憑依したけど何か質問ある?   作:お饅頭

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初めまして、饅頭と申します。この度初めて小説を書かせていただきます。
初心者ですので、至らない所はあるかもしれませんが是非感想などで指摘して頂ければ直すように努力致します
ですので、どうかよろしくお願いいたします。


プロローグ

 

憑依。主に霊などが生きている者などに乗り移る現象の事。私こと■■ ■■■は、何の因果か別の人の身体に乗り移ってしまったようだ。

そもそも私は生きていたのに、いきなり別の人間になっていたのは憑依と呼んでいいものなのだろうか。それ以外に呼称が思いつかないので私はそう呼んでいるが、誰か正式名称を知っているのなら教えてほしい。

 

話が逸れた。兎に角、私は寝て起きたら突然、■■ ■■■ではなく別の人間になってしまっていた。憑依した人の名前は、博麗 霊夢と言うらしい。中々珍しい名前だと思う。

未だにこの名前で呼ばれても一拍遅れて返事することがたまにある。この姿になって数年経つというのに未だに慣れていない。

 

だが、そんな摩訶不思議な出来事に遭遇しても、私は『そんなこともあるか』と思ってしまっている。私はこんなに冷淡、というか淡白な人間だっただろうかと自分で自分を不思議に思ってしまった。

しかし憑依してしまったものは仕方がないので、私は元の身体の持ち主に謝罪しつつ、この身体で天寿を全うすると決めた。

 

「はあ…………」

 

柔らかな日差しの射す縁側に座ってお茶をひと啜りし、ため息を漏らす。なんだかとても年寄りくさいがこの時間が私の至福の時間なのだ。

この時間だけは誰にも邪魔されたくないし邪魔させない。例えあの白黒の魔女っ子だろうとあやや煩い烏天狗だろうと、誰にもだ。

 

「はぁい霊夢、ご機嫌いかが?」

「今すぐ回れ右して帰りなさい」

「やん、つれないわね」

 

しかしこの邪魔者は予想外だった……いや、予測可能回避不可能と言ったところだろうか。避けられない天災の様なものだ、コイツは。

今私の目の前で空間を裂いて、その隙間から上半身を出している胡散臭い女性は八雲 紫。見た目通り胡散臭いBBA……とは口が裂けても言えないので女性にしておこう。

 

しかし何をしに来たのだろうか。また藍に怒られて飛び出してきたのだろうか。それならコッチも迷惑するので早々にお帰り願いたいのだが。むしろ帰らないならぶん殴ってでも私の視界から消してしまうのもいいかもしれない。

 

「なんでそんなに敵意剥き出しなのかしら!?」

「黙りなさい。この前の私のお菓子強奪事件、まさか忘れたとは言わせないわよ」

 

説明しよう。お菓子強奪事件とは、私がとっておきとして厳重に保管しておいた来客用のそれなりにお高いお菓子をあろう事か招かれざる客である紫が私に黙って全て食べてしまった事件の事である。

被疑者はこれに対し、『見つけられるような場所に隠す方が悪いのよオホホホホ』と意味不明な供述をしており、後で藍にこっぴどく叱られたそうだ。

だがしかし私の怒りはまた収まってなどいない。藍は許した、だが私が許すかな!? 状態なのだ。

 

「そ、その件に関しては藍に耳にタコが出来るくらい言われたから許してくれても……」

「でも私に謝罪の一言も無かったわよね?」

 

私の言葉に紫はハッとした。そうなのだ、このスキマ妖怪は私に対して謝罪の一言も入れてないのだ。今更謝ったところで私が許すわけーー

 

「……ごめんなさい、霊夢」

「いいわよ」

「……えっ?」

 

あるのだ。理由としては、もう既に藍からお詫びとして食べたお菓子は返してもらったからである。

私はその時点で許してもいいかなと1ミクロン程思っていたが、藍に謝罪するまで許すなと言われたので許さないと言っていただけ。私はそんなに器量の狭い女性ではないのだ。

 

「じ、じゃあ今のくだりは?」

「謝罪させるためだけの、言わば茶番ね」

「茶番にしては目が本気だったような気がするのだけれど……」

「そう見えたのならよっぽど私の演技が上手だったのね」

「絶対演技じゃなかった、あの目は本気で私を殺すつもりの目だったわ」

 

失礼な、そんなことするつもりは毛頭ないわよ。私を誰だと思ってるのかしら全く……聖人君子とは私の為にあるような言葉なのに。

 

「ごめんなさい霊夢、それだけは無いと断言出来るわ」

「あらそう、なら仕方ないわね。この貰い物のお高い和菓子は私1人だけで頂くとするわ」

 

食べる為に持ってきておいたお皿に載せた羊羹を紫に見せびらかす。

この羊羹はくれた人曰く人里で一日限定十数個しか作らない代物だそうよ。そんな貴重なモノを食べられないなんて紫は可哀想ね。

 

「あ、あのー、霊夢? まさか本当に一人でそれ全部食べるわけじゃないわよね?」

「残念ながら今回は本気よ、いただきます」

 

爪楊枝で1切れ突き刺し、口に運ぶ。うん、美味しいわね。残念ながら舌が貧乏なせいでちゃんとした感想一つ言えないのが悲しいけれど、それでもとても美味しいということだけは伝えられるわ。羊羹を口に運ぶ手が止まらない。

 

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

 

見てる、すっごい見てる。仮にも大妖怪とか賢者とか大層な名前で呼ばれてる紫がめっちゃ見てる。普段の面影とか一切ない。欲望に忠実過ぎやしないかしら。

 

ずーっと見られて居心地が悪いことこの上ないので、仕方なく一切れだけを口元にまで持って行ってあげる。すると餌を待ってた雛みたいにパクっと噛み付いてきた。ナニコレ意外と面白い。

「でも一切れだけよ」

 

まあ、あくまで私が貰ったものだからあげる義理は無いわけで。

本当に一切れだけあげて残りは私一人で食べようと、パクパク口に運んでいると段々と紫の表情が曇っていく。アンタどれだけ気に入ったのよこの羊羹……

 

 

「はあ……仕方ないわね。お茶のお代わり入れてくれたらあげるわ」

「直ぐ行ってくるわね」

 

ダッ、と駆け足で私の湯飲みを持って台所へと走って行ってしまった。紫はどうやら大妖怪や賢者としてのプライドは既に犬にでも食わせてしまったようだ。今の姿を藍に見せたらどうなるだろうか。

そんな事を思いつつ私はまた羊羹を一切れ口に運ぶ。これが私の日常である。平凡に、平和に生きたいのにどうしてこうも私の周りは、こんなにも騒がしいのだろうか。

 

 

 

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