気になるあの子の危険な日常   作:タピ

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第5話 三角巾と補習授業

定期試験をなんとか無事に終えいよいよ明日から夏休み、俺は夏休みをどう過ごすかを考えていたのだがその思考は担任の声によって遮断された。

「多岡、お前は明日からしばらく補習な」

「ほしゅう?ほしゅう、補習⁉︎」

「そう、補習」

「なんでですか⁉︎」

「お前成績足りてないから」

「試験で赤点をとってないのにどうして成績が足りないんですか⁉︎」

「どうしてって、お前、授業サボりすぎなんだよ、いくら赤点が無いとはいえこれじゃあねぇ…」

「うぐぅ…」

「お、ぐうの音は出たな、まあ補習と言っても校庭をマラソンするだけのペナルティだから頑張れや」

赤点が無かったから補習なんて考えもしなかった、しかもマラソンってなんだよ、このクソ暑い季節にマラソンやれって?死ぬよ、あゝさらば俺の夏休み…

「あ、そうそう、その補習晴天目も一緒だからよろしく頼むわ」

「よろしく頼むわってどう言うことですか!」

担任は俺の言葉を最後まで聞くことなく教室から出て行った、こないだと同じ手口だ明らかな職務放棄、全くあれで教師を続けられていることが驚きだ。

それにしても彼女が補習とはどう言う事だろうか、彼女の成績は優秀、まさか赤点を取るわけがあるまいに。

少し不思議に思いながらも今日は帰宅する事にする。

翌日、流石に補習をサボる訳にもいかず学校に出向いた、夏休みなので当然生徒はいない、集合時間より少し早く学校についてしまった俺は静かな学校を少し不気味に思いながら集合場所に向かった、集合場所に近づくと集合場所に一人の人影があった、その人影は晴天目だったひと気の無い場所に一人でたたずむ姿は幻想的にも見えた。

「よう、晴天目、早いな」

「多岡君、おはようございます、多岡君も補習ですか?」

「まぁな、試験はなんとかなったけど授業サボりすぎだって言われたよ。」

「そうですか、お互い頑張りましょうね」

あまり頑張る気は無いのだが黙っておこう

「晴天目はなんで補習なんだよ、頭良いだろ?」

「私は体育の授業数が足りないんです、見学してばかりだったので」

「なるほどそれでか…」

そうこうしているうちに集合時間となり補習担当の教師や補習を受ける生徒も全員揃った。

「えーそれでは只今より補習であるマラソンを始める期間は一週間、1日5キロのマラソンだ、各自しっかりやるように」

一週間もやるのか、しかも5キロ…考えただけでうんざりする。

「あー晴天目香夜さんは大丈夫なのそれ?」

大丈夫とはどう言う事だろうか?

「はい大丈夫です、走る分には問題無いですから」

気になって彼女の方を見る、彼女は学校指定の運動着を着ているが右腕は三角巾で吊るされている、いつもこんな感じなのでさっきは特に目に止まらなかった、だいぶ感覚が麻痺していたらしい、何時もの彼女からすればだいぶましな方だろう、本人も大丈夫だと言っているし大丈夫だろう。

「そう、なら補習を始めます、私は職員室にいるのでなにかあったり指定の距離走りきったものは報告に来るように」

こうして真夏の5キロマラソンがはじまった、うちの高校の校庭は一周役500メートルなので10周で終わる計算だスタートから飛ばしている生徒を見ながら俺はのんきに走り出した。

「暑い…」

校庭を5周ほどしたあたりで愚痴が出た、まだ日は高く無いが体力を奪うには十分な暑さだ、スタート時に飛ばしまくっていた生徒は完全に失速している、俺は体力に特に自信があるわけではないがペース配分を考えているのでなんとか走っている。

夏の日差しと蝉の声に多少のいらだちを覚えながら俺はあることが気になっていた、それは晴天目の事だ彼女はスタート時俺より後ろにいたのだが今まで走る中で数回彼女を追い抜いた気がした、もちろん追い抜かれた記憶はない、それにしても数回と言うのは気のせいだろう、そう思っていると彼女の背中がまた見えてきたやはり気のせいでは無かったらしい、追い抜きざまに彼女の様子を確認するとまだ序盤だと言うのに息が上がっていた、どうやら体力が著しく低いらしい、今話しかけたら倒れてしまいそうなのでそのまま追い抜く。

しばらくして俺は無事目標の距離を走りきった、職員室向かい報告を済ませると帰宅していいと言われたが何と無く彼女が気になり校庭の隅に座りこむ、次々に生徒がゴールして行き彼女は最後の一人になった、結局彼女がゴールしたのはスタートから一時間ほど経った頃だった。

「お疲れ」

少しふらついている彼女に声をかける

「多岡、君?お、お疲れ様、です」

息が上がって台詞が途切れ途切れだ。

「多岡君は帰らないんですか?」

彼女は息をある程度整えて言った

「まぁ、何と無くな、それより早く報告してこいよ」

「そうですね行って来ます」

こんな感じで初日の補習は何事もなく終了した、問題が起きたのは4日目の事だった、記録的な猛暑を記録したその日、校庭を何時ものように走っているとこれまた何時ものように彼女の背中が見えた今日はいつもよりペースが遅い様だ、まあこの暑さでは仕方ないだろう、などと考えていると彼女が突然ふらつきだし糸が切れた様にたおててしまったのだ、急いで彼女のもとへ行き声をかける

「晴天目⁉︎おい!大丈夫か⁉︎」

返事はないどうやら気絶している様だ。

「誰か先生呼んでくれ!晴天目が倒れた」

とりあえず仰向けにしておく事にする、腕を掴もうとしたが三角巾で片腕が固定されているため脇から手を入れて体制を変え様とすると手がなにか湿った物に触れた、おそらく汗で濡れた運動着だろうと思ったのだがそれにしても濡れすぎている気になって濡れた手の方を見ると手は赤く染まっていた。

「うわっ!」

驚きの声をあげ思わず手を離してしまう、彼女は後頭部から倒れていった、ものすごく痛そうな音がした、すまない、一度謝罪を入れて俺の手が赤く染まった原因を見るそれは三角巾だ三角巾が赤く染まっている、おそらく倒れた時に傷口が開いたのだろう、そうこうしてるうちに生徒が教師を連れて来た彼女は教師に担がれ保健室に連れて行かれた。その後彼女は日射病と診断され目が覚めた後強制帰宅となった、残りの3日間も彼女は補習には来なかった、ドクターストップがかかったそうだ。

俺はと言うと無事に一週間の補習は終えたのだが帰宅途中に突然飛来したサッカーボールを後頭部でヘディングして大きめのこぶを作った。

「あいた!全くついて無いぜ、後頭部なんて晴天目の呪いかよ!呪い…」

自分で発した呪いと言う言葉が頭から離れない、以前彼女のいた保健室や学校の廊下で感じた謎の恐怖を思い出しながらその考えを振り払った。

「気のせいだ、気のせい、さぁてこれから夏休みの間なにをしようかな〜」

 

 

 

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