを成功できれば……!)

(手札を全て使い切った……。何か仕掛けてくる気ね)

 

「あたしは〈霧氷結界の巫女 シビュラス〉の効果で1枚ドローして、ターンエンドだよ」

 

 二人のデュエルはまだ始まったばかりだ。

 

 

 リチュア・チェイン (レベル)4 水

[海竜族/効果]ATK/1800 DEF/1000

このカードが召喚に成功した時、デッキの上からカードを3枚確認する。確認したカードの中に儀式モンスターまたは儀式魔法カードがあった場合、その1枚を相手に見せて手札に加える事ができる。その後、確認したカードを好きな順番でデッキの上に戻す。

 

 テラ・フォーミング 通常魔法

(1):デッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加える。

 

 伝説の都 アトランティス フィールド魔法

このカード名はルール上「海」として扱う。

(1):フィールドの水属性モンスターの攻撃力・守備力は200アップする。

(2):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、お互いの手札・フィールドの水属性モンスターのレベルは1つ下がる。

 

 影霊衣(ネクロス)の万華鏡 儀式魔法

「影霊衣」儀式モンスターの降臨に必要。

「影霊衣の万華鏡」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):儀式召喚するモンスターと同じレベルになるように、自分の手札・フィールドのモンスター1体をリリース、またはエクストラデッキのモンスター1体を墓地へ送り、手札から「影霊衣」儀式モンスターを任意の数だけ儀式召喚する。

(2):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、自分の墓地からこのカードと「影霊衣」モンスター1体を除外して発動できる。デッキから「影霊衣」魔法カード1枚を手札に加える。

 

 霧氷結界の巫女 シビュラス (レベル)9 水

[魔法使い族/シンクロ/効果]ATK/2600 DEF/2700

水属性チューナー+チューナー以外の水属性モンスター1体以上

「霧氷結界の巫女 シビュラス」の(1)(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):???

(2):このカードが墓地へ送られたターンのエンドフェイズに発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。

(3):???

【オリジナル】

 

 ディサイシブの影霊衣(ネクロス) (レベル)10 水

[ドラゴン族/儀式/効果]ATK/3300 DEF/2300

「影霊衣」儀式魔法カードにより降臨。

レベル10以外のモンスターのみを使用した儀式召喚でしか特殊召喚できない。

「ディサイシブの影霊衣」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードを手札から捨て、自分フィールドの「影霊衣」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力・守備力はターン終了時まで1000アップする。この効果は相手ターンでも発動できる。

(2):相手フィールドにセットされたカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊し、除外する。

 

 ワンダー・エクシーズ 通常罠

(1):自分フィールドのモンスターを素材としてXモンスター1体をX召喚する。

 

 No.(ナンバーズ)103 神葬零嬢ラグナ・ゼロ (ランク)4 水

[天使族/エクシーズ/効果]ATK/2400 DEF/1200

レベル4モンスター×2

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、相手フィールド上に表側攻撃表示で存在する、元々の攻撃力と異なる攻撃力を持つモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターを破壊し、デッキからカードを1枚ドローする。この効果は相手ターンでも発動できる。

 




初めまして。
ばるどふぉるすです。

随分前に別サイトで遊戯王小説を書いていた者です。
久々に執筆したくなり、このサイトに投下させて頂いた次第です。笑

本当はもっと書き溜めてから投下するつもりでしたが、間違って3話を通常投稿してしまったので、このタイミングでいいやと開き直りました。

ただですね。
先日私の寝癖の悪さが災いし溢れてしまったお茶に触れ、私の愛用パソコンが弾けてしまいました。

よって、4話以降の更新は未定となっております。申し訳ありません。笑
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。