なんだろう…
何か冷たい感じがする…
おかしいな…
夏…だよな?
それに家だってのに騒がしいな…
「おい、生存者がいたぞー!!至急担架持ってこい!!」
体が動かされ、どこかに運ばされようとして気づく
身体がどこも動かない
俺はどうにかしなければいけないと思ったが、疲労も溜まっていたせいか再び意識を失ってしまった…
俺は…
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「流君、流君。」
誰かに呼ばれたみたいで目を開けようとすると、身体中から悲鳴はあがったが目や口等、一部だけだが動かすことは出来て、目を向けると
「母様?」
いつアメリカから帰ってきたのか母様がいた
「良かった。流君目が覚めたんですねー。何があったか覚えてますかー?」
何って…
確か…
夏休みに入って…
あれ?
「何をしていたんだっけ?」
近くのカレンダーから、今日は八月二十五日だっていうのに、俺には一ヶ月丸々の記憶がない
「…分からない。ただ…」
「ただ?」
「大切な何かを守ろうとしていたと思う。」
その大切な何かが何かは分からないけど
俺は助けようとしていた気がする
「魔法を使って…。」
ってあれ?
「魔法ですかー?」
「いや、ごめん。今の無し。」
俺は何を言っているんだ!?
魔法なんてあるわけ無いのに
「他に覚えていることはありませんかー?」
他に?
『諦めないで。』
「諦めるなって誰かに言われた気がする…。」
それを言った人が誰かは分からないけど
「…ねえ?流君?私の夢は流君が健やかに成長して、流君が結婚して、流君の子供を抱くのが夢なんです。だから、危険な事はして欲しくないんです。」
母様…
「でも、私は忘れていました。流君も男の子ですから、大切な人の為に戦おうとするってことを…。」
母様…
そして、俺は再び眠りにつき、次に起きた時にはこの事も忘れ去っていったのだった
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「ねえ?姫島先輩?」
「あらあら、あーちゃんとは呼んでくださらないのね?」
「いや、この年でそれはちょっと…。」
大体、昔も嫌だったのに無理矢理呼ばせられてたし…
「この神社建て直したのって姫島先輩ですか?」
「いいえ。あの人ですわ。」
あの人…ね
話を聞いた限り、姫島先輩は父のバラキエルを憎んでいる
実際、バラキエルさんが堕天使でさえなければ朱璃さんは死ぬことはなかった
でも…
「バラキエルさんの事、許してあげられない?」
「嫌ですわ。あの人さえいなければ母様やりっくんだって…。」
「正直バラキエルさんの事は詳しくは知らない。一度会ったきりだったし。でも、朱璃さんの話を聞く限り、堕天使の悪い風潮をどうにかしようとしてみたいだったし。朱璃さんもそんなバラキエルさんの事が好きだったから姫島先輩がバラキエルさんを憎むような状況にはなって欲しくないと思います。」
「りっくんはいいんですの?私達のせいで死にそうになったんですのよ?」
「別にいいですよ。俺が姫島先輩の為に戦ったのは俺がそうしたかったからですし。それに、俺はバラキエルさんに助けられていますし。」
少なくとも、あの時動きを止められ魔力封印されなければ、強大な魔力に子供の身体じゃ耐えきれずに俺は死んでいただろう
「…記憶を消されてもですか?」
「それに関しては恨んでますよ。一発殴りたいと思ってます。それにややこしい事にもなってますし。でも、記憶を封印されなければ俺は多分死んでいました。」
おそらく記憶を封印したのも、魔力封印したのと同じ理由で俺を守るためだ
アロンダイトを神器と勘違いしたのだろう
神器を目覚めさせるには強い意思や感情が必要となる
だから、その源となる姫島先輩との記憶を封印したのだと思う
まあ、実際に俺に宿っていたのは神器ではなく魔剣だったのだが…
しかし、偶々だがランスロットが宿っているアロンダイトを目覚めさせるには、強力な自責の念が必要だった
だから、バラキエルさんのやったことは間違っていなかった事になるだろう
「記憶をを封印しなければ、アロンダイトが目覚め、暴走に耐えきれずに死ぬか、もしくは堕天使か天使に狙われていたと思いますしね。」
「でもあなたを、危険な目に」
「ねえ、姫島先輩、あの時の俺は、自分の命よりも、あなたが大切でした。だから、自分が危険な目にあっても、あなたが生きていてくれた。俺も生きていたし、それでよかったことにしましょう。」
「じゃあ、今は…、今のあなたは私のことをどう思っているんですか!?」
今の姫島先輩への想いか…
それは…