ダンメモが最近イベントらしいイベントをやってくれなくてちょっと寂しい気がします。出来ればハロウィンイベントとかを期待したいところですね。ハロウィン衣装のリヴェリアとか来たら素敵だと思いませんか?
あと最近改めてダクソ3をやってるんですが、ロス直なしじゃ戦えない体になってしまいました。鋭利派生にエンチャしたらとんでもない火力になりますね。防具だとやっぱり不死隊一式、またはアルトリウス一式が軽くてかっこいいです。
外の空気を吸い、大きく咆哮する『バグベアー』。突如街にモンスターが出現したという事態に、市民達は一斉にパニックとなった。逃げ出す者、叫ぶ者、助けを求める者、様々な反応を示す人々にバグベアーは一度唸ると、足音を立てながらゆっくり歩き始める。
バグベアーの出現階層は19階層と深く、Lv.2の冒険者なら三人か四人、Lv.3の冒険者なら二人はいなければ危険な相手だ。今この場にはそれに該当する者はおらず、また『
『グ……ォォ……!』
ズゥゥンと重い音と共にバグベアーは沈み、やがて絶命してピクリとも動かなくなった。それを確認したヴィンセントは手にした《シモンの弓剣》を下ろし、その胸から魔石を抜き取る。
「ヴィンス!」
自分の名前を呼ぶ声にヴィンセントが振り返ると、パタパタと駆け寄ってくるリューとアミッドの姿が目に映った。履いているものが走ることを考慮していない作りのせいか、その動きは僅かにぎこちなく走りにくそうだ。
「いきなり飛び出してどこに行くかと思えば……モンスターですか」
「恐らく『
「……ヴィンスは、これからどうする気ですか?」
リューの問いにヴィンセントは僅かに考えるような素振りを見せた。帽子の向きを調整し、翡翠色の瞳で彼女と、そして隣のアミッドを見据える。
「……私が動かずともすぐに【ガネーシャ・ファミリア】の者が動くだろう。ならば別に放置しても良かったのだが……神ヘスティアとベルが出掛けている以上、彼女らが狙われる可能性もある」
ヴィンセントの懸念は一つ、先程のバグベアーのようなモンスター──それこそ『ミノタウロス』などよりも強い相手──にヘスティア達が襲われることである。【
「リュー、アミッド、この埋め合わせは後日しよう。私は敵を狩る。共に来るも引き返すも、これからどうするかは貴公らの自由だ」
「愚問ですね、ヴィンス。街にモンスターが野放しになっている今、それを私が黙って見ているだけだと思いますか?」
「私は【ディアンケヒト・ファミリア】の一員として、ヴィンスについていきます。どこで誰が負傷しているか分からないなら、
即答した二人の眼差しがヴィンセントに向けられる。そんな彼女達にヴィンセントはただ一言、「感謝する」とだけ言い残すと、すぐさま近くの屋根へと跳躍した。彼に続いてリューとアミッドもまたその背中を追いかける。
「っ、十時の方向に『トロール』、その近くに『バトルボア』です」
アミッドの言葉にヴィンセントは素早く反応した。虚空より掴んだ矢をシモンの弓剣に番え、弦を引き絞りながら跳ぶ。そうして放たれた一矢は的確にバトルボアの魔石を射抜いた。そして彼の落下地点にいたトロールは、空中で変形を終えていた湾曲した刃によって両断される。
「ヴィンス、得物を!」
そう叫ぶリューにヴィンセントは《落葉》を取り出し、投げ捨てるように宙へと放った。間髪入れずにそれはリューの手に渡り、落葉を手にした彼女は鮮やかなステップと共に、『ソードスタッグ』を撫でるように斬り裂いた。長刀と短刀から成る高い技術が要求されるそれを、リューは見事に使いこなしている。
ヴィンセントは剣から滴る血糊を払い、ぐるりと辺りを見回した。屋台や道の部分部分は破損しているが、人的な被害は出ていないようである。だが、その事実に彼が抱いたのは安堵ではなく疑問だ。
「解せんな。何故人を狙っていなかった……?」
「ええ。まるで
三人は揃って首を傾げる。これまで数多のモンスターと戦ってきた彼らだが、人を襲わないモンスターなど
「……ともかく、今はモンスターを倒すことを優先しましょう。考え事は後でも出来ます」
「……そうですね。行きまし──」
行きましょう、と。アミッドに同意したリューがそう言い終わる前に突如地面が揺れ始める。それはだんだんと大きくなっていき、やがて轟音と共に
それを表すならば、頭のない蛇であった。細長い体躯をした黄緑色の鱗のような外殻に覆われたモンスターは、体色が異なることを除けば13階層に出現する『ダンジョン・ワーム』とよく似ていた。
しかしよく似ているということは同じである訳ではない。アミッドやリュー、そしてこの中で一番長く冒険者をしているヴィンセントですら、目の前のモンスターは初見だったのだ。突然地面から飛び出した未知の相手に、彼らは警戒の度合いをぐっと引き上げる。
最初に動いたのはヴィンセントだ。Lv.7の持つ規格外の『敏捷』で以て一気に接近し、シモンの弓剣を全力で振り抜いた。ただの攻撃ですら並みのモンスターからすれば必殺となる彼の一撃、しかしそれは外殻に防がれガキンと音を立てるに終わった。リューとアミッドからは驚きの声が上がり、モンスターが誇るかのように『キシャアアアアア』と鳴く。そして──
「あれは!」
「花、ですか……!」
ミミズのような外見から一転して花となったモンスターは、地面から無数の触手を生やしてヴィンセントへと襲い掛かる。前後左右のあらゆる角度から迫る攻撃、しかしヴィンセントは左手に《レイテルパラッシュ》を呼び出すと、増えた手数で触手を次々に捌いていく。
「ふっ……!」
斬れども斬れども再生する触手。だが、ヴィンセントの処理に再生が追いつかなくなり始めると、所々に綻びが生まれ始めた。
それをヴィンセントが見逃す筈もない。一瞬で変形したレイテルパラッシュが火を吹き、僅かな間を通ってモンスターの顔面を撃ち抜く。思いもよらぬ反撃に怯んだモンスターはヴィンセントの前に決定的な隙を晒し、彼は悠々と触手の包囲網から脱出に成功した。
「大丈夫ですか、ヴィンス?」
「問題ない。外殻は堅牢だが斬れない程でもなし。触手は数こそ多いがそれだけだ。そして何よりも弱点が知れた。恐れることはない」
静かに告げるヴィンセントは両手の仕掛け武器を消し、代わりとして右手に抜き身の《千景》を握った。呼吸を整え、ゆらゆらと触手を揺らすモンスターを、翡翠色の瞳ですっと見つめる。
「──【我は血族。穢れた血を啜り、異端として教会に仇なす者也】」
高まる彼の魔力に、触手が一斉に反応した。
△▽△▽
それを見た時、ベルの脳裏を過去の敗北が過った。
暴力の具現化。自分などでは到底敵わないそれが、今目の前にいる。記憶の奥底からフラッシュバックされる恐怖に、ベルの体は凍りついたかのように動かなくなってしまった。はぁ、はぁと荒い自分の息遣いがやけに大きく感じる。
しかし、ベルはすぐに正気に戻った。それはあることに気付いたからに他ならない。
モンスター、『シルバーバック』は自分を見ていないのだ。拘束具の付けられた顔と目をこちらに向けているものの、その視線は自分には向けられていない。
ではあれは誰を見ているのか?
それは──、
「神様っ!!」
ベルは隣にいたヘスティアを抱き締めると、そのまま勢いに任せて地面に転がった。刹那、彼らのいた場所がシルバーバックの掌に叩きつけられる。地震とも間違う衝撃がベル達を、そして周辺にいた人々を襲った。
『ォオオオオオオオオオオオ!!』
「きゃああああああああ!?」
「に、逃げろぉおおお!!」
通りは一瞬にしてパニックに陥った。我先にと蜘蛛の子を散らすように逃げる人々、しかしシルバーバックはそんな彼らには目もくれず、ベルの腕の中にいるヘスティアだけを見つめていた。
『グルルルル……!』
「神様っ! 逃げてください!」
「ベル君!? 何を言って──」
「早くっ!」
ベルは腰のホルスターから護身用のナイフを引き抜き、ヘスティアとシルバーバックの間に素早く割り込むと、迫るシルバーバックの指を斬り払った。薄く裂かれた指から鮮血が飛び散る。
それはシルバーバックにとって虫に刺されたようなものだ。ベルの攻撃はダメージにもならない。だが、塵のように小さな少年に傷をつけられたという事実に、シルバーバックは癇癪を起こしてベルに拳を振りかぶった。
「そうだ……! お前の相手は、僕だっ!」
血走ったシルバーバックの眼に睨まれながら、ベルは精一杯の勇気で以て囮に徹した。神経を研ぎ澄まし、降り掛かる剛腕の一撃を紙一重で躱わしていく。
シルバーバックの攻撃はその巨体故かほとんどが大振りで、スピードで勝るベルは何とかついていくことが出来ていた。しかし彼は油断しない。どんなに優位でもそれは一瞬で覆される可能性があることを、かつてのミノタウロス戦で身を以て学んだからだ。
『グゥゥ……グァアアアアアア!!』
「っ!?」
咄嗟に身を屈めたベルの頭上を、凄まじい速度で何かが通過する。冷や汗を流しながら顔を上げた彼が見たのは、腕から垂れ下がった鎖を鞭のように使おうとするシルバーバックの姿だ。あれはまずい、と。ベルの直感がそう囁いた。
「……でも、僕は──」
引けない。もし自分が逃げればシルバーバックはヘスティアを狙う。『
振り回される鉄鎖にベルはナイフを納めた。今はただ避けることだけに専念し、駆ける。荒い風圧が肌を撫で、鎖が炸裂して地面が砕ける音に耳が痛くなるが、怯まず彼は動き続けた。そして、僅かな隙に懐へと一直線に飛び込んだ。
「(ここなら……無闇に攻撃出来ないだろっ!)」
ベルを踏み潰さんと繰り出されるストンプ。しかし先程までの嵐のような猛攻に比べれば、避けることなど造作もないことである。
「食らえぇえええええええ!!」
ベルは跳んだ。納刀していたナイフを握り、シルバーバックの胸目掛けて全力で突き出す。
無防備なシルバーバックの胸へと放たれたベル渾身の一撃は──、
キィンという非情な現実の前に敗れた。
『ガァアアアアアアアアア!!』
「がふっ!?」
丸太よりも太く硬い腕に薙ぎ払われ、ベルは近くにあった屋台に突っ込んだ。ベキベキという音は果たして屋台の木材が折れる音か、はたまた自分の骨が折れる音か。飛びそうになる意識をギリギリのところで繋ぎ止め、ベルは朦朧としながらもゆっくりと立ち上がった。そして、血反吐を吐き出す。
「ごふっ……! がはっ……! がぁぁぁ……」
掠れる視界に映ったのはベルにとどめを刺そうと近付いてくるシルバーバックと、半ばで刀身がなくなったナイフだ。シルバーバックの肌を、このナイフでは貫けなかったのである。
これでベルは持ちうる唯一の武器を失った。元々『
「(……
ベルは
腕も動く。
足も動く。
頭も回る。
心臓も止まっていない。
ならばまだ──負けてはいない。
「──行かせない。お前を神様のところには、絶対に……!」
『ウゥ……ガァアアアアア!!』
シルバーバックが吼え、その拳がベルへと唸る。ドォォン、と屋台が吹き飛び、土埃の中からベルは飛び出して息を吐いた。額から流れる血を拭い、
相手は満身創痍、にも関わらず攻撃を躱わされたことに、シルバーバックは激昂して咆哮した。大気を震わす程のプレッシャーに、しかしベルは動じない。今の彼は自分でも驚く程に冷静で、ただ淡々とシルバーバックの一挙一動を観察していた。
やがて、痺れを切らしたシルバーバックが身構え、突進を繰り出さんと全身に力を込めた。それを察したベルもまたゆっくりと身を低くし、咄嗟に動くことの出来るよう警戒を最大限まで高める。
そして──、
「ベル君っ!!」
時が、止まった。
ちなみに今回の話でやりたかったのはリューさんに落葉を使わせることです。元々の武器が木刀と小太刀だから持たせても全く違和感がないのである!
ベル君が割りとシルバーバック相手にやりあえてますが、これは原作と違ってちゃんと【ステイタス】の更新が出来ていたからです。この作品ではヘスティアは
【ステイタス】は大体ですが、力E、耐久F、器用D、敏捷D、魔力Iくらいでしょうか。狩人様にボコられてるのとテクニカルな戦い方をすることから、原作より耐久と器用が高い感じです。