「弟くん!限定プリンを買ってきてくれ!」
いきなり部屋に入って来てわけの分からない事を言っているのは姉貴だった。
「姉貴…いきなりなんだよ」
「近くのケーキ屋で限定プリンを買って来てくれ」
「なんで俺なんだよ、自分で行けばいいだろ」
「私は仕事で手が離せないんだ」
「俺も昼寝で手が離せない」
「そんな事を言うなよ、お小遣いあげるからさ〜」
そう言って抱きついてダル絡みして来る。
「わ、分かった、分かったから離れてくれ」
「本当かい⁉︎それじゃあよろしく頼むよ」
そんなこんなでケーキ屋に着いた開店時間10分前にも関わらず沢山の人が列を作っている。
俺も列に加わる、すると俺の後ろにもすぐに列が出来た。
しばらくすると列が動き出した、並び出して30分くらいした所で俺の番になった。
「いらしゃいませ」
「限定プリンを2つ下さい」
「限定プリンですね、かしこまりました」
どうやらまだ限定プリンは残っているらしい
「お待たせしました限定プリンです、これが最後のプリンでした、お買い上げありがとうございます」
これが最後とは運がいい
プリンを無事購入した事をLINEで姉貴につたえ帰路につこうとして居ると列の中に見慣れた人が居た。
「晴天目?」
そこに居たのは晴天目だった相変わらず松葉杖をついている。
「あ、多岡くん、多岡くんもプリンですか?」
「あぁ姉貴に頼まれてな、晴天目もプリン買いにきたのか?」
「はい!私、プリン大好物なんですよ!」
「そうなのか、でも残念だったな限定プリンはもう売り切れだよ」
「え?売り切れ?それなら多岡くんの持っているのは?」
「限定プリンだよ、俺ので最後だったんだ」
「へぇ、そうなんですか…」
そう言うととぼとぼと列から抜けてしまう
「おい!ならんで無くて良いのかよ?」
「良いんです、プリンを買いに来て居たので」
露骨に残念そうな声色だ、晴天目の後を追いかける。
「な、なぁ元気出せよ」
「プリン楽しみにしてたんです、朝も早く起きたんです…」
凄い残念そう、なんか悪いことをしてしまったような気がしてきた。
「はぁ〜…」
「あ、あのさぁ二つあるから食べるか?」
「良いんですか⁉︎」
「いいよ、一緒に食べよう」
「はい!」
近くのベンチに横並びになりプリンを一つ晴天目に渡す。
「それじゃあ食べようか」
「はい!頂きます!」
晴天目はパクっと一口目を口に入れる。
「ん〜美味し〜」
晴天目は幸せそうな声をだす、俺も一口食べる、確かに美味い、口当たりは滑らかで濃厚な卵の味が口に広がる、行列が出来るのも納得の味だ。
晴天目もパクパクと美味しそうに食べている。
「ご馳走様でした」
晴天目を眺めて居るとそんな声が聞こえた。
「もう食べたのか?」
「はい、凄く美味しかったです、多岡くんはまだ残ってますね」
ガン見している、プリンをだが…
「た、食べるか?」
「良いんですか⁉︎」
「あぁ」
「ありがとうございます!」
そう言うと俺の手からプリンを受け取りパクパクと食べ始めた、だが俺はあることに気づいてしまった、それは今晴天目が使っているスプーン、あれは俺のプリンに刺さっていた物だつまり俺が使っていた物…
「お、おい、晴天目」
「ふぁい?なんです?」
スプーンを咥えながら喋るな…
「今、お前が咥えてるスプーン、俺のなんだけど」
「え?え!す、す、す、すいません!私ったら夢中でつい…」
「い、いや晴天目が気にならないなら良いんだ…」
「は、はい…」
晴天目の顔は少し赤くなっていた。
「それじゃあ俺は帰るから、晴天目も気をつけて帰れよ、じゃあな」
気まずくなったので逃げることにする。
「はい」
焦りを顔に出さないように歩き出す。
「あ、あの!今日はありがとうございました、お礼は必ずしますから」
「あぁ、楽しみにしてるよ」
晴天目と別れ家に帰る。
「ただいま〜」
「おかえり弟くん!遅かったじゃ無いか」
「姉貴、ただいま」
「さぁ、限定プリンを出したまえ!」
やばい、姉貴への言い訳を考えて無かった、買えなかったことにしてしまおう。
「それが、プリン買えなくてさ、悪いね」
「嘘は良く無いな〜弟くん」
「嘘じゃないよ」
「だってLINEしてくれたじゃないか」
忘れてた、姉貴にLINEしたんだった。
「い、いや、それがさ…」
「一人で食べちゃたんだろ?」
「いや、晴天目がな?」
「香夜ちゃん?駄目だよ人のせいにしちゃ」
「いや、本当だって」
「まったく、仕事終わりのデザートにしようと思ったのに」
「いや、その…」
「今日のデザートは弟くんに変更だな」
「へ?」
「さぁお姉ちゃんの部屋においで?たっぷり味わってあげるから」
「辞めろ、離せ!俺は食べてない!俺は無実だ〜!」