晴天目家での特別補習から一週間と数日が過ぎたテスト返却日今回のテストは補習の成果が無事に発揮され普段より良い点が取れた。
晴天目にお礼を言いたいのだが彼女はテスト前から学校に姿を見せていない、勉強が嫌いで何時もサボっている俺とは違い彼女はテストに向けて勉強をしっかりとするヤツなのでテスト日に学校に来ないのはとても意外だった。
だが彼女が学校を休むのは決して珍しい事では無い、今回もいつもと同じく何処か怪我でもして学校を休んでいるだけだろうと気楽に考えていた。
放課後何をしようかと教室で考えにふけっていると担任から呼び出された。
「多岡ちょっといいか?」
「何ですか先生?今回のテストに赤点は無いはずですよ?」
「お前に少し話がある、ついて来い」
言われるままについて行くと人気の無い倉庫に案内された。
「何です先生?こんな人気の無い所まで連れてきて」
少し冗談めいた口調でそう言った。
「いいか多岡、これからする話は本来お前に話すべき話じゃ無いんだが私が話すべきだと判断したのでお前に話す」
担任の口調は真剣な物だった。
「は、はい…」
思わず唾を飲んでしまう。
「ついさっき晴天目のご家族から連絡があった」
なんだ晴天目の事かと緊張が解けた次の瞬間、担任が言った言葉に耳を疑った。
「晴天目が事故で亡くなったそうだ…」
「え?晴天目が死んだ?…」
思わず聞き返してしまった。
「あぁ交通事故だそうだ、葬儀は身内だけで行うそうだ」
「う、嘘ですよね?晴天目が死んだなんて冗談でも度が過ぎてますよ?」
「多岡…これは本当の事なんだ、ご家族の要望で晴天目の事故の事はおおやけにせず晴天目は転校と伝えてくれと言われた、だが仲の良かったお前にだけは伝えた方が良いと思ってね」
担任が嘘などつかない人だという事は知っていたが、あまりに唐突な宣告に現実を受け入れられなかった。
「そ、そんな、この前だってテスト勉強一緒にしたんです!その前だって怪我は多かったけど元気だったし‼︎」
「多岡!悔しいのは私も同じだが、現実を受け入れないと…」
そう言った担任の言葉は震えていて瞳は涙で潤んでいた。
「でも、だって…はい…」
言い返そうとしたが担任の顔を見たらはい、と返事をするしかなかった。
「最初にも言ったけどこの話はくれぐれも内密にね、辛いけど彼女の分も頑張らなきゃね」
担任の口調は何時ものサバサバした口調ではなく女性らしい素の口調に変わっていた。
後日晴天目が転校した事が知らされたが事実を知っている俺にはどうでもよかった。
「晴天目転校なんて急だよな〜」
「あぁ」
「怪我しては治りのくりかえしだったけど良いヤツだったよな」
くりかえしてたのは紅葉さんと妖怪退治してたからなぁ
「ん?それだよ!」
思わず声を上げる。
晴天目には紅葉さんが取り憑いている、紅葉さんは晴天目を気に入っていた、晴天目が死んだら紅葉さんも困る筈だ、晴天目が死なないよう手を尽くす筈なんだ、だとしたら何故?
そう思うと居ても立っても居られなくなった。
「先生!俺、早退します」
「え?お、おい待て!」
担任の制止を振り切りって走り出す、目指すのは晴天目の家だ、この違和感の正体を確認するために。
晴天目の家の門に辿りついた、いつ見ても大きな門の扉は重く閉ざされている。
「あのー!すいません!」
門に向かって叫ぶ。
すると後ろから声が聞こえた
「そこを動くな小僧!」