気になるあの子の危険な日常   作:タピ

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第20話 別れと結末

「そこを動くな小僧!」

その声を聞いた俺は動きを止めた。

「ゆっくりとこちらを向け」

そう言われたのでゆっくりと後ろを向く、するとそこには1人の老人が立っていて、鋭い眼光でこちらを見つめている。

「わしの家に何の要だ?要件次第では…」

そう言うと老人は腰に携えていた物に手を当てる、それは刀だった、恐らく本物だろう。

「お、落ち着いて下さい、俺は晴天目香夜さんのクラスメイトで」

「孫は転校したと学校で聞かなかったか?」

孫という言葉にこの老人が晴天目の祖父であると理解した。

「聞きました」

「だったらもう帰れ」

「交通事故で死んだと言う事も…」

「そこまで知っているか、あの学校は保護者の頼みも聞いてくれんのか」

「この事を知っている生徒は僕だけです」

「そうか、それで?孫が死んだのを知ってるお前さんが一体何の要じゃ?」

そう聞かれたので俺は学校で思った疑問を口に出す

「晴天目は生きてるんじゃ無いんですか?」

「…何を馬鹿な事を孫はもういないよ」

反応が変わらないので俺は賭けに出る事にした。

「晴天目に取り憑いている紅葉さんはどうしてますか?」

言い終わった瞬間俺の頬に切り傷が出来た、老人の方を見るとそこには刀の刃が白く光っていた

「小僧、何故それを知ってる?答えろ!」

明らかな敵意を向けられた。

「晴天目香夜本人から聞きました、妖怪の事も家系の事も」

「孫がそこまで話したか…」

斬られると思ったがそうはならなかった。

「小僧付いて来い」

そう言って老人は門を開けて中に進む、何度か来たことのあるがやはり広い。

「小僧、孫から聞いているとは思うが孫には呪いがかかっている、今迄何とか抑えて来たのじゃがもう抑えきれなくなった、孫はもうじき呪いにのまれる、そうなっては死んだも同然、だから孫は死んだ事にしたのだ、分かってくれ」

「晴天目は今何処に?」

「自分の部屋じゃよ、孫とは言えんかもしれんが…」

「合わせて下さい」

「分かっている」

そう言うと階段を上がり晴天目の部屋の前に来た、扉の前に立っていた2人をどけてくれた。

「話して来い」

そう言われ俺は部屋に入る。

「晴天目?」

そこにはいつもと変わらずセーラー服を着た晴天目がいた。

「よく来たな小僧」

小僧、この呼び方は紅葉の呼び方だ。

「紅葉さんでしたか、単刀直入に言います、紅葉さん、晴天目を乗っ取るのやめて貰えませんか?」

「嫌じゃ、何故妾がそんな事を?」

ですよね

「それじゃあ最後に晴天目と話をさせてくれ」

紅葉さんは少し考えた後

「良いぞ」

「ありがとう」

「多岡くん、来てしまったんですね」

「あぁ、何も言ってくれないなんてひどいじゃ無いか」

「ごめんなさい、でも多岡くんに話すと泣いてしまう様な気がして」

「そっか、それでこれからどうするんだ?」

「おじいちゃんから聞いていると思いますが私は紅葉に取り込まれようとしています、もうじき今の私は消えます」

声は悲しげだ。

「何か止める方法は無いのか?」

「多岡くんはいつでも優しいですね、今までたくさんお世話になって、お礼も出来ずに…」

「お礼はしてもらったよ、今回のテスト赤点無かったんだぜ、お前のおかげだよ」

「良かったですね、私が居なくなってもちゃんと勉強してくださいね」

声は震えて、眼は潤んでいた。

「多岡くん、うち嫌や〜まだ死にたく無い、まだやりたい事たくさんあったのに…」

晴天目は遂に泣き出してしまった、標準語を使う事も忘れて、子供の様に。

「晴天目、俺、お前の事忘れないからな!絶対!」

泣きじゃくる晴天目を抱きしめながらそう言った、しばらくすると晴天目が落ち着きだした。

「本当にありがとうございます、本当に優しいですね、名残惜しいけどそろそろ時間みたいです」

「そ、そうか、晴天目、じゃあな」

「多岡くん泣かないで下さい、寂しいじゃ無いですか」

いつの間にか泣いていたらしい、涙を拭いてもう一度別れを告げる。

「それじゃあな、今まで楽しかった」

そう言って部屋を出た

「さようなら、多岡くん」

晴天目との別れから数年が経った、俺は高校卒業後東京にある姉貴の研究室に転がり込んで妖怪の研究を手伝っている、今日は姉貴に頼まれて限定プリンを買いに来た。

「限定プリンを2つ下さい」

「限定プリンですね、かしこまりました」

どうやらまだ限定プリンは残っているらしい

「お待たせしました限定プリンです、これが最後のプリンでした、お買い上げありがとうございます」

これが最後、前にもこんな事あった気がする。

買い物を終えて列から離れるとこんな声が聞こえた。

「限定プリン一つください」

「申し訳ありません本日限定プリンは売り切れでして」

「そうですか」

そんな会話に振り向くと黒髪で眼鏡をかけた女性が残念そうにしていた。

その女性を見て俺は晴天目の事を思い出した

「あのー良かったらこれ一つ差し上げますよ」

その声に女性は少し驚いた様子だった。

「いえ、でも申し訳ないですし」

「そう、遠慮しないで下さい」

そう言って無理やりプリンを持たせて立ち去ろうとする。

「あ、ありがとうございます、あのお礼がしたいのでお名前だけでも」

「お礼は結構です、プリンのお礼にいい思い出無いので」

そう言って歩き出す、姉貴にプリンを一つだけ買ったと連絡を入れて。

「今の男の人なんだか多岡くんに似てたね紅葉?」

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